ダ ン ジ ョ ン の 自 爆 霊 作:ビビリ
『ここまで来れば大丈夫だろう。ギリギリだったねぇイッチ』
漸く立ち止まり、前を見るとそこにいたのは先程爆発したてのお婆ちゃんだった。何でがいっぱいだけど、まずはお礼を言わなきゃ。
「助けてくれてありがとうございます!きっとあのままじゃロクな死に方しなかった思います。本当にありがとうございます!!」
『良いんだよ、同郷の人間を見殺すほど腐ってはないつもりさ……それに丁度最後のモルモッ……ヴヴん。弟子が欲しかった所だし。あの場で死んだ方がマシかもしれないけどね』
最後の方は良く聞こえなかったけど。前半はバッチリ聞こえた。同郷ってもしかして。
『あの、お婆……いや、お姉さん?』
『ババアで構わないよ』
『お婆ちゃんは、もしかして日本から此処へ転生したんですか?』
『ああ、そうさ。掲示板を眺めていたら、偶然あの掲示板を見つけてね』
『にしても良くあの場所が分かりましたね』
『当然だよ、大体此処の転生者が転生者する場合の初期リスポーン地点はあそこかもう一つの場所しか無い。そして、その近くで焼き串の店。そしてそこからさほど離れてない奴隷商店を探せば、あそこしか無いのさ』
『す、凄いですね。貴方が段々シャーロックホームズみたいに見えてきました』
『ただの年の功さね。それより、これからどうするんだいワトソン君。行く場所もアテもどうせ無いんだろう?』
うぐっ。それを言われると何とも言えない。
『その通りです』
『なら、ウチに来ると良い。丁度、最後の弟子を探しててね。アンタにその気があるならだが……』
『お願いします!師匠。どうにかこの世界で生きていける様に色々教えてください』
きっと、この人に付いていけば間違い無いだろう。
その時の僕は忘れていた。このお婆ちゃんは初対面で。いきなり、爆発して店を吹っ飛ばして子供を誘拐する様な狂人だと言う事を。そして、それに再び気づき後悔した時にはもう遅かった。
『ああ、分かった。まずは名前を決めようか。イッチじゃアレだし。そうだねぇ、ハジメ。イチノセハジメとかどうだい?いかにも転生者で日本っぽいだろ?』
イチノセハジメ。うん、良い名前の様な気がする。
『はい、好きです』
『ババアを口説くんじゃないよ。天然ラブコメ主人公かい、お前は』
『?』
『ハァ……これから色々大変だと思うけど本当に良いのかい?』
『はい。師匠にずっとついて行きます!』
『素直だね。私が教えられるのは、この世界の常識とそれから魔法を一つだけさ。それが終わったらさっさと消える事だね』
『魔法!あ、そう言えば、あの。質問良いですか?』
さっきの爆発の事、今なら聞けそうだ。聞いてみよう。
『何だい?』
『あの爆発は何だったんですか?もしかしてアレが師匠の言う魔法ですか?』
『正解。あれは自爆の魔法を使ったのさ』
『自爆……』
『メガ●テって言えば分かりやすいかい?』
『ああ!成程……ってアレ?』
自爆したのなら死んでもおかしくない。なのに、目の前のお婆ちゃんは僕の目には元気そうに見える。
『幽霊?』
『失礼だね、この通りピンピンしてるよ。ああ、自爆したのなら死んでもおかしくないのに私が生きてるからか』
『はい』
『コレのお陰だよ』
そう言って見せてくれたのは、モンエネと書かれたビンだった。さっき飲んでた奴だ。
『コレを飲むとほぼほぼの確率であらゆる
『え、チートじゃないですか!』
『ああ、だが勿論デメリットもある。まず、効果は一分間のみ。そして連続の使用は危険だ。少なくとも十分ほどは身体を休ませた方が良い。そして使用は一日三回が目安だね。それ以上使うとオーバードーズになって、常時無効化になるよ。後、一割の確率で普通に死ぬ』
『え、死ぬ?最後に死ぬって言いました?』
生きる為に強くなろうと思ったのに、なんか死に向かってない?気のせいだよね。
『さて、説明は済んだ事だし、時間も空いた。それじゃあ最初の修行と行こうか。ハジメ!』
『はい!』
『死ぬんじゃないよ』
『え』
投げられたビンを受け取ってボーッとしていると、師匠がグビッとモンエネを飲み始めた。あれ、デジャヴ?え、ちょ待ってください。まって!!!
『
そして、まるで死のカウントダウンの如く師匠は光り点滅を始める。
『え、待ってください師匠!!殺す気ですか??』
『だから死ぬんじゃないよって言っただろ!早く飲まないと死ぬよ』
『わ、分かりました!』
『飲んでも一割で死ぬけどね。カッカッカッ!』
笑い事じゃないですよ師匠!ええいっ南無三!!!!
『ヴオェッ……雨でジャリが混ざった泥水みたいな味がします。砂糖ですか?このジャリ』
言うまでも無いけど滅茶苦茶不味い。良薬は口に苦して言うけど、コレは毒薬なんじゃないかな。だとしたら毒だし、不味いしで最悪だ。
そ し て ま た し て も 師 匠 は 爆 発 し た 。
『私の魔法の教え方は、"直接身体に叩き込む"だからね。身体が覚えるまで自爆を食らってもらうよ。大丈夫さ、数百回は喰らえば、覚えるさきっと』
平然と言う師匠に対して、僕は教えを乞う人間を間違えたなと今更後悔した。