短めです。
自分はもっと強くは成れないのだろうか…ブレイブ・グラディウスは考える。
城塞都市ソノーヘンに来てから四日、仲間であるクロやノノの能力は疑うまでも無いが、自身の実力に関しては懐疑的だった。
そもそも力を求めてイカナ山脈に行ったのである。にも関わらず、強敵に挑むわけでもなく、安全マージンを取ってその上で偶々カイナ村に辿り着いただけなのだ。
と、本人は思っているが、実際のところその戦闘力は上がっていた。イカナ山脈の濃いマナ、そして奥へ進むほどに強くなる“重力”。本人は疲れで体が重くなっていると感じていたが、実際のところは違った。
その様な環境で過ごして実力が上がらない訳は無いのだが…剣士として自分よりも実力が上のクロ。圧倒的な力で敵を粉砕するノノを見ていると、尖った能力の無い自分が弱いと感じるのも無理の無い話だった。
「クロ!私が強くなるためには何が必要だろうか?」
「…なるほど」
圧倒的な剣技を持っているクロに相談すれば、何かヒントをくれるだろう。ブレイブはそう考える。
(彼程の剣の腕前ならば何かヒントをくれるに違いない!!)
そう考えていたが、ブレイブはクロの事を剣の達人、武人、だ等と考えて居たが、実際のところクロは唯のコミュ障素振り馬鹿である。
考え込むような表情をしては居るが、その実(俺に言われてもな~、魔法剣の事とか分からんし)等と考えているだけである。
しかし、歴史を変えるのはいつも計り知れない馬鹿か天才なのである。
「…内側から焼いてみてはどうだ」
単純に以前、調理に役立ちそうだなと思ったことを、今回そのまま言葉に出しただけである。
内から焼いたら美味しそうだな、としか考えていない。
「!!なるほど!!確かに外側は炎に強くても内側まで強いとは限らない!流石はクロだ!!!」
そして馬鹿と馬鹿は共鳴する。ブレイブもまともそうに見えるだけの馬鹿であった。そもそも馬鹿でなければイカナ山脈に強くなりたいから、等というだけの理由で軽装で向かうわけもないし、馬鹿が剣を振っているのを見るだけで運命を感じる事も無かっただろう。
まあこれに関しては馬鹿の剣が無駄に洗練されていたので仕方が無い様な気がしなくもないが…きっと馬鹿の剣はこれからも無駄に勘違いされていくのだろう。無駄に美しいのだから。そして美しい物とは本人の意志とは無関係に人の心を乱していくのだ。
帝都の師匠の尽力によって、なんとかまともそうに見えるだけのブレイブは、見事に馬鹿に感化された。
「しかし、どうやって中から焼けば良いのだろうか…」
「…切り傷から差し込めば…出来るかも?」
今まで静かにしていたノノが口を開く。
「…!なるほど。よし!早速試そう!!」
そうしてこの日必殺の剣。内爆炎斬、通称エクスプロージョンスラッシュなる馬鹿みたいな技が誕生し、目出度く焼き肉剣士ブレイブが誕生したのである。
なお、素材が痛む為、通常時の使用は制限される事となった。