サッカー見てたのと設定を書き出したりしてたので更新遅れました。好きなサッカー選手は中村俊輔さんです。
トカゲくんの相手をして、広場に戻るとノノ達が心配そうに声を掛けてきた
「…凄い魔物の声が聞こえた。何かあった?」
「…トカゲが出てな」
「…トカゲ?」
なので俺はトカゲくんと戯れてたよって返す。なんかトカゲ?って顔してたけど、あれは唯の大きめのトカゲくんなので別にそれ以上でもそれ以下でも無いのだ。剣を持ってなかったから少し苦戦してしまったけど。今度からは必ず剣を持っていくことにしよう。
トカゲ?トカゲと言うやり取りを何度かしていた俺とノノだったが、ノノは俺の姿を見て、怪我も何もしていないことを確認すると、まあ良いかとノノは納得したようだった。
「ししょー!見てて下さい!!」
マリーがこっちに来てと俺の手をぐいぐい引っ張る。なんだかすごく楽しそうだ。なにやら探している様に歩いていたが、探し物が見つかったのか『そこで見てて下さい!』と言うと、割と太めの木の前に立った。
何が始まるんです?と疑問ながらに待っているとマリーが『えいっ!』と言う可愛い掛け声と共に木の前で短剣を二度振るった。
その次の瞬間風が吹いたかと思うと、五十センチは在ったであろう木が音も無く切れた。
えぇ…風の魔法をもうものにしてるんですけど…天才すぎひんか?こうしたら出来ますと言われて、はい出来ましたとなるなら教師等という職業は存在しないだろう。これが一を聞いて十を知るという事なのだろう。天才はいる、悔しいが。
俺もいつか魔法を使える時が来るんだろうか。きっと十年は掛かるだろうな。
「これもししょーのお陰です!!」
「…そうか」
いいえ、すべて貴方の才能です。いや、待てよ?もしかして俺が使えないだけで、普通の人間はやり方を教わればすぐに使えるようになるのか?俺がクソ雑魚なだけなのか?
等と自分を卑下して考えていたが、もしそうならどっかの町に在るという魔法学校とやらも必要ないだろう。やはりマリーが異常なのだ。一緒に練習していたノノは今のところ攻撃魔法使えてないっぽいし。
まあ、いいや。俺には剣があるし、そもそも他人の持っている物を羨んでいたら何も出来ない。彼女に出来て俺に出来ない事、俺に出来て彼女に出来ない事。その出来ない事をお互いに埋めて行くことで人は生きていけるのだ。うん、だから俺が魔法使えなくても問題ないし。別に使えなくていいし。強がってねーし。
一頻り自分を納得させ、俺は素振りに戻る。時間はまだお昼を少し過ぎたくらい、まだまだ素振りの時間はあるのだ。素振りを始めると、マリーも元気よくそれに続く。
「ししょー!私もやります!!」
この何にでも貪欲ですぐに行動出来るのが彼女の強みなのかも知れないな。俺はちょっと出来ないとすぐに諦めてしまうところがあるように思うし。なんだかんだと言い訳したが、やはり俺もマリーを見習って魔法の練習は続けよう。もしかすると自分でも気が付いていなかった物凄い才能が開花するかも知れないしな。何事も前向きに考えるのが健康に生きる秘訣だと村のジジイも言ってたし。
俺達が素振りを開始した横でノノはノノで何やら技の型をやっていた。一人で剣を振るだけのつもりだったが、もしかするとこんな時間もありなのかも知れない。俺はそう思った。
でもやっぱり静かに剣を振る時間も欲しいな。
一頻り剣を振り、魔物を狩って家路につく。
「それではまた明日、お願いしますノノちゃん!ししょー!!」
「…またね」
元気よく別れの挨拶をするマリーとそれを優しげな笑顔で見送るノノ。マリーと別れた俺達は宿に戻り、食堂へと向かう。食堂へと入ると丁度イブが食事をしている所だったので、俺とノノも同じ席に座る。
それからノノとイブが今日あった事を話し、俺が適当に相槌を入れる。そうしてこの一週間ちょっとで定着した、いつものやり取りをして一日が終わっていくのだった。
朝、窓から漏れる太陽の明かりと近くを飛んでいる鳥の声で目を覚ます。何故か体の左側が温かい。掛け布団を捲って確かめて見れば、何故かノノが俺に張り付いて寝ていた。
なんで?昨日普通に隣の部屋に帰って行ったよね?俺達は一応男女別に部屋を取っていた。金銭的にギリギリであるのならば同室でも良いのだが、別にそこまで困窮している訳でも無かったので、普通に別々に部屋を取っていたのだ。
俺が頭に疑問符を浮かべていると、ノノの瞼がゆっくりと開きその寝ぼけ眼と目が合う。
「…おはよう」
「ん…おはようクロ」
俺があまりの驚きに一周回って朝の挨拶をすると、ノノはまるで毎日そうしているかのような感じで挨拶を返してきた。
いやいや、なんか当然みたいな感じしてますけども、どういう事?もしかして昨日魔法の練習でマナ使ったから俺にくっついて補充してるのか?
