田舎で剣だけ振っていたい   作:深海 星

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めちゃくちゃ投稿遅れてすみませんでした!
ちょっと体調が良くなかったので遅れてしまいました。
しばらくはまたそこそこの頻度で投稿出来ると思います!!

いい評価も低い評価も付けて頂いて大変嬉しいです!
高い評価はもちろんうれしいのですが、個人的には低い評価も同じくらいうれしいです。
低い評価があるって事は自分の作品がそんなに気に入らないタイプの人の目にも触れたって事なので!
あんまり低い評価ばかりだと悲しいですけどねw
でも嬉しいです!ありがとうございます!!


18 長い一日の終わり

------sideクロ

 

 壁を壊そうと、剣で斬ったのが間違いだったのかも知れない。

 

「斬った」

 

 斬った。斬ってしまったのだ。人形の何かを。そして倒れる真っ二つになった何か。えっ!?人じゃないよね?魔物だよね?でも人形だったしやったかこれ?

 

「終わった…」

 

 終わったかもしれない…いや、まだ人だと決まった訳でもないし、悪人であった可能性もあるし…そして今気が付いたけど皆居るじゃん。イブにノノにマリーにデータ君に変態妹s、あ、変態兄貴は壁際でなんか蹲ってる。大丈夫?お腹痛いの?まあとにかく皆様勢揃いでいらっしゃります。

 突然壁を破壊して人間が出てきた上に、人…かも知れない何かが真っ二つになった場面を目撃したからか、口が開きっぱなしになっていた。

 ノノだけは何故か涙を浮かべている。あっ、これやっちゃった奴?人間だった?だとしたら俺はきっと噂に聞く刑務所なる場所に行くことになるのかも知れない。ノノはきっとこれから訪れる俺の悲惨な人生に同情でもしてくれているのだろう。優しいね。

 

「クロッ!!」

 

「うっ!」あ

 

 急にノノが俺の顔に向かって抱きついて来た。前が見えねぇ…頭をギリギリと締め付けるように抱きしめてくる。本当に心配してるのかこれ?取り敢えず前が見えないと困るので優しく引き剥がす。そしたら今度は背中にひっつき始めた。まあ背中なら良いかな。

 その時俺はふと違和感に気がついた。俺達がこのダンジョンに入ったときに人数は、俺を含めて、ノノ、マリー、イブ、データくん、変態兄妹の八人だったハズだ。

 でも今そのメンバーは全員ここに居る筈だ。ならば俺が斬ったこの人?は誰?

 

「さすがはクロだな、まさか一撃で倒してしまうとは!」

 

「流石ですししょー!!」

 

「…ああ」

 

 え?どゆこと?もしかして指名手配犯だったりしたのかな?

 

「コソクザの死体が枯れ木の様に…もしかして…」

 

「知ってるのかデータロウ」

 

 データくんと変態兄貴が俺の殺した人の検分をしている様だった。枯れ木の様に…?なにそれ怖い。

 あと変態兄貴ものすっごいボロボロなんですけど…妹達に支えられて此方に歩いて来ていたが、データくんと話す頃には普通に一人で歩いていた。

 服とか見るに強烈な攻撃を受けた後に見えるんですけど、回復早いっすね。

 

「ええ、僕のデータに依ると、確か植人族が死後この様な姿になった筈だ」

 

「植人族ぅ?つーと確か…」

 

「彼らは森の深くで生活をしている筈。この辺りに住んでいるといったデータは無かった筈だが…」

 

 データくんの話に依ると、どうやら植人族とは人形の植物の様な種族で、基本的には水や陽の光だけで生きていくことの出来る種族らしい。

 その特性から森の奥深く、自然の豊かな地域で暮らすことが多いらしく、発展した町や人の多い場所には来ないらしい。

 話を聞いている内に気がついたのだが、どうやら皆はこの植人族と戦闘になっていたらしい。な、ならセーフか。まあ相手も此方の命を狙っていたらしいし悪人に慈悲は無し!

