Jump to the Super star!!   作:黒破リンク

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代々木スクールアイドルフェスのLiella!とBAD SOULのパフォーマンスを見た新スクールアイドル部の6人は、練習に熱が入る。

そんな中、険悪な雰囲気になってどこかへ去っていってしまった鬼塚姉妹と朝日兄弟を追いかけ、かのん達が辿り着いた場所は………まさかの牛久だった。


第4話#2

時を少し遡り、航海視点──

 

俺は冬毬を追いかけ走っていた。

 

「ちょ、冬毬……。待てって……!!」

 

冬毬はスピードを緩めることなく、練習してた場所に戻ってきていた。

 

冬毬「……帰りますよ、航海くん。」

 

「そ、それはいいけどさ……なんで急に……。」

 

冬毬「……やるべきタスクを思い出したので。」

 

「そ、そっか……。

それはいいけど…目の前で着替えようとするのやめてくれない…?」

 

冬毬「……?どうしてですか?アサップで帰らなければいけませんので、こちらの方が手っ取り早いです。」

 

「いや、うん、わかるよ?わかるけどさ……俺いるんだわ……。」

 

冬毬「………見なければよいのでは?」

 

「いや、うん、それはそうなんだけどさ……。」

 

余所見なんか、出来るわけないだろ……!!

……冬毬、自分がビジュいいこと理解してないのか……?!

 

冬毬「……私は別に、航海くんに見られていても構いませんが。」

 

そう言いながら冬毬は服に手をかける。

……え、ちょ、本気で着替えるつもりかよ!?!?

 

「ちょ、向こう見とくからな!?」

 

俺は冬毬とは別の方向を見て冬毬の着替え姿を見ないようにしていた。

 

冬毬「……そっぽ向く必要なんてないはずですが…。」

 

「い、いや、あるから…。」

 

冬毬が着替え終わったのをちゃんと確認して、俺はそのまま制服を羽織って2人で帰ることにした。

 

「あ、あのさ、冬毬。」

 

冬毬「なんですか。」

 

「夏美さんに、あんなこと言って良かったのか…?」

 

冬毬「……私はただ、姉者が傷つくのを見たくないだけです。」

 

「……そっか。本当に夏美さんのことを思ってるんだね。」

 

冬毬「当たり前です。

……姉者が泣いていた姿を、何度見てきたか…もう分かりません。」

 

「……そうだね。」

 

冬毬「航海くんこそ、賢汰さんにあんなこと言って良かったんですか?」

 

「……別に…ホントのこと言っただけだし。」

 

冬毬「……帰りますよ。」

 

「おう。」

 

俺は冬毬と共に、電車に乗って牛久まで帰ってきた。

……俺は、1人家に帰ってきて、部屋で黄昏ていた。

 

「……。」

 

……俺はあの頃のことを今でも覚えている。

……母さんが浮気して、父さんがいない間に男連れ込んでいたこと、それを見てしまったこと。

 

『お母さん、その人と何してるの?』

 

あの頃の俺は、母さんが何をしていたのか察してなかった。

……けど、良くないことだけは直感でわかっていた。

俺は何度も母さんが浮気相手を家に招いていたのを目撃していた。

……それから数ヶ月経って、母さんは父さんとの離婚の話をしていたらしく、俺達はどうするか判断を委ねられていた。

 

ミオ『お母さん、お父さんと離婚することにしたから。』

 

賢汰『え、なんで……?』

 

母『お父さんは、私や賢汰達のこと放置して、仕事ばっかでしょ?全然帰っても来ないし。だから離婚するの。』

 

……嘘だ。

……母さんは、一緒にいた男の人と結婚するつもりだ。

 

ウシオ『どっちについていくか、2人が決めろ。』

 

『……俺は、父さんといる。』

 

賢汰『……俺、母さんについていくよ。』

 

ミオ『ありがとう、賢汰。

……荷物まとめておいてね?』

 

賢汰『……うん。』

 

父さんと母さんの話が終わって、俺は兄貴と話していた。

 

