Jump to the Super star!!   作:黒破リンク

57 / 59
牛久に着き、夏美の家で夏美と冬毬の話を聞いたスクールアイドル部のメンバー達。

話を聞いた翌日。ぐしゃぐしゃになった夏美の夢ノートを見た夏美以外の2期生5人は、あることを決意する。

きな子達Liella!2期生は冬毬へ。賢汰と零、BAD SOUL2期生の2人は航海へ。
メッセージを込めた歌を歌い、歌を聴いた2人の心は、少しづつ揺れ動いていく。


第5話#1

零視点──

 

きな子「よし!強敵、期末試験を倒したっすー!!」

 

教室で、期末試験の事を話していた俺達。

……メイちゃんと夏美ちゃんは、なんかダメそうなんだけど。

 

メイ「ダメだ……このままじゃ補習だ……。」

 

夏美「私もですの……。」

 

「ありゃ……。」

 

賢汰「2人とも、後でみっちり勉強会でもやろうか。

……あ、零、お前も逃げれると思うなよ?」

 

「なんでだよ!?俺赤点も何もねぇぞ!?」

 

賢汰「ギリギリ、だろ?

……家やBAD SOULの事……曲作りだってあるのはわかる。でも、いくらなんでもこれは、勉強を蔑ろにしすぎたんじゃないか?」

 

「うっ……返す言葉もねぇ……。」

 

賢汰「皆で俺の家で勉強会な。

……幸い、夏休みである程度時間は取れるからな。」

 

夏美「先輩方は大丈夫なんですの?」

 

四季「と、言うと?」

 

夏美「夏休みが終わると、いよいよ受験……忙しいはずですの。」

 

賢汰「確かにな……。」

 

……奏先輩は、かのん先輩と一緒に、ウィーンに留学するだろうけど、彰人先輩は……どうするんだろう。

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

彰人視点──

 

千砂都「これ、週明けに提出してって。」

 

俺は、『進路希望調査票』を渡され、いよいよ進路を決めなければいけないことを自覚した。

 

かのん「そうだよなぁ…。」

 

千砂都「いよいよ、迫ってきたって感じだね。」

 

かのん「うん……。」

 

千砂都とかのんが話しているのを横目に、俺は奏と話していた。

 

奏「彰人は、進路どうするつもりなんだ?」

 

「決まってねぇなぁ…。

……大学行って、歌とか学びながら…今までみたいに音楽やるかなぁ…。」

 

奏「……そっか。

……お互い、頑張らないとね。」

 

「あぁ。

……なぁ、奏。」

 

奏「……?何?」

 

「……ウィーンから戻ってきて、ある程度落ち着いたらさ。また一緒に音楽やろうぜ。」

 

奏「うん。いいよ。

……俺は、最初からそのつもりだよ。」

 

「ハハッ、そうかよっ。

……お前はもう、ウィーンに留学するのは決まってるもんな。」

 

奏「うん。

……まぁ、今のうちに向こうの言葉勉強しとくべきかな……困らないように。」

 

「別に、向こうも配慮はしてくれるだろ。留学生として行ってるわけだし。」

 

奏「それは分かってるよ。でもさ、それにずっと甘える訳にもいかないから。」

 

「……ま、そういう所もお前らしくていいよ。」

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

航海視点──

 

期末試験のテスト返却が行われ、俺は点数を見た。

……95点…。まぁまぁ…かな。

 

マルガレーテ「ふふっ、全く、簡単すぎない?日本のテスト。」

 

ふと見ると、マルガレーテさんは『90点』らしい。

……まぁ、今回はたしかに簡単だったなぁ…。

 

冬毬「全くです。」

 

一方の冬毬はと言うと、『100点』だった。

……まぁ、いつも通りだね。

 

マルガレーテ「ぐはっ…。」

 

冬毬「マルガレーテは何点でした?」

 

