田舎で剣だけ振っていたい   作:深海 星

7 / 21
あれ?私の作品セリフ少なすぎ!?ってなったのでセリフ増やします。


7  ダンジョンほど心踊る単語も無い

 赤竜に吹き飛ばされた俺たちに待っていたのは谷だった。谷間に綺麗にホールインワンし、深い谷底へと落ちていく。あかん死ぬぅ!まずいまずい。どうしよどうしよ。そうだ!とりあえず勢いを殺さなくては!そう思い至った俺は剣を壁に当てて、勢いを殺す事にした。

 

「掴まれッ!!」

 

 俺一人だけで助かる気は無いので二人に声を掛ける。すぐ側で飛ばされた事が幸いして、二人とも俺に掴まることができた様だ。剣を壁に当てる。あかん(剣の切れ味が)死ぬぅ!!まあこの剣自体の切れ味は、元々無いようなものなのでいっか!なんとか勢いを減らしたは良いものの、当てているだけなので止まる訳ではない。そうこうしているうちに谷底が見えてきた。

 轟轟と音を立てながら大量の水が勢いよく流れていた。川やんけ、俺泳げないんだけど。落下という重力に従った物理法則の前に止まる術はなく、三人仲良く落ちていった。

 

 

 

 

 

 

 

 目が覚めると見覚えのない森の川辺に寝転がっていた。辺りを見回すとノ…えーと、エルフの少女とイブが焚き火と囲んで何やら話していた。二文字の名前覚えられないとかマジ?なんかすっごく覚えやすかった気がするし、イブも何度か名前呼んでた気がするんだけど…我ながら本当に人の名前が覚えられないなぁ。てかここ何処だろう?

 

「…ここは…?」

 

「クロ目が覚めたか。ここがどこかは分からないが、川辺にノノが引き上げてくれたらしい。」

 

 ほーんノノがね…ノノだ!そうそうノノだよノノ。すっごい分かりやすいのにそれすら覚えられてないのマジ?まあでもこれで覚えたし?問題無いし!きっと大丈夫!そうして自分の罪と向き合って(?)居るとイブがノノがマナを体に溜め込んで、それを身体能力に変更できるということを教えてくれた。はえ~すっごい。そんなん出来るんすねぇ。だから男二人を川辺に引き上げれたのね。

 イブとノノが荷物が流された事について話してる、ほんまやんけ、俺の斜めに掛けて体の前で結んでたバッグ無いやんけ。あのタイプのバッグってなんて名前なんだろうね?腰に着けてたちょい大きめのバッグと手に持って離さなかった鉄塊丸(デカい剣)は流されてなかった。良かったこのバッグにはティナからもらった様々なナイフが入っているのだ。ティナは俺と違って鍛冶の才能が有った為、なかなかの出来の刃物を作っていたのだ。それをなんとなく褒めてやったら、事あるごとに自分で作ったナイフを俺にくれたのだ。きっと練習して余ったのをくれていたのだろう…まあ兄なんてそんなものである。兄は妹のおもちゃなのだ。

 それにしてもお腹すいたなぁ…あっ、そこの木になってる木の実って食べれるやつかな?見たこと無いなぁ…

 

「…あれは?」

 

「あれは…!恐らくあちらに町がありますね」

 

「…町…?」

 

 えっ?なんで町の話になったん?木の実の名前を聞きたかったんだけど…イブが見ている方を見ると遠くに確かに建造物みたいなのが見えた気がした。あれ見つけたん?目良いっすね。

 

「二人共これ以上日が落ちる前に町へと急ぎましょう!」

 

「…それが良いと思う」

 

 なんかノノとイブが話してるし頷いて返事だけしとくか。

 

「…ああ」

 

 どうやら見えた町に行くらしい、木の実食べたかったけど町に行ったら食べ物あるよね。よく考えたら俺村の外の食べ物初めてかも…ちょっと楽しみになってきた。先導してくれるイブに俺は着いていくのだった。

 

 

 

 

 