『兄貴、母さんについてくって本当なの…?』

 

賢汰『うん。

……だって、母さん寂しくなるじゃん。』

 

『何…言ってんだよ…。

……なんで、あんな母さんについて行くんだよ。』

 

賢汰『なんでって……今言ったじゃん。

母さん、寂しくなるでしょ。』

 

兄貴は……母さんが浮気性なことを知らなかった。

だから兄貴はああ言った。

 

『……あんな母さんのどこがいいんだよ。』

 

賢汰『優しくて、いつも笑ってくれるじゃんか。

……航海、どうしてそんなこと言うんだよ。』

 

……あんな母さんについて行くなんて……。

 

『……なんであんな母さんなんかについて行くんだよ!!!このクソ兄貴!!!

俺のことなんか、どうでもいいんだろ!!!!』

 

賢汰『どうでも良くなんかない!!!!

けど!!!!母さんだって放っておけないだろ!!!!』

 

『あんな人、母さんでもなんでもない!!!!!』

 

賢汰『そんな事言うなよ!!!!

さっきから、航海の言ってることがわかんねぇよ!!!!』

 

『説明したって、兄貴にはわかんないだろ!!』

 

賢汰『言ってくれなきゃわかんないだろ!!!!!』

 

『もう知らねぇ!!

……もうあんたは兄貴だなんて思わねぇから!!!!』

 

俺は兄貴を部屋から追い出して鍵を閉める。

……あれからしばらくして、兄貴と母さんが出ていく日。

 

賢汰『……航海、これあげるよ。』

 

『……何。』

 

賢汰『俺の使ってたベース……航海にあげるよ。』

 

『……なんで。』

 

賢汰『……航海には、ベースを…音楽を辞めて欲しくない。

……だから、航海にあげるよ。

これを、俺だと思って、大事にしてくれたら嬉しい。』

 

『……ありがと。』

 

賢汰『……なぁ、最後に2人であの曲やらないか?』

 

『……いいけど、兄ちゃんギターないじゃんか。』

 

賢汰『……昨日、父さんがくれた。

……いけるか?』

 

『……うん。』

 

俺と兄貴の、最後のセッションが始まる。

……歌い終わって。兄貴がギターを、俺はベースを弾く手を止める。

 

賢汰『……またな、航海。』

 

『……もう会わないかもね。』

 

賢汰『……いつか、必ず帰ってくるよ。

……元気でな。』

 

そう言って、兄貴が出ていく。

……その背中に、ギターを背負って。

 

「……なんで、今更こんなこと思い出すんだよ…。」

 

俺は、昔の記憶を思い出して1人愚痴っていた。

……ふと、家のインターホンが鳴る。

俺は部屋を出て玄関に向かい、扉を開ける。

 

「……兄貴?」

 

賢汰「……航海、やっぱりここにいたか。」

 

「何しにきたんだよ。」

 

賢汰「夏美と冬毬と、お前を追いかけてここまできた。

……とりあえず夏美の家行くぞ。」

 

「なんでだよ。」

 

賢汰「……いいから。行くぞ。」

 

「ちょっ、やめろ…強引なんだよ……!!」

 

夏美さんの家にお邪魔させてもらった俺達は、中にいた奏先輩達とも合流した。

それで、俺達は夏美さんの部屋にいた。

 

可可「ぅ、ぅぅ…狭いデス……。」

 

夏美「そりゃそうですの、12人にいきなり押しかけられたら…。」

 

すみれ「まぁまぁ……。」

 

千砂都「まさか夏美ちゃんが、本当にここから通っていたなんて。」

 

恋「でも、何故結ヶ丘に…?」

 

夏美「……L tuberを極めるなら、都会の学校に通う方が有利だと、冬毬が……。」

 

賢汰「冬毬が?」

 

夏美「うん……。」

 

かのん「冬毬ちゃん、夏美ちゃんに言ってたよね。

……『夢を追いかけることが、無駄だと知ってもらう』って。」

 

