転生したから魔法少女モノで黒幕やることにした   作:外道黒幕魔法少女

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11話

 

月曜日の朝

陽菜はベッドの中で目を覚ました。昨日の高熱が嘘のように引いており、額に手を当てるとひんやりとした感触が戻っている。部屋に差し込む朝陽がカーテンをオレンジ色に染め、彼女は大きく伸びをして起き上がった

 

「陽菜、おはよう。熱下がったみたいね。どう?」


母が部屋のドアを開けて顔を覗かせ、心配そうな声で尋ねる

 

陽菜は笑顔で頷いた

「うん、大丈夫だよ。昨日は疲れてただけみたい。学校行ってくるね!」

 

リビングでは、父がコーヒーを飲みながら新聞を読んでいた

母が用意したトーストとスクランブルエッグを急いで口に運び、陽菜は鞄を背負って玄関へ向かう


「気をつけてね。無理しないでよ」と母が念を押すと、陽菜は「うん、平気!」と元気に返して家を出た

 

妖精ソルが小さな光となって肩に寄り添い、「よかったね、陽菜!」と囁く。陽菜は小さく笑いながら、通学路を歩き始めた

 

昨日、母に連れられて訪れた病院では、医師が「おそらく風邪ですね」と診断。薬を処方され安静を勧められたが、陽菜の回復力は予想以上に早かった

 

─────

 

学校に着くと、教室はいつもの賑やかさに満ちていた。陽菜が席に着くと、隣の席の女子生徒が振り返って声をかけてきた

「陽菜、おはよう! 」


「おはよう!」と陽菜が笑うと、女子生徒が目を輝かせて続ける


「昨日ニュース見てびっくりしたよね。隣町の怪物騒ぎすごかったね。魔法少女ってほんとカッコいいよね!」

「うん、ほんとすごいよね!」と相槌を打つ

 

すると男子生徒が割り込んできた


「でもさ、怪物って怖いよな。あんなのに遭遇したら俺、逃げるしかないわ」


「翔太くん、意外とビビりなんだね」と女子生徒がからかうと、教室に笑いが広がった

陽菜も笑いながら、魔法少女の秘密を隠しつつ、友だちとの日常を楽しんだ

 

朝のチャイムが鳴り、数学科の山田先生が入ってきた。40代半ばの落ち着いた男性教師で、手には教案を抱えている

教室が静まると、彼は少し硬い表情で話し始めた


「おはよう、みんな。実は最近、近隣で商品の盗難事件が続いてるんだ。商店街で、商品が忽然と消えたり、高価なものがなくなっているケースが多発してる。何か怪しいものを見かけたら、すぐに警察に連絡するように。くれぐれも自分たちで解決しようとしないでくれよ」

 

生徒たちがざわつき始めると、山田先生が手を挙げて制した


「まだ犯人は分からないけど、用心するに越したことはないからな。気をつけてくれ」

 

─────

 

昼休み、陽菜は購買で買ったメロンパンを持って校庭のベンチへ向かった

そこには水河涼香と炎堂伊吹が待っていて、涼香はサラダを、伊吹はカレーパンを頬張っていた

 


「お、陽菜! 熱下がったんだな、よかったぜ!」


伊吹がパンくずを払いながら笑うと、陽菜が「うん、昨日は心配かけたね」と返してベンチに座る

涼香が穏やかに微笑んだ


「朝倉さん、無理しないでね。戦いの疲れが残ってたんだと思うわ」


「ありがとう、涼香先輩。でも、もう大丈夫だよ!」

 

3人は戦いの話や学校の話題で盛り上がった。伊吹が突然、「なぁ、陽菜、お前あの光線どうやって撃ったんだよ? めっちゃ熱かったぜ!」と興奮気味に聞くと

陽菜が照れ笑いしながら答える

「えっと…みんなの力が集まって、自然と出てきた感じかな。自分でもびっくりしたよ」


「頼りになるわね」と涼香が頷き、3人は笑い合った

 


