日本国召喚 -新世界・防衛力整備計画- 作:後日装備
現実でも10式に30㎜RWSやAPSの搭載が検討されているそうですね。
『10式戦車』――戦後日本が開発した4世代目の
この戦車にとって初の実戦は転移早々に訪れた。
魔王軍に襲撃されたトーパ王国への、陸上自衛隊による有害鳥獣駆除を名目とした国際貢献派遣である。
トーパ王国は魔獣と呼ばれる数万体の
小隊には1両の『10式戦車』が含まれており、小隊とともにトーパ王国から魔王軍を退けるという成果を上げたものの、実戦を経て重大な課題が浮上した。
問題の一つは『10式戦車』の主砲の
魔王軍は「魔王ノスグーラ」と呼称される未知の人型知的生物が率いており、ノスグーラと対峙した同車は主砲の44口径120㎜滑腔砲を発砲。
本車専用に開発された10式APFSDS弾は高腔圧砲身から初速1,750メートル毎秒で発射され、間違いなくノスグーラの心臓を射抜いた。――だがノスグーラは即死せず、その後もしばらく活動を継続したのである。
日本が誇る最新の戦車砲と徹甲弾が、
それに
もう一つの問題は、人海戦術への対応である。
今回の派遣では問題とならなかったものの、陸自が数万という未知の害獣と対峙したことで、まるで『戦国自衛隊』のように戦車が敵に包囲されるのではないかという懸念が陸上幕僚監部に蔓延し始めていた。
これはロウリア王国との戦闘でもすでに発生しており、現地に派遣された陸自第7師団の『90式戦車』が騎兵2,000騎以上に包囲されかける自体が起きている。
自衛隊の戦車が害獣や騎兵に包囲されて身動きできなくなり、ハッチをこじ開けられて乗員を直接殺害される――全くもって考えたくない想定だった。
だが転移してから自衛隊の実戦回数が増えている以上、それを想定して早急に対策する必要性があるのだ。陸上幕僚監部は大急ぎで対策――特に陸自最新の『10式戦車』の性能強化による対策を検討し始めた。
『10式戦車』に求められたのは二つ。
一つは主砲の火力強化。
一つは人海戦術への対応。
これらを軸に強化改修が求めらた『10式戦車』は、新たな名前を授かった。
――『10式戦車〈
まず主砲の火力強化だが、目途は立っていた。
主砲の換装という解決策があったからである。
元々『10式戦車』は発展性や拡張性が意識されており、現在よりも高火力な長砲身主砲への換装が設計段階から考慮されている。
現在の主砲は44口径120㎜滑腔砲の10式戦車砲だが、例えばこれよりも砲身が長い55口径120㎜滑腔砲などへ換装することで火力の大幅な増強が可能だ。戦車砲は砲身が長いほど発射速度が増し、威力も増す。
これまで主砲換装が後回しにされてきたのは、長砲身だと地形や建物にぶつかりやすく、山岳と市街の多い日本国内では取り回しづらいと判断されたからである。だが今は取り回しよりも火力強化の方が喫緊の課題だった。
そもそもトーパ王国などの国外なら日本よりも広い地形や建物の少ない地域も多く、長砲身でも問題とならないだろうとの考えもあった。
問題は肝心の長砲身砲をどうするかである。55口径の長い砲身を持つ主砲などというのは、まだ自衛隊では制式化されていない。
転移前なら『90式戦車』の主砲ライセンス元のドイツ・ラインメタル社が55口径120㎜滑腔砲L/55を製造しており、これの購入やライセンス生産という手もあったが、それは転移によって物理的に不可能である。
だがこれも幸いなことに、自衛隊の各種火砲を製造している国内企業が、10式戦車砲をベースとした試製55口径120㎜滑腔砲を企業研究レベルで試作していた。
これは10式APFSDS弾と合わせることで、砲口初速が試験的に1,800メートル毎秒を優に超えるという驚異的な結果を叩き出しており、目を付けた陸上幕僚監部は早急なる装備化を決定。企業に対して実戦向けの調整を急ぎ求めた。
企業側の考えとしては、いずれ主砲の火力不足は必ず訪れ、主砲換装は確実に行われると見越しており、『10式戦車』の採用と同時に用意を進めていたとのことである。まさか主砲強化の理由が
試製55口径120㎜滑腔砲は微調整の後、17式戦車砲としてそのまま制式化され、『10式戦車』にもそれに合わせた射撃管制コンピューターの調整などが行われた。
こうして魔王ノスグーラとその亜種に対する優位性を獲得したのだった。
もう一つの課題、人海戦術への対応にも目途は立ちつつあった。陸幕が注目したのは、広島県にある在日米陸軍の秋月弾薬廠である。
ここは在日米軍最大かつ極東最大級の弾薬貯蔵施設であり、約7万5千トンにも上る莫大な弾薬が貯蔵されている。数十年前の自衛隊の弾薬量が約10万トンと言われていたことを考慮すると、そのとてつもない規模が伝わるだろう。
陸幕の中堅幹部は何年か前、在日米軍がここへ
陸幕は、弾薬廠へ搬入されたその
運ばれてきたのは戦車砲弾だった。米軍と陸自の現用戦車の砲弾はどちらもNATO規格で互換性があり、その砲弾も陸自の戦車で使用可能である。だがそれは自衛隊で使用していない特殊な弾種だった。
M1028キャニスター弾。
米陸軍が開発した120㎜滑腔砲用の
発射されると約1,100個にもなる直径9.5㎜のタングステン製の金属球を砲口初速1,410メートル毎秒でバラ撒き、敵兵をズタズタに引き裂く。
キャニスター弾自体は太平洋戦争でも連合軍が37㎜対戦車砲で運用し、日本兵の突撃阻止に効果を上げた実績もある。これを『10式戦車』に搭載すれば、人海戦術への対策に高い効果が見込めると期待されたのだ。
もちろん
しかし問題もあった。この砲弾が在日米軍の弾薬庫内にしか在庫が無いことだ。実戦が相次げば在庫切れしてしまう。
陸幕はその対策として、アメリカ大使館と在日米軍からコピー生産の許可を取り付けている。しかし正式なライセンス生産ではないので上手くコピー出来るかは怪しいところだった。
そのため陸幕担当者らは保険的な意味合いも兼ね、在日米軍による協力も取り付けると、別の対抗策も検討し始めた。
神奈川県にある在日米陸軍の相模総合補給廠にも赴いた担当者らは、ここから有用そうな米陸軍装備をいくつか拝借してきた。特に使えそうだったのはCSAMMと呼ばれる装備だ。これは戦車の主砲防楯上に12.7㎜重機関銃を追加設置する機関銃増設キットだ。
『10式戦車』には元々、車長用ハッチの12.7㎜重機関銃と、
要するに陸幕は『10式戦車』に機銃を追加して人海戦術対策とする、という堅実だが割と脳筋な解決策を講じたのである。
これだけで満足しなかった陸幕は、陸自がオーストリアから輸入していた
これはイスラエル軍の『メルカヴァ』戦車が搭載している市街戦用60㎜迫撃砲や、戦中ドイツ軍戦車が搭載した
他にも96式40㎜自動擲弾銃の装備や、対地警戒レーダーの搭載、相模総合補給廠に保管されていた米陸軍戦車用のTUSKキットの追加も検討されたが、これらは流石に手間が掛かりすぎるとの理由からお流れとなった。
ただし、砲塔上部にJPPS-P24地上レーダ装置2号(改)の設置用基部を追加し、96式40㎜自動擲弾銃も場合によっては砲塔後部の用具入れへ積載しておき、どちらも必要になったら砲塔上面に設置することとした(ただし96式は三脚で直接設置するという雑な方法になったが)。
なお、キャニスター弾のコピー生産は後に軌道に乗ることとなったのだが(18式キャニスター弾の名称で制式化された)、これらの装備はお流れにならずそのまま搭載することとなった。
一通りの改修プランを整えた『10式戦車〈改〉』は、生産済みの車両を優先的に改造する形で改修が始められ、55口径長砲身主砲への改修や各種追加装備を施して実戦配備が始まった。
長砲身55口径砲と各種副装備で身を固めた『10式戦車〈改〉』は、投入されたいくつかの戦役で目覚ましい活躍を見せた。
特にトーパ王国への有害鳥獣駆除派遣のような、
さらに存在が確認された魔王ノスグーラの亜種「量産型ノスグーラ」には、換装済みの55口径120㎜滑腔砲を発砲。砲口初速1,800メートル毎秒超えの超高速で発射された10式APFSDS弾で量産型ノスグーラ達の心臓を次々に串刺しにしたのである。
さらに後のアニュンリール皇国との戦争では、検討で終わった筈の米軍戦車用TUSKキット搭載も行われた『10式戦車〈改〉』達が出撃。アニュンリールが駆り出した装甲化陸戦魔獣との間で大規模な戦闘を繰り広げ、それらを次々に仕留めたのだった。
『10式戦車〈改〉』
スペック
重量:約48トン(長砲身化+装備追加により重量増加)
全長:約10.74メートル(長砲身化により1.32メートル増)
速度:時速67km(重量増により低下)
装備
55口径120㎜滑腔砲(17式戦車砲)
┣10式APFSDS弾
┗18式キャニスター弾等
12.7㎜重機関銃×2(主砲防楯上に1丁追加)
7.62㎜車載機関銃×1
60㎜小型迫撃砲×1
その他(任意で搭載)
┣JPPS-P24地上レーダ装置2号(改)
┣96式40㎜自動擲弾銃
┗TUSKキット等
気が向けばまた何か投稿すると思います。