Jump to the Super star!! 作:黒破リンク
冬弥と航海達新スクールアイドル部の1年生4人は、それぞれの思いを胸に上海ライブの映像を見返していた。
冬弥は、航海と奏に本音をぶつけ合い、奏はきちんと話す機会を作ろうと、冬弥に提案して────
航海視点───
冬弥の本音を聞いてから数日。
俺と冬毬はかのん先輩の家にお邪魔していた。
かのん「いらっしゃーい!」
冬毬/航海「「お邪魔します。」」
かのん「遠慮しないで〜。」
マルガレーテ「狭いところだけど。」
ありあ「言うねぇ。」
冬毬「お世話になります。」
そう言って、冬毬は頭を下げる。
そのまま、奥の階段へと歩いていった。
ありあ「私と、同い年とは思えないくらい大人な雰囲気……。」
かのん「素敵な子でしょ?」
冬弥「……先部屋行ってっから。
おい、航海行くぞ。」
「わかったよ。」
俺は冬弥について行く形で部屋へと向かった。
部屋に着いて荷物を置いた俺達がゆっくりしていると、冬毬の様子がおかしくなる。
ふと冬毬の方を見ると、『エスプレッソ侍』の漫画を手にしていた。
冬毬「な、なな……ななななな…。」
冬弥「あ?どうした冬毬。」
冬毬「な、ななななな……」
「冬毬?どうした?」
肩をちょっと叩いてみるも、冬毬は変わらず落ち着かなくて。
部屋の扉が開き、かのん先輩はジュースを、奏先輩がたこ焼きの材料をお盆に乗せて入ってくる。
マルガレーテ「かのん、何とかしてあげて。」
冬毬の様子を見て、困惑する先輩方。
奏「ど、どうしたの冬毬ちゃん…」
冬毬「7巻がなぁい!!!」
かのん「どうしたの??」
かのん先輩が、冬毬の後ろにきた。
俺はかのん先輩の邪魔にならないようにそっと避けて座った。
冬毬「いえ……これの7巻はどこに…?」
かのん「え、どこだろ……。」
冬毬「よくそれで落ち着いていられますね……!!信じられません……。
……近くに本屋ありましたね。7巻、買ってきます。」
かのん「いいよぉ、探しておくからっ。」
マルガレーテ「私の部屋には来ない方がいいわね、かのんのお父さんの本棚、もっと雑然としてるから。」
そう言って、マルガレーテさんはエスプレッソ侍の7巻を見せつけるように閉じる。
冬毬「あっ……。」
俺達はテーブルを囲み、皆でたこ焼きパーティーをしていた。
どうやらマルガレーテさんは、たこ焼きパーティーは初めてだったようで、少し驚いていた。
……なんでか知らないけど、俺達皆、上海土産の……なにこれ。
着ぐるみって言うのか?寝間着って言うか?そんな感じの格好してテーブルを囲んでちま。
マルガレーテ「家で……たこ焼き?」
かのん「マルガレーテちゃん、タコパ初めて?」
マルガレーテ「買って食べることはあるけど…。それこそ、冬弥と住んでた頃は、よく冬弥が買ってきてくれてたわ。」
冬弥「……マルガレーテ、それバラすなって言ったろ…///」
冬毬「……ところで……なんなのです?この格好は。」
パンダ冬毬、可愛い……。
……じゃなくて。冬毬もやっとツッコんでくれたか…。
マルガレーテ「私が聞きたいわよ。」
かのん「上海のお土産っ。楽しくなれるでしょ?」
冬毬「……アグリーしかねます。」
奏「まぁまぁ、これもいい思い出じゃんっ。
……ほら、出来たから持ってっていいよっ。」
奏先輩は、手際よくたこ焼きを作り続けて。
出来たやつを皿に盛っていくと、マルガレーテさんがパッと何個か持って行ってしまう。
マルガレーテ「いただきっ。」
冬弥「あっ!てめぇっ、それ俺が狙ってたやつ!!!」
マルガレーテ「先に持っていかない方が悪いのよっ。」
冬弥「おい奏!さっさと次焼け!」
かのん「まぁまぁ…。」
冬毬「奏先輩、たこ焼き作るのお上手ですね。
アルバイトとかなされてるのですか?」
奏「まぁ…昔から姉さんとよくタコパやったりしてたし……。
何より彰人とか千砂都が、上手なたこ焼きの作り方とか教えてくれたし……それかな。」
「それでここまで上手くできるんですね……。」
ん、美味しい……。
そんな感じで、わちゃわちゃしながらタコパして。
6人「「「「「「ごちそうさまでした!」」」」」」
タコパを終えて、片付けをした後、かのん先輩がラテアートを持ってきてくれた。
かのん「どうぞ〜!」
冬毬「いただきますっ。
……ふぅーっ。ふぅーっ。」
冬毬は1口飲んで、息を吐いた。
冬毬「はぁ…。美味しい…。」
「……美味しいです。」
かのん「良かったー!冬毬ちゃんの好きな、焼き芋も準備してるからね!」
冬毬「……お芋…!
