Jump to the Super star!! 作:黒破リンク
話を聞いた翌日。ぐしゃぐしゃになった夏美の夢ノートを見た夏美以外の2期生5人は、あることを決意する。
きな子達Liella!2期生は冬毬へ。賢汰と零、BAD SOUL2期生の2人は航海へ。
メッセージを込めた歌を歌い、歌を聴いた2人の心は、少しづつ揺れ動いていく。
零視点──
きな子「よし!強敵、期末試験を倒したっすー!!」
教室で、期末試験の事を話していた俺達。
……メイちゃんと夏美ちゃんは、なんかダメそうなんだけど。
メイ「ダメだ……このままじゃ補習だ……。」
夏美「私もですの……。」
「ありゃ……。」
賢汰「2人とも、後でみっちり勉強会でもやろうか。
……あ、零、お前も逃げれると思うなよ?」
「なんでだよ!?俺赤点も何もねぇぞ!?」
賢汰「ギリギリ、だろ?
……家やBAD SOULの事……曲作りだってあるのはわかる。でも、いくらなんでもこれは、勉強を蔑ろにしすぎたんじゃないか?」
「うっ……返す言葉もねぇ……。」
賢汰「皆で俺の家で勉強会な。
……幸い、夏休みである程度時間は取れるからな。」
夏美「先輩方は大丈夫なんですの?」
四季「と、言うと?」
夏美「夏休みが終わると、いよいよ受験……忙しいはずですの。」
賢汰「確かにな……。」
……奏先輩は、かのん先輩と一緒に、ウィーンに留学するだろうけど、彰人先輩は……どうするんだろう。
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彰人視点──
千砂都「これ、週明けに提出してって。」
俺は、『進路希望調査票』を渡され、いよいよ進路を決めなければいけないことを自覚した。
かのん「そうだよなぁ…。」
千砂都「いよいよ、迫ってきたって感じだね。」
かのん「うん……。」
千砂都とかのんが話しているのを横目に、俺は奏と話していた。
奏「彰人は、進路どうするつもりなんだ?」
「決まってねぇなぁ…。
……大学行って、歌とか学びながら…今までみたいに音楽やるかなぁ…。」
奏「……そっか。
……お互い、頑張らないとね。」
「あぁ。
……なぁ、奏。」
奏「……?何?」
「……ウィーンから戻ってきて、ある程度落ち着いたらさ。また一緒に音楽やろうぜ。」
奏「うん。いいよ。
……俺は、最初からそのつもりだよ。」
「ハハッ、そうかよっ。
……お前はもう、ウィーンに留学するのは決まってるもんな。」
奏「うん。
……まぁ、今のうちに向こうの言葉勉強しとくべきかな……困らないように。」
「別に、向こうも配慮はしてくれるだろ。留学生として行ってるわけだし。」
奏「それは分かってるよ。でもさ、それにずっと甘える訳にもいかないから。」
「……ま、そういう所もお前らしくていいよ。」
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航海視点──
期末試験のテスト返却が行われ、俺は点数を見た。
……95点…。まぁまぁ…かな。
マルガレーテ「ふふっ、全く、簡単すぎない?日本のテスト。」
ふと見ると、マルガレーテさんは『90点』らしい。
……まぁ、今回はたしかに簡単だったなぁ…。
冬毬「全くです。」
一方の冬毬はと言うと、『100点』だった。
……まぁ、いつも通りだね。
マルガレーテ「ぐはっ…。」
冬毬「マルガレーテは何点でした?」
マルガレーテ「今回は本気出してないからっ!左手でやったのよ!ひ・だ・り・て・で!!」
冬毬「……そういうことにしておきましょう。」
冬弥「別に、手のあれは関係ねぇと思うけどな。」
俺の隣にいた冬弥は、マルガレーテさんに見せつけんとばかりに『100点』の答案をヒラヒラと動かす。
マルガレーテ「なっ……あんたねぇ!!」
冬弥「今回は俺の勝ちみてぇだな?」
マルガレーテ「だ、だから、今回は本気出してないだけって言ったでしょ!?」
冬弥「出たよ、いつもの負け惜しみ。」
マルガレーテ「負け惜しみとは言い方が悪いわね!!!事実よ!!」
冬弥「負け惜しみだろうがっ。」
