転生したから魔法少女モノで黒幕やることにした   作:外道黒幕魔法少女

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15話

 

灰原結衣の裁判

6月9日、日曜日

第四支部の会議室は静寂に包まれていた。窓から差し込む朝陽が、白い壁に淡いオレンジ色の光を投げかけ、部屋にわずかな温もりを与えている

長机の中央には灰原結衣——ミラージュピクセラ——が座り、肩を小さく縮こませていた。灰色のショートカットが汗で額に張り付き、彼女の緊張が手に取るように分かる。その隣には水河涼香——アクアタイド——が穏やかな表情で寄り添い、結衣の背中にそっと手を置いて安心させていた

傍聴席には朝倉陽菜——サンライズ——と炎堂伊吹——ブレスインパクト——が並び、陽菜が結衣に向かって小さく手を振って笑顔を送ると、伊吹が「緊張すんなよ」と小声で囁いた

 

会議室の奥に立つのは、第四支部の責任者を務める中年の女性だった。黒いスーツに身を包み、眼鏡の奥の鋭い目が書類を一瞥する

 

彼女の名は佐藤真由美。魔法少女たちの管理と規律を担う厳格な人物として知られているが、その裏には深い優しさがあることも支部の仲間たちは理解していた

 

佐藤が咳払いをし、低い声で話し始めた

「灰原結衣、君の窃盗行為に関する簡易裁判をここに開始する。まず、事実確認から始めよう。君は商店街で複数回の窃盗を行い、その動機が闇金グループによる脅迫だったと主張しているね。間違いはないか?」

 

結衣は目を伏せ、膝の上で拳を握り締めた。喉が詰まる感覚に耐えながら、小さく頷く

「…はい、間違いありません。私、父を助けるために…ヤクザに脅されて、お金になるものを盗んでました。でも、それが全部嘘だったって…陽菜さん達に助けてもらい、自首しました」

声は震えていたが、言葉を紡ぐたびに少しずつ力が宿っていく

 

陽菜が傍聴席で「結衣ちゃん、頑張って!」と心の中で応援し、伊吹が腕を組んで「正直に言えばいいさ」と小さな声で呟いた

 

佐藤が書類をめくり、淡々と続けた

「証拠と証言を確認した。君の父、灰原健司が闇金グループ『黒蛇』と共謀し、君を利用して利益を得ていたことは録音データで明らかだ。警察による逮捕後、君は自ら支部に名乗り出て協力を申し出た。この点は評価できる。だが、窃盗は事実であり、被害者への影響も無視できない。君の言い分を聞かせてくれ」

 

結衣は深呼吸し、涼香の手の温かさに勇気をもらって顔を上げた

「私…最初は父を信じてました。母が死んでから、父は酒ばかりで、私のことなんて見もしなかったけど、それでも家族だから…助けなきゃって。でも、怪物に襲われた時、父に突き飛ばされて、魔法を手に入れてからも『化け物』って呼ばれて…それでも、ヤクザに脅されてるって聞いた時、放っておけなかったんです。でも、全部嘘で、私を利用してただけだった。それを知った時、悔しくて…でも、私が盗んだのは私の責任だから、ちゃんと償いたいです。迷惑をかけた人たちに、謝って取り戻したい」

涙が一滴、頬を伝ったが、結衣はそれを拭わず、佐藤を見つめた

 

佐藤が眼鏡を外し、結衣をじっと見つめた。その視線に圧倒されそうになりながらも、結衣は目を逸らさなかった。しばらくの沈黙の後、佐藤が口を開く

「君の事情は理解した。無登録の魔法少女として孤立し、家族を信じた結果の過ちだ。だが、魔法少女としての力を持つ以上、その責任も重い。アクアタイド、君の意見は?」

 

涼香が立ち上がり、穏やかだが確固たる口調で応じた

「灰原結衣は過ちを認め、自ら正そうとしています。私が監視役として共に暮らし、彼女の行動を見守ってきました。心から悔い改め、仲間と共に戦う意思があると信じています。どうか、彼女にやり直す機会を」