……要件を話していただけますか?」
かのん「要件?」
冬毬「要件があるから呼び出したんですよね?」
かのん「うーん…。とりあえず…カフェオレ飲まない?」
冬毬「Liella!と一緒になった方がいいと言う話ですか?」
かのん「違うよっ。
……せっかく6人で同じ部活になって、上海まで一緒に行ったのに、お互いのこと全然話せてこなかったから…。
奏くんと2人で話して…4人のこと、もっと知りたくなって。」
「コミュニケーションを取りたい……と。」
かのん「そうそうそう!上海であんなにいいパフォーマンスが、何故11人で出来たのか、わかる?
……きっとね、あの瞬間は、皆が同じ目標に向かって手を取り合えてた。1つになれたと思うの。」
マルガレーテ「……。」
冬毬「ふむ…。」
奏「まぁ、彰人達とも、あの場で寸分の狂いなく音合わせられたのは、そういう事だと思う。」
冬弥「……そうかよ。」
かのん「つまり、こうやって学校以外でもお喋りすることは、無駄じゃなくって。いいパフォーマンスをするために、必要なことである!
と、かのん先輩は思ったんですっ!」
そう言って、かのん先輩は左手でピースサインをする。
そ隣で、マルガレーテさんがカフェオレを一口飲んで熱そうにしていた。
マルガレーテ「アチチっ!!」
かのん「ごめん…マルガレーテちゃんにはちょっと熱かったね…」
マルガレーテ「熱いのが嫌いじゃないの。
ちょっと猫舌なだけ!」
マルガレーテさん……そんな人だったんだ。
ちょっと意外かも。
冬弥「……もうちょっと甘くしてもらえば良かった。」
奏「苦いのダメなんだっけ?」
冬弥「別に、苦いのは嫌いじゃねぇけど……俺的にはもう少し甘めの方が飲みやすくていいだけ。」
冬弥のやつ、思ったより甘党…?
冬弥「んだよ、航海。ジロジロ見やがって。」
「あぁ〜いや、別に。
ちょっと意外だなって。」
冬弥「……悪かったな。」
「別に悪いって言ってないでしょ?
ただ、親近感湧いてちょっと嬉しくなった。」
冬弥「……そうかよ。」
かのん「冬毬ちゃんは甘いの好き?」
冬毬「大好きです。」
かのん「お砂糖あるよっ。」
冬毬はカフェオレに角砂糖3つくらい足して、飲み始める。
冬弥「かのん先輩、俺にもくれ。」
かのん「はーいっ。」
冬毬「……はぁっ。」
かのん「甘い方が好きなんて、意外〜っ。」
冬毬「そうですか?」
かのん「ストイックなイメージだったから…。」
冬毬「体型維持のため、普段はセーブしています。」
「なんて言ってますけど、上海ライブの後2人でスイーツ食べたでしょ。」
横から俺が冬毬に告げ口すると、冬毬は恥ずかしそうに俺の肩を叩いた。
冬毬「それは内緒にと言ったはずですっ。///」
「あははっ、ごめんごめんっ。つい……。」
マルガレーテ「アッチッ!
でも、熱々って、いい……。」
かのん「そうだ!家、コノハズク飼ってるんだ!