「ねえ、放課後どうする? 支部に行く?」


「私は少し用事があって支部に寄るつもりだけど、急ぎじゃないわ。炎堂さんは?」


「あたしは特に予定ねえな。陽菜、どうしたい?」と伊吹がニヤリと笑う

 

陽菜は少し考えて提案した


「じゃあ、せっかくだから3人でどっか寄って帰らない? 商店街でおやつでも買って、のんびりしようよ」


「おお、いいね! 」と伊吹が賛成し、涼香も「たまにはいいかもね」と微笑んだ

3人は校門で待ち合わせる約束をして、それぞれ準備を始めた

 

─────

 

放課後、校門を出て商店街に向かう途中、陽菜たちは賑やかな通りを歩いていた

夕方の陽射しが柔らかく、街は買い物客や学生で活気づいている

陽菜が「何食べようかな」と呟いていると、前方から小さな悲鳴が聞こえてきた


「ちょっと、何!?」

 

小さなコンビニの前で、店員が慌てて外に飛び出していた

店員が「誰か! 商品が消えたんです!」と叫んでいる

店のガラス越しに、棚からお菓子や飲み物が一瞬で消えるのが見えた

「え、なにこれ!?」と陽菜が目を丸くすると、涼香が冷静に周囲を見渡し、小声で言った

「魔法少女か怪物の仕業ね。瞬間移動か、幻覚系の魔法…。普通の人間じゃこんな芸当はできないわ」

「魔法少女も………!?」

「怪物はこんなことしねぇな。だとしたら魔法少女しかいねぇだろ」

 

その時、コンビニの裏手でかすかな光が揺れた

陽菜が「何かいる!」と指差すと、3人は一斉にそちらへ目を向ける

光の中で、人型の何かが一瞬だけ姿を現し、お菓子が宙に浮いているように見えた。だが、次の瞬間、姿が歪み、消えてしまった


「何!? 消えた!?」


「魔法ね。実体を隠してるか、分身を作ってるか…。追うわよ!」

3人は裏手の路地へ駆け込んだ

 

陽菜が「身体強化」で聴力を上げると、かすかな足音と「ピピッ」という電子音のようなノイズが聞こえた


「こっちだよ!」と陽菜が先導し、路地を抜けて空き地へ出る

そこにはフードを被った150cm程の人が立っていたが、近づくとその姿が再び揺れて消る


 

「へへっ、捕まえられるもんなら捕まえてみなよ!」「こっちだよ」「あっちだよ」「もうどこにもいないよ」

 

複数の声があちこちから反響し、陽菜が「どっち!?」と混乱すると、あちこちに人型現れ揺れて消えるだけだった

伊吹が「くそっ、どこだよ!」と拳を壁に叩きつけるが、気配は完全に消えていた


「逃げられたわね…。手強い相手だわ」と涼香が息をつき、陽菜が「多分魔法少女だったよね…? でも、なんで盗むんだろう」と首をかしげる。

 

その後、陽菜たちはコンビニに戻り、店員に事情を説明

盗まれた商品の代金は見つからなかったため、店員に警察への連絡を勧め、3人は肩を落として別れた。

 

─────

 

 

その夜、古びれたビルの一室で、灰原結衣はベッドに寝転がり、盗んだスナック菓子をポリポリと食べていた。14歳、中学3年生。灰色のショートカットが特徴的な少女で、部屋にはゲーム機やモニターが散乱し、壁にはレトロゲームのポスターが貼られている

ゲーマー気質の彼女にとって、この部屋は唯一の安らぎの場だった

 

………

 

結衣の幼少期は、母・美穂との幸せな時間に満ちていた

母は結衣が8歳の時、古いゲーム機と「小さな銀のペンダント」を贈ってくれた。星形のチャームがついたそのペンダントは、母が「私が子どもの頃に持ってたものなの。大事にしてね」と渡してくれた形見だった

