転生したから魔法少女モノで黒幕やることにした 作:外道黒幕魔法少女
怪物対策省第4地方支部の救護室で、陽菜はゆっくりと目を覚ました。オレンジ色の短髪がベッドに広がり、彼女はぼんやりと天井を見つめる。
隣では妖精ソルが小さな羽を震わせていた
「陽菜! やっと起きた!」と陽気な声で飛び跳ねていた。
「ソル…私、どれくらい寝てた?」 陽菜が呟くと、ソルが時計の近くへと飛ぶ
壁に掛かった時計は午後7時15分を指していた
「えっ、もうこんな時間!?」
陽菜は慌てて飛び起き、救護室の外を見ると、ロビーにはまだ数人の職員と魔法少女が残っていた。
救護室のドアを開けると、受付近くで書類を整理していた職員の女性が陽菜に気づき、笑顔で声をかけた
「おや、サンライズさん、目が覚めたんですね。体調のほうは大丈夫ですか?霧雀戦、すごかったって聞いてます」
「あ、はい…ありがとうございます」と陽菜は照れくさそうに頭を下げる。
職員の隣では、陽菜より若い魔法少女が陽菜を見て目を輝かせた。
「サンライズさんですよね! あの光線、めっちゃかっこよかったです! お疲れ様でした!」 「えっと、ありがとう…」と陽菜は少し戸惑いつつも笑顔で返す。支部の仲間意識が感じられ、疲れた心が少し温かくなった。
陽菜は転移ポイントへ向かう途中、訓練場から出てきた別の魔法少女に呼び止められた。
赤髪の「フレアブライト」、救出隊チームを率いたリーダーだ
「サンライズ、起きたのですね。アクアタイドさんとブレスインパクトなら先程帰っていきました。さっきまで貴方が目覚めるのを待ってたのですが」 「フレアブライトさん…ありがとう。あの…まだ何か手伝えることってありますか?」
フレアブライトは微笑みながら言う
「いいえ、後処理も報告書も既に終わっています。お帰り頂いて結構ですよ」
陽菜ははフレアブライトに頭を下げ、急いで帰らなきゃと焦り始めた
陽菜は転移ポイントに到着し、基礎魔法「転移」を使って自宅近くの路地裏へ移動した
オレンジと金の魔法少女衣装が光と共に普段着に変わり、彼女は走って家路を急ぐ
時計を見ると午後7時50分。なんとか8時前に帰宅できそうだと胸を撫で下ろした
午後8時ちょうど、陽菜は自宅の玄関を開けた 「ただいま…」 「おかえり、陽菜。遅かったね」と母がリビングから顔を出す。家族は既に夕食を済ませており、テーブルには片付けられた食器が並んでいた
父はソファで新聞を読んでいる。陽菜は「部活が長引いちゃって…」と誤魔化しつつ、両親に魔法少女の秘密を隠している罪悪感を少し感じている
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陽菜は冷蔵庫から残り物のカレーとサラダを取り出し、レンジで温めてテーブルに座った
一人で夕食を食べながら、テレビを見る
チャンネルはちょうどニュース番組に切り替わり、画面には「怪物対策省会見」の文字が映し出された
会見の場には、怪物対策省総帥・諫原玄一郎と幹部魔法少女のオラクルプリステスが立っていた。諫原の深い皺の刻まれた顔と鋭い灰色の瞳が威圧感を放ち、オラクルプリステスは物語にでてくる預言者のような魔法少女衣装に身を包んでいる。紫を基調としたローブと頭の上の小さな冠が神秘的な雰囲気を醸し出す。
彼女の手には細い杖があり、知的な瞳で記者たちを見据えていた。記者たちの質問が飛び交う中、諫原が低い声で話し始めた 「本日未明、第4支部管轄地域で発生した鳥型怪物の襲撃について報告する。被害は最小限に抑えられ、住民の避難も完了した。魔法少女たちの迅速な対応に感謝する」
記者が手を挙げ、「怪物が魔法陣を使用したとの情報がありますが、これは事実か?」と質問すると、諫原の表情が一瞬硬くなる。 「魔法陣については現在解析中だ。詳細が判明次第、公表する予定である」
オラクルプリステスが冷静に補足する。 「我々はすでに解析を進め、怪物の動向を注視しています。市民の皆様には引き続き冷静な対応をお願いします。」 彼女の理性的な口調と巫女のような神聖な姿に、記者たちは頷きながらメモを取った。