夏美「……はい。それも全部、私が悪いんですの。」

 

………思い出した、あの頃の記憶。

 

夏美『ふふふ!私はオリンピックで金メダルを取る、選ばれし人なのですの!』

 

そう夢を語る夏美さん。

……けど、現実はそうはいかず。

 

夏美『ふぎゃっ。』

 

……運動会の徒競走で下の方の順位で。

 

夏美『夏美はノーベル賞を取れる科学者になること間違いなしですの!』

 

冬毬『うんうん!』

 

……また夢を語っては、現実を突きつけられ。

夏美さんは、それでも新たな夢を見つけては、追いかけて頑張っていた。

 

夏美『私はモデルになる!世界を股にかけるスーパーモデルに!』

 

冬毬『……!!うんうん!』

 

モデルになる夢を語っても、背が伸びず……妹の冬毬に抜かれ。

 

夏美母『夏美〜!ケーキ買ってきたよ〜!!賢汰くん達と一緒に食べるわよー!!』

 

夏美『いらない!』

 

……そこから先も、ずっと見てきた。

……兄貴がいなくなって、受験に失敗して。

 

冬毬『ない……。』

 

……夏美さんの心は、ついに折れてしまった。

 

夏美『……お腹空いた……。』

 

あの時の夏美さんの姿は、すごく悲しそうだった。

……俺は、兄貴の代わりに心の拠り所になろうと、家にお邪魔しては、何度も……何度も冬毬と一緒に励まし続けた。

 

冬毬『姉者……次はどんな夢を追いかけるのですか…?』

 

暗い夏美さんの部屋で……俺と冬毬は見てしまった。

……いつも、夢を書いていた『夢ノート』が、ぐしゃぐしゃになって、部屋のゴミ箱に捨てられていたのを。

 

夏美『……馬鹿らしい。』

 

冬毬『姉者、元気を出して!』

 

『そうだよ、夏美さんにはまだ……叶えたい夢があるでしょ…!!!諦めちゃダメだよ……!!』

 

夏美『……ありがとう2人とも…。

……でももういい…。』

 

冬毬『まだ、沢山叶えてみたいことがあったでしょ?一つダメになったからと言って──』

 

夏美『一つではないんですの。二つ、三つ……いや、全部か……。』

 

冬毬『姉者……。』

 

夏美『……私には才能がないんですの。夢を追う資格も、きっとない。

……夢を追うなんて、無駄な行為ですの。』

 

……そう、悲しげな顔で呟く夏美さん。

それを聞いた冬毬の顔は……絶望していた。

……大切な姉が……夢を失い……大切な幼馴染と別れ……心が壊れていく姿を見て……。

 

夏美『それならいっそ、お金でも貯めて困らないように生きていこう。お金なら裏切らないっ。

……そう、これからはマニーが命ですの。』

 

冬毬『マニー…。』

 

『………。』

 

夏美『そう!大切なのは夢なんかより現実!

……マニーですの!』

 

そう作り笑いをする夏美さんの姿を見て、俺は苦しかった。

………兄貴がいれば、きっと夏美さんはこうならずに済んだかもしれない。兄貴がいれば、夏美さんの背中を支えて……夏美さんのことを助けられたかもしれないのに……!!!!

 

冬毬『……夢なんかより………現実……。』

 

夏美『ふぇ…?』

 

冬毬『……夢なんて、持つものじゃない。』

 

……『夢なんて、持つものじゃない。』

そう呟いた冬毬の顔を、今でも覚えてる。

 

……それから、夏美さんも冬毬も、一度として夢を語らなくなった。

だけど、夏美さんは結ヶ丘に入って……兄貴と再会して。

……スクールアイドルとして、夢を追いかけ始めて。

 

──夏美さんの話を聞いていた先輩達の会話を耳にしてると、部屋から冬毬が出てきた。

 

冬毬「……騒がしいですね。」

 

かのん「冬毬ちゃん…お邪魔してます…。」

 

冬毬「遠路はるばる、ようこそ。」

 

千砂都「冬毬ちゃんは、夢を追いかけるなんて意味がないって思ってるんでしょ…?」

 

冬毬「はい。」

 

恋「夏美さんは、すごく頑張っていますよ?Liella!の心強いメンバーです!」

 

冬毬「……姉者が夢を追いかけても、無意味です。」

 

賢汰「冬毬!!!

