RE:ゼロから始める異世界生活....の世界に転生した件   作:通りすがりの通行人

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最近一期から見直したらすっごい面白かったので書きたくなりました。
自分で書いてみて改めて原作の凝った文章すごいなーと思いました。



てんせーい

 青に変わった信号が鳴り響く。誰も渡らない横断歩道に、独りの少年の声が木霊する。

 

 

「あっ....あっ....あぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!?????」

 

 

 いたい。いたい。いたい。いたいいたいいたいいたいいたいいたいいたいいたい!!!!!!

 

 これまで味わった事のない苦痛が痛覚の全神経を刺激している。小足をタンスの小指にぶつける程度の痛みが、どれほど甘い刺激だったのかが今は全力で理解出来る。

 

 脚だ。脚が丸ごと無くなっている。新鮮な大量の赤い液体が視覚を占有し、充満する錆びた鉄の様な匂いが嗅覚を蝕む。

 

 死ぬのは怖くなかった。でも、このような苦痛が伴うならば話は全く別だ。

 

「いっ....いぃ....いぃ....」

 

 

 涙目になりながら、助けた少年の方を見る。

 口を空けながら、隣に居る大人の足に巻き付くように抱っこしていた。

 絶句しているのだろう。自分のせいでこうなっているのだから。そりゃそうだろうな。

 

 

「......あ.....あぁ.....」

 

 君だけでも助かって良かった。君のせいじゃない。僕がこうしたかっただけだ。

 助ける一瞬の間に脳が吐くと決めた決め台詞一覧だ。でも、そんな台詞を吐く余裕なんて今は無い。

 ....更に言うならば、助けた事を、今は少し後悔している。

 

 こんな苦痛を味わうくらいなら、やっぱり助けない方が良かったと。

 そんな感情が心の中で少し芽生えてしまっている事に、俺は改めて自分のくだらなさと醜さを自覚する。

 

 

「は....はは....」

 

 

 朦朧とする意識の中で、今までの人生が脳の中で駆け巡る。走馬灯という物だろうか。

 小学校、中学校、高校、大学。親の言われるまま、一通り平凡な人生を送って来た。

 

「はは....はは...ははははは!!」

 

 俺は笑った。自分の走馬灯を見て、とても大きな失笑をかました。

 何がそんなにおかしいかって? 何がそんなに笑えるんだって?

 

「だって...だって....だってさぁ!!!!」

 

 

 ――空っぽだった

 

 俺が人生で成し遂げた事等、本当に何も無かったんだ。

 

 

 

 

 

 

 

「....おい、おまえ」

 

「......」

 

 眼の前に無駄にがたいを良くしたおっさんが映った。

 これも走馬灯なのだろうが、ならばこの人は誰だろう。少なくとも俺の記憶にこんな人は存在しない。

 

「おまえだよ!! お、ま、え!! ダナナ、買うのか!? 買わないのか!?」

 

 眼の前に居るおっさんはそう言って、ガシッと俺の腕を掴んで来た。

 幻覚であるというのに、随分と温かみのある手であった。

 

 ....いやてか痛い。普通に痛い。随分と力あるなこの人。なんか顔も日本人ぽくないしなんというか外国の人みたいだ。

 よく見れば周りの建物もヨーロッパというか、中世のような様式だ。勿論僕の記憶にこんなものは存在しない。世界旅行はおろか、俺は県すら跨ったことがない世間知らずなのだ。

 

「おっさん。バナナ買わないから俺はもう行くぜ」

 

 そう言っておっさんの手を振りほどき、首を横に振り向ける。

 

 最後にこんな夢を見るとは、なんのロジックなのであろうか。そんな事を思いつつ、俺はその売り場を去っていく。目的は無い、自由気ままに夢の中を探索するだけ。

 

 目指すは――

 

「........」

 

 急いで俺は頭を両手でごつんと強打する。とても痛い。

 

 ――おかしいだろ

 

 夢にしては五感が鋭すぎる。さっきのおっさんに掴まれた感覚も、今俺の頬をチクチクとなぞる風も、両足にどっしりとついている地面も、どれも到底夢で作られて偽物とは思えない。

 

「....は?」

 

 なんとも漫画チックな声で、困惑した声を出した。

 

 

 

 

※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※

 

 

 

 

 拝啓。お母さんへ、貴方の息子は元気にしています。そちらはどのようにお過ごしでしょうか。

 腰痛は治りましたか? ご隣人との関係は継続されておりますか?  

 私の方はまぁ、なんとも奇妙な体験をさせて貰っております。

 

 なにせ......

 

「異世界転生きたぁぁぁぁぁぁぁ!? これ!!」

 

「ままー。あの人。何か叫んでるよ」

 

「シッ。見ちゃダメ!!」

 

「......」

 

 やべ、感動の余り叫んでしまった。

 周囲が冷え込んだ目線でこちらを見ているのをひしひしと感じる。

 

 だが、そんな人の目線等、今はどうでも良いくらいに、自分の脳は興奮状態にある。

 今ならなんでも出来る気がした。――チート能力は無いけど。

 どんな敵も倒せるに決まってる。――チート能力は無いけど。

 だって転生物のお約束だから。――フィクションと現実は違うからお約束なんてないしなんなら転生物にもチート能力が無いのもあるしそもそも僕そのトリガーとなる女神様とも会ってないけど。

 

「現実さん一々突っ込むのやめてくれますぅ!?」

 

 痛い一人漫才を披露してしまい、周りの目線は。が、よくも悪くも、それで少し冷静な状態に戻された。

 

 現状、某名作転生物の台詞を借りると、今の自分は天下不滅の無一文状態。

 いや天下不滅の所は無しである。自分は彼とは違ってフィジカルも凡人以下なのだから。

 そしておまけに僕はサバイバルスキルや何かしら生活に仕えるようなスキルを持っていない。彼が持っていたおまけのような裁縫スキルすら俺には無い。マジで何のスキルも無い。掛け算割り算ってこの世界でスキルになりますぅ?

 

「あこれまずい奴だ」

 

 脳に伝わるよりも速い勢いでその言葉が飛び出す。なんか数日後物乞いしながら無様に野垂れ死んでる自分の姿が見える。

 

「......」

 

これあれだ、大事な物を無くした時に心当たりの有る所を順番に探すけどやっぱり無いときのようなジワジワ来る不安だ。

 なんか考えても仕方ないので、取り敢えず歩く事にした。

 

 こうなったらひたすら歩いて異世界転生物のお約束というものに自分から当たりに行くしかない。勿論そんなもの無いかもしれないし、はっきり言って無い可能性の方が高い。が、今はそれでもある方に賭けて行くしかない。

 

 そんなことを思っていると――

 

「どいたどいたーーー!!」

 

 突然の叫び声に、驚きと少しの興奮を交えながら後ろを振り向く。

 

 そこにはなんと

 

「うおおおおお!! 金髪ロリじゃねぇかぁ!!」

 

 なんと金髪のロリが居た。

 

「これ絶対ヒロイン!! これ絶対ヒロイン!!」

 

「ちょっと!! 邪魔!!」

 

「無情に通りすぎたぁぁぁ!!」

 

 金髪のロリ、通称金ロリは風のような速度で俺の横を駆けていった。

 

 あぁ、南無三。それはそうである。生涯非モテ陰キャラで過ごしてきた自分が二歩三歩歩いただけでそんな都合よくヒロインが現れる訳――

 

「――ってうぉっほぉ!?」

 

 しょんぼり落ち込んでいると今度は突然氷のつららのような物が頬の横を通り過ぎた。あまりの驚きに眼を見開く。するとそこにはなんとも眼を惹かれるような、銀色の髪をした美少女の姿があった。

 

「ごめん!! 当てるつもりは無かったんだけど!! 怪我は無いみたいだからこれで許して!!」

 

「お...おぉ...」

 

 美少女はこちらに向けて何かを投げると、そのまま向こうの方向へと走って通り過ぎていく。

 銀貨のようなもの一枚。純銀となればこの世界でもそれなりに値打ちがあるものなのだろうか。

 まぁそれは今日の飯代くらいは稼げたという事でいいとして、問題は先程から感じる違和感についてだ。

 金ロリもそうだが、銀髪の美少女は特にである。

 

「....めっちゃ見覚えある」

 

 手を顎に当て、考える人のポーズをしながら再び歩き出す。

 思えば最初のバナナ....いや良く考えればダナナとか言ってたか? そこの店でのやり取りもそうだ。めちゃくちゃ見覚えあるやり取りだ。

 

 そしてスカーフ姿のした金髪のロリと、それを追いかける特徴的な耳と白い服を来た可麗な美少女。おまけに氷魔法付き.....。

 

 

「.....いや、あれだよなぁ。うん」

 

 ここは新しい未知なる異世界ではなく、自分が知っている異世界....である可能性が今の所限り無く高い。まぁ、もうほぼ確定と言っていいのだが。やはり、確証が欲しい。

 もし、歩いている途中になんか叫んでいる明らかにこの世界とは違う現実寄りした服装を着た男子高校生でも居れば――

 

 

「――来た!! 俺のターン来たぁ!!」

 

「......」

 

 

――居、ま、し、た。

 

 

 

※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※

 

 

 ここはとある辺境の村。

 森に囲まれ、外敵の居ないこの場所は、平和に、のどかに、子供から年寄りまで誰もが笑顔で暮らす村であった。彼らは老若男女で共に働き、ある限りの資源で静かに暮らしていた。

 

 

「....ふむ」

 

 ――少し、前までは

 

「やっぱり君は駄目だ。髪型が気に入らない」

 

 男はそう言い終えると、親指と人刺し指を交差させ、パチンと音を鳴らす。

 すると村娘の一人の頭が吹き飛び、彼女の後ろにあった老人の死体までもがバラバラに飛び散った。

 

「君は表情が駄目だ。初めてだから僕もある程度は許すけど、仮にもこれから夫ともなる僕にそんな顔をするのは、寛容な僕でも流石に頂けないな」

 

 足で小石をこつんとつつく。一人の胴体に大きな穴が開いた。

 

「君は脚が駄目だ。太すぎる。女の子なのに今日の日まで痩せようって思わなかったのは、未来の夫にあまりに失礼だと思わない?」

 

 右腕をしゅっと、軽く横になぞる。一人の胴体が上と下で真っ二つに切り裂かれた。

 

「そして、君は眼つきが駄目だ。余りにも反抗的な――」

 

「君は手が駄目だ、とてもじゃないけど――」

 

 一人の両眼が飛び散った砂に潰される。一人の両手が地面に生える雑草に触れ、無数の穴が開く。

 残る村娘がおおよそ半分となっても、男はまだその行為を続ける。

 

 

 君は、君は、君は、君は、君は、君は、君は、君は、君は、君は、君は、君は、君は、君は、君は、君は――

 

 最後に残ったのは、いかなる感情も顔に出さない、人形のように凍り付いた彼女のみだった。

 

 

※ ※ ※ ※ ※ ※

 

 

 

「108番、184番。この娘を僕の屋敷に迎え入れるんだ。勿論傷一つ付けずに、丁寧にだ」

 

 連れの妻に指示を入れ、彼はハンカチで手袋を拭きながら新たな妻となる娘の顔を覗き込む。

 

「すまないね。君にとっては大事な大事な新婚な訳だから、僕もすぐにでも付いて行きたい訳だけど、生憎福音書にも新しい指示があってね。これには従わないといけない訳。僕の不徳を赦したまえよ」

 

 その娘を馬車に乗せ、彼らが自分の屋敷まで向かうのを見送ると、彼は懐から一冊の書物を取り出した。

 ――福音書。彼ら大罪司教はそれを基に行動を決める。それはあらゆる私事より優先され、あらゆる状況であろうと実行される。それが例え、いかなる狂人の狂信的なこだわりであろうともだ。

 

「さて、福音書の次の行く先は――」

 

 薄ら笑いを浮かべた後、男は片足を宙に乗せ、虚無を蹴るように空を歩く。

 彼が行く先は、福音書を持つ彼自身以外誰も知らない。

 

 ――ただ、一人を除いて。




どうも、1話からノミ以下さんです。アニメだとかませ役の印象強すぎるからね。少し活躍させてあげようと思います。そそれに伴い外道っぷりにも拍車がかかってるかもしれないです。
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