 実際犯罪者と戦闘になった場合は相手を殺してしまっても正当防衛になるらしいが、自分が、それも意識せずに人間を殺したとなるとかなり複雑である。

 

「だが変だな…」

 

「…変とは?」

 

 取り敢えず刑務所なる場所に行かなくても良さそうだと考えてたら、データくんが神妙な顔付きで名探偵みたいな事を言い出すからつい聞いてしまった。

 

「ああ、確かクロだったな。お前の強さはかなり気になるが、まずは問いに答えないとな。変と言うのはこの死体の事だ」

 

「…死体?」

 

「そうだ。植人族は確かに死亡すると枯れ木のようになってしまうが…この様に即座に乾いてしまう程では無いはずだ」

 

「…ふむ」

 

 ふむ?全然分からん。つまりどう言う事?なんと無く相槌を打っただけだったのだが、データくんは何か勘違いしてるのか、察しが良いなと言って続きを話す。

 いえ、何も察して居ませんが…

 

「これは寧ろトレント系の魔物の特徴だ」

 

「あ~、確かにトレントって倒したらすぐに乾くよな。でもこいつは人形だったぜ?」

 

「そこが分からないんだ」

 

 う~んう~んと頭を悩ませだした二人。そんな二人を尻目に髪の毛が白い方の妹が俺が出てきた空間を指さして口を開く。

 

「クロさんが出てきた所、部屋になってる?」

 

「あ、本当だ!」

 

 その言葉に髪が黒い方の妹も反応する。それを聞いた皆も俺が壊した壁の先を見る。そこには俺が壊した赤い宝石と、書斎の様な部屋へと続く扉がある。

 

「なんだこの砕けた宝石?」

 

 データくんと一緒に悩んでいたはずの変態兄貴がいつの間にか部屋の中に入り、俺の壊した宝石を手に持っている。

 それを手に持って俺に聞いてくるが、俺も知らないんだよなぁ…なんとなく嫌な雰囲気がしたから壊しただけなんだけど。

 

「…嫌な物だ」

 

 俺は感じたままの事を言うことにした。まあ嫌だなって感じしかしなかったし。壊したらその雰囲気も霧散したから間違いではなかった筈…多分。

 

「これは…マナの収集装置なのか?」

 

 これまたいつの間にか部屋に入っていたデータくんが何やら語り出した。

 

「唯の宝石に見えるが、何かしらの機能を持たされた魔石なのは間違いなさそうだ…もしかするとコソクザはこれによって強化されていたのかもしれないな」

 

 えっ、何それは。

 

「タイミング的にもクロが壁を破壊する少し前にコソクザの様子がおかしくなった様に見える…まさか分かっていてやったのか!?」

 

 いや、全く知らないんですけど?でも君はそう言うのならそうなんだろう。君の中ではな。

 

「…そうかもな」

 

「…!!」

 

 よし!これできっと故意じゃないって分かってくれただろう。データくんも小さい声で『なんて奴だ』って言ってたし。

 本当、冷静に考えてよく分かってないのに宝石壊すとかなんて奴って言われてもしょうが無いよなって。自分でもちょっと短絡的だったなって思わなくも無いけれど、森の中の生活では基本的に自分の直感に従った方が良い結果をもたらす事が多かったので、後悔はしていない。

 

 その後、書斎の様な部屋も皆で調べたのだが、俺が入った時には存在していた筈の本や、書きかけの紙などは消えており、残っているのは本棚と机だけだった。どういう事なの…

 

「分からないことも多いが…今日の所は帰るとしようぜ!皆も疲れているし」

 

 変態兄貴はそう言って辺りを見回す。確かに皆疲労が溜まっているように見える。もしかすると俺と別れてから強い魔物と戦って消耗していたのかもしれない。

 それで俺が斬った枯れ木野郎にも苦戦していたのかもしれないな。俺の一撃で倒れるような相手に苦戦するとも思えないし。

 

「それがいいと思う。正直に言って今ここで調べても分かるとは思えないからね」

 

