全然関係ないんですけど、悪魔のwikiを見てた時に、悪魔を自称する人間の欄にデーモン閣下が居て腹筋が死にました。
マリーを含めた四人でギルドに着いた俺達だったが、いつもに比べてやけにギルドが騒がしいことに気が付いた。
「何かあったんでしょうか?」
「最近魔物が活発だと言っていたからね。その関連かもしれないね」
マリーが疑問を呈すると、ブレイブがそれに返した。う~ん、何か危ないことが起きてないと良いんだけど…だって何か起きるって事は素振りの時間が減るって事だからね。これ以上減られては困るのだ。とっても。
ギルドのその状況を気にしながらも、俺達はクエストが張り出してあるボードに向かおうと歩き出す。すると周りの冒険者の声が聞こえてきた。
「森の中で地竜が討伐されたんだと」
「まじかよ!?発見じゃなくて討伐?下手なパーティーが見つけなくて良かったな」
「ああ…だが、なんでも地竜は手傷を負っていたらしいぞ」
「何?つまり地竜を追い詰めた何かが居たのか…討伐したのは何処のパーティーだ?」
「ああ…あの最近きたイカれたあれだよ…」
「ああ…あのイカれた…」
地竜?話にしか聞いたこと無いけど、確かめちゃくちゃ強いっていうやつじゃん。こわ~、昨日とか出会わなくて良かったわ。俺の前に現れたのがトカゲくんで良かった。
にしてもイカれたパーティーってなんだよ。なんかそのパーティーの話を出した途端におっさん達の目が死んでたんだけど。
「地竜ですか、それならこの騒ぎも納得ですね」
「…地竜を倒せるなんて、只者じゃない」
ノノとイブの会話からもやはり地竜はめちゃつよっぽいな。ま、でも討伐されたならも安全だな!!俺達はそこそこの魔物を狩って稼ぎにさせて貰うぜ!!
なんて若干のフラグを立ててしまったからだろうか、面倒事が向こうからやってきた。
「申し訳ありません、ブレイブ様ですね?緊急事態の為少しお話させて頂いてもよろしいでしょうか?」
「構わない、仲間も一緒で大丈夫かな?」
ギルドの受付嬢がイブに話しかけてきた。緊急事態って…なんか危ない事に巻き込まれようとしてます?俺だけ素振り留守番出来ないかな?
ほら、俺とノノはまだ十級だよ?弱いよ?多分足手まといだよ?
しかし受付嬢はちらりと此方を伺うと、問題ないと言ってきた。マジカヨ。
「では、此方へ」
そうして俺達はギルド嬢に着いて行くのだった。
「馬鹿な!この辺りに地竜が出るなんて僕のデータに無いぞ!!」
会議室の様な所に連れて行かれ、ドアを開けると驚愕した声を上げている人物が目に入った。
丁寧に切り揃えた髪型でメガネをかけた若い男だった。データキャラ辞めちまえ。その男は俺達が入って来た事に気が付くと、メガネをクイクイし始めた。その他には冒険者と見られる若い男が一人に女の子が二人。
そして恐らくこのギルドの責任者であろうと思われる、厳つい壮年の男性だった。何人も人を殺めてそうな顔をしている。こわ~。
「来たか…お前がブレイブだな?」
「そうです。貴方はここの…?」
「ああ、このギルドの分会長のアーノルドだ」
やはり、この推定殺人鬼は責任者だった様だ。そしてその分会長さんは今回何故俺達、正確にはブレイブを呼んだのか説明を始めた。
「皆、知っていると思うが近頃この付近で普段とは生息域の違う魔物が確認されていた。そして昨日の深夜地竜が討伐された。通常この辺りに地竜は生息していない。その地竜の存在の所為で、いつもは町の近くまでは来ない魔物達が逃げてきていたということだな」
なるほど、そういえばイブがそんな事言ってた気がするなぁ。それも地竜くんの所為だったのね。ならこの件は一件落着だな!ガハハ!!
分会長は俺達を見渡し、話を理解しているようだと判断して話を続ける。
「そして、話しはここからだ。魔物の生息域は徐々に戻っていく筈だが…問題は地竜が何処から現れたか、だ」
「地竜はこの辺りに生息していない。つまり何処かの地竜が偶然迷い込んだだけでは?僕のデータもそう言っている」
分会長の話にデータ野郎が言葉を挟む。まあ確かに普通に考えて生息してない魔物が確認されたなら、それは何らかの理由によって迷いこんだってのが妥当なところだろう。
しかし分会長はいやと首を振る。
「そうであれば良いのだが…確かに生息はしていないが、存在は確認はされている」
「な…そんなの僕のデータには…いや、まさか…ダンジョンか!!」
データくんが何やら一人で盛り上がっている。しかし、ダンジョンか。確かダンジョンの魔物って外から入り込む事は有っても、基本的に中から外に出ることは無いんじゃなかったっけ?