マルガレーテ「違うって言ってるでしょ!?」
2人が痴話喧嘩をしてる横で、冬毬が俺に話しかける。
冬毬「航海くんは、今回何点でした?」
「95。
……ちょっと選択問題ミスっちゃったかな。」
冬毬「今回、そこそこひっかけも多かったですからね。
……もう少し、問題文読んだりしないとですね。」
「うっ……。精進します…。」
マルガレーテ「……ん?かのん?」
痴話喧嘩しながら窓を見ていたマルガレーテさんが、ふとかのん先輩の名前を呟いた。
俺達は、その足で広場に向かった。
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奏視点──
かのん「卒業かぁ……。」
俺とかのんは広場で進路希望調査票を見ながら話していた。
「……もう、卒業の事を考えないといけない時期か…。」
マルガレーテ「ウィーン国立音楽学校への留学。
……決まってることでしょ。」
冬弥「何に悩んでんだ。」
かのん「なんだか頭が全然追いつかなくって…。気持ち切り替えていかなきゃ……なんだけどぉ〜〜!!!」
かのんはマルガレーテちゃんに泣きついていった。
マルガレーテ「もう、頼りない先輩ね…。」
かのん「私なんてそんなもんだよ…!うぅ…。」
「あはは……。」
ふと通路の向こうを見ると、なんだか暗い顔をした可可さんがいた。
「あれ、可可さん?」
マルガレーテ「怪しいわね、私達を偵察しに来たの??」
航海「別に、そうは見えないけど。」
冬毬「落ち込んでるように見受けられます。」
かのん「すぐ戻るから、先練習の準備しといて!」
「ごめん、皆よろしく!!」
俺とかのんは、すぐさま可可さんの元へ急いで向かった。
マルガレーテ「もう……。」
通路の向こうに着いた俺とかのんは、可可さんに話しかけた。
かのん「可可ちゃん!」
可可「あ、かのんに奏デスか…。」
「書いた?進路調査。」
可可「……実は……。」
かのん「…?」
可可「可可の夢は、3年間スクールアイドルとしてやりきることデス。」
かのん「うん、それは私も同じっ。」
可可「…だから…。」
「その先は、見つけられない?」
可可「……可可は、とにかく今を1番大事にしたい。今のために生きてるんデス。
……将来が当然大事なのはわかっているデスし、勉強も怠っていまセン。でも……。」
かのん「聞いてるよ。言える範囲で構わないから。」
可可「親に将来のこと考えてないなんて絶対言えないんデス…。きっとすごくガッカリする…。」
「家族と話はしたの?可可さんにどうして欲しいのかとか…さ。」
可可「……家に戻って、お父さんの母校である北京の大学に進んだらどうか、と。」
かのん「すごいじゃない!
……嫌?」
可可「嫌、というカ…。」
かのん「ん??」
可可「可可には、お姉ちゃんがいマス。お姉ちゃんは可可のスクールアイドル活動を誰よりも応援してくれていマス。
……そんなお姉ちゃんは…『可可の好きな歌を続けるべきだ、やりたいことをやり続けるべきだ』とアドバイスをくれまシタ。
……ただ…。」
「それも嫌?」
可可「……正直分かりまセン。本当に今はスクールアイドル活動以外考えられない。……考えたくないって、思ってしまうんデス。
……でも、いよいよ何も決めずにいる訳には行きまセン!可可達はもう3年生デス。」
「……そうだね。」
夜……
俺はかのんの家にお邪魔しながら、かのんと一緒に千砂都に連絡していた。
かのん「可可ちゃん、上海に帰るんだって?」
千砂都『夏休みだし、家族と話して来るみたい。』
マルガレーテ「まーたLiella!の誰かさんと長電話?」
「千砂都だよ。
……話す?」
マルガレーテ「本気で言ってるの?相手は敵よ!?」
「敵って言わないの…。」
千砂都『ごめんごめん、じゃあ切るね?』
千砂都はそう言って通話を切った。
マルガレーテ「本気でLiella!に…スクールアイドル部に勝つ気あるの?冬毬も航海も言ってたわよ。『とても敵対している様には見えない』って。」
かのん「だから敵じゃないもん!」
マルガレーテ「もう…。」
かのん「お互いを高めあえるライバル、でしょ?」
マルガレーテ「……!!