陽菜が「そうだよ!結衣ちゃん、すっごく頑張ってるもん!」と声を上げそうになり、伊吹に「静かにしろ」と肩を押さえられた

 

佐藤が書類を閉じ、再び結衣に視線を向けた。「灰原結衣、判決を言い渡す。魔法少女としての奉仕活動を1年間無償で行い、盗んだ分の賠償を被害者に返す。また、アクアタイドの監視下で生活を続ける。これに異議はあるか?」

 

結衣が首を振る「ありません。償います。迷惑をかけた人たちに、ちゃんと謝りたいです」

その声に迷いはなく、決意だけが響いていた

 

佐藤が頷き、「では、これで決定とする。裁判を終了する」と告げると、陽菜が立ち上がって手を叩いた

「やったー!結衣ちゃん、頑張ろうね!私たちも一緒にいるから!」

伊吹がニヤリと笑い「おお、やっとスタートラインだぜ。気合い入れろよ」と結衣の肩を軽く叩いた

涼香が結衣の肩に手を置き、静かに言った。「これからが本当のスタートよ。私たちが支えるから、焦らずに進んでいきましょう。結衣ちゃん、よく頑張ったわ」

 

結衣は仲間たちの顔を見回し、涙が溢れそうになるのを堪えて笑顔を見せた

「…ありがとう、みんな。私、ちゃんとやり直すよ」

 

会議室を出る4人の背中には、新たな一歩への決意が宿っていた

陽菜が「ねえ、帰りに何か美味しいもの食べようよ!」と提案すると、伊吹が「カレーパンならアタシが奢るぜ」と笑い、涼香が「なら、私がお茶を淹れるわ」と加わった

結衣はその声を聞きながら、心の中で呟いた。「ここからなら、きっと大丈夫だ」

 

商店街のお手伝い

朝倉陽菜、炎堂伊吹、水河涼香、そして灰原結衣の4人は、第四支部から与えられた奉仕活動のために魔法少女姿で集まっていた

陽菜はリュックから水筒とおにぎりを出し、「みんな、お腹空いたら食べてね!」と笑顔で配る

 

伊吹が「おお、サンライズ、気が利くじゃねえか!」とツナマヨおにぎりを手に取り、涼香が「サンライズ、いつもありがとう」と穏やかに頷いた

結衣はほうきを手に持っていたが、足元が少し震えている。裁判で判決を受けたばかりで、初めての奉仕活動がこの商店街——彼女がかつて盗みを働いた場所——だと思うと、心が重かった

陽菜がその様子に気づき、「結衣ちゃん、大丈夫だよ!私が店員さんに話しかけるから、一緒にやろう!」と手を引いた

結衣は陽菜の手の温かさに少し驚きつつ、「…うん、ありがとう、陽菜さん」と小さく笑った

 

4人はまず、商店街の西端にあるコンビニの前で清掃を始めた

陽菜がほうきで落ち葉を掃き、伊吹がゴミ袋を持って「これくらい一瞬だぜ!」と豪快に動き回る

涼香は看板の埃を丁寧に拭き、「見た目がきれいだと気分もいいわね」と呟いた。結衣は黙々とゴミを拾いながら、視線を上げると、コンビニのガラス越しに店員が見えた。あの日、お菓子を魔法で盗んだ時の記憶が蘇り、ほうきを持つ手が止まる

 

店員が外に出てきて、「お、魔法少女さんたちか。どうしたんだい?」と気さくに声をかけた

陽菜が即座に笑顔で応じ、「私たち、商店街のお手伝いに来ました!ミラージュピクセラがこれから頑張るって、私たちも一緒に!」と説明する

 

結衣がおそるおそる前にでる

「あ、あの。お店の大事な商品を盗んでしまいごめんなさい」と勢いよく頭を下げる

店員は結衣に驚くが

「そうか、あんたが。魔法少女ならこれから守ってくれればそれでいいよ。お菓子盗まれた分なんて大したことねえから」と笑った

結衣が目を丸くし「すみませんでした…ありがとうございます」ともう一度頭を下げると、店員が「気にすんな。掃除、助かるよ」と手を振った

 

