【遊戯王5D'sタッグフォース】小波シリーズ〜時間跳躍(タイムパラドックス)とコナミ〜   作:ふれれら

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※十六夜アキルートで、父親が選挙シーズンで不在で寂しい思いをしてた頃のこと。
※TFのゲームシステム上、コナミくんは貰い物の横流しが激しかったという要素を拾ってみました。



十六夜アキルート幕間〜高橋秀行と小波〜

 

高橋秀行が選んだその日のタッグパートナーは、小波だった。

小波の隣は常に奪い合いだ。故に、その日は幸先から好調だったと言えた。

 

タッグデュエルを無事に終え、今回の縄張り争いでも危なげなく勝利を収めた小波は、同じくデュエルディスクを仕舞う高橋に

「約束じゃあ。欲しいもの何でも言うてみぃ」

と言われ、きょとん、と瞬きした。

 

こう見えて、高橋とて決してケチな男ではない。だから自分たちの縄張り争いに多大な貢献をしている小波に、多少は無茶な要望でも叶えてやる心づもりはあった。

 

だが、今に始まったことではないが、小波が具体的な希望を言うことは滅多に無かった。

大概は「またタッグデュエルして欲しい」とか、「使わないカードがあったら譲って欲しい」といった、そんな要望とも言えない程度の些細な望みを述べるに留まることがほとんどだった。

 

「あー、ワシらの世界は仁義が命じゃけ、借りっぱなしは性に合わん。たまにはデュエルとカード以外にも欲しいモンを言ぅてみぃ」

 

だからその日、気持ち良く勝利を収め、とりわけ機嫌の良かった高橋は、今日の相方である小波に上機嫌でそう念押ししたのだ。

 

「それともワシは、デュエルの報酬の支払いを渋る小者に見えるっちゅーことか? なあ?」

 

ニヤッと口角を吊り上げた高橋の言に、少し考えてから小波が「じゃあ…」と口にしたのは、植物園の招待チケットだった。わずか数百円のものだ。

 

結局、二枚組のペアチケットを手渡しながら「ほんまにこんなモンでええんか?」と尋ねた高橋に、小波はこくんと頷いて微笑む。

「ありがとう」

「なんじゃあ、おめえさん、こーゆーのが好きなんか」と訊かれ、小波はこてん、と小首を傾げて、アキちゃんが好き、と答えた。

「アキ? ああ、あの…」

黒薔薇の魔女。そのワードまでは口を閉ざしたが、意図は伝わったらしい。小波は「最近少し、元気がないんだ」と答えた。

 

小波は高橋に向き直ると「ありがとう、普通に渡しても、遠慮されちゃうから」と微笑んだ。

なるほど、貰い物だと伝えてさりげなく渡すつもりらしい。

小波は「早く元気になって欲しいから」と裏表なく、臆面もなくそう言った。

小波は帽子を目深に被り直しながら、心から嬉しげに微笑んだ。

「ありがとう、高橋」

 

ガシガシと頭を掻いた高橋は、「おどれ、ほんまにお人好しじゃのう」とぼやいた。

 

小波は『デュエル』と『タッグパートナー』の他に、目立って欲しいと訴えるものが無かった。

いつも人には何かやってばかりだ。誰かのために走り回ってばかりで、たまにこうして珍しく求めたと思えば、やはりそれは誰かのためなのだ。

 

こいつの欲しいものとは結局、誰かの笑顔ということらしい。

それは高橋のような生業の者から見れば、いささか綺麗事が過ぎる気はしたが。

笑って、高橋に頼んで良かった、と。素直な言葉を添えられれば悪い気はしなかった。

 

《高橋秀行と小波.END》

 

 

 





▼ [十六夜 アキ]ルートへ戻りますか?

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