マルガレーテ「今回は本気出してないからっ!左手でやったのよ!ひ・だ・り・て・で!!」

 

冬毬「……そういうことにしておきましょう。」

 

冬弥「別に、手のあれは関係ねぇと思うけどな。」

 

俺の隣にいた冬弥は、マルガレーテさんに見せつけんとばかりに『100点』の答案をヒラヒラと動かす。

 

マルガレーテ「なっ……あんたねぇ!!」

 

冬弥「今回は俺の勝ちみてぇだな?」

 

マルガレーテ「だ、だから、今回は本気出してないだけって言ったでしょ!?」

 

冬弥「出たよ、いつもの負け惜しみ。」

 

マルガレーテ「負け惜しみとは言い方が悪いわね!!!事実よ!!」

 

冬弥「負け惜しみだろうがっ。」

 

マルガレーテ「違うって言ってるでしょ!?」

 

2人が痴話喧嘩をしてる横で、冬毬が俺に話しかける。

 

冬毬「航海くんは、今回何点でした?」

 

「95。

……ちょっと選択問題ミスっちゃったかな。」

 

冬毬「今回、そこそこひっかけも多かったですからね。

……もう少し、問題文読んだりしないとですね。」

 

「うっ……。精進します…。」

 

マルガレーテ「……ん?かのん?」

 

痴話喧嘩しながら窓を見ていたマルガレーテさんが、ふとかのん先輩の名前を呟いた。

 

俺達は、その足で広場に向かった。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

奏視点──

 

かのん「卒業かぁ……。」

 

俺とかのんは広場で進路希望調査票を見ながら話していた。

 

「……もう、卒業の事を考えないといけない時期か…。」

 

マルガレーテ「ウィーン国立音楽学校への留学。

……決まってることでしょ。」

 

冬弥「何に悩んでんだ。」

 

かのん「なんだか頭が全然追いつかなくって…。気持ち切り替えていかなきゃ……なんだけどぉ〜〜!!!」

 

かのんはマルガレーテちゃんに泣きついていった。

 

マルガレーテ「もう、頼りない先輩ね…。」

 

かのん「私なんてそんなもんだよ…!うぅ…。」

 

「あはは……。」

 

ふと通路の向こうを見ると、なんだか暗い顔をした可可さんがいた。

 

「あれ、可可さん?」

 

マルガレーテ「怪しいわね、私達を偵察しに来たの??」

 

航海「別に、そうは見えないけど。」

 

冬毬「落ち込んでるように見受けられます。」

 

かのん「すぐ戻るから、先練習の準備しといて!」

 

「ごめん、皆よろしく!!」

 

俺とかのんは、すぐさま可可さんの元へ急いで向かった。

 

マルガレーテ「もう……。」

 

通路の向こうに着いた俺とかのんは、可可さんに話しかけた。

 

かのん「可可ちゃん!」

 

可可「あ、かのんに奏デスか…。」

 

「書いた?進路調査。」

 

可可「……実は……。」

 

かのん「…?」

 

可可「可可の夢は、3年間スクールアイドルとしてやりきることデス。」

 

かのん「うん、それは私も同じっ。」

 

可可「…だから…。」

 

「その先は、見つけられない?」

 

可可「……可可は、とにかく今を1番大事にしたい。今のために生きてるんデス。

……将来が当然大事なのはわかっているデスし、勉強も怠っていまセン。でも……。」

 

かのん「聞いてるよ。言える範囲で構わないから。」

 

可可「親に将来のこと考えてないなんて絶対言えないんデス…。きっとすごくガッカリする…。」

 

「家族と話はしたの?可可さんにどうして欲しいのかとか…さ。」

 

可可「……家に戻って、お父さんの母校である北京の大学に進んだらどうか、と。」

 

かのん「すごいじゃない!