……そんなこと、言うんじゃねぇよ。」

 

冬毬「賢汰さん、あなたにはわかりませんよね。

……姉者は、あなたがいなくなってから…ずっと泣いていましたよ。」

 

賢汰「っ……。でも、無意味かどうかは…わかんないだろ…!!!」

 

冬毬「分からない?何を根拠に。」

 

かのん「夢を持っているから、自分が思っていた以上の力を出せる。出来ないことや、大変なことでも乗り越えられる。」

 

奏「夢があるから前に進める。夢があるから、人はいくらでも強くなれる。

……俺は、そう思うけどな。」

 

かのん先輩と奏先輩が、冬毬にそう言った。

 

冬毬「……それは、かのん先輩と、奏先輩に夢を叶える才能があるからです。」

 

かのん「そんなこと……。」

 

冬毬「あれだけの歌唱力を持ち、ラブライブとワイルド・バトル・フェスと言う名の知れた大会で優勝した。

……才能がなければ出来ないことですよ。」

 

奏「……それは違うよ、才能なんかじゃない。

……俺もかのんも、ここにいる皆も。夢や目標に向かって、努力し続けたから、優勝出来た。

……夏美ちゃんだって、例外じゃない。」

 

夏美「やめて!!!

 

夏美さんの叫びで、奏先輩が話を止めた。

 

夏美「冬毬の言うことはわかる。実際私はLiella!に入るまで、何一つ夢を叶えてこられなかったんだから……。」

 

冬毬「……その通りです。」

 

夏美「私だって、スクールアイドルを始めた時は半信半疑だった。

……でも、あの決勝のステージの上で、私は最高に感動したの!

……もう一度、あそこで歌いたい。今度は自分が中心になって、いつかかのん先輩達が卒業した後も、頼られるような存在になりたいって!!」

 

かのん「夏美ちゃん……。」

 

冬毬「……。」

 

夏美「私だけじゃありませんの。

……きな子、メイ、四季……零も、賢汰だって。2年生の思いは皆同じなんですの!

それが今の私の夢なんですの!!」

 

彰人「皆、そんなことを……。」

 

きな子「実は…///」

 

四季「Me,too.」

 

メイ「……ったく、恥ずかしいから先輩達には言うなって話してたのに。」

 

零「あはは…バレちゃいましたね。」

 

賢汰「……冬毬、少しは、夏美の思いもわかって欲しい。

……頼む。」

 

冬毬「……私は、スクールアイドルがどんなものなのか、直接入部して学ぼうと判断し、行動しました。

……姉者が今言った夢は、可能か不可能か。答えるまでもないと思います。」

 

きな子「酷い……。」

 

メイ「あんまりじゃねぇか…!!」

 

冬毬「……いくら努力しても、その夢は叶わないでしょう。」

 

そう言って、冬毬は部屋に戻ろうとする。

 

メイ「この野郎……!!」

 

かのん「待って!!

……冬毬ちゃん、言い過ぎだよ……!!」

 

冬毬「……すみません。」

 

奏「決めつけたら終わりだよ。

……未来なんて、誰にも分からないんだから。」

 

冬毬「だから……続けても構わないと言うのですか。

……ダメだったら?」

 

かのん「それはっ……。」

 

冬毬「あなた達と姉者との関係は、スクールアイドル活動をしてる間だけになるかもしれない。

……けれど私はっ……これまでもこれからも、ずっと見ていくのです…!!姉者のことを!!