……知らないっ!」
そんな話をして、俺は家に帰る。
そしたら、冬弥くんが出迎えてくれた。
冬弥「よう。
……今日もかのん先輩とイチャコラしてたのか?」
「してないよ…2人で千砂都と電話してただけだよ。」
冬弥「十分イチャコラしてんじゃねぇか。
……本当に敵対してんのかよ。」
「……だから、敵じゃなくてライバル、でしょ。」
冬弥「……。
……飯、置いてあっから勝手に食え。」
「うん、ありがとう。
……ところで、姉さんは?」
冬弥「まだ帰ってきてねぇよ。
……なんかあんのか?」
「いや、別に…。姉さんの夏休みもそろそろだよなって思って。」
俺はカレンダーを見ながらそう呟く。
そしたら、冬弥くんもカレンダー見ながら呟いた。
冬弥「明日からって書いてあったし、今日は遅くまで仕事してるんじゃねえのか?」
「ま、この時間まで帰ってきてないなら多分そういうことだろうね。」
冬弥「……じゃ、俺は部屋戻ってるから。」
「うん。おやすみ、冬弥くん。」
冬弥「ん、おやすみ。」
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冬弥視点──
かのん「飛んでくね〜!
可可ちゃんも、あれに乗って上海に帰ったんだろうな〜!」
マルガレーテ「今週からだっけ?」
冬毬「その件は、姉者から聞きました。」
奏「お、夏美ちゃんと話したの?」
冬毬「……騒いでいたのを、聞いていただけですが。」
マルガレーテ「あんたまでLiella!と仲良くなったの?」
「いや、冬毬に関しては姉妹だし仕方ねぇだろ。」
冬毬「以前も言いましたが、ラブライブ出場という目的にコミットする理由は、私にはありません。」
航海「でも冬毬、そう言いつつも夏休みに練習来てるじゃん。」
冬毬「それは…休む理由もありませんし…何より、航海くんが誘ってくるので…。
……ただ…姉者の気持ちを確かめるには、私も本気で挑むしかないと言うだけです。
……失礼します!」
そう言って先に駆け出して行っちまった。
かのん「あははっ。いいな〜いいないいな〜!」
マルガレーテ「何笑ってんのよ。」
かのん「冬毬ちゃんも少しづつ、熱心に取り組んでくれてる。スクールアイドルの輪が、広がってく感じがするな〜!」
マルガレーテ「気持ち悪ーい。」
かのん「気持ち悪いは言い過ぎじゃない!?」
マルガレーテ「わかったわかった!さっさと行くわよ。」
かのん「はいはい。」
「……んじゃ、俺達も行くか。」
ランニングの途中、少し立ち止まる。
……暑さがとんでもねぇ…!!滝みてぇに汗が出てきやがる……。
奏「流石に暑いね…。」
航海「まだ朝なのに……こんなに暑いなんて…!!」
冬毬「このまま学校に向かいますか?」
かのん「ううん。私の家で少し涼んでからにしない?」
冬毬「アグリーです。」
俺達は、かのん先輩の家にお邪魔することになった。
……室内涼しいな、これ。
ありあ「おかえり〜。
お姉ちゃんに手紙だよ?」
ふと見ると、かのん先輩宛に手紙が届いていた。
かのん「ん?エアメール…?」
マルガレーテ「ウィーンからじゃないのね。」
かのん先輩が中身を開けると、そこには飛行機のチケットが入っていた。
……そういや、奏にも届いてたな、これ。
かのん「飛行機の…チケット!?」
奏「羽田→上海…。
え、上海!?」
かのん「きっと可可ちゃんだ!」
かのん母「今上海に戻ってるみたいね?」
ありあ「毎日連絡しあってるんじゃないの?」
かのん「何を食べたかの報告だけ、してた。えへへ…。
……家族のことには、あんまり踏み込みたくなくて。」
「ま、そうだよな。」
冬毬「他に、なにか入ってないのですか?」
かのん「んー、チケットだけっぽい。」
航海「チケットが2枚……かのん先輩と誰宛?」
ありあ「上海……いいな〜!!私も行けるの!?」
すると、扉が開く音が聞こえる。
かのん母「いらっしゃいま──ん?」
見ると、千砂都先輩、すみれ先輩、恋先輩、彰人先輩の4人が来ていた。
千砂都「かのんちゃん!」
かのん「いらっしゃい!」
千砂都「……!!やっぱり、かのんちゃんのところにも……!!」
