「一目見て分かった!!君こそ私の運命なのだ!是非とも私のパートナーになってくれっ!!」
推定旅人であろう赤髪の男と目が合ったと思ったら、物凄い勢いで走ってきて意味の分からない事を言い出した。えぇ…怖ぃ…都会の人怖いよぉ…お家帰りたいよぉ…まあここがお家なんだけど。
あと俺普通に男だよ?女の子じゃないよ??普通に筋肉ある方だし分かるよね?パートナーって何?アタシになにする気よッ!!!なんて頭の中で色々と意味の分からない事を考えていると赤髪が再び口を開いた。
「すまない、私としたことが冷静さを失ってしまっていたようだ」
うわああああ!!急に落ち着くな!!逆に怖いよ。
「私の名前はブレイブ・グラディウスだ。普段は帝都にて剣の腕を磨いているが、このイカナ山脈に武者修行の為に来ている。」
な~るほどね。この赤髪変態お兄さんは剣の実力を上げるためにこの山に来たのか。というかこの山イカナ山脈って言うんだ…初めて知ったわ。そしてこの男は確かに立派な剣を背負っていた。俺の家は代々鍛冶師の家系だ。俺の剣だって自分で作ったのだ、まあ俺には鍛冶師としての才能は全く無いので剣は本当に切れ味を無くして只々大きくなっていたのだが…そんな俺でも、いやだからこそこの男の剣がいかに鋭くそして大切に使い込まれてきたかが分かる。
変態ではあるが剣の実力は確かで、そして真剣に向き合っているのだろう。そう考えると悪い人では無いのかな?変態だけど
「…ふむ」
「そしてこの村に来て君の剣を見て確信した…!私がこの村に来たのは運命だったのだと!!君のその美しい剣捌き素晴らしい!!!是非とも私と冒険者をして欲しい!!どうだろうか?」
「……なるほど」
つまり冒険者としてのパートナーになって欲しいってワケね。紛らわしいわっ!!話は確かに分かったんだけど…でもな~俺はこの田舎でのんびりと剣を振って過ごす日常に満足しているのだ。別に冒険者になりたくないと言う訳ではないが、正直な所面倒くさい。剣を振るのは好きだが別に魔物を倒すのが好きな訳ではないのだ。勿論生きていくのに必要であれば狩るのだが…どうして断ろうかな…なんて事を考えていると近くに居たティナが言った。言ってしまった。
「いいんじゃない?帝都、行ってきたら?」
何ぃぃぃいい!?いつもは俺の考えている事なんて全てお見通しですみたいな顔をしておいて何故ここで断らないのだ!お前なら分かっているだろう俺が行きたくないと思ってる事を…いや、まて、もしかしてそういう事なのか…!?
俺は察してしまった、この妹は俺をこの村から追い出そうとしているのだ…確かに剣を振る事以外は殆どこの妹に頼り切っていた。そして妹はついにこの兄に見切りをつけたのだ。毎日毎日剣を振って過ごす木偶の坊を手放すチャンスだと…!!
やばい、割とショックかもしれない…俺に懐いてくれているから世話を焼いてくれているのだと思っていたのだが、もしかするとこの家に拾ってもらった恩義を返す一心で俺の世話を焼いていただけなのかもしれない…そしてその恩義はもう返した…だからお前は出稼ぎにでも行って来いと、そういう事なのだろう。
「君の家族もこう言ってるしどうだろうか?」
「…ああ」
「!良かった!早速明日にでも出発しよう!」
「…ああ」
俺が打ち拉がれていると男が何やら話しているが、正直俺はそれどころではなかった。妹に嫌われたかもしれないというショックで魂が半分程抜けていた。
「ブレイブさん武者修行に来たって言ってましたけど、そんなにすぐに出発しちゃって良いんですか?」
「ああ、正直この辺りはマナが強すぎてな…その影響か体も普段より重たいのだ、私にはまだこの山は早かったようだ」
「そうですか、確かにこの辺りはマナが強いらしいですからね…ずっと暮らしている私達にはあまり分からない事ですけど」
「うむ、それに武者修行というならばここに来るまでに十分にその目的は達したと言っていいからな」
後ろでティナと男が何か話しているがどうでも良かった。この際妹に嫌われたかもしれないことはどうでもいい!!良くないけど…しかし今一番にやらないければならないのは帝都行きを断ることである。どうしよう…何か、何か手は無いのか!!
ハッ!!その時俺に電流走る!!そうだこの男は武者修行の旅に来たと言っていた、つまり!この村で修行とやらをさせれば時間が稼げる…!!この手だ!これしか無い!!時間稼ぎにしかならないが今!ここで!!やるしか無い!!
「それでは明日からおにいちゃんをよろしくお願いしますね!」
「うむ!よろしく任された!!」
時すでに遅し、この時にはもう俺は帝都に出荷されるのが決まっていたのだった…なんでさ…
人物紹介
クロ・スミス
黒髪黒目、身長180cm程度
元々よく喋る少年であったが、素振りに夢中になるあまり段々と口数が減っていった。
妹が出来てからは更にコミュ障が加速していった。頭の中はうるさい
自前の剣は重さが足りなくてどんどんと自分で重くしていった結果鉄の塊に。鉄の塊を振りまくった結果ムキムキに
鍛冶屋の息子なので自分で鉄を取りに行って自分で剣を打った。
細かいことに向かない性格なので鍛冶師は向いていない、フライパンなど作ろうものならぐにゃぐにゃになる為、家業を継ぐ事は期待されていない。もともと村の中で得意なものがその職業につく為別に両親としても困っていない。
固有名詞を覚えるのが苦手