 

……もう、傷ついて欲しくないのです……!!」

 

夏美「冬毬……。」

 

そう叫ぶ冬毬の目には、涙が浮かんでいた。

……ずっと、夏美さんを見てきた冬毬。俺や兄貴よりも、ずっと長い時間を過ごしてきた。

 

……だからこそ冬毬は、夏美さんのためを思って言ってたんだ。

 

賢汰「冬毬……夏美……航海…。

……皆、ごめん。」

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

奏視点──

 

夏美ちゃんの家で、話を聞いてから少し経って。

俺とかのんは、スクールアイドル部の部室で話していた。

 

可可「ナッツ、話かけてもぼーっとしてるデス…。」

 

かのん「冬毬ちゃん、何もかもダメって訳じゃなくて、夏美ちゃんをすごく応援しているし、夏美ちゃんのこと大好きだよね。」

 

可可「可可もそう思いマス!」

 

千砂都「傷ついて欲しくない…か。」

 

「……昔、歌を辞めるって姉さんに言った時さ。

……姉さんに言われたよ。『今の奏が歌を続けて、傷ついて欲しくない。だから、私は奏のことを止めたりはしないよ』って。」

 

そんな話をしていた時、部室の扉が開く。

そこには、怒り心頭のマルガレーテちゃんと冬弥くんがいた。

 

マルガレーテ「いた!!やっぱりここだったのね!!!

な・ん・で!!あんた達がここにいるのよ!!!敵の本部みたいな所でしょここは!!」

 

かのん「敵とかいうの辞めようよ、同じスクールアイドルなんだよ?」

 

「そ、そうだよ、敵じゃなくて、ライバルでしょ……!!」

 

かのんはマルガレーテちゃんに、俺は冬弥くんに掴まれながら話す。

 

冬弥「だからお前達と組むのは嫌だっって言ってんだよ!!そんな甘い考え!!」

 

千砂都「マルガレーテちゃんと冬弥くんは?」

 

マルガレーテ「あ!?」

 

冬弥「なんだよ。」

 

千砂都「あの2人のこと、どう思う?

……夏美ちゃんのこと。夢を追いかけるって、意味の無いことだと思う?」

 

マルガレーテ「……私だったら、誰がなんと言おうと諦めないわ。」

 

冬弥「……俺は……夢を諦めるくらいだったら、このまま死んだ方がマシだ。」

 

千砂都「あはは、やっぱりそうだよね…。」

 

マルガレーテ「そういやさっき、2年生が話していたわよ。そのことについて。」

 

千砂都,かのん,可可,奏「「「「え???2年生が??」」」」

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

賢汰視点──

 

メイ「悪いが、少し見させて貰った。」

 

教室で、俺達はぐしゃぐしゃになった夏美の『夢ノート』を夏海の机に置く。

 

夏美「これは……。」

 

「冬毬が大事に持っていたらしい。」

 

きな子「冬毬ちゃんに渡されたっす。夏美ちゃんが、どれだけ夢を追いかけてきたか。

……そして、どれだけ諦めて来たか…。」

 

夏美「……皆さんも、冬毬と同じ考えですよね。

……こんな私が、夢を追いかけても無駄だって…。」

 

零「実際、自分達が先輩達より上だなんて思えないし、俺達の力で優勝なんて、夢のまた夢かもしれない。」

 

夏美「……昨日、賢汰と私で、冬毬と話しましたの。」

 

冬毬『このままスクールアイドルを続けても、また、きっと傷つく日が来ます。』

 

夏美『わかってる……。』

 

『けどさ、応援してやることだって、出来るだろ?

……スクールアイドルをやり始めた、冬毬ならわかってくれるだろ…?』

 

冬毬『叶わなかったら、高校でロストした時間の分だけ後悔する。』

 

夏美『わかってる……。』

 

冬毬『マニーを稼げるようになって、姉者は落ち込まなくなった。いつも笑顔になったし、自信に満ち溢れていました。

……私は、姉者の笑顔が好きなのです。姉者には、ずっと笑顔でいて欲しい。』

 

昨日の夜に話したこと。それをメイさん達に伝えた俺と夏美。

 

メイ「笑顔か……。」

 

夏美「……実際、冬毬の言う通りですの。ここにいるメンバーで頑張っても、届かなかった時は、きっと……。」

 

四季「傷ついて落ち込む…。」

 

きな子「でもきな子、このノート見た時感動したっす!」

 

夏美「感動……?」

 

きな子「そうっす!