 日が落ちるかって時間に町に着いた。周りが壁で囲んであってなんかすごいなぁ…この町に入るにはどうやらお金が要るらしい。あっあれがお金!?初めて見たわ、なんかジャラジャラしてるんすね。よく見ると円状に切り取られた鉄?銅?の真ん中に100とか500とか書いてある。無事に町に入れた俺達だったが、どうやら宿に泊まるのにもご飯食べるのにもお金が要るらしい。お金大活躍だな。どうやら売れる物を探しているみたいだけど…そこで俺は山で狩ったトカゲの鱗を三枚位腰のバッグに入れてる事に気が付いた。言ってもこんなもん簡単に手に入るし売れる様な物じゃないんだろうけど、ここまで俺役に立って無いし、一応出してみるか。

 

「…これは売れないだろうか?」

 

「これは…!」

 

「これであればいい値段で買い取ってくれるよ!流石だクロ!」

 

「…ああ」

 

 えっ!?こんなのが売れるの!?お金ってよくわかんないのね。ギルドと言う所でお金にしてくれるとイブが言うので付いて行く事にした。

 

 

 

 

 

 

 

 はぇ~、でっかい建物。ここはどうやら冒険者をする上で必須となる場所らしい。かなり古くからある歴史のある組織なんだそうだ。ノノが言うには今俺達が生きているのが新聖樹暦三千十八年らしく、少なくともその新聖樹暦よりもギルドの歴史の方が長いらしい。まじで!?三千年以上の歴史があるのこの組織!?もしかしなくても凄いんじゃ無いですかね…そんなノノの豆知識を聞いていると、買い取り受付とやらに着いたのだった。

 イブが何やら受付の女の人と話して、鱗を出して欲しいと言うので言われた通りに渡すと、受付の人は奥に引っ込んでしまった。やっぱりこんな大した事無いもの売れないんじゃ無いの~?そうするとなんか筋肉すっごいめちゃくちゃ怖い人が出てきた。これ怒られるやつ?

 

「これを買い取って欲しいのはあんたかい?」

 

「いえ、私は付き添いです。こちらの彼が依頼者になります。」

 

「ほぉ、このあんちゃんが…」

 

 イブの言葉を聞いてこっちを見てくる。すんごい見てくる。正直めっちゃ怖い。こういう相手は下手に刺激してはいけない。きっと否定の言葉を出そうものなら『お前を素材にしてやるぜ!』とか言って襲いかかって来るに違いない!俺はマシーンだ、ただ頷くだけのマシーンとなるのだ…

 

「これはイカナ山脈の固有種の物だ。なかなか手に入る物じゃないが…あんたのその体付き只者じゃないな。これはあんちゃんが倒したのか。」

 

「…ああ」

 

「そうか!今どきイカナ山脈に入るような命知らずが居るとはな!!こいつはなかなか手に入らない素材だ、少し色を付けて買わせて貰うぜ。」

 

 お、なんか上手くいったっぽい?やはりな、この俺の目に狂いは無かったか…怖いおっちゃんは笑いながら奥に戻って行った。正直話しの内容は全く聞いて無かったけど多分大丈夫やろ!なんかあったらイブになんとかしてもらおう。都会人って言ってたし。

 少しすると受付の人が袋を持ってきた。なにこれ。あっ、お金が入ってる?えっ、なにこれ全く分からん。使い方も分からんし、町に入る時にちょっと見たけど何やら計算をしている様だったし、俺が持ってても全く意味ないやろなぁ…あっ!イブにあげれば良いや!ここでお金あげといたらきっと失望のあまり俺の信頼度も下がるだろう。こいつ金の管理も出来ないのかよってなるに違いない…!!正直常に信頼MAX顔で見られるのはちょっと怖いのだ。

 

「…金は分からん。お前が持ってくれ。」

 

「ああ、分かった。思ったよりも金に余裕が出来た事だし、体も温めたい。今日は少し出して風呂付きの宿に泊まるのはどうだろうか?」

 

「…私もそれが良いと思う」

 

「…ああ」

 

 あれ?なんか凄い真剣な顔で受け取られたんだけど…まあいっか!それよりも宿だ!人生で一度も行ったこと無いから凄い楽しみだ。何やら色々な事を話しながら宿を探す二人の後ろを付いて歩いていると、どうやら宿が決まったみたいだった。朝夕ご飯付きだと…!!すごい!宿って凄い!!俺は素直にそう思った。