かのん「え?」
千砂都先輩達が、テーブルにそれぞれ宛のチケットを並べる。
恋「きな子さん、四季さん、メイさん、零さん。
夏美さんの所には冬毬さんの分、賢汰さんの所には、航海さんの分と合わせて2枚届いているそうです。」
冬毬「私の分まで?」
航海「俺にも……ですか。」
「そういや昨日、奏宛にも届いてたな、これ。」
そう言って、俺は奏宛に届いた飛行機のチケットを置く。
奏「俺のところにも2枚……ってことは、冬弥くんの分もあるのか…。」
マルガレーテ「ということは、かのんと残りのもう1枚は…もしかして……」
「まぁ、お前の分だろうな。」
彰人「チケットは全部、上海行。出発は5日後……」
かのん「つまり、来てってことだよね?」
マルガレーテ「それ以外、考えにくいんじゃない?」
恋「可可さんに連絡してみたのですが、今日は返事がありません……。
……らしくないですよね。いつもなら直接私達に伝えてくれると思うのですが…。」
すると、ずっと黙ってたすみれ先輩が口を開く。
すみれ「……進路のことかも。」
かのん「あっ…。」
奏「……。」
すみれ先輩の言葉に、奏とかのん先輩が反応した。
千砂都「心当たりあるの?」
かのん「実は、可可ちゃんと、夏休み入る前に少し話したんだ。進路について。
……上海か…。」
恋「私達が海外に行ったところで、なにかお役に立てるのでしょうか……。」
彰人「さぁな。けど、行く価値はありそうだな。」
かのんと奏が、チケットを見て考えてる。
「お前ら、行くつもりじゃねぇだろうな?」
かのん,奏「「っ!!!」」
マルガレーテ「いい?これだけは言っておくけど、あなたは今Liella!のメンバーじゃないんだからね!?」
かのん「わかってる、わかってるよ!」
マルガレーテ「ラブライブに本気で出場目指すんだったら、この件はLiella!に任せて、私達はむしろその間に練習して、レベルアップするべきなのでは!?」
航海「いや、練習は別に向こうでも出来るんじゃ……。」
奏「いや、それはそうなんだけどさ……。」
千砂都「……ごめん!今日は帰るよ!
1日考えて、明日また相談しよ?」
かのん「ちぃちゃん、私行く!皆で行かなきゃ!」
マルガレーテ「えっ。」
かのん「可可ちゃんが困ってるかもしれない。放っておくなんてできないよ!」
すみれ「そうよ、可可を救うわよ!どこにだって行ってやるわ!」
彰人「仲間が困ってんのに放っておくなんて出来ねぇし、俺も行くぜ?」
奏「……俺も行くよ。可可さんにも恩がある。」
千砂都「そういうことなら、私も行く!」
恋「私も異論はありません!」
かのん「確かに私達は、今別のグループ。でも、結ヶ丘のスクールアイドルであることは同じ。」
彰人「だな。」
かのん「お互い最高のライブができる状況で競い合いたい。
……相手が困ってる時に差を広げて、それで勝っても全然嬉しくないよ。」
マルガレーテ「ふんっ、あんたはお人好しがすぎるのよ。」
かのん「マルガレーテちゃん。荷物の準備、よろしくね?」
そう言って、かのん先輩はマルガレーテの肩を掴む。
マルガレーテ「強引なんだからっ!」
奏「冬弥くん、俺達も帰って荷造りするよ!」
「はぁ!?俺行くって言ってねぇけど!?」
奏「いいから!チケットもったいないでしょ?」
「ったく、お前もかのん先輩に負けず劣らず強引だな!?」
冬毬「……私も戻って、荷造りする必要がありそうですね。」
航海「兄貴んとこ行って、チケットだけでも受け取りに行くか…。」
千砂都「どうやら話は、まん丸く収まったようだね!」
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賢汰視点──
俺達はきな子さん達とお茶をしていた時に、ふと航海から連絡が来た。
航海【兄貴、俺宛のチケット持ってんだろ?後で引取りに行くから兄貴の家教えて。】
【ん、わかった。】
きな子「上海行き、決定ー!!」
メイ「やったー!旅行だ〜!!」
夏美「バカンス!ですの!」
四季「ふっ、ふーっ。」
零「よっしゃー!!初海外楽しみだぜっ!」