夏美ちゃん、こんなに沢山挑戦してきたんだって!」

 

夏美「……!!

……全部失敗してきたんですのよ?」

 

メイ「私は対して失敗もしてないのにクヨクヨしたこともあって……かっこ悪いな、自分って思った。

夏美はすげぇよ!」

 

夏美「メイ……。」

 

きな子「夢を叶えようと思ったら、傷ついたり、落ち込んだりするから、笑顔になれる日が来るんすよね!」

 

夏美「きな子…。」

 

四季「No Rain,No Rainbow.」

 

零「なんすか?それ。」

 

四季「外国のことわざ。

……『雨が降らなければ、虹は出ない』。」

 

きな子「素敵な言葉っすね!」

 

零「みんなで虹、見ようぜ!!」

 

メイ「おう!いいじゃんいいじゃん!どうせなら、でっかい虹がいいよな!」

 

「だな。

……夏美は1人じゃない。俺や、零……きな子さんやメイさん、四季さん。先輩達だっている。

……だから、一緒に掴もう。」

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

航海視点──

 

学校終わりに、俺と冬毬は呼び出されて牛久シャトーに来ていた。

 

冬毬「なんですか、これは。」

 

牛久シャトーに着くと、衣装を着た2年生の先輩方が並んでいた。

……兄貴と、零先輩も例外じゃなく。

 

夏美「冬毬、ありがとう。

私の笑顔を、好きと言ってくれて。」

 

冬毬「それは事実ですから。」

 

夏美「落ち込む時や、傷つく時があったとしても、スクールアイドルに出会えて……初めてわかったの。」

 

夏美さんがそう告げると、気持ちに反応するかのように、雨が上がった……。

 

夏美「本当に楽しいって思える笑顔!マニーよりももっともっと素敵な、最高の笑顔になれる日が来ると信じているの!」

 

そう言って、夏美さん達は手を繋ぐ。

 

夏美「だからこれからも私を見ていて欲しい!涙を流したここからもう一度!!最高の笑顔を目指しますの!!

……雨の後の、あの虹のように!オニナッツー!」

 

遠くで、彰人先輩が機材を操作する。

 

4人「「「「Song for All!!」」」」

 

夏美さん達のコールに合わせて、曲が始まる。

 

夏美「何度 そう何度 挫けても また」

 

きな子「乗り越えていくんだ いつだって」

 

メイ,四季「「手と手 重ねあって」」

 

全員「「「「叫べ ファイト!!響け ファイティングコール」」」」

 

メイ「追いかけても遠くて 時間は止まらなくて」

 

夏美「葛藤と反省で夢がくすんでいく」

 

四季「僕らはここにいるよ 見つけて ほら ここだよ」

 

きな子「もう一歩 それだけで 変わる 信じたんだ」

 

夏美「ヒカリ射した雨上がり 目に焼き付いてる あの日」

 

全員「「「「見たパノラマ

何度 もう何度 立ち上がっただろう」」」」

 

夏美「泣きじゃくって強くなったんだ」

 

四季「そんな日々も宝物」

 

全員「「「「何度 そう何度 挫けても また」」」」

 

メイ「乗り越えていくんだ いつだって」

 

全員「「「「手を手を重ねて 僕ら」」」」

 

メイ,四季「「もうちょっと」」

 

きな子「色んな 表情(かお) する君を見てたいな」

 

メイ,四季「「もうちょっと」」

 

夏美「夢を見たいんだ」

 

全員「「「「叫べ ファイト!!響け ファイティングコール」」」」

 

四季「やり直しはきかない 今日はね、今日だけだよ」

 

夏美「何十回巡らせて 何百回悔やんだの?」

 