冬毬ちゃんの好きな生き物は何?」
冬毬「えっ。
……クラゲ…。」
マルガレーテ「クラゲって、ジェリーフィッシュ…?
気持ち悪くない?」
あ、冬毬のクラゲ愛のスイッチ入っちゃった。
冬毬「そんなことありません!あんなに可愛くて癒される生き物、他に存在しません!
……毎日、寝る前に必ず見ています。」
「昔からクラゲのことになると、こうやって目を輝かせて話してくれるんですよ。
まぁ……自分はまだ苦手意識ありますけどね…あははっ。」
かのん「飼ってるんだ……!」
冬毬「……はい。」
奏「ほら、話してみないと分からないこと、いっぱいあるでしょ?」
冬毬「って、私の話は必要ありません!」
かのん「そんなことないよっ。すっごく大事っ。」
冬毬「えっ……。」
かのん「冬毬ちゃんのこと、もっと知りたいっ。」
冬毬「……先輩っ…。」
扉の向こうから、かのん先輩のお母さんの声が聞こえる。
……どうやら焼き芋が出来たらしい。
かのん母「焼けたわよー!焼き芋!」
マルガレーテ「私も食べてみたかったの。」
かのん「行こ?」
6人で、かのん先輩のお母さんが作った焼き芋を食べて、俺達6人で、夜の街を歩いていた。
かのん「ん〜っ……!!今日は涼しいね〜!!」
マルガレーテ「なんで散歩?見慣れた景色じゃない。」
奏「6人で街歩くことって滅多にないよ?」
マルガレーテ「まぁ…それは…。」
奏「せっかく一緒にいるんだし、腹ごなしも兼ねてね。」
街を歩いていると、交差点にあるモニターに、俺達の上海ライブの映像が流れていた。
……こんな時間にも、街の人達は賑やかで。
冬毬「賑やかですね。
私の家のある街だと、この時間は人はほとんどいません。」
かのん「静かなのもいいよ?
私、ずっとこの街で暮らしてきたから、憧れるなぁっ。」
「たしかに……あの街は静かなところではありますね……。」
かのん先輩達が足を止める。
……ふと見ると、その場所は……去年の東京大会で、マルガレーテ達が、かのん先輩達Liella!と、奏先輩達BAD SOULと戦ったステージのある場所。
冬弥「ここは……。」
奏「去年、この場所で歌ったよね。」
冬毬「過去の記録を見ました。
皆さんが対決されていましたね。」
奏「うん。
……東京大会で、お互い競い合って。俺達スクールアイドル部のみんなで、決勝に上がって。」
冬弥「………あん時ぶっ倒れたの、未だに覚えてる。」
「冬弥、あん時ステージ終わりに搬送されたんだよな?
……大丈夫だったのか?」
冬弥「……あん時はまぁ、疲労やら色々溜まって、酷使しすぎてぶっ倒れたって感じだ。
別に今は問題ねぇよ。」
マルガレーテ「急に倒れて心配だったんだからね!!!」
そう言ってマルガレーテさんは冬弥の肩を掴んで、グワングワン体を揺する。
冬弥「悪かったって言ってるだろ!?」
近くのモニターには、去年のライブが映っていて。
ステージで輝く兄貴や、夏美さんもいた。
かのん「冬毬ちゃんも航海くんも、ずっと夏美ちゃんや賢汰くんの事気にかけてる。」
冬毬「……。」
「………。」
俺と冬毬は、ライブ映像をじっと見つめていた。
……兄貴は、ずっと俺の憧れで。そんな兄貴が、夏美さんと再会して。奏先輩達と出会って、また音楽をやって。
………夏美さんは、また夢を追いかける道を選んだ。
かのん「また夏美ちゃんが傷ついて終わるんじゃないかって……同じことになっちゃうんじゃないかって。」
かのん先輩は、冬毬に語りかけた。
冬毬「はい。」
かのん「上海に行って、素敵なライブができて思った。
今こそ、4人の気持ちを解放させるときが来たんだよっ。」
冬弥「解放…?」
「どういうことですか?」
かのん「上海でのライブは、心が震えるほどに感動した。
……でもね、今もまだ、皆の気持ちは、昔と変わらず宙ぶらりんのまま。」
奏「だから、聞かせて欲しい。
……皆の気持ちを。」
…………先輩達の思いに応えよう。
そう思って、俺は……本音を口にした。
「俺は、兄貴の事は敵だと思ってません。
ただ、俺は兄貴と一緒に立って、自分の無力さを実感した。けど、俺は兄貴との直接対決で、兄貴を負かしてみたい。
あの頃みたいに、また笑顔で音楽がやりたい。」
冬毬「私は姉者を敵だと思っていません。
ただ、夢を中途半端に追いかけて欲しくない。姉者の悲しむ姿は、もう見たくないですから。」
冬弥「俺は、BAD SOULに勝ちたい。
……もちろん、奏にも、マルガレーテにも負けたくない。ただ、それだけ。」
マルガレーテ「私はLiella!に勝ちたい、それだけよ。」
かのん「私ね、この6人で練習して思った。
マルガレーテちゃんも冬毬ちゃんも、冬弥くんも航海くんも。真剣だって。
……それは、マルガレーテちゃんと冬弥くんは本気でLiella!とBAD SOULに勝ちたいから。航海くんは、賢汰くんと仲直りして、また一緒に音楽をやりたい。冬毬ちゃんは、夏美ちゃんの気持ちを確かめたいから。
……今こそ、私達6人で、全力でLiella!とBAD SOULにぶつかろう!」
マルガレーテ「えぇ、望むところよ!」
冬毬「アグリーです。」
冬弥「……もう、負けねぇ。」
「兄貴と戦って………勝つ!!」
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奏視点──
俺とかのんは、千砂都と彰人と話して。
……予定通り、直接対決をすることに決めた。
俺達は4人で、理事長室で理事長にこの話をした。
理事長「予定通り、対決するということですね?」
4人「「「「はい!!!」」」」
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冬弥視点──
俺達は奏達を待ちながら、練習場所でストレッチしていた。
マルガレーテ「かのんは?」
冬毬「まだ、学校かと。」
「まじで対決するって言いに行ったのか。」
航海「2人は、先輩達が俺達とグループを作った時どう思ったんだ?」
マルガレーテ「どう思うって?」
航海「俺は、Liella!とBAD SOULのためだって思ってた。
兄貴や、夏美さん達。先輩達を成長させるために、自分達がライバルになる道を選んだんじゃないかって。
……でも、先輩達は、本当に俺達のことを考えてくれていた。俺達の気持ちだって、ちゃんと大事にしてくれた。」
「お人好しなだけかもしんねぇぞ?」
航海「でも、そのせいで先輩達は元の居場所には戻れない。」
マルガレーテ「………だから勝つの。」
俺の隣で、マルガレーテがそう呟く。
……俺とマルガレーテの気持ちは、多分一緒だ。
マルガレーテ「私達6人で、Liella!とBAD SOUL……それぞれに勝って。
………そして─────」
マルガレーテは、俺達と小さく円陣を作って話す。
冬毬「───っ。
……アグリーです。」
航海「……そっか。」
円陣を作って、話をした直後。
奏とかのん先輩が合流してきた。
かのん「お待たせー!!」
奏「ごめん、お待たせ。」
「………話しておきたいことがある。」
冬毬「大事な話です。」
かのん「何?やだっ、怖い〜!!」
マルガレーテ「悪い話じゃないわよ!」
奏「本当に??」
航海「はい。」
俺達は、奏達に………改めて報告をした。
かのん「うん、いいと思う!!」
冬毬「良かったです。」
かのん「私は賛成!」
奏「俺もだよ。
……皆、そんなに考えてくれてたんだね。」
マルガレーテ「さぁ、行くわよ!Liella!に勝つんでしょ!」
冬毬「Liella!に、BAD SOULに勝って、そして!!」
かのん「うん!
──レッツゴー!!トマカノーテ!!」
マルガレーテ「その名前、何とかならない?」
奏「まぁ、いいんじゃない?
俺は好きだよ、トマカノーテ。」
冬毬「私も、嫌いではありません。」
俺達は、また練習を始める。
…………俺達の願いは。
Liella!と、BAD SOUL。
合わせて17人で、ステージに立つこと。
……To be continued
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次回ついに、17人が雌雄を決する。