……嫌?」

 

可可「嫌、というカ…。」

 

かのん「ん??」

 

可可「可可には、お姉ちゃんがいマス。お姉ちゃんは可可のスクールアイドル活動を誰よりも応援してくれていマス。

……そんなお姉ちゃんは…『可可の好きな歌を続けるべきだ、やりたいことをやり続けるべきだ』とアドバイスをくれまシタ。

……ただ…。」

 

「それも嫌?」

 

可可「……正直分かりまセン。本当に今はスクールアイドル活動以外考えられない。……考えたくないって、思ってしまうんデス。

……でも、いよいよ何も決めずにいる訳には行きまセン!可可達はもう3年生デス。」

 

「……そうだね。」

 

夜……

俺はかのんの家にお邪魔しながら、かのんと一緒に千砂都に連絡していた。

 

かのん「可可ちゃん、上海に帰るんだって?」

 

千砂都『夏休みだし、家族と話して来るみたい。』

 

マルガレーテ「まーたLiella!の誰かさんと長電話?」

 

「千砂都だよ。

……話す?」

 

マルガレーテ「本気で言ってるの?相手は敵よ!?」

 

「敵って言わないの…。」

 

千砂都『ごめんごめん、じゃあ切るね?』

 

千砂都はそう言って通話を切った。

 

マルガレーテ「本気でLiella!に…スクールアイドル部に勝つ気あるの?冬毬も航海も言ってたわよ。『とても敵対している様には見えない』って。」

 

かのん「だから敵じゃないもん!」

 

マルガレーテ「もう…。」

 

かのん「お互いを高めあえるライバル、でしょ?」

 

マルガレーテ「……!!

……知らないっ!」

 

そんな話をして、俺は家に帰る。

そしたら、冬弥くんが出迎えてくれた。

 

冬弥「よう。

……今日もかのん先輩とイチャコラしてたのか?」

 

「してないよ…2人で千砂都と電話してただけだよ。」

 

冬弥「十分イチャコラしてんじゃねぇか。

……本当に敵対してんのかよ。」

 

「……だから、敵じゃなくてライバル、でしょ。」

 

冬弥「……。

……飯、置いてあっから勝手に食え。」

 

「うん、ありがとう。

……ところで、姉さんは?」

 

冬弥「まだ帰ってきてねぇよ。

……なんかあんのか?」

 

「いや、別に…。姉さんの夏休みもそろそろだよなって思って。」

 

俺はカレンダーを見ながらそう呟く。

そしたら、冬弥くんもカレンダー見ながら呟いた。

 

冬弥「明日からって書いてあったし、今日は遅くまで仕事してるんじゃねえのか?」

 

「ま、この時間まで帰ってきてないなら多分そういうことだろうね。」

 

冬弥「……じゃ、俺は部屋戻ってるから。」

 

「うん。おやすみ、冬弥くん。」

 

冬弥「ん、おやすみ。」

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

冬弥視点──

 

かのん「飛んでくね〜!

可可ちゃんも、あれに乗って上海に帰ったんだろうな〜!」

 

マルガレーテ「今週からだっけ?」

 

冬毬「その件は、姉者から聞きました。」

 

奏「お、夏美ちゃんと話したの?」

 

冬毬「……騒いでいたのを、聞いていただけですが。」

 

マルガレーテ「あんたまでLiella!と仲良くなったの?」

 

「いや、冬毬に関しては姉妹だし仕方ねぇだろ。」

 

冬毬「以前も言いましたが、ラブライブ出場という目的にコミットする理由は、私にはありません。」

 

航海「でも冬毬、そう言いつつも夏休みに練習来てるじゃん。」

 

冬毬「それは…休む理由もありませんし…何より、航海くんが誘ってくるので…。

……ただ…姉者の気持ちを確かめるには、私も本気で挑むしかないと言うだけです。

……失礼します!」

 

そう言って先に駆け出して行っちまった。

 

かのん「あははっ。いいな〜いいないいな〜!」

 

マルガレーテ「何笑ってんのよ。」

 