 その後イブと一緒にお風呂に入った。ああ~、気持ちいい~。こんなデカいお風呂は初めてだなぁ…こんなに気持ち良いのか…イブがなんか言ってるけど…ああ~。お風呂でぽかぽかになった俺はそのまま食堂でご飯を食べた。これが都会飯ってやつですか…まあ味としてはティナの作ったご飯の方が美味しいけど、ここまで一緒に来た友人たちと食べるご飯の味はまた違った美味しさがあった。

 

 

 

 

 

 

 

 宿で風呂に入り、飯を食い、お布団ですやすやして、起きてご飯を食べて、俺は気が付いた。素振り出来てなくね?今までは山の中だったのであんまり思わなかったけど、こうして人間の住む町に来ると疼き出す。俺の三大欲求のうちの五十%を占める、静かな庭で素振りをしていという欲が!!いつ振るの?今でしょ!

 そうと決まれば早速宿の庭を借りて振ろう!

 

「クロ、おはよう。これからの事なんだが、帝都に向かうにも荷物も金も無い。この町で装備を整える為の金を稼ごうと思うんだ付いてきてくれ」

 

 ごめん遠慮したい。ここは一旦忘れ物したとか言って部屋に戻ろうかな。しかし後ろはノノに回り込まれてしまった!!

 

「クロは冒険者登録してないよね?」

 

「…私も登録してない」

 

「おや、そうなのか。ノノはしているものだと思っていたよ。丁度いいから皆で登録しに行こうじゃないか。」

 

 こうして俺は冒険者登録をすることになったのであった。 田舎に帰りたぁい。

 

 

 

 

 

 

 

 昨日ぶりのギルドに来た俺達は、昨日とは別の入口…正面入口から建物の中に入った。おお、昨日は魔物を売るための、依頼をこなした後の人間が多く全体的に静かで、魔物の解体の音が鳴り響いていた。だが正面から入った今日はこれから依頼を受けたり、討伐に向かうのであろう冒険者達の熱気で溢れていた。これがギルド本来の姿なのだろう。これはちょっとワクワクするなぁ。

 

「二人共こっちだよ」

 

 ギルドの雰囲気に圧倒されて、入口でぼうと立っていた俺達にイブが声を掛ける。そうだった。取り敢えず登録をしないとね。イブに続いてギルドの窓口へと向かう。窓口に着くと人当たりの良さそうな女性が対応してくれた。

 

「こんにちは。本日はどの様な要件ですか?」

 

「今日はこの二人の冒険者登録をしに来たのと、私のギルド証の再発行を頼みたい。」

 

「かしこまりました。ではこちらの用紙に記入をお願い致します。」

 

 そう言って受付のお姉さんから用紙を受け取り、俺達は記入を始める。山を下りてきて色々な事が分からない俺だが、流石に文字は書ける。村に旅好きな爺さんが居るため、偶に本をくれたり旅の中で経験した事を話してくれるのだ。なのでなんとなく常識的な事は分かっているつもりなのだが、やはり話で聞くのと自分が経験するのとでは全く違うなと、昨日一日だけだが痛感させられたのだった。

 用紙には名前や年齢、種族、後は自分の戦闘スタイル、特技などを書くだけだった。ブレイブだけ再発行だからか、記入する内容が違う様だった。え~と、名前はクロ・スミス。年齢十八歳。人間。戦闘スタイル…何だろう難しいな。まあ剣でぶっ叩く事って書いておくか。特技は素振りと。出来た~!!