ノノの様なマナ貯蔵体質は、一般的な人達と同じ様にマナを使わなければ食事や睡眠、空気中のマナから回復は出来る。だが自分で作れる容量以上にマナを溜めれるらしく、それは回復量よりも使用量のほうが多いらしい。なのでノノは普段は使うマナを制限して、なるべく多く溜める様にしているらしい。
一人で旅をしていたのでなるべく急な襲撃にも対応できるようにそうしているそうだ。後多分溜めるのが楽しいのもあると言ってた。なんか溜まっていくマナが多くなるのを感じるのがちょっと楽しいんだって。なんとなく分からなくもない、何かを収集している時は溜まっていくのを見ているだけで楽しいものだ。
俺がノノの目を見ていると、怒っていると思われたのかノノが目を逸らし言い訳を始めた。
「…昨日寒かったから…ブレイブに入れてもらった」
そういう事だった。
いやそういう事だったじゃないが?イブさん何してくれてるんですかねぇ…今は春先なのでちょっと寒いというのも分からんでもないが、引っ付いて寝るほどでは無い。というか暑かった。俺は普段よりも汗をかいてた。
あれだな、ノノはまだ子供だから体温が高いのもあるんだろうな。なんかすっごく温かかったし、冬ならば抱いて寝たら気持ちよく眠れると思う。
ま、でも別に良いけどね。村に居る時も偶にティナが寒いだの眠れないだのなんだかんだと言い訳しては、俺の布団に入ってきていたし。今更ノノが入ってきたところで何も思わない。こいつもまだ子供だしな、そんな時もあるだろ。
「…迷惑だった?」
ノノが恐る恐るこちらを見てきたので、俺は昔ティナにやっていた様に優しく頭を撫でながら安心させるように、優しく言葉をかける。
「…大丈夫だ。迷惑ではない」
「…ん、ありがとう」
そう言ってノノは俺に顔をうずめる。やれやれ、あんなデカい魔物を吹っ飛ばせるからといってもやっぱり子供なんだな。
そんなやり取りをしていると、イブが目を覚ました。
「ああ…あ~…クロおはよう」
「…ああ」
イブは寝起きがあまり強くない様だ。未だに完全には目を覚ましていないのだろう。ぼーっとこっちを見ていたが、段々と目を覚ましてきたようで、こちらを見て一言
「あれ?なんでノノが居るんだい?」
お前が入れたんやろがい!!!こいつさては入れた時も寝ぼけてたな?これノノだから良かったけど物取りとかは入れないのよね?流石に寝ぼけててもそのくらいの分別はつくよね?
