今回のお話はシリアスになるはず....。
「あ、あの!」
救援部隊の少女がスルトに声をかける。
「ん?なーに?」
「貴方は第一部隊のスルト・ブラウン様でよろしかったでしょうか?」
「そ、そうだけど様はつけないでよ。柄じゃない」
「す、すみません。いやしかし私程度のものがあの第一部隊のスルト殿とご一緒の任務だなんて恐れ多くて....」
少女は俯きながらスルトに恐る恐る話しかける。
「ねぇ君。名前は?」
「は、はい!私は第二救援部隊所属、マリア・ホーネット上等兵、16歳であります!」
「ありがとう。マリア、もし生存者を見つけたら君に任せるよ。だからもしアラガミがいたら俺に言ってね。八つ裂きにするから」
「....り、了解であります」
マリアと名乗った少女は衛生兵の制服をカッチリと着込んでいる。
髪は薄緑のロングヘアーで身長は150cm半ば。
マリアはスルトから感じられる確かな殺気に緊張感を高めた。
「なぁ第一部隊のあんちゃん。そんなに気を張りすぎると失敗するぜ。リラックスしときな」
「ありがとうおじさん。そうするよ」
第二救援部隊の隊長がスルトに言うと、放たれていた殺気が少しだけ和らいだ。
「そ、それにしてもスルト殿の神機は変わってますね!盾も銃身もないなんて!」
「ん?あぁ、俺は銃の扱いも下手だし、シールドなんてほとんど使わないから取っちゃったんだ」
「そ、それは凄いでありますな....」
「それに何を使おうか迷ってたら、本当に守りたいものを何で守ったらいいのか迷っちゃうからね」
「そ、それはどういう....」
「スルトー!!あれみて!!!」
突然サリアが声を荒げる。
指した方向には一機のヘリが墜落していた。
「まさか....」
スルトはヘリから飛び降りた。
━━━━━
「ジョセフ....ジョセフっ!!」
運転席にはジョセフがいた。
「ん....あぁ....スル....トか....」
「ジョセフ!ジョセフっっ」
「ありが....と....な。来て....くれた....のか」
「うん。うんっ。来た。来たよ!だから帰ろう?マシュー!ジョセフ見つけたよ!」
[容態は?どうなってますか?]
「なんともない!全然なんともないよ!!」
[ほ、本当ですか!?]
「バカ....言うなよ....ははっ....下半身が....みあ....たらねぇ....よ」
ジョセフには下半身が無かった。比喩なんかではなく、文字通りに下半身が無かった。
[スルトさん....彼は一般人です。ゴッドイーターではありません。あなたのように強いわけではありません。なのでどうか、最後まで傍にいてあげてください]
「マシュー!!馬鹿なこというなよ!!」
「スルト....よく....聞いてくれ....。俺は....も....うダメ....だ。だから....頼む。俺の....妻と....息子に....愛してるって....伝え....て....くれ」
「ふざけんなっ!そんなの自分で伝えろよ!!!死ぬなよジョセフ!!また俺をヘリで送ってくれよ!くだらない、家族のノロケ話聞かせてくれよ!!!」
スルトは声を荒らげて叫んだ。
「うぅ....どうして....救えないんだ....」
「スルト....救われ....たさ。俺は。一人じゃなくて、お前み....たいな友人....に看取ら....れて....死ねるなんて....幸せ....者だ....ぜ」
「ジョセフ....」
「あり....がとな。スル........ト....」
「うああぁああぁぁ────────」
ジョセフ・ロイド。享年38歳。
友人、スルト・ブラウンに看取られて死去。
━━━━━
「スルト殿....これは....」
「....救えなかった」
[スルトさん。彼はきっと救われました]
「救えなかったんだ!!!」
「スルト殿!落ち着い....」
「俺は何もできなかった!!傷の手当ても、何も....できなかったんだ....」
スルトの声が弱々しくなっていく。
「もう、俺は何も救えないんだ....」
[おいスルト。俺だ。セシルだ。お前はよくやった。帰ってこい]
[ねぇスルト....仕方ないよ。皆辛いよ。だから、ね?]
「くそっ....うぅ....」
[!!スルトさん!80m前方に多数アラガミ確認!反応は恐らくテスカトリポカです!!]
スルトは俯いて泣いていた。前を見ることができなかった。
[スルトさん!]
[スルト!]
━━━━━
突然スルトの目が見開かれる。
「ああぁぁああ──────」
「スルト殿!?」
スルトは神機を強く握り締め、テスカトリポカの元へと駆け出した。オラクル細胞で強化されたゴッドイーターの限界をさらに上回る早さで駆け抜け、テスカトリポカを真っ二つにした。
「お前のせいで!お前のっ....せいで!!!」
3分もかからずテスカトリポカ3体は駆逐された。
それでもスルトのモヤモヤは消えなかった。
スルトがヘリで俯いていると、マリアが話始めた。
「スルト殿。私にはゴッドイーターの母がいました」
「....マリア?」
「しかし殉職しました。腕輪も見つかりましたし、神機も回収出来ています」
「....」
「ですが、亡骸は帰ってきませんでした。腕すら....いえ、髪の毛すら戻って来ることはありませんでした」
「....うぅ....」
「ですからジョセフさんは救われたと思いますよ。偵察部隊の方々は本当に残念でした。ですがジョセフさんはスルト殿に最後まで生きてるところを見ていただけたのですから」
スルトは14歳らしい泣き顔をマリアに晒した。
(やはり私よりも2歳も年下の少年が、いくら精鋭と言われても心までは鋭利にはなれませんね。いえ、なってはいけない)
マリアは自然とスルトの頭を撫でていた。
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「第一部隊のあんちゃんよ。ついたぜ、起きな」
「スルト殿~着きましたよ」
「ん....あ、あぁ」
「ふふっ」
「おいマリアー。お前とその精鋭さんじゃ釣り合わねーぞー。はっはっは」
「た、隊長!?」
「?....あ、そうそう。マリア....その。ありがとう。だからもう頭撫でなくていいよ....」
「ハッ!?す、すみませんでした!!」
「謝らなくてもいいよ。マリア、もし困ったことがあったら言ってね。頼りないかもしれないけど。全力で力になるから」
「た、頼りないなんてことはありません!スルト殿も何かあったら私に言い付けてください!」
「わかった。じゃあスルトって呼んでよ」
「え!?す、すす、スルト....?」
「うん。そっちの方がいい。じゃあまたね、マリア」
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「ただいまー」
エントランスロビーにいつも通りのスルトの声が響いた。
「おかえりなさい。スルトさん」
「遅かったな。スルト」
「もー心配かけないで欲しいっスよスルト~」
マシューとセシルとナタリーはホッとした表情で迎える。
するとシェリルがスルトに近寄っていく。
「シェリル、ただいぶぁっ!?」
「....バカ」
「........痛い」
シェリルはスルトに腹パンを決めるとそそくさとエレベーターに乗って行ってしまった。
「スルト。どうだ?絶望したか?」
「ううん。スエード、ありがとう。完全に吹っ切ることはできないけど、一歩進む準備はできたよ。行かせてくれて本当にありがとう」
「ふむ。だが本当に残念だったな。ジョセフも、偵察部隊も」
「テスカトリポカのミサイルで多分落とされたんだよ」
「そうか。ヘリのパイロットには十分注意するよう言っておかなくてはな」
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その翌日、偵察部隊と、ジョセフの葬式が行われた
「あの、レミアさん....」
「あぁ、スルトくん。ありがとう。良かったらジョセフについて聞かせてくれる?」
「はい....彼は、あな....た....と、息子を、愛していると、最期に、伝えてくれと....ぐすっ」
「....ありがとう。本当にありがとう。ジョセフも感謝してるわ。このご時世、ちゃんとしたお墓が立てられるなんて幸せなものよ。辛いと思うけどありがとう」
「....はい!」
ジョセフの妻、レミアがスルトに感謝を伝え、他の参列者の方へ行くと堪らずスルトは泣き出して、その場に座り込んでしまった。
「スルト」
誰かがスルトの頭を優しく撫でる。
「マリア....」
「あの、私、第一部隊に移動することにしました。セシルさんが出張で、枠が空いてるらしいんですが、だれも第一部隊のように最前線の部隊に入りたがらないらしくて....」
「やめなよマリア。第一部隊は本当に実力の世界なんだ。誰かが誰かの足を引っ張ることは全員の命を落としかねない」
「それでも、私は第一部隊に入りたいんです。実戦に出れなくても、スルト....あなたを支えたい」
「マリア....」
マリアはスルトが心配だった。こんなに強くて、こんなに弱い。そのアンバランスがいつかスルトを壊してしまうんじゃないかと。
だからマリアは第一部隊に入ろうとした。セシルが帰ってくるまで。
「わかったよ。マリアのことは俺が命をかけて守るよ」
「はい。私もスルトを命をかけて守ります」
さらにその翌日、セシルがロシアへ飛び立つのと入れ替えで、マリア・ホーネットは第一部隊入りした。
スルトは14歳。敬語を使うことがない無邪気な少年です。となるとシェリルはかなり幼い....ガクブル
新たにマリアが第一部隊入りを果たしました。
しかしディアウス・ピターを一人で倒したり、プリティヴィ・マータを一撃で沈める化け物の元へとマリアは馴染めるのか....そして、マリアの強さは....?
と、今度こそシェリルの話に入れるかなぁ?とおもいつつ、ここでセシル枠が浮上。
どうなることやら。
と、いうことでコメント待ってます。
読んでいただきありがとうございます。