きな子「一段昇れた日は翼が生えたようだね」

 

メイ「純粋なうれしさが不安打ち消すんだ」

 

四季「同じとこに傷がある」

 

メイ「笑いあうだけよりも深い絆」

 

全員「「「「Let's go far away そう Over the rain ああ」」」」

 

きな子「自信ないままでいいよ」

 

四季,夏美「「いいんだよ」」

 

メイ「勇気は与えあうものさ」

 

四季「それでいいよ」

 

きな子「ファイト!ファイト!って言いあえたら」

 

メイ,四季「「もっと」」

 

きな子「楽しくなるはず」

 

メイ,四季「もっと」

 

夏美「欲張りに未来」

 

全員「「「「掴みとりたい君と一緒に

一歩 もう一歩 確かめながら

 

何度 もう何度 立ち上がっただろう 泣きじゃくって強くなったんだ そんな日々も宝物 何度 そう何度 挫けても また

乗り越えていくんだ いつだって 心を重ねて僕ら」」」」

 

きな子,メイ「「もうちょっと」」

 

四季「色んな 表情(かお) する僕を見ててよ」

 

きな子,メイ「「もうちょっと」」

 

メイ「涙で咲いた奇跡を」

 

全員「「「「綺麗な虹を見上げて」」」」

 

夏美「夢を見たいんだ」

 

全員「「「「叫べ ファイト!!響け ファイティングコール」」」」

 

夏美さん達のライブが終わって………次に出てきたのは、兄貴と零先輩だった。

 

賢汰「……航海、今までごめん。

お前を1人にして、ずっと、連絡すらしないまま……今まで過ごしてきて。

寂しい思いさせて、辛い思いさせて、本当にごめん。」

 

……兄貴……。

 

賢汰「……一緒に住んでた頃に作った曲。今でもずっと覚えてる。

……2人で作ったあの曲も、自分で作った曲も。全部、大切な思い出で、大切な曲だ。

……お前を1人させたこと、許して欲しいだなんて、思ってない。だけど!!!今の俺の歌を……聴いてくれ!!!!」

 

そう言うと、また遠くで、彰人先輩が機材を操作していた。

 

賢汰「素直になれない迷い星が こっそりと頬を濡らしている

泣いてたのは僕だけじゃない」

 

零「丘の上で星空を見上げていた 遠い記憶よみがえる

あなたの影追いかけた無邪気なあの日」

 

賢汰「地平線から消える太陽に また会おうねと約束したのは

強がりじゃない旅のはじまりの合図」

 

2人「「迷い星たちは離れていく 憧れのままで 悔しいまま 忘れようとしたり 追いかけたり 本当に言いたいことは

言えずに―――」」

 

零「真実はいつも美しくて 掴もうとすると儚く逃げる」

 

賢汰「漂い着いた はぐれた星に寄せては返す 波が手を伸ばし 再び攫っていく」

 

2人「「迷い星たちは 遠ざかっていく 宙の迷宮へと その果てへと 弱さと強さを融かしながら朝が来るのを待っている

一人で──」」

 

賢汰「la la la la 忘れないで」

 

零「 la la la la 迷い星たちよ」

 

2人「「la la la la 覚えていて いつの日も 求める光はここにある」」

 

賢汰「迷い星たちは離れていく 憧れのままで悔しいまま」

 

零「諦めてみたり嫌ってみたり本当に欲しかったものは──」

 

2人「「迷い星たちは遠ざかっていく

宙の迷宮へとその果てへと 忘れようとしたり 追いかけたり」」

 

賢汰「本当に言いたいことを言わなきゃな……」

 

歌が終わって、兄貴が喋る。

 

賢汰「……ありがとう。」

 

冬毬「……っ。」

 

「……兄貴…。」

 

……ステージで歌う姿を見て。

……2人で作ったあの曲を聴いて……。

 

……兄貴の思い、わかった気がするよ。

 

……To be continued




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使用楽曲:Liella!『ファイティングコール』、Argonavis『迷い星』
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