 イブもその言葉に賛成し、皆もそれに頷く。そうして俺達の初めてのダンジョン探索は終わりを告げたのだった。

 

 

 

 

 

 何事もなくダンジョンを脱出し、俺達はソノーヘンの町まで帰って来た。ギルドには皆で報告に行くものだと思っていたのだが、報告はデータくん、変態兄貴、イブの三人でする事になった。

 いや、俺はほぼ単独で動いていたので報告に着いてきてくれと言われたのだが、正直行った所で分からないとしか答えようが無かったので断ったのだ。

 なので俺達は今、ギルド内の食堂で食事をしながら三人を待っているのだった。冒険者は体を酷使するので食事の量が多くなる。俺とノノは更に良く食べるので、机の上にはかなりの量の食事が運ばれてきていた。

 

「…クロ本当に無事で良かった」

 

「そうですよししょー!死んじゃったかと思いました」

 

 チキンステーキを切り分けながらノノは口を開く。俺がトカゲと共に壁と破り、下に落ちていった時の事を話している様だ。ノノの言葉を肯定してマリーも続く。どうやらかなり心配をしてくれていたらしい。

 まあ実際上手く落下スピードを落とせなかったら死にはしなくても骨折くらいしてたかも知れない。ティナが言っていたが、女の子は心配性らしい。だから一緒に寝てくれとよくせがまれたものである。

 きっとノノとマリーもそうなんだろう。その気持は素直に有り難かった。

 

「…ありがとう。それに俺は死なん」

 

 なので俺は素直に感謝の気持ちを伝えた。ついでにあの位だったら死なないよって事も。実際かなり焦りはしたが、村に偶にくるババアにされたシゴキに比べたら全然ましである。

 

「…そう、なら良い」

 

 ノノはそれだけ言って、食べるのに集中し始めた。マリーはそんな俺達を見てニコニコしている。

 

「クロさんの剣術って誰に習った物なんですか?」

 

 俺達のやり取りが一段落したのを見て、白髪妹が話しかけてくる。

 そもそも俺のは剣術ですら無いしな。ただただ暇だから、そして剣を振るのが好きだから趣味で振ってるだけだ。素振りをするようになった理由があった様な気がしなくも無いが…覚えてないな。

 

「…習ってはいない。唯の趣味だ」

 

「ええ!?趣味でそんなに強いの!?」

 

 何やら黒髪妹が驚いてるけど、正直俺ってそんなに強く無いんだよな~。弱くもないとは思うけど、村には俺より強い人結構居たし。

 

「…俺は強くない」

 

「ふ~ん」

 

 黒髪妹は納得してくれたみたいだ。そうそう、そんな大層な人間じゃないんだよ俺は。

 

「ねぇクロさん!私にも剣を教えて下さいよ!」

 

 等と白髪妹がほざき出した。えぇ…嫌ですけど…そもそも俺強くないって言ったやんけ。俺の剣なんて教える様な物じゃないって。

 あっ!そうだ!良い断り方を思いついたぞ。

 

「…済まないが、俺の弟子はマリーだけだ」

 

「!!し、ししょー!!!」

 

 うんうん、こう言っておけば諦めるよね。諦めてね?教えることとか一切無いから。あとなんかマリーがすっごいキラキラした目でこっちを見てくる。何故だ。

 

「え~、まあしょうがないかぁ~」

 

 黒髪妹はなんとか諦めてくれてみたいだ。良かった良かった。その後は基本女子同士で話始めたので、俺は基本的には食事をするだけだった。

 偶に相槌を打ってなんとなく聞いてますよ感だけは出しておいた。

 

 そうして三十分以上はたった頃に、イブ達が戻ってきた。どうやら今日はもう解散するみたいだ。イブ達は報告時にかなり色々聞かれたらしい。皆疲れている様だ。

 

「ああ、そうだクロ、アーノルドさんが明日話しがしたいそうだから朝ギルドに来てくれ」

 

 別れ際にデータくんが爆弾を落として行った。行かなきゃ駄目?あ、駄目ですよね…

 

 

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