結衣は母とゲームを楽しみ、「結衣は頭いいね」と褒められるのが誇りだった

父・健司は無口な労働者で、家族を養っていたが、結衣との関わりは少なかった

 

11歳の時、母が交通事故で亡くなった

結衣はペンダントを握り潰すほど強く握り、ゲームに逃げ込んだ

父は酒に溺れ、仕事を辞めて荒んだ生活を送るようになり、結衣への関心は薄れていった

 

結衣が13歳、中学2年生の時、彼女の人生を変える事件が起きた

ある夕方、父に無理やりコンビニに連れ出され、帰り道の路地で狼型の怪物に襲われた

父は結衣を怪物の方へ突き飛ばす

「お前が食われてりゃいい! 俺は助かる!」と逃げ出した

結衣が恐怖で倒れた瞬間、小さな光が現れ、妖精ピクセルが姿を見せた。ピクセルは感情のない声で一言だけ発した

「……魔法をあげる」

 

光が結衣に宿り、「ホログラム」の力が流れ込んだ

結衣は幻影を作り出し、怪物を惑わしてホログラムで作ったブロックで怪物を押し潰した

息を切らして振り返ると、逃げていた父が呆然と見ていた

結衣は「お父さん、大丈夫!?」と駆け寄ったが、健司の目は恐怖に染まっていた


「お、お前…何だその力は…化け物か!?」


「違うよ、魔法で…」と説明しようとすると、健司は後ずさりし、「近づくな!」と叫んで逃げ帰った

 

その夜、健司は結衣を避けるように部屋に閉じこもり、酒を煽っていた

結衣は母の形見である星形ペンダントを握り、寂しさに耐えていた

ピクセルは無口に浮かぶだけで、何も言わない

 

翌日、結衣が学校から帰宅すると、部屋に異様な空気が漂っていた

ドアが開き、父が震えながら立っている

隣には黒スーツを着た男が2人ソファにドカリと座っている。

結衣が帰ってきた姿を見ると1人の男がニヤリと笑い立ち上がり、健司を肩に掴んだ

「やっと帰ってきたか。お嬢ちゃん魔法が使えるってな? 面白いじゃねえか」


結衣が「誰ですか!?貴方たち」と驚くと、男が懐から健司の首にナイフを当てた

「お嬢ちゃん親父が借金で困ってるらしい。俺たちゃその肩代わりをしてやるよ。その代わり、お前が魔法で稼げ。親父を助けたけりゃ、高価なもんを盗ってこい。宝石でもブランド品でもいいぜ」

 

健司が震えながら呟く

「結衣、頼む…助けてくれ…俺、死にたくねえ…」


結衣は父が怯えている姿とナイフを見てヤクザの脅しに屈した

「……分かったよ。でも、お父さんを傷つけないで」


「賢い子だな。親父は預かっとく。成果上げなきゃ、どうなるか分かるな?」

結衣は父を救うために盗みを始めた

 

……

 

時は現在にもどり

「どうしよう……あの3人、魔法少女だったよね……」と呟く

父と黒スーツの男2人部屋に入ってきた

父が「結衣、今日の分はどうだった?」と声を振わせながら言うと、結衣は盗んだ品を差し出した。

父が結衣から受け取ると、黒スーツの男が奪い取りニヤリと笑う

「中々の成果だな。明日もよろしく頼むぞ」

「……もう無理だよ」

「はぁ?親父がどうなっていいのか」

結衣は立ち上がり、声を張った

「今日他の魔法少女に見つかったんだ。このままだと捕まっちゃうよ」

「なら、もっとうまくやれ。親父の命が惜しけりゃな」

 


父が震えながら言う

「結衣、頼む…俺を…」


結衣は父の怯えた顔を見て、唇を噛んだ


「……分かったよ。でも、もう限界だよ…」

父と男たちが部屋を出ると、結衣はベッドに倒れ込み、ペンダントを握り締めた

「母さん…私、どうしたらいいの…」


ピクセルが無口に浮かぶ中、彼女の心は葛藤で揺れていた

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