「ああ、データロウの言う通りだ。俺はダンジョンから魔物が溢れたと睨んでる」
「だがっ…」
「そう、通常ならあり得ないが、最近各地のダンジョンが活発化しているらしい、そこで今回集まってもらったお前たちに、地竜が確認されているダンジョンの調査依頼を出したい」
え~、面倒くさい…とは今回はならないのだ!何故なら、ダンジョン!それは素晴らしき過去の遺産の地!前から行きたいとは思ってたんだよね。でも行く機会無いし、行くとしても帝都に着いてからになると思ってたけど。まさかこんな所でチャンスが来るなんて!
行きたい行きたい行きた~い!!!俺も一緒に連れて行って!!!
「…急いだほうが良い」
やべっ、思わず声に出してしまった。
「お前は…」
「彼はクロです。今は十級ですが、四級の私よりも余程の剣の実力があります」
「ほぉ…」
俺の言葉に反応した分会長に、イブが返してくれた。ありがとう!でも俺多分君よりも弱いよ。趣味で素振りしてるだけの一般人だし。
だから分会長も俺のことを値踏みする様に見るの辞めてね。一通り見て満足したのか、分会長は再び口を開く。
「ま、元々ここに居る全員に出す依頼だ。今回行って貰うダンジョンは現在は四級ダンジョンだ、過去には先程言った地竜など確認されていたが、今ではそこまでの魔物は確認されてなかった。が、何が出るか分からん。断るかどうかは各自の判断に任せる。どうだ?」
分会長は俺達の意思を確認してきたが、誰も断る気がないようだと分かると満足そうに頷いた。
「では、任せたぞ。期限は三日だが、今日行けるなら行ってくれ」
そう言い残すと分会長は部屋を出ていった。
「じゃあ、まずは自己紹介でもどうだろうか?私はブレイブ、こっちからクロ、ノノ、マリーだ。俺以外はまだクラスは低いが、皆相応の実力を持っているから安心してくれ」
この後どうしようかな~って思ってたけど、イブが自己紹介を始めてくれたお陰で、なんかそういう流れになった。ありがてぇ~。
「じゃあ、次は僕が。僕の名前はデータロウ、三級冒険者だ。よろしく頼む」
次にデータくんが自己紹介をしてくれる。データくん三級冒険者だったのね、めっちゃ実力者やんけ。でもデータキャラは辞めた方が良いと思う。
そして、今まで口を開いていなかった三人組の内、男が口を開く。
「俺はアキラ!ニ級冒険者だ!こっちは妹のヨウとツキだ。妹共々よろしく頼むぜ!!」
なんかめっちゃいい人そうじゃん。背丈はイブと同じくらい、長めのオレンジ色の髪を大雑把に後ろで一結にしている。快活で邪気を全く感じない顔でこちらに笑顔を向けてくる。腰に帯刀してるし、きっと剣士なんだろう。
妹も居るしなんかちょっと親近感湧いちゃうな。
「ヨウです、よろしく」
「ツキですー!よろしくです!」
白い髪の方がヨウ、黒髪の方がツキだと名乗った。二人共髪を肩程まで伸ばして髪型をお揃いにしている。二人共四級らしい。そしてアキラと同じ様に帯刀していた。
この子達も剣士なのか。女の子だと珍しい気がするな。まあでもそんな事より何よりも…
なぜこの二人がメイド服なのかの方が気になった。
「…なんでメイド服?」
俺と同じことが気になったのだろう。ノノが質問してくれた。やはり一家に一台ノノだな。聞きにくい事を代わりに聞いてくれる!そこが助かる有り難い!痒いところに手が届く、そんな存在。
「私達はお兄ちゃんのメイド!なので!」
「…そうなんだ」
もしかしてオレンジくんって変態なんだろうか。剣士だし、妹居るし親近感湧いていたんだけど…妹にこんな事させてるの控えめに言って変態じゃんね。
ノノもドン引きしてるし…いや、ノノだけじゃないな、皆ドン引きしてる。データくんだけは『データ通りだ』とか言ってるけど。
「そんな訳で俺達三人がパーティー“妹大好きお兄ちゃん”だ!!」
なんて?
「「「「なんて?」」」」
俺達四人の心が一つになった。余りの驚きに口にしてしまった。いや、するだろう聞き間違いじゃないよね。聞き間違いであって欲しいけど。
「“妹大好きお兄ちゃん”だ!!」
あっ、はい。聞き間違いじゃ無いんすね…それがパーティー名とか可怪しくないか?やはり変態さん…仲良くなれそうだと思ってたけど無理そうですわこれ。
あっ!おっさん達が言ってたのってこいつらの事かぁ…
「俺はすべての妹を守る存在だからな!!」
う~ん、ド変態。ノノとマリーがオレンジくんを変質者を見る目で見てた。残当。