かのん「冬毬ちゃんも少しづつ、熱心に取り組んでくれてる。スクールアイドルの輪が、広がってく感じがするな〜!」

 

マルガレーテ「気持ち悪ーい。」

 

かのん「気持ち悪いは言い過ぎじゃない!?」

 

マルガレーテ「わかったわかった!さっさと行くわよ。」

 

かのん「はいはい。」

 

「……んじゃ、俺達も行くか。」

 

ランニングの途中、少し立ち止まる。

……暑さがとんでもねぇ…!!滝みてぇに汗が出てきやがる……。

 

奏「流石に暑いね…。」

 

航海「まだ朝なのに……こんなに暑いなんて…!!」

 

冬毬「このまま学校に向かいますか?」

 

かのん「ううん。私の家で少し涼んでからにしない?」

 

冬毬「アグリーです。」

 

俺達は、かのん先輩の家にお邪魔することになった。

……室内涼しいな、これ。

 

ありあ「おかえり〜。

お姉ちゃんに手紙だよ?」

 

ふと見ると、かのん先輩宛に手紙が届いていた。

 

かのん「ん?エアメール…?」

 

マルガレーテ「ウィーンからじゃないのね。」

 

かのん先輩が中身を開けると、そこには飛行機のチケットが入っていた。

……そういや、奏にも届いてたな、これ。

 

かのん「飛行機の…チケット!?」

 

奏「羽田→上海…。

え、上海!?」

 

かのん「きっと可可ちゃんだ!」

 

かのん母「今上海に戻ってるみたいね?」

 

ありあ「毎日連絡しあってるんじゃないの?」

 

かのん「何を食べたかの報告だけ、してた。えへへ…。

……家族のことには、あんまり踏み込みたくなくて。」

 

「ま、そうだよな。」

 

冬毬「他に、なにか入ってないのですか?」

 

かのん「んー、チケットだけっぽい。」

 

航海「チケットが2枚……かのん先輩と誰宛?」

 

ありあ「上海……いいな〜!!私も行けるの!?」

 

すると、扉が開く音が聞こえる。

 

かのん母「いらっしゃいま──ん?」

 

見ると、千砂都先輩、すみれ先輩、恋先輩、彰人先輩の4人が来ていた。

 

千砂都「かのんちゃん!」

 

かのん「いらっしゃい!」

 

千砂都「……!!やっぱり、かのんちゃんのところにも……!!」

 

かのん「え?」

 

千砂都先輩達が、テーブルにそれぞれ宛のチケットを並べる。

 

恋「きな子さん、四季さん、メイさん、零さん。

夏美さんの所には冬毬さんの分、賢汰さんの所には、航海さんの分と合わせて2枚届いているそうです。」

 

冬毬「私の分まで?」

 

航海「俺にも……ですか。」

 

「そういや昨日、奏宛にも届いてたな、これ。」

 

そう言って、俺は奏宛に届いた飛行機のチケットを置く。

 

奏「俺のところにも2枚……ってことは、冬弥くんの分もあるのか…。」

 

マルガレーテ「ということは、かのんと残りのもう1枚は…もしかして……」

 

「まぁ、お前の分だろうな。」

 

彰人「チケットは全部、上海行。出発は5日後……」

 

かのん「つまり、来てってことだよね?」

 

マルガレーテ「それ以外、考えにくいんじゃない?」

 

恋「可可さんに連絡してみたのですが、今日は返事がありません……。

……らしくないですよね。いつもなら直接私達に伝えてくれると思うのですが…。」

 

すると、ずっと黙ってたすみれ先輩が口を開く。

 

すみれ「……進路のことかも。」

 

かのん「あっ…。」

 

奏「……。」

 

すみれ先輩の言葉に、奏とかのん先輩が反応した。

 

千砂都「心当たりあるの?」

 

かのん「実は、可可ちゃんと、夏休み入る前に少し話したんだ。進路について。

……上海か…。」

 