その言葉に結衣の胸が軽くなり、少しだけ笑顔が戻った

陽菜が「ねえ、結衣ちゃん、ほら!みんな優しいよ!」と肩を叩き、伊吹が「さあ、次行くぜ!」とゴミ袋を担いで歩き出す

涼香が「コンビニが終わったら、次は貴金属店の『ジュエリー藤田』ね」と地図を確認し、4人は移動した。『ジュエリー藤田』の店主は初老の男性で、結衣がかつて金のネックレスを盗んだ相手だ。結衣が店先に立つと、足がすくんで動けなくなる

 

店主がショーケースを磨きながら出てきて、「おや、魔法少女か。何か用かい?」と尋ねた

陽菜がまたも率先して、「こんにちは!私たち、商店街のお手伝いに来ました!ミラージュピクセラがこれから頑張るので、よろしくお願いします!」と元気に挨拶

結衣が慌てて頭を下げた。「あの時、ネックレスを盗んでしまって…本当にすみませんでした。償うために、ここで奉仕活動をさせてもらってます。」声が震えていたが、目を逸らさず店主を見つめた

店主はしばらく黙って結衣を見ていたが、やがて口元を緩めた

 

「そうか。魔法少女なら大変なことも多いだろう。補填はされ、君も罪を償っている。これから頑張るなら、店前の掃除でも頼むよ」

結衣が「はい、ありがとうございます!」と答えると、陽菜が「やったー!良かったね、結衣ちゃん」と跳ねた

伊吹が「掃除ならアタシらが一気に片付けるぜ!」とほうきを振り回し、涼香が「少し落ち着いてね」と笑いながら制した

 

他のお店にも回り、昼過ぎには商店街の半分を掃除し終え、4人は休憩のためにベンチに座った

陽菜が水筒を回し、「みんな、お疲れ様!ミラージュピクセラ、どうだった?」と尋ねると、結衣が少し照れながら答えた

「最初は怖かったけど…みんなが優しくて、謝るのもそんなに難しくなかったよ。陽菜さんたちがいてくれたからだと思う」

 

涼香が「それはミラージュピクセラが自分で向き合ったからよ。私たちはただそばにいただけ」と穏やかに返す

伊吹が「おお、ミラージュピクセラ、なかなかやるじゃねえか!」と笑い、結衣もつられて笑った

 

夕方、掃除を終えた頃、商店街の子供たちが「魔法少女だ!」と駆け寄ってきた

「ねえ、魔法見せてよ!」とせがまれ、陽菜が「結衣ちゃん、やっちゃおう!」と目を輝かせた

 

結衣は少し緊張しながら、「えっと…いいんですか?」と涼香を見ると、「もちろんよ。子供たちに喜んでもらえるなら」と頷く

結衣は深呼吸し、手を動かしてホログラムを展開

 

商店街の上空に星空のような光が広がり、キラキラと輝く星が子供たちの頭上を舞った。

「うわあ、すごい!」「星がいっぱい!」と歓声が上がり、店主たちも店先に出てきて拍手を送った

コンビニの店員が「これならお菓子盗まれても文句ねえな」と冗談を言い、『ジュエリー藤田』の店主が「悪くないね」と笑った

 

結衣は照れながらも、「ありがとう…」と呟き、陽菜が「結衣ちゃん、最高だよ!」と抱きついた。涼香が「いい思い出になったわね」と微笑む

 

作業を終え、帰り道を歩きながら、結衣が静かに呟いた

「ここでやり直せるかも…って思えたよ。盗んだ場所だったのに、こんな気持ちになれるなんて」

陽菜が隣で跳ねながら、「一緒に頑張ろうね!商店街も仲間だよ!」と笑った。涼香が「奉仕活動はまだ続くけど、少しずつ進めていきましょう」と加え、伊吹が「おお、次はもっと派手にやるぜ!」と気勢を上げた

結衣は仲間たちの声を聞きながら、心の中で小さな安心が芽生えるのを感じた。夕陽が4人の背中を優しく照らし、商店街に新たな絆の光が灯った

 