 俺が書き終わったと同時に二人も書き終わった様だ。書き終わりましたと受付のお姉さんに紙を渡す。なんか俺の書いた紙を見て一瞬「んっ?」って顔をしたが、流石はプロ。すぐに笑顔に戻り、ギルドの説明をしてくれるのだった。

 

「ありがとうございます。クロさんにノノさんですね。特に問題は…問題…問題は無いですね!」

 

 すっごいありそうな間が有ったけどきっと気にしない方が良いんだろうな。

 

「それではギルドのシステムに付いて私、アメリアが説明させていただきます。ギルドは冒険者を管理しランク付けを行うことでその方の実力に合った依頼を斡旋しています。ランクには十級~一級になり、基本的には一級に近くなる程実力が認められている、という事になります。ただしランクには素行や任務達成率なども関係してくるので、単純な実力だけではなく、実力に合った立ち振舞が出来るかどうかも判断させて頂きます。」

 

 そこで一区切りして、俺達に分からない部分は無いか確認をしてくれる。俺達が理解出来たと判断すると続きを説明し始める。

 

「依頼や魔物、ダンジョン等にも、ランクがあり同じく十~一。一に近づく程難易度が高くなります。基本的にはどのランクの魔物を狩ったり、ダンジョンに挑んで頂いても構いませんが、すべて自己責任とさせて頂きます。ただし依頼に関してはギルドが仲介する以上、ランクに応じてお断りさせて頂きます。自身の冒険者ランクがそのまま適正難度となりますので、判断材料の一つとして下さい。ランクの上昇はギルドが判断します。例え一級ダンジョンを今日クリアしたとしても、人格に問題アリと判断した場合はランクの上昇はありません。その逆である程度の実力と素行に問題がなければランクは上昇致します。以上となりますが、質問はございますか?」

 

「…だいじょうぶ」

 

「…ああ」

 

「それではギルド証を発行させて頂きますので少々お待ち下さい。ブレイブ様は再発行料の千グランをお支払い下さい。」

 

 そう言ってお姉さんは奥へと向かった。正直話し長くて半分位聞いてなかったけど、まあ問題行動しなければランクが上がるよって事で良いんだろう。しかしダンジョンか…なんともワクワクする響だ!旅好きの爺さんが言ってたが、ダンジョンには古代文明のお宝が眠っていることもあるらしい!まあ古代のものなので今では当たり前にあるような物の場合もあるらしいが、中には失われた技術が使われた物も出てくるらしい!正直ちょっと行ってみたい。

 

「そういえば、アメリアさんは説明してなかったけど、ランクにはもう一つあるんだ」

 

 戦うのは面倒くさいけど、お宝は欲しい。そんな俺が未来に夢をはせていると、イブが面白そうな話を始めた。

 

「十級から一級はある意味ギルドへの貢献度を加味してのランク付けだけど、素行に問題がある、でもとんでもない実力を持っている場合がある。そうした時に彼らの実力を把握していないと大きな被害が出る可能性がある。そんな時の為に特級という特例のランクがあるんだ。勿論、素行に問題が無くても飛び抜けた実力があれば特級認定されるけどね。今帝国に居る十人の一級の内半分はその特級でもあるらしいよ。」

 

 なるほどね。確かにランク付けに人格も関わってくる以上、完全な実力のみの判断は難しい。そんな時の為に特例のランクを作ることで、非常事態にその力を借りれるって訳ね。面白いな。

 イブの為になる雑学を聞き終わったタイミングで、受付のお姉さんが返って来た。

 

「お待たせ致しました。こちらがお二人のギルド証となります。お二人共十級からのスタートになります。ギルドに来られる際は必ずお持ちくださいね、活動期間が半年以上確認出来ない場合は登録抹消となりますので。伝え忘れておりましたが、ギルド証があると町の通行税が半額となりますので、その際は町の門番にギルド証を提示して下さい。そしてこちらブレイブ様の再発行されたギルド証になります。」

 

 俺達はお礼を言ってギルド証を受け取り、イブの提案でこれからの行動を決めることにした。

 

「取り敢えずはみんなの実力を兼ねて、近くの森で手頃な魔物を相手にしないか?クロは兎も角、ノノの実力を僕達は知らないからね。」

 

「…分かった、異論は無い」

 

「…それで良い」

 

 そういう事になった。なんか朝に凄い衝動に襲われた気がしたんだけど…まあ覚えて居ないなら大した事ないな!俺達(主にイブ)は周りの冒険者に話を聞いて、それなりの魔物が出てくる場所を教えて貰い、そこに向かうことにした。




セリフを増やした結果、今のところ一番喋ってるのが受付嬢とかいうギャグ
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。