恋「私達が海外に行ったところで、なにかお役に立てるのでしょうか……。」

 

彰人「さぁな。けど、行く価値はありそうだな。」

 

かのんと奏が、チケットを見て考えてる。

 

「お前ら、行くつもりじゃねぇだろうな?」

 

かのん,奏「「っ!!!」」

 

マルガレーテ「いい?これだけは言っておくけど、あなたは今Liella!のメンバーじゃないんだからね!?」

 

かのん「わかってる、わかってるよ!」

 

マルガレーテ「ラブライブに本気で出場目指すんだったら、この件はLiella!に任せて、私達はむしろその間に練習して、レベルアップするべきなのでは!?」

 

航海「いや、練習は別に向こうでも出来るんじゃ……。」

 

奏「いや、それはそうなんだけどさ……。」

 

千砂都「……ごめん!今日は帰るよ!

1日考えて、明日また相談しよ?」

 

かのん「ちぃちゃん、私行く!皆で行かなきゃ!」

 

マルガレーテ「えっ。」

 

かのん「可可ちゃんが困ってるかもしれない。放っておくなんてできないよ!」

 

すみれ「そうよ、可可を救うわよ!どこにだって行ってやるわ!」

 

彰人「仲間が困ってんのに放っておくなんて出来ねぇし、俺も行くぜ?」

 

奏「……俺も行くよ。可可さんにも恩がある。」

 

千砂都「そういうことなら、私も行く!」

 

恋「私も異論はありません!」

 

かのん「確かに私達は、今別のグループ。でも、結ヶ丘のスクールアイドルであることは同じ。」

 

彰人「だな。」

 

かのん「お互い最高のライブができる状況で競い合いたい。

……相手が困ってる時に差を広げて、それで勝っても全然嬉しくないよ。」

 

マルガレーテ「ふんっ、あんたはお人好しがすぎるのよ。」

 

かのん「マルガレーテちゃん。荷物の準備、よろしくね?」

 

そう言って、かのん先輩はマルガレーテの肩を掴む。

 

マルガレーテ「強引なんだからっ!」

 

奏「冬弥くん、俺達も帰って荷造りするよ!」

 

「はぁ!?俺行くって言ってねぇけど!?」

 

奏「いいから!チケットもったいないでしょ?」

 

「ったく、お前もかのん先輩に負けず劣らず強引だな!?」

 

冬毬「……私も戻って、荷造りする必要がありそうですね。」

 

航海「兄貴んとこ行って、チケットだけでも受け取りに行くか…。」

 

千砂都「どうやら話は、まん丸く収まったようだね!」

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

賢汰視点──

 

俺達はきな子さん達とお茶をしていた時に、ふと航海から連絡が来た。

 

航海【兄貴、俺宛のチケット持ってんだろ?後で引取りに行くから兄貴の家教えて。】

 

【ん、わかった。】

 

きな子「上海行き、決定ー!!」

 

メイ「やったー!旅行だ〜!!」

 

夏美「バカンス!ですの!」

 

四季「ふっ、ふーっ。」

 

零「よっしゃー!!初海外楽しみだぜっ!」

 

俺達はその話をして各自解散し、荷造りをすることにして。

俺は家に帰って荷造りをしていた。

 

「……母さんの家から出ていった時のスーツケース、残しておいたのが役に立つなんてな…。」

 

そんな感傷に浸りながら、荷物をスーツケースに詰めていると、チャイムが鳴る。

 

航海「兄貴の家ここか…。お邪魔します。」

 

「あぁ、待ってたぞ。」

 

航海「……兄貴、チケットくれ。」

 

「まぁ待てって。」

 

俺は荷造りの手を止めて航海宛のチケットを渡す。

 

「ほら、これがお前宛てのチケットだ。」

 

航海「ん、ありがと。」

 

航海が、そのまま家から出ようとするのを見て、俺は咄嗟に引き止めた。

 

「航海、泊まってけ。」

 