「ブレイブに入れてもらった」
「ん~…ああ…そうだった気もするなぁ…」
しかしいつもしっかりしているイブがこんな感じだと新鮮だな。代々イブが先に起きて行動してるし、俺が今日早起きだったのは隣りにある熱源の所為で寝苦しかったからだろう。
「…着替えてくる」
ノノがひょいと離れて自分の部屋へと戻っていく。俺達も着替えるとするかな。
着替えが終わり部屋を出る頃には、イブの意識も完全に覚醒した様だった。
すっかりいつものになった食堂での食事を終えて、俺達はギルドへと向かおうと宿を出る。そうすると昨日も聞いた元気な声が聞こえてきた。
「おはようですししょー!!!」
ふぉっふぉっふぉ、朝から元気じゃのぉ…いや本当に。昨日も思ったけどいつから外で待ってたんだろう?めちゃくちゃ早くから待ってないよね?
だとしたら申し訳ないしもう部屋まで来てもらっても良いかも知れない。いや悪いかも知れない。だってものっそい早起きだったとして、部屋まで来てもらうと俺もその分早く起きないといけなくなる。それはちょっと…嫌だなって。
俺はなるべくなら多く寝ていたい。早起きも苦手じゃないけど、毎日毎日早く起きたくは無いのだ。でもマリーを外で待たせるのはちょっと嫌だなぁって。う~ん。
あっそうだ。そもそも時間を決めていなかったから問題だったんだ。時計は高級品なので皆が皆持っている訳ではないが、一時間に一度鐘の音がなるので、皆それで時間を把握していた。
なので朝の七時…いや八時にしよう。今もそのくらいだし。それなら彼女も待つことが無くなって、俺も普通に寝れて一石二鳥だな。
「…ああ。マリー、明日からは八時に部屋に来てくれ」
「!分かりました!ありがとうございますししょー!!」
彼女もその意味を理解してくれた様だ。素直に返事を返してくれた。これで明日からは無駄に待つことも無くなるだろう。
「その子が昨日話していたマリーかい?」
そうしていると横からイブが口を開いた。そういえばイブはまだマリーと会っていなかったのか。マリーの事話したっけなって思ったけど、多分昨日ご飯食べてる時にノノが喋ったんだろう。
そんな話をしていた気がする。多分。正直食べるのに夢中であんまり聞いてなかったけど、イブが知ってるって事は多分そうなんだろうなって。
「…そう、マリーこっちは仲間のブレイブ」
「ブレイブさんですね!!私マリーです!!よろしくお願いしますね!!!」
「ふふっ、ああよろしく頼むよ」
元気よく挨拶したマリーを見て、イブの顔が綻ぶ。やはりマリーの笑顔には人を癒やす力があるな。俺も彼女のその笑顔を見ていると、何か世話を焼いてあげたくなる。飴ちゃんとかあげたくなる。
「えっと、もしかして今日は皆さんで依頼を受けに行かれるのですか?」
俺もマリーの笑顔に癒やされていると、俺達三人が揃っているのでギルドで依頼を受けると思ったのだろう。マリーが少し不安そうに聞いてきた。
「…ああ」
「よかったらマリーも来るかい?君の事は昨日クロ達から聞いているけど、まだ冒険者になって浅いのにかなりの実力があるそうじゃないか」
「いえ!私は…ししょーの教えのお陰です!!」
俺一言もマリーの事喋ってないよね?適当にうんうん頷いてただけだ。あとマリーも、俺大した事教えてないよ。多分他の冒険者でも知ってたことばっかりだと思う。偶々俺が教えただけで。魔法に関しては完全にノノ御大のお陰だ。
「その…私も行っても大丈夫でしょうか?」
そんな捨てられた子犬みたいな表情をされて断れる人間など居る訳がない。そもそも断る理由も無いしな。俺の教えた剣の技術、ノノの教えた魔法の力。その二つを異常な速さで吸収した彼女はギリ森で生きていけるくらいの実力はあるだろう。
戦力になることはあっても邪魔になることは無いだろう。
「…勿論だ」
「!!ありがとうございますししょぉー!!!」
不安な顔から一点、マリーは満点の笑顔で応えた。やはり彼女には笑顔が似合うな。
そうしてマリーを加えた四人で俺達はギルドへと向かっていくのだった。