俺達はその話をして各自解散し、荷造りをすることにして。
俺は家に帰って荷造りをしていた。
「……母さんの家から出ていった時のスーツケース、残しておいたのが役に立つなんてな…。」
そんな感傷に浸りながら、荷物をスーツケースに詰めていると、チャイムが鳴る。
航海「兄貴の家ここか…。お邪魔します。」
「あぁ、待ってたぞ。」
航海「……兄貴、チケットくれ。」
「まぁ待てって。」
俺は荷造りの手を止めて航海宛のチケットを渡す。
「ほら、これがお前宛てのチケットだ。」
航海「ん、ありがと。」
航海が、そのまま家から出ようとするのを見て、俺は咄嗟に引き止めた。
「航海、泊まってけ。」
航海「は、いきなりなんだよ……。」
「時間的に今から帰るのはしんどいだろ。」
航海「いや、確かにそうだけど…なんで兄貴の家で…。」
「……久しぶりに、ちゃんと話したくてな。」
航海「……父さんにだけ連絡していいか?」
「あぁ、いいよ。」
航海「ん。」
そう言って、航海は父さんに連絡をかける。
航海「あ、父さん。
……今用があって兄貴の家にいるんだけどさ、兄貴がそのまま泊まれって言うから、今日兄貴の家に泊まってく。
……ん、わかった。ありがと。……んじゃ。」
航海が連絡を済ませて、俺の方を見た。
航海「連絡はした。
……いいってさ。」
「……そうか。」
俺は荷造りをしながら、航海と話していた。
「どうだ、結ヶ丘での生活は。」
航海「……別に、何も変わんないよ。
……マルガレーテさんや冬弥、奏先輩とかのん先輩に出会って、音楽をやることになるなんて思ってなかったけど。」
「……奏先輩とかのん先輩、いい人だろ?」
航海「うん。お二方とも、俺達1年生のこと気にかけてくれてる。
……まぁ、かのん先輩と奏先輩が付き合ってること知ったの、ついこの間なんだけどね。」
「聞いてなかったのか…。」
航海「いや、そういう話するような人に見えないし、そんな雰囲気出してる様には見えなかったんだけど。」
「まぁ、奏先輩もかのん先輩も、しっかりしてる人だし、中々そういう話しないよな。」
航海「……まぁ、冬弥もマルガレーテさんと付き合ってるみたいなんだけど。」
「……そうなのか?」
航海「……らしい。
……2人とも俺になんも言ってこなかったんだが。俺、信頼されてねぇのかな。」
「そんなことないと思うぞ。
……まぁ、向こうが隠そうとしてるんなら、下手に詮索しないって姿勢は大事だと思うぞ。」
航海「ま、夏美さんと付き合ってる兄貴がそう言うんじゃ、そうだよな。」
航海……!?
お前いつそれを知って……
航海「いつそれ知ったんだよ、って顔してんな?
……この間冬毬から聞いた。『姉者は、昨年の夏に賢汰さんとお付き合いすることにしたようです』って。」
犯人は冬毬か……。
まぁ、そりゃそうだよな。去年のあいつの誕生日に家にお邪魔したんだし。
航海「別に、いいけど。
夏美さんになら兄貴は任せられるな。」
「航海……。」
数年会ってなくても、俺の事思ってくれてた…のか?
と、少し感傷に浸っていたら、航海が口を開く。
航海「……なぁ、兄貴。腹減ったんだけど。」
「ん、あ、悪い。今から作る。
……何が食いたい?」
航海「別に、決めてない。兄貴が好きな風に作ってくれて構わないよ。」
「ん、わかった。」
俺は料理を作り、航海と食卓を囲んだ。
……やっぱり、1人より2人の方が、寂しくないな。
航海「どうしたんだよ兄貴。泣きそうな顔して。」
「いや、別に…。ただ、久しぶりに家族で食う飯は美味いなって思っただけだよ。」
航海「……そうかよ。」
そんな話をしながら食べ終えた俺達は、片付けて風呂に入って、寝ることにした。
「布団、好きに使ってくれて構わないから。」
航海「……なんで布団2枚あんだよ。」
「ん?時折夏美が泊まりに来るからだが。」
航海「はいはい、ラブラブアピール美味しゅうございましたっ。」
なんて言ってすぐさま寝てしまった。
「……おやすみ、航海。」
……To be continued
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