航海「は、いきなりなんだよ……。」

 

「時間的に今から帰るのはしんどいだろ。」

 

航海「いや、確かにそうだけど…なんで兄貴の家で…。」

 

「……久しぶりに、ちゃんと話したくてな。」

 

航海「……父さんにだけ連絡していいか?」

 

「あぁ、いいよ。」

 

航海「ん。」

 

そう言って、航海は父さんに連絡をかける。

 

航海「あ、父さん。

……今用があって兄貴の家にいるんだけどさ、兄貴がそのまま泊まれって言うから、今日兄貴の家に泊まってく。

……ん、わかった。ありがと。……んじゃ。」

 

航海が連絡を済ませて、俺の方を見た。

 

航海「連絡はした。

……いいってさ。」

 

「……そうか。」

 

俺は荷造りをしながら、航海と話していた。

 

「どうだ、結ヶ丘での生活は。」

 

航海「……別に、何も変わんないよ。

……マルガレーテさんや冬弥、奏先輩とかのん先輩に出会って、音楽をやることになるなんて思ってなかったけど。」

 

「……奏先輩とかのん先輩、いい人だろ?」

 

航海「うん。お二方とも、俺達1年生のこと気にかけてくれてる。

……まぁ、かのん先輩と奏先輩が付き合ってること知ったの、ついこの間なんだけどね。」

 

「聞いてなかったのか…。」

 

航海「いや、そういう話するような人に見えないし、そんな雰囲気出してる様には見えなかったんだけど。」

 

「まぁ、奏先輩もかのん先輩も、しっかりしてる人だし、中々そういう話しないよな。」

 

航海「……まぁ、冬弥もマルガレーテさんと付き合ってるみたいなんだけど。」

 

「……そうなのか?」

 

航海「……らしい。

……2人とも俺になんも言ってこなかったんだが。俺、信頼されてねぇのかな。」

 

「そんなことないと思うぞ。

……まぁ、向こうが隠そうとしてるんなら、下手に詮索しないって姿勢は大事だと思うぞ。」

 

航海「ま、夏美さんと付き合ってる兄貴がそう言うんじゃ、そうだよな。」

 

航海……!?

お前いつそれを知って……

 

航海「いつそれ知ったんだよ、って顔してんな?

……この間冬毬から聞いた。『姉者は、昨年の夏に賢汰さんとお付き合いすることにしたようです』って。」

 

犯人は冬毬か……。

まぁ、そりゃそうだよな。去年のあいつの誕生日に家にお邪魔したんだし。

 

航海「別に、いいけど。

夏美さんになら兄貴は任せられるな。」

 

「航海……。」

 

数年会ってなくても、俺の事思ってくれてた…のか?

と、少し感傷に浸っていたら、航海が口を開く。

 

航海「……なぁ、兄貴。腹減ったんだけど。」

 

「ん、あ、悪い。今から作る。

……何が食いたい?」

 

航海「別に、決めてない。兄貴が好きな風に作ってくれて構わないよ。」

 

「ん、わかった。」

 

俺は料理を作り、航海と食卓を囲んだ。

……やっぱり、1人より2人の方が、寂しくないな。

 

航海「どうしたんだよ兄貴。泣きそうな顔して。」

 

「いや、別に…。ただ、久しぶりに家族で食う飯は美味いなって思っただけだよ。」

 

航海「……そうかよ。」

 

そんな話をしながら食べ終えた俺達は、片付けて風呂に入って、寝ることにした。

 

「布団、好きに使ってくれて構わないから。」

 

航海「……なんで布団2枚あんだよ。」

 

「ん?時折夏美が泊まりに来るからだが。」

 

航海「はいはい、ラブラブアピール美味しゅうございましたっ。」

 

なんて言ってすぐさま寝てしまった。

 

「……おやすみ、航海。」

 

……To be continued




感想、評価、お気に入り登録、よろしくお願いいたします!
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。