ゲーム大会

ある日、涼香の家に4人が集まった

涼香の家は商店街から少し離れた住宅街にあり、白い外壁と小さな庭が特徴のこぢんまりとした一軒家だ

玄関を開けると、涼香が「いらっしゃい、みんな」と穏やかに迎え、陽菜が「おじゃましまーす!」と元気に靴を脱いだ。伊吹が「おお、いい家だな!涼香らしいぜ」と室内を見回す

リビングに通されると、既に結衣はソファに座っていた

「陽菜さん、伊吹さん。こんにちは」

「こんにちは、結衣ちゃん!」「おう、入るぜ」

 

陽菜がリュックからおにぎりを取り出し、「昨日食べられなかった分、持ってきたよ!」とテーブルに並べた

伊吹が「ツナマヨはアタシの!」と早速手に取り、涼香が「お茶を淹れるわね」とキッチンに向かった。結衣は部屋の隅に置かれた本棚や観葉植物を眺めながら、少し落ち着かない様子だった

 

そんな時、結衣が鞄から古びたゲーム機を取り出した

「ねえ、これ…母さんとよく遊んだゲーム機なんだけど。みんなでやらない?」

陽菜が目を輝かせ、「おお、楽しそう!やろうやろう!」と即座に賛成

伊吹が「ゲームなら負けねえぜ!負けたら腕立て100回な!」と拳を鳴らし、涼香がキッチンから戻ってきて「私も参加するわ。昔、妹と少しやったことがあるから」と穏やかに笑った

 

結衣がゲーム機をテレビに繋ぎ、「これ、パズルゲームなんだけど…母さんが好きだったやつなんだ。結衣は頭いいねって、よく褒めてくれた」と少しだけ過去を語った

陽菜が「結衣ちゃんのお母さん、優しそうだね!」と笑い、結衣が「うん…大好きだったよ」と小さく頷いた

ゲームが起動すると、懐かしい8ビットの音楽が流れ、画面にカラフルなブロックが映し出された。ルールはシンプルで、落ちてくるブロックを並べて消していくものだ

 

陽菜がコントローラーを握り「私、初めてだから優しくね!」と笑いながらスタート。だが、ボタンを操作が分からず連打するばかりでブロックが積み上がり「うわーー!」とあっという間にゲームオーバー

伊吹が「ハハッ、陽菜、操作すら分からないならダメすぎだろ!」と大笑いする

 

次に伊吹が挑戦。「ゲームならアタシの勝ちだぜ!」と意気込み、ブロックを次々消していく

 

炎のような勢いで操作するが、焦ってミスを連発し、「くそっ、爆発した!」と画面が埋まった

伊吹が「次は絶対勝つぜ!」と拳を握った

すると、涼香が静かにコントローラーを手に取り、「こうやって消すのよ」と冷静に操作。ブロックが綺麗に並び、次々と消えていく姿に、陽菜が「おお、涼香先輩、すごい!」と拍手。伊吹が「何!?涼香、隠れたゲーマーかよ!」と驚き、涼香が「やったことあるだけよ」と微笑んだ

 

結衣が最後に挑戦し、慣れた手つきでブロックを消していく「母さんと何度もやったから…動きが覚えてるんだ」と呟きながら、高スコアをたたき出す。

陽菜が「結衣ちゃん、上手い!さすがだよ!」と手を叩き、伊吹が「結衣ゲーム上手いんだな」とニヤリ

涼香が「確かに、戦略的ね。ホログラムの使い方にも通じるわ」と褒めた。結衣は照れながら「母さんが褒めてくれたみたいに、みんなと遊ぶの楽しいよ」と笑った

 

ゲームが一通り終わり、陽菜が「もう一回やろう!」と提案すると

4人で対戦モードに突入ー陽菜は結衣に操作を教えてもらったー

 

今度は全員同時にプレイし、互いの画面に邪魔ブロックを送り合うルールだ

陽菜が「伊吹ちゃんに送っちゃえ!」と笑いながらボタンを押すと、伊吹の画面にブロックが降り注ぎ、「くそ、消しても消しても増えてくぞ」と叫ぶ

伊吹が涼香に送り返し、涼香が「負けないわ」と冷静に対処する

結衣は黙々と自分のブロックを消しつつ、陽菜にこっそり邪魔を送り、「うわーー!」と陽菜が大騒ぎした

 

リビングは笑い声で溢れ、ゲームが終わる頃には全員がソファに倒れ込んだ

陽菜が「楽しかったー!でも負けすぎ!」と笑い、伊吹が「腕立て100回だぜ、陽菜!」と揶揄う

涼香が「そんなにやらせる気はないわよ」と笑いながらお茶を配り、結衣が「こんなに笑ったの、初めてかも…」と呟いた

 

陽菜が「結衣ちゃんのお母さんも見ててくれるよ、きっと!」と笑顔で言うと、結衣が「うん…そうだね」と目を細めた

 

ゲーム機を片付け、涼香が「夕飯にカレーを作ったから、食べてってね」とキッチンから鍋を持ってきた

テーブルにカレーとサラダが並び、4人で囲む。陽菜が「涼香先輩のカレー、美味しい!」と頬張り、伊吹が「上手い!上手い!」と笑う

 

結衣がスプーンを手に持ったまま「こんな楽しい時間がずっと続けばいいな」と呟くと、陽菜が「次は私の家でやろう!カレーももっと作るよ!」と提案

伊吹が「なら、アタシがスパイス持ってくぜ!」と気勢を上げ、涼香が「じゃあ、私がお皿を増やすわ」と加わった

 

結衣はカレーを口に運びながら、母との思い出が蘇った。あの頃、母とゲームをしながら笑い合い、夕飯を一緒に食べた日々

今、目の前にいる陽菜たちの笑顔が、その記憶に重なる。母がくれた星形のペンダントを手に握り、結衣は心の中で呟いた

み母さん、私、いい仲間ができたよ。もう一人じゃない」

陽菜が「結衣ちゃん、どうしたの?」と気づくと、結衣が「ううん、なんでもないよ。美味しいね、このカレー」と笑った

 

新しい魔法少女との出会い?

皆でゲームを遊んだその次の日の学校の昼休み

陽菜、涼香、伊吹は校庭のベンチに座り、弁当を広げていた。陽菜が作ったおにぎりを手に、「昨日のカレー美味しかったね!」と笑うと、伊吹が「次はアタシのスパイスで熱くするぜ!ゲームも負けてらんねぇ。結衣にリベンジだ!」と拳を握った。涼香が「ほどほどにね。灰原さんも楽しそうで良かったわ」と穏やかに笑う

 

放課後

陽菜、涼香、伊吹は第四支部に向かい、支部のロビーで結衣と合流した。結衣は中学生の授業を終えた後、魔法少女姿でやってきた

彼女がロビーに入ると、陽菜が「おお、ミラージュピクセラ!お疲れ様!」と元気に手を振った。結衣は少し照れながら「うん、皆お疲れ様!私、今日の授業で美術の時間に絵を描いたんだ。ホログラムで色々なものをイメージできたらいいなって…」と鞄からスケッチブックを取り出した

陽菜が「見せて見せて!」と目を輝かせ、絵を見せると、涼香が「いいわね、ホログラムに活かせそう」と褒める。伊吹が「センスあるな!」と笑う

 

陽菜が「早速描いた絵を参考にホログラムの練習しよう!なんだか色々戦術に使えそうな気がする!」と話すと、伊吹が「良し!訓練場に行こうぜ!」と拳を振り上げた

涼香と結衣がその後ろについて歩く

4人は訓練場に向かおうとロビーを通り抜けていたが、受付のカウンターに一人の少女が立っているのが目に入った

 

白髪の少女だった

肩まで髪が伸びており、黒いゴシック風のドレスが彼女の華奢な体を包んでいる

彼女が事務員に書類を差し出し「第10支部から第4支部に再登録に来ました」と告げると、職員が「ああ、転籍の子ね。ちょっと待ってて」と奥に引っ込んだ

陽菜が「おお、魔法少女だ!」と気づき、思わず近づいて手を振った。「ねえ、よろしくね!私、サンライズって魔法少女だよ!」

 

少女が陽菜に気づくとニコリと笑う

「サンライズ…よろしくね。僕、オリジンリリスって言うんだ」と自己紹介した。

彼女の声は柔らかく、どこか聞き覚えのある響きがあった

陽菜が「あれっ?」とどこか既視感を感じ首を傾げる

「ねぇ、どこかで会ったことあるかな?」と聞くと少女は「…ううん。初めてだよ」と笑顔で答える

 

「そっか…私の勘違いかな。ドレス凄く綺麗だね!キラキラしてる!私達、第四支部の魔法少女だよ!こっちはアクアタイド、ブレスインパクト、ミラージュピクセラ!」と陽菜は3人を紹介する

「皆よろしくね。僕、第10支部から転籍してきたんだ。家庭の事情でこっちの街に引っ越してきてね」と穏やかに話した

伊吹が「おお、お前かなり強いな!魔法少女歴かなり長いだろ!よろしくな、オリジンリリス!」とニヤリと笑い、拳を差し出した

 

「ふふ、よろしく、ブレスインパクト」と小さく笑い、伊吹と軽く拳を合わせた。

涼香が「よろしくね、オリジンリリス。この支部では割と顔が効くからなんでも相談してね」

「よろしく、アクアタイド。困った時はお願いしようかな」

「あの…ミラージュピクセラです。よろしくね、オリジンリリス」とぎこちなく結衣が言う

「ミラージュピクセラ、よろしくね。近未来系の魔法少女か、珍しいね」

 

一通り自己紹介を終えると陽菜がその場で跳ねる

「ねえ、オリジンリリス!私たち、これから訓練場に行くんだ。一緒に魔法の練習しない?絶対楽しいよ!」と陽菜目を輝かせて誘った

 

オリジンリリスは少し驚いたように目を丸くし、「えっと…誘ってくれて嬉しいんだけど」申し訳なさそうに笑った。

「実は、転籍の手続きに来ただけで、まだ引っ越しの用事が残ってるんだ。荷物を片付けたり、新しい家を整えたりで…。だから、今日はちょっと難しいかな。また今度、一緒に訓練できる日があればぜひ」

陽菜が「あー、そうか!引っ越しって大変だもんね」と少し残念そうに頷きつつ、「じゃあ、次は絶対一緒にやろうね!約束だよ!」と指を立てた。

「ありがとう、みんな。約束するよ。またね」と軽く手を振り返し、受付の職員が戻ってくるのを見計らって書類の方に視線を戻した。4人はその背中を見送りながら、訓練場へと歩き始めた。

 

ロビーを抜け訓練場に向かう廊下を歩きながら、陽菜が口を開いた

「ねえ、オリジンリリスってなんか不思議な感じしない?声とか雰囲気とか、どこかで会った気がするんだよね」

 

伊吹が腕を組んで「確かに、魔法少女歴長そうな雰囲気あったぜ。あの落ち着きっぷり、新人じゃねえだろ。強そうだしどんな魔法見せてくれるか楽しみだな!」と拳を握った

陽菜が跳ねるように手を挙げる

「じゃあ、早速訓練場に行こう!」「おおっ!」

 

 

─────

 

一方、オリジンリリス━━始まりの魔法少女はとあるマンションの一室にいた。部屋は質素で、白い壁に古びた木製の机と椅子が置かれているだけ。窓の外には月が浮かび、静寂が部屋を満たしていた。

 

「さて、次はどうな怪物をつくろうか。下手にすぐ倒される怪物を創っても面白くないだろうし」

部屋の中央にある机の上には『怪物図鑑』と書かれた一冊のノートが開かれていた

『影狼』『鉄殻蟹』『障気鴉』『溶岩蟲』『雷鳴獅子』・・・

それはこれから魔法少女達が戦う怪物達。ノートには恐ろしくも魅力的な怪物達のイラストが描かれている。

 

「玄一郎から言われているのも作り上げないといけないしね。……サンライズ。君には頑張ってもらうよ」

 

 

 

 




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