陽菜はカレーを口に運びながら、「大変そう…」と呟く。テレビでは諫原がさらに言葉を続ける。 「怪物の動きに変化が見られるのも事実だ。今後、全国の支部で連携を強化し、対応策を講じる」
ソルは家族の前では姿を見られないように陽菜の肩に隠れるようにして「陽菜すごかったもんね! あの光線、最高だったよ!」と囁いた。陽菜は小さく頷き、複雑な気持ちで画面を見つめた
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夕食を終え、陽菜は2階の自室に戻った。部屋はこぢんまりとしており、机には学校の教科書が並んでいる。
ベッドに腰掛け、彼女は今日のことを思い返す
霧雀との戦い——霧で視界を奪う中、陽菜は仲間と共に立ち向かった。涼香の冷静な指示、伊吹の元気な声、そして自分の魔法が魔法陣を貫いた瞬間。
陽菜は最初、怪物に立ち向かう自信がなかった。でも、ソルの励ましと呟く仲間との絆で、力を振り絞ることができた。支部でかけられた言葉——職員の感謝、憧れ、称賛——が、彼女の心に温かく響いた。 「私…本当にやれたんだ」と呟き、陽菜は小さく笑う。だが、諫原とオラクルプリステスの言葉が頭をよぎる。「怪物の動きに変化が…」「解析を進め…」
霧雀が魔法陣を使った理由、陽菜はまだその全貌を知らないが、何かこれから大変なことになる予感がした
窓の外を見ると、夜空に月が浮かんでいた
陽菜は通信機を手に取り、仲間たちからのメッセージを確認する。涼香からの「今日はお疲れ様。ゆっくり休んでね」と、伊吹からの「また学校でな!という言葉に、彼女は微笑んだ
「明日も頑張ろう」と自分に言い聞かせ、陽菜はベッドに横になる。ソルがも彼女の枕元に寄り添う。陽菜は目を閉じた
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その夜、陽菜は夢を見た 目の前に巨大な太陽が浮かんでいる。眩いオレンジ色の光が彼女を包み込み、身体が燃え上がるように熱い。陽菜は息を切らし、汗が額を伝う。太陽が近づくにつれ、熱は耐え難いものになり、彼女は叫びそうになる。だが、同時に不思議な感覚が広がった。太陽は怖いものではなく、手が届きそうなほど近く、どこか懐かしい存在に感じられた
夢の中で、陽菜は両親の声を思い出す。 「陽菜が赤ん坊の頃、危ないことがあったんだよ」と母が語ったのは、陽菜がまだ物心つく前の話だ。両親はカーテンを閉め忘れ、陽菜が日差しに当たり続けたまま放置されていたことに気づかなかった
赤ん坊の陽菜は熱中症を引き起こし、ぐったりとした状態で発見された。慌てた両親は彼女を急いで病院へ運び、医師は最善を尽くしてくれた。その結果、陽菜は生き延びた。母は大泣きし、医師は「奇跡だ」と言ったという
夢の中の陽菜は、太陽をじっと見つめる。熱が身体を焼くが、彼女は手を伸ばした。太陽が近づき、光が彼女を包み込む。そして、陽菜の意識は深い闇に落ちていった
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翌朝、日曜日の朝陽がカーテンの隙間から差し込む中、陽菜は目を覚ますことができなかった 陽菜の額は熱く、布団の中で汗に濡れていた
母が部屋に入り、陽菜の状態を見て驚く 「陽菜、熱があるじゃない! どうしたの?」 体温計を当てると、39度を超える高熱。母は急いで冷えピタと風邪薬を用意し、リビングにいる父に声をかけた 「あなた、陽菜が熱出してるわ。昨日遅かったから疲れたのかしら…」 父が新聞を置いて部屋に顔を出し、「おい、大丈夫か? ゆっくり休めよ」と心配そうに呟く
陽菜は朦朧とした意識の中で、夢の太陽を思い出す。身体の熱はあの夢と繋がっているような気がした。家族が部屋を出た後、ソルが姿を現し、小さな羽を震わせて「陽菜、霧雀戦の疲れが出たのかな」と囁く
母が「今日は安静にしてなさい。病院に行くからね」と言い、再び部屋に入ってくる。ソルは瞬時に姿を消した。熱にうなされながらも、太陽の光と自分の力がどこかで結びついているような気がした