Jump to the Super star!!   作:黒破リンク

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上海ライブを終え、夏休み明け。
冬弥と航海達新スクールアイドル部の1年生4人は、それぞれの思いを胸に上海ライブの映像を見返していた。

冬弥は、航海と奏に本音をぶつけ合い、奏はきちんと話す機会を作ろうと、冬弥に提案して────


第7話#2

航海視点───

 

冬弥の本音を聞いてから数日。

俺と冬毬はかのん先輩の家にお邪魔していた。

 

かのん「いらっしゃーい!」

 

冬毬/航海「「お邪魔します。」」

 

かのん「遠慮しないで〜。」

 

マルガレーテ「狭いところだけど。」

 

ありあ「言うねぇ。」

 

冬毬「お世話になります。」

 

そう言って、冬毬は頭を下げる。

そのまま、奥の階段へと歩いていった。

 

ありあ「私と、同い年とは思えないくらい大人な雰囲気……。」

 

かのん「素敵な子でしょ?」

 

冬弥「……先部屋行ってっから。

おい、航海行くぞ。」

 

「わかったよ。」

 

俺は冬弥について行く形で部屋へと向かった。

部屋に着いて荷物を置いた俺達がゆっくりしていると、冬毬の様子がおかしくなる。

ふと冬毬の方を見ると、『エスプレッソ侍』の漫画を手にしていた。

 

冬毬「な、なな……ななななな…。」

 

冬弥「あ?どうした冬毬。」

 

冬毬「な、ななななな……」

 

「冬毬?どうした?」

 

肩をちょっと叩いてみるも、冬毬は変わらず落ち着かなくて。

部屋の扉が開き、かのん先輩はジュースを、奏先輩がたこ焼きの材料をお盆に乗せて入ってくる。

 

マルガレーテ「かのん、何とかしてあげて。」

 

冬毬の様子を見て、困惑する先輩方。

 

奏「ど、どうしたの冬毬ちゃん…」

 

冬毬「7巻がなぁい!!!」

 

かのん「どうしたの??」

 

かのん先輩が、冬毬の後ろにきた。

俺はかのん先輩の邪魔にならないようにそっと避けて座った。

 

冬毬「いえ……これの7巻はどこに…?」

 

かのん「え、どこだろ……。」

 

冬毬「よくそれで落ち着いていられますね……!!信じられません……。

 

……近くに本屋ありましたね。7巻、買ってきます。」

 

かのん「いいよぉ、探しておくからっ。」

 

マルガレーテ「私の部屋には来ない方がいいわね、かのんのお父さんの本棚、もっと雑然としてるから。」

 

そう言って、マルガレーテさんはエスプレッソ侍の7巻を見せつけるように閉じる。

 

冬毬「あっ……。」

 

俺達はテーブルを囲み、皆でたこ焼きパーティーをしていた。

どうやらマルガレーテさんは、たこ焼きパーティーは初めてだったようで、少し驚いていた。

 

……なんでか知らないけど、俺達皆、上海土産の……なにこれ。

着ぐるみって言うのか?寝間着って言うか?そんな感じの格好してテーブルを囲んでちま。

 

マルガレーテ「家で……たこ焼き?」

 

かのん「マルガレーテちゃん、タコパ初めて?」

 

マルガレーテ「買って食べることはあるけど…。それこそ、冬弥と住んでた頃は、よく冬弥が買ってきてくれてたわ。」

 

冬弥「……マルガレーテ、それバラすなって言ったろ…///」

 

冬毬「……ところで……なんなのです?この格好は。」

 

パンダ冬毬、可愛い……。

……じゃなくて。冬毬もやっとツッコんでくれたか…。

 

マルガレーテ「私が聞きたいわよ。」

 

かのん「上海のお土産っ。楽しくなれるでしょ?」

 

冬毬「……アグリーしかねます。」

 

奏「まぁまぁ、これもいい思い出じゃんっ。

……ほら、出来たから持ってっていいよっ。」

 

奏先輩は、手際よくたこ焼きを作り続けて。

出来たやつを皿に盛っていくと、マルガレーテさんがパッと何個か持って行ってしまう。

 

マルガレーテ「いただきっ。」

 

冬弥「あっ!てめぇっ、それ俺が狙ってたやつ!!!」

 

マルガレーテ「先に持っていかない方が悪いのよっ。」

 

冬弥「おい奏!さっさと次焼け!」

 

かのん「まぁまぁ…。」

 

冬毬「奏先輩、たこ焼き作るのお上手ですね。

アルバイトとかなされてるのですか?」

 

奏「まぁ…昔から姉さんとよくタコパやったりしてたし……。

何より彰人とか千砂都が、上手なたこ焼きの作り方とか教えてくれたし……それかな。」

 

「それでここまで上手くできるんですね……。」

 

ん、美味しい……。

そんな感じで、わちゃわちゃしながらタコパして。

 

6人「「「「「「ごちそうさまでした!」」」」」」

 

タコパを終えて、片付けをした後、かのん先輩がラテアートを持ってきてくれた。

 

かのん「どうぞ〜!」

 

冬毬「いただきますっ。

……ふぅーっ。ふぅーっ。」

 

冬毬は1口飲んで、息を吐いた。

 

冬毬「はぁ…。美味しい…。」

 

「……美味しいです。」

 

かのん「良かったー!冬毬ちゃんの好きな、焼き芋も準備してるからね!」

 

冬毬「……お芋…!

……要件を話していただけますか?」

 

かのん「要件?」

 

冬毬「要件があるから呼び出したんですよね?」

 

かのん「うーん…。とりあえず…カフェオレ飲まない?」

 

冬毬「Liella!と一緒になった方がいいと言う話ですか?」

 

かのん「違うよっ。

……せっかく6人で同じ部活になって、上海まで一緒に行ったのに、お互いのこと全然話せてこなかったから…。

奏くんと2人で話して…4人のこと、もっと知りたくなって。」

 

「コミュニケーションを取りたい……と。」

 

かのん「そうそうそう!上海であんなにいいパフォーマンスが、何故11人で出来たのか、わかる?

……きっとね、あの瞬間は、皆が同じ目標に向かって手を取り合えてた。1つになれたと思うの。」

 

マルガレーテ「……。」

 

冬毬「ふむ…。」

 

奏「まぁ、彰人達とも、あの場で寸分の狂いなく音合わせられたのは、そういう事だと思う。」

 

冬弥「……そうかよ。」

 

かのん「つまり、こうやって学校以外でもお喋りすることは、無駄じゃなくって。いいパフォーマンスをするために、必要なことである!

と、かのん先輩は思ったんですっ!」

 

そう言って、かのん先輩は左手でピースサインをする。

そ隣で、マルガレーテさんがカフェオレを一口飲んで熱そうにしていた。

 

マルガレーテ「アチチっ!!」

 

かのん「ごめん…マルガレーテちゃんにはちょっと熱かったね…」

 

マルガレーテ「熱いのが嫌いじゃないの。

ちょっと猫舌なだけ!」

 

マルガレーテさん……そんな人だったんだ。

ちょっと意外かも。

 

冬弥「……もうちょっと甘くしてもらえば良かった。」

 

奏「苦いのダメなんだっけ?」

 

冬弥「別に、苦いのは嫌いじゃねぇけど……俺的にはもう少し甘めの方が飲みやすくていいだけ。」

 

冬弥のやつ、思ったより甘党…?

 

冬弥「んだよ、航海。ジロジロ見やがって。」

 

「あぁ〜いや、別に。

ちょっと意外だなって。」

 

冬弥「……悪かったな。」

 

「別に悪いって言ってないでしょ?

ただ、親近感湧いてちょっと嬉しくなった。」

 

冬弥「……そうかよ。」

 

かのん「冬毬ちゃんは甘いの好き?」

 

冬毬「大好きです。」

 

かのん「お砂糖あるよっ。」

 

冬毬はカフェオレに角砂糖3つくらい足して、飲み始める。

 

冬弥「かのん先輩、俺にもくれ。」

 

かのん「はーいっ。」

 

冬毬「……はぁっ。」

 

かのん「甘い方が好きなんて、意外〜っ。」

 

冬毬「そうですか?」

 

かのん「ストイックなイメージだったから…。」

 

冬毬「体型維持のため、普段はセーブしています。」

 

「なんて言ってますけど、上海ライブの後2人でスイーツ食べたでしょ。」

 

横から俺が冬毬に告げ口すると、冬毬は恥ずかしそうに俺の肩を叩いた。

 

冬毬「それは内緒にと言ったはずですっ。///」

 

「あははっ、ごめんごめんっ。つい……。」

 

マルガレーテ「アッチッ!

でも、熱々って、いい……。」

 

かのん「そうだ!家、コノハズク飼ってるんだ!

冬毬ちゃんの好きな生き物は何?」

 

冬毬「えっ。

……クラゲ…。」

 

マルガレーテ「クラゲって、ジェリーフィッシュ…?

気持ち悪くない?」

 

あ、冬毬のクラゲ愛のスイッチ入っちゃった。

 

冬毬「そんなことありません!あんなに可愛くて癒される生き物、他に存在しません!

……毎日、寝る前に必ず見ています。」

 

「昔からクラゲのことになると、こうやって目を輝かせて話してくれるんですよ。

まぁ……自分はまだ苦手意識ありますけどね…あははっ。」

 

かのん「飼ってるんだ……!」

 

冬毬「……はい。」

 

奏「ほら、話してみないと分からないこと、いっぱいあるでしょ?」

 

冬毬「って、私の話は必要ありません!」

 

かのん「そんなことないよっ。すっごく大事っ。」

 

冬毬「えっ……。」

 

かのん「冬毬ちゃんのこと、もっと知りたいっ。」

 

冬毬「……先輩っ…。」

 

扉の向こうから、かのん先輩のお母さんの声が聞こえる。

 

……どうやら焼き芋が出来たらしい。

 

かのん母「焼けたわよー!焼き芋!」

 

マルガレーテ「私も食べてみたかったの。」

 

かのん「行こ?」

 

6人で、かのん先輩のお母さんが作った焼き芋を食べて、俺達6人で、夜の街を歩いていた。

 

かのん「ん〜っ……!!今日は涼しいね〜!!」

 

マルガレーテ「なんで散歩?見慣れた景色じゃない。」

 

奏「6人で街歩くことって滅多にないよ?」

 

マルガレーテ「まぁ…それは…。」

 

奏「せっかく一緒にいるんだし、腹ごなしも兼ねてね。」

 

街を歩いていると、交差点にあるモニターに、俺達の上海ライブの映像が流れていた。

……こんな時間にも、街の人達は賑やかで。

 

冬毬「賑やかですね。

私の家のある街だと、この時間は人はほとんどいません。」

 

かのん「静かなのもいいよ?

私、ずっとこの街で暮らしてきたから、憧れるなぁっ。」

 

「たしかに……あの街は静かなところではありますね……。」

 

かのん先輩達が足を止める。

……ふと見ると、その場所は……去年の東京大会で、マルガレーテ達が、かのん先輩達Liella!と、奏先輩達BAD SOULと戦ったステージのある場所。

 

冬弥「ここは……。」

 

奏「去年、この場所で歌ったよね。」

 

冬毬「過去の記録を見ました。

皆さんが対決されていましたね。」

 

奏「うん。

……東京大会で、お互い競い合って。俺達スクールアイドル部のみんなで、決勝に上がって。」

 

冬弥「………あん時ぶっ倒れたの、未だに覚えてる。」

 

「冬弥、あん時ステージ終わりに搬送されたんだよな?

……大丈夫だったのか?」

 

冬弥「……あん時はまぁ、疲労やら色々溜まって、酷使しすぎてぶっ倒れたって感じだ。

別に今は問題ねぇよ。」

 

マルガレーテ「急に倒れて心配だったんだからね!!!」

 

そう言ってマルガレーテさんは冬弥の肩を掴んで、グワングワン体を揺する。

 

冬弥「悪かったって言ってるだろ!?」

 

近くのモニターには、去年のライブが映っていて。

ステージで輝く兄貴や、夏美さんもいた。

 

かのん「冬毬ちゃんも航海くんも、ずっと夏美ちゃんや賢汰くんの事気にかけてる。」

 

冬毬「……。」

 

「………。」

 

俺と冬毬は、ライブ映像をじっと見つめていた。

……兄貴は、ずっと俺の憧れで。そんな兄貴が、夏美さんと再会して。奏先輩達と出会って、また音楽をやって。

 

………夏美さんは、また夢を追いかける道を選んだ。

 

かのん「また夏美ちゃんが傷ついて終わるんじゃないかって……同じことになっちゃうんじゃないかって。」

 

かのん先輩は、冬毬に語りかけた。

 

冬毬「はい。」

 

かのん「上海に行って、素敵なライブができて思った。

今こそ、4人の気持ちを解放させるときが来たんだよっ。」

 

冬弥「解放…?」

 

「どういうことですか?」

 

かのん「上海でのライブは、心が震えるほどに感動した。

……でもね、今もまだ、皆の気持ちは、昔と変わらず宙ぶらりんのまま。」

 

奏「だから、聞かせて欲しい。

……皆の気持ちを。」

 

…………先輩達の思いに応えよう。

そう思って、俺は……本音を口にした。

 

「俺は、兄貴の事は敵だと思ってません。

ただ、俺は兄貴と一緒に立って、自分の無力さを実感した。けど、俺は兄貴との直接対決で、兄貴を負かしてみたい。

あの頃みたいに、また笑顔で音楽がやりたい。」

 

冬毬「私は姉者を敵だと思っていません。

ただ、夢を中途半端に追いかけて欲しくない。姉者の悲しむ姿は、もう見たくないですから。」

 

冬弥「俺は、BAD SOULに勝ちたい。

……もちろん、奏にも、マルガレーテにも負けたくない。ただ、それだけ。」

 

マルガレーテ「私はLiella!に勝ちたい、それだけよ。」

 

かのん「私ね、この6人で練習して思った。

マルガレーテちゃんも冬毬ちゃんも、冬弥くんも航海くんも。真剣だって。

……それは、マルガレーテちゃんと冬弥くんは本気でLiella!とBAD SOULに勝ちたいから。航海くんは、賢汰くんと仲直りして、また一緒に音楽をやりたい。冬毬ちゃんは、夏美ちゃんの気持ちを確かめたいから。

 

……今こそ、私達6人で、全力でLiella!とBAD SOULにぶつかろう!」

 

マルガレーテ「えぇ、望むところよ!」

 

冬毬「アグリーです。」

 

冬弥「……もう、負けねぇ。」

 

「兄貴と戦って………勝つ!!」

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

奏視点──

 

俺とかのんは、千砂都と彰人と話して。

……予定通り、直接対決をすることに決めた。

 

俺達は4人で、理事長室で理事長にこの話をした。

 

理事長「予定通り、対決するということですね?」

 

4人「「「「はい!!!」」」」

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

冬弥視点──

 

俺達は奏達を待ちながら、練習場所でストレッチしていた。

 

マルガレーテ「かのんは?」

 

冬毬「まだ、学校かと。」

 

「まじで対決するって言いに行ったのか。」

 

航海「2人は、先輩達が俺達とグループを作った時どう思ったんだ?」

 

マルガレーテ「どう思うって?」

 

航海「俺は、Liella!とBAD SOULのためだって思ってた。

兄貴や、夏美さん達。先輩達を成長させるために、自分達がライバルになる道を選んだんじゃないかって。

……でも、先輩達は、本当に俺達のことを考えてくれていた。俺達の気持ちだって、ちゃんと大事にしてくれた。」

 

「お人好しなだけかもしんねぇぞ?」

 

航海「でも、そのせいで先輩達は元の居場所には戻れない。」

 

マルガレーテ「………だから勝つの。」

 

俺の隣で、マルガレーテがそう呟く。

……俺とマルガレーテの気持ちは、多分一緒だ。

 

マルガレーテ「私達6人で、Liella!とBAD SOUL……それぞれに勝って。

………そして─────」

 

マルガレーテは、俺達と小さく円陣を作って話す。

 

冬毬「───っ。

……アグリーです。」

 

航海「……そっか。」

 

円陣を作って、話をした直後。

奏とかのん先輩が合流してきた。

 

かのん「お待たせー!!」

 

奏「ごめん、お待たせ。」

 

「………話しておきたいことがある。」

 

冬毬「大事な話です。」

 

かのん「何?やだっ、怖い〜!!」

 

マルガレーテ「悪い話じゃないわよ!」

 

奏「本当に??」

 

航海「はい。」

 

俺達は、奏達に………改めて報告をした。

 

かのん「うん、いいと思う!!」

 

冬毬「良かったです。」

 

かのん「私は賛成!」

 

奏「俺もだよ。

……皆、そんなに考えてくれてたんだね。」

 

マルガレーテ「さぁ、行くわよ!Liella!に勝つんでしょ!」

 

冬毬「Liella!に、BAD SOULに勝って、そして!!」

 

かのん「うん!

──レッツゴー!!トマカノーテ!!」

 

マルガレーテ「その名前、何とかならない?」

 

奏「まぁ、いいんじゃない?

俺は好きだよ、トマカノーテ。」

 

冬毬「私も、嫌いではありません。」

 

俺達は、また練習を始める。

 

 

…………俺達の願いは。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Liella!と、BAD SOUL。

合わせて17人で、ステージに立つこと。

 

……To be continued




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次回ついに、17人が雌雄を決する。
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