【遊戯王5D'sタッグフォース】小波シリーズ〜時間跳躍(タイムパラドックス)とコナミ〜   作:ふれれら

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カイトが「第二回WDCだと?」って言うところから始まるコナミ君登場オールキャラ激突デュエルカーニバル


ハートランドにコナミ君がやってくる激突デュエルカーニバル①

 

「第二回ワールドデュエルカーニバル、だと?」

カイトがピクリと片眉を跳ね上げて、研究資料を書き留めたボードにふいっと視線を戻した。

「ふざけるな、却下だ。どれだけの予算が掛かると思っている。第一、WDCは世界中のナンバーズを一か所に集める目的で開催したもの。ナンバーズの回収が済んだ今、再び開催する理由は無い」

イライラした内心を隠そうともせず、ペン先でカツカツとボードを叩いたカイトは、ギロリと視線を男に向けた。

ふざけた眼鏡の向こうで、男はニタニタした表情を隠そうともせず、形だけ慇懃に一礼して、ハートのステッキを胸元にやって見せた。

 

「あまりふざけたことを抜かしていると、今すぐこの俺が貴様を再び地獄に送り返すぞ、Mr.ハートランド」

「これはこれは、心外ですな。わたしは至って真面目ですとも。Dr.フェイカー様のご子息、カイトサマ」

「いちいち神経を逆撫でするな。今の貴様の監視役が誰か、まだ骨身に刻み足りないというなら、今すぐ相手になってやる」

「滅相も無い。今のわたしは、強大な人外(バリアン)の力を失った人の身。今はただ、あの時の償いに身を捧げるだけの矮小の身ですとも」

「心にも無いことをペラペラと……」

 

カイトはこれ見よがしに舌打ちし、相手にするだけ疲れるだけだと視線を外した。

「全く、ヌメロンコードによる改変が、貴様のような輩まで蘇らせることになるとはな。アストラルの奴、本当に余計なことを」

「おやおや、その恩恵に預かって死の淵から生還した者の言葉とは思えませんな」

「貴様のような不穏分子まで蘇るぐらいなら、いっそまとめて地獄送りの方が幾分かマシだった」

「なんと! そのような! やれやれ、Dr.フェイカー様とハルト様が泣かれますよ」

「ハルトの名を軽々しく口にするな」

バンッと激しくボードをテーブルに叩き付けたカイトに、横で主人の機嫌を伺っていたオービタルが「ギョアッ」と飛び上がった。

焼き尽くせそうなほど苛烈にMr.ハートランドを睨んだカイトに、睨まれた方はへらへらと薄ら笑いを浮かべて平然としていた。

「忘れるな。貴様の命は俺たちが握っている。少しでもおかしな真似をしてみろ。その時は……」

「ええ、ええ、もちろん、心得ておりますとも」

再び慇懃無礼に一礼してみせ、カイトの(かん)に障るよう、わざとらしく演技掛かった口調でMr.ハートランドが大袈裟に首を横に振った。

「ですが、誤解なさらぬよう。これは貴方の父、Dr.フェイカー様の指示なのです」

「…………なんだと?」

『────本当だ。よく聞け、カイト』

 

第二研究室のモニターが、一斉にパッと付いた。

別棟の第一研究所のカメラに映ったDr.フェイカーが、サブモニターに大写しで重々しく姿を現す。

「父さん」

『第二回WDCは開催する。これは決まったことだ、カイト。市長に圧を掛け、街を挙げた開催を約束させた。この街は再びデュエルの祭りに沸き立つことになる』

「しばらく研究室に篭りきりで、寂しがるハルトの待つ夕食にも帰って来ないと思ったら、そんな馬鹿げた計画を練っていたと?」

地を這うような低音に、周囲の気温が五度は下がった。主人の機嫌がさらに降下したのを察したオービタルは、声もなく「ヒィ!」と飛び上がった。カイトは手のひらを壁に激しく叩き付けた。

 

「納得の行く説明をしてもらおうか。ナンバーズの危機に備えて餌を撒き、天文学的な予算を割いて『優勝者の願いは何でも叶える』などと謳ったデュエルカーニバルを、こんな短期間に再び開催するだと? 迫る脅威があるわけでもない今、あまりにも非合理的──……」

 

『────その新たな危機が、近いと言ったら?』

 

カイトは顔を跳ね上げた。

「どういうことだ」

『詳しくはまだ言えん。だが、旅先の一馬から連絡が来た』

 

Dr.フェイカーは重々しく告げ、カイトから視線を外してじろりと視線を流した。

Mr.ハートランドは粛々と頭を下げ、Dr.フェイカーに従順を装っていた。フェイカーはふんと鼻を鳴らした。

 

『最悪の事態に備えて手数を揃えるために、わざわざその男を再び迎え入れたのだ。仮説が正しければ、このハートランドシティに厄災が訪れる。訪れてからではもう遅い。そのためには────……」

 

ビーーーーーーッ!!!

緊急アラートが研究所に響き渡り、赤いランプが激しく明滅した。

 

「何だ!?」

 

 

 

◇ ◇ ◇

 

 

 

「ねえ遊馬! オーパーツは別の宇宙から来たって説、知ってる!?」

目を輝かせたⅢの勢いに気圧されて、遊馬は「お、おお…?」と曖昧に相槌を打った。

 

物凄い早口で『素粒子がどうの』『重力がどうの』と楽しげに捲し立てるⅢの言っている内容は、正直遊馬には外国語よりちんぷんかんぷんだったが、屋根裏部屋に逆さに浮いたアストラルは「ふむふむ」といたく興味深そうだった。

「なるほど、確かに過去に数学的に証明された学説だけでは、1916年にアインシュタインによって間接的に検出された重力波の理論を完璧に証明したとは言えないだろう」

「そう! つまり、約100年かけて2015年についに証明された重力波の存在は、並行世界仮説を物理学的に証明する有力な証拠の一つということになるから、宇宙膜仮説が正しいと仮定すると、つまりオーパーツとは隣接したもう一つの宇宙から送り込まれた遺物であり、オーパーツを回収するために宇宙人が来訪するというのは突飛な仮説ではないことになる。隣接した宇宙に存在する別の生命体を『宇宙人』と定義するなら、つまり宇宙人とは23次元におけるもう一つの僕らと言い換えても」

「ぐ、ぐあ〜!! なに言ってるか全然わかんね〜!!!」

遊馬がぐるぐると目を回してひっくり返った。

プスプスと頭から煙を噴いた遊馬に、古い宝物に囲まれた屋根裏部屋でテンションの上がったⅢも、ようやく冷静さを取り戻したらしく、苦笑して「ごめんごめん」といつもの穏やかな口調に戻った。

 

「ねえ遊馬、そんな難しいことじゃないんだ。磁石って知ってるよね」

「んぇ? 磁石って、あの磁石だろ? くっくつやつ」

「そう、クリップを床に置いて、上から近付けたらくっ付く、あの磁石さ。でもね、改めて考えてみると何だかおかしくない?」

「へ? なにが?」

「だって、磁石って、こんな小さな石ぐらいの大きさでも、重力に逆らってくっつくよね? でも、磁石に負けちゃう『重力』って、何が物を引っ張ってる力か知ってる?」

「え、そんなの知ってるぜ! 地球だろ? 地球って、何でも引っ張っちゃうから、何でも下に落ちるんだよな」

「そう。重力は、地球が何でも引っ張る力のこと。万有引力っていうんだ。でも、『地球まるごと一個が引っ張る大きな力』なのに、何でこんな小さな磁石の力に負けちゃうんだろ? 地球の方がずっっっっと大きいのに、なんか変じゃない?」

「え? ……そう言われてみれば、変だよな?」

「そう、変なんだ。おかしい。エネルギー保存の法則って言ってね、何かを引っ張る力って、どっかに突然