【遊戯王5D'sタッグフォース】小波シリーズ〜時間跳躍(タイムパラドックス)とコナミ〜   作:ふれれら

11 / 17
クロウ・ホーガンルート幕間〜クロウの恋バナ〜

 

「ニンゲンっつーのはよ、半分欠けて産まれてくんだとよ。その半分が寂しいから泣いて産まれて、誰かと繋がろうとする、絆っつーもんが生まれる、ってな。マーサの受け売りだけどよ」

 

カラン、とグラスの氷が解ける。弾丸のピアスがゆらゆら揺れる。

洒落たバーで、酒のグラスを揺すりながら、クロウ・ホーガンは思い出の輪郭をなぞった。

 

「オレもジャックも遊星も、たぶん同じ話聞いて育ってる。遊星が絆にこだわんのは、それが根かもなあ。つまりよ、アイツも、寂しかったんだろうな、きっと」

 

なんてな。ほんとのところは分かんねーけどよ。

そうクロウは、思い出を辿りながら、へっと笑った。

 

「半分っつーのは、そいつのためなら死んだっていい、って思うような、命を賭けても惜しくねえヤツのことだ。けどよ、その半分が女かどうかは────人によるだろ」

 

ひどく穏やかな声音だった。

心深く理解している事を、ゆっくりなぞるような、そんな口調だった。

 

「サテライトじゃ珍しくねえけど、オレもなーんも持たねえで生まれた。名前も親も、歳も誕生日も知らねえ。けど、ぜーんぶマーサに貰った。オレに人としての最初の半分をくれたのはマーサだ。マーサはオレたちのお袋だったが、けどよ、親っつーのは父親と母親ふたつ揃ってるもんだろ? でよ、ガキのオレは、マーサに聞いたんだよ。マーサは半分がなくて寂しくねえのかってな」

 

ガキだったな。

そんなふうに、かつての幼さを、クロウは苦笑するように笑った。

 

「マーサは笑い飛ばした。あたしの半分はあんたたちだよ!ってな。あんたたちのためなら命だって賭けたっていい。あんたもいつかそういう誰かに出会う日が来るさ、ってな」

 

あの頃マーサが与えてくれた大事なものは限りなかった。

こうして振り返れば、後から後から湧いてくる。大人になって、ようやく気付ける愛情もあった。

 

「ガキの頃はよく分からなかったが、気付けばいつの間にか、あのどうしようもねえ穴みてえな寂しさは、魔法みてえにすっかり消えちまってた。そういう時、オレのまぶたの裏に浮かぶのは、いつだってガキどもさ」

 

酒をくっと喉に流し込んで、クロウはしばし目を閉じた。

その横顔は、ひどく穏やかだった。

 

「いつだって、小さい頃のアイツらがオレの中にいる。守ってやってるつもりで守られてたのはオレの方だ」

 

ちょっと前までクロウにいちゃんと結婚する~なんて言ってたチビどもだったのになぁ。

この前なんか帰ったら急に彼氏連れてきて参ったぜ。

そうクロウは「あーあ」と苦笑した。苦笑いは、けれども、あふれる幸福に彩られていた。

 

「アイツらのためなら、命だって賭けてやる。オレの半分はもうとっくに、アイツらで定員っつーこった。オレは充分満たされてる」

 

カラン、と氷が鳴いた。

 

「そうだな、アイツらと同じかそれ以上に大事に思えるような、そんな強烈でイイ女には……あいにく、まだお目にかかったことねえな」

 

へっ、とクロウが目を閉じて笑った。

 

「だから、必死こいて女を探そうとは思わねえ。恋人っつーもんも、いてもいなくても構わねえんだ。けどよ、おめーやジャックがそうみてえに、もし出会っちまったとしたら────」

 

「そんときゃ、アイツらと同じくれえ、オレのぜんぶで大事にすりゃあいいだけだろ」

 

 

 





▼ [クロウ・ホーガン]ルートへ戻りますか?

はい
→ いいえ

▼ [エンディング①牛尾哲]へ向かいますか?

→ はい
いいえ

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。