Jump to the Super star!! 作:黒破リンク
Liella!vsマルガレーテ、BAD SOULvsSNOWこと湊冬弥。
果たして、勝つのは一体────
冬弥視点───
ラブライブ東京大会……勝ち上がったのは『Liella!』。
マルガレーテ「くっ……!!!」
……マルガレーテは、負けた。
全国大会に行くことは叶わなかった。
……いや、まだだ……!!俺がいる……!!!俺が……!!
………俺が勝てば……!!!!まだウィーンに戻れる!!!!
「……っ……!!!」
……俺は、その場で倒れ伏した。
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奏視点───
……Liella!は、全国大会出場を決めた。
Liella!が念願の全国大会への切符を手にして、喜んだのも束の間。
マルガレーテ「私は、この結果を認めない!!!」
マルガレーテちゃんがそう叫んだ瞬間……
……バタン!!!と、ステージ上で何かが倒れる音がした。
「……!?」
その方向を見ると………
湊冬弥くんがそこで倒れていた。
マルガレーテ「冬弥……!?」
俺達が駆け寄るよりも速く、マルガレーテちゃんが冬弥くんの元へ走っていた。
マルガレーテ「冬弥!!!しっかりしなさいよ!!!!!
………冬弥!!!冬弥ってば!!!!!」
マルガレーテちゃんの悲痛な叫びが、ステージに木霊する。
……俺たちは、ステージで競い合ったライバルが倒れた姿を見て、ただ立ち尽くしていた。
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奏視点──
冬弥くんが倒れた後も、ひとまず大会は進行した。
……ライブを終えて、俺の家に皆で集まって話していた。
彰人「……。」
零「……。」
賢汰「……。」
「……こんな幕引きだなんて思ってなかった。」
……俺たちは、冬弥くんに勝って、全国大会への切符を手に入れた。
けれど、ライバルである冬弥くんが倒れて、俺達はどうしても浮かばれなかった。
彰人「……素直に喜べねぇよ、こんなの。」
零「……ですね。」
賢汰「勝ちは勝ち……負けは負け。
……だとしてもこれは……残酷すぎる。」
「そうだね。
……冬弥くん本人は、この結果を知らないわけだし。」
彰人「……だな。
……それにしても、マルガレーテの奴…あの物言いはないな。」
零「ですね。
……現に、今もネットで騒がれてますし。」
賢汰「『悲劇のヒロインぶってる』、とか色々言われてますね。
……本人達にも、相応の事情があるのを知らずに、好き勝手言ってるのには、腹が立ちますね。」
「『たかが出場者1人が倒れたくらいであそこまで泣く必要ないだろ』……か。
……悲しいのは、マルガレーテちゃんだけじゃないってこと位は、わかって欲しいな……。」
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三人称視点───
湊冬弥が運び込まれた病院。
……翌日、マルガレーテは冬弥が隠していた秘密を知る。
医者「彼は、小児喘息を患っています。
……何か、思い当たる節はありますか?」
マルガレーテ「……私と冬弥は、ウィーンから日本に来て、同じ家で過ごしてました。そこで、時折家の中で苦しそうにしているのは何度か目撃していました。
……冬弥に聞いても、『ただの風邪だ』、とはぐらされるばかりで、喘息だってことは知らなかったです。」
医者「そうですか。
……環境の変化によるストレスと、身体的疲労が主な原因ですね。見たところ、彼は音楽をしていたのですよね?」
マルガレーテ「はい、私と冬弥は昔からずっと、歌をやってました。」
医者「……そうですか。
彼は、しばらく当院に入院します。」
マルガレーテ「はい。
……お見舞いとかって……」
医者「来ていただいて構いませんよ。
……本人が目覚めたら、少しは精神的に楽になるかと。」
マルガレーテ「……はい、ありがとうございます。」
マルガレーテは医師との話を終え、病院を後にした。
……少し歩いて、マルガレーテは彰人と出会った。
マルガレーテ「高松彰人……どうしてここに?」
彰人「湊冬弥に話があったんだが……見た感じ、まだ病院にいるみてぇだな。」
マルガレーテ「……冬弥はまだ寝たきりよ。
……冬弥になんの用なの。」
彰人「……あいつが倒れた理由を知りたくてな。」
マルガレーテ「……冬弥は、喘息を患ってる。
……多分、私と出会った時からずっと。」
彰人「喘息……か。
でも、それが理由で倒れる理由になるのか?」
マルガレーテ「病院の先生曰く、環境の変化によるストレスと身体的疲労が原因、とは言ってたわ。」
彰人「……そうか。」
マルガレーテ「……冬弥の現状は伝えたわよ、もう用はないわよね。」
そう言って、マルガレーテは去ろうとする。
しかし、彰人はマルガレーテを制止した。
彰人「待てよ。
……お前と冬弥の関係性が少し知りたくてな。」
マルガレーテ「何でよ。」
彰人「いや、あいつが倒れた時、お前は真っ先に冬弥の元に向かった。
……ただの知り合いだとしても、あそこまで泣いたりするとは考えづらくてな。」
マルガレーテ「……。」
マルガレーテは、少し苦い顔をした。
暫しの沈黙の後、マルガレーテは口を開いた。
マルガレーテ「……私と冬弥は、幼馴染よ。小さい頃から、私と冬弥は一緒に歌っていたの。
……日本から移住してきた冬弥と出会って、私と冬弥は、ライバルとして一緒に歌を学んで。」
彰人「……。」
マルガレーテ「私達は、『ウィーン国立音楽学校』へ受験して。
……でも、私も冬弥も、揃って不合格。私達がラブライブとワイルド・バトル・フェスのにも理由があるの。」
彰人「理由?」
マルガレーテ「『ラブライブ、ワイルド・バトル・フェス、両方で結果を残せば、入学を特別に許可する』、って言う条件で出たのよ。
……じゃなきゃ、あんな大会に出る意味なんか無いもの。」
彰人「……そうかよ。」
マルガレーテ「もういいでしょ。
……1人にさせて。」
マルガレーテはそう言って、彰人の前から去っていく。
マルガレーテ「……。」
マルガレーテは神宮競技場の側にあるベンチに腰掛け、空の写真を撮って、それをネットにあげた。
マルガレーテ「……冬弥がいれば、一緒に話ができたのに。」
マルガレーテは、入院した冬弥のことを考えながら携帯で調べ物をしていた。
マルガレーテ「……喘息で入院する理由…。
……呼吸困難や、意識障害…か。」
思い当たる節を探そうと考えを巡らすマルガレーテ。
……しかし、マルガレーテには、その瞬間を見た覚えがなかった。
マルガレーテ「冬弥……なんで、言ってくれなかったの……?」
マルガレーテは携帯にある写真を見る。
そこに映っていたのは、幼い頃のマルガレーテと冬弥が共に笑顔で写る写真があった。
マルガレーテ「……ずっと隠してたの…?
昔から……ずっと…。」
マルガレーテは、再び涙を流す。
……涙はマルガレーテの携帯へと落ち、それがポツン、ポツン。と、次々と落ちていく。
マルガレーテ「冬弥……もう会えなくなるなんて嫌よ…?
……だって、私は……私は貴方と歌うのが…ずっと楽しかったのよ…。」
マルガレーテは涙を引っ込めようと空を見ていた。
……その時、彼女の元に1人の少女が現れる。
マルガレーテ「……!?」
かのん「マルガレーテちゃんだよね。」
澁谷かのん──Liella!のセンターで、マルガレーテにとってはライバルとも言える存在だった。
マルガレーテ「人違いじゃない?」
と、そっぽ向いた瞬間、マルガレーテの携帯が鳴り出し、それに驚き、慌てふためいていた。
マルガレーテ「……もう。」
マルガレーテは距離を置くようにベンチの端へ移動する。
マルガレーテ「ふん。」
そんなマルガレーテの座るベンチにかのんも腰掛けて来た。
それに不満でも持ったのか、マルガレーテはかのんの方を向く。
そんな時、かのんが呟いた。
かのん「ウィーンの音楽学校、入学出来なかったんだよね。」
マルガレーテ「……!!」
かのん「お姉さんと同じ学校に入りたかったのに、入れなかったんでしょ?」
マルガレーテ「……どこで聞いたの。」
かのん「書いてあった。
……私もね、昔受験失敗したんだ。音楽科目指してたんだけど、落ちちゃって。」
マルガレーテ「一緒にしないで!!!
あんたなんかとはレベルが違うんだから!!!!」
かのん「でも、夢が奪われたように思えたのは、きっと同じ。
……私ね、小さい頃から夢があったの。
『世界に歌を響かせたい』。
自分の歌で、世界中の人を笑顔にしたい、って。だからいっぱい練習したけど、それが楽しくて、何も苦じゃなかった。
……でも、人前で急に歌えなくなった。その時の私には、音楽科なんて夢のまた夢。」
マルガレーテ「……同情してるって言うの?」
かのん「違うよ!同情なんかじゃなくて──」
マルガレーテ「ふざけないで!!
私に……私達に勝って!!!人の夢をあなた達は奪ったのよ!?」
かのん「夢を奪った……?!」
マルガレーテ「……!!!
なんでもない!」
かのん「どういうこと?」
マルガレーテ「……帰る。
……なんで、1人にさせてくれないのよ。」
かのん「マルガレーテちゃん!」
かのんに背を向け歩き出すマルガレーテを、かのんは追いかけて肩を掴む。
かのん「私達がマルガレーテちゃん達の夢を奪ったって、どういうこと!?
……どういうこと!教えて!」
マルガレーテ「……条件だったの。
……向こうでもラブライブとワイルド・バトル・フェス少し知られた存在でね。受験に落ちた私と冬弥が優勝出来たら、推薦で編入を考えてもいいって。」
かのん「編入……!?」
マルガレーテ「私の家は音楽一家なの。
……冬弥も同じよ。家族に推薦してもらえば、学校に入れる可能性は上がる。お姉様達と肩を並べることができるかもしれない。」
かのん「それで、あの大会に……。」
マルガレーテ「当然でしょ。
……じゃなきゃ、私達があんなくだらない大会に出るはずない。」
かのん「くだらなくなんかないよ。
……ラブライブも、ワイルド・バトル・フェスも。」
マルガレーテ「……くだらないわ。私より、あなた達の方が上だなんて。
……そんな評価を下すステージも、観客も。皆くだらない。
……あなたならわかるでしょう?どっちの歌が上手かったか。なんなら今から、決勝を辞退してもいいのよ?」
かのん「……それは出来ない。
……だって、私達の方が……勝っていたと思うから。」
マルガレーテ「……何を言うかと思ったら。」
かのん「私達は全員、皆に歌を届けたいと思って歌っていた……1つになれたらと。
……その思いは、あなたより強かった。」
マルガレーテ「……ふん、意味わからない。」
そう言って、マルガレーテは歩き去っていく。
冬弥と共に住んでいる家に、1人戻ってきたマルガレーテは、開きっぱなしの冬弥の部屋に入り、机の前で足を止めた。
マルガレーテ「……手紙?」
マルガレーテがその紙を拾い読み始める。
【マルガレーテへ。
これを読んでるってことは、もしかしたら俺はお前を一人ぼっちにさせちまってんだろうな。
今まで黙ってて悪い。俺はガキの頃から喘息で身体が弱かった。それをずっと隠して、マルガレーテの隣で歌い続けた。
お前みたいになりたくて……親や兄貴みたいな音楽をやりたかった。けど、俺はそう上手くいかなかった。
お前がどうかはわかんねぇ。けど、これだけは知っておいて欲しいんだ。
俺は、お前と一緒に歌う時間が好きだった。お前の歌う姿を見るのが好きだった。
……こんなこと書いたって、お前はきっと『何言ってんだ』ってすました顔で言う気がするのはわかってる。こんなこと、面と向かって言えるわけねぇし。
……だから、もし俺の事が嫌いになったんだったら、それでいい。俺はそれだけの事をお前にした。
最後にこれだけは書いとかねぇとな。
……お前に出会えてよかった。お前は俺の、尊敬できる歌手だ。
マルガレーテ「……何よ……。こんな、別れみたいなこと言って………!!!
……そんなこと、言わないでよ……!!!」
マルガレーテは、その手紙を見て崩れ落ちて1人泣き続けた。
冬弥への思いがより強くなったのか、はたまた違う理由か。
………彼女が涙を流した理由。それは本人しか分からない。
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奏視点───
校内の表彰式で、俺たちスクールアイドル部は改めて全校生徒の前で決勝へ駒を進めたことを報告した。
恋「皆さんのおかげで、決勝に進出することができました!!
生徒会長として、Liella!のメンバーとして……改めてお礼を言わせてください!ありがとうございます!!」
俺達は恋さんの言葉に合わせてお辞儀をする。
……生徒の皆が、俺達を応援してくれている。その姿に俺は涙しそうになった。
かのん「優勝……!!」
千砂都「ここまで来たんだもん。
次も笑顔で終われるよう、頑張ろ!」
かのん「うん!」
可可「1年生も2年生も、いい人ばかりで……可可幸せデス。」
かのん「きっと、引き寄せるんだよ。恋ちゃんのお母さんが。」
すみれ「そうね。」
夏美「その通りかもしれませんの!」
きな子「2人が言うと、微妙に説得力が……」
すみれ,夏美「「なんで!!」」
零「きな子ちゃん、意外に毒舌……。」
彰人「……ステージ上だぞ。」
「……ははっ。」
放課後、俺達は部室で話していた。
すみれ「さっきの微妙ってどういう意味〜?」
きな子「ひぃ〜!人徳というかなんというかぁ〜!!」
夏美「そうですの、すみれ先輩の人徳のなさには納得ですが。」
彰人「後輩にここまで言われてて草。」
すみれ「ふんっ!!!」
彰人がすみれさんを煽ると、すみれさんが彰人の足を思いっきり踏んづけつつ夏美ちゃんの方に向かってた。
彰人「イッテェ!?」
すみれ「待ちなさい、どいつもこいつも!
私はあなたみたいにお金に意地汚くなんかないわ!」
夏美「意地汚いとはなんですの!?
『グソクムシ先輩』でも言っていいことと悪いことがありますの!!!」
すみれ「…誰に聞いたっ!?」
夏美「既に結構有名ですの!!」
夏美ちゃんの携帯から、すみれさんの黒歴史とも言える『グソクムシの歌』の動画が流れていた。
すみれ「あぁぁぁー!!!!やめてぇぇぇぇぇぇっ!!!」
賢汰「ほっといていいんですか?可可先輩。」
可可「はい、遊び相手ができたみたいデ、清々するデス。」
夏美「遊び相手ではないんですの!!」
千砂都「はい、お喋りはそこまで!!」
かのん「決勝に向けて、今日から練習だよ!!」
と、また練習をしようとした時だった。
理事長が部室に現れて、神妙な面持ちで俺とかのんを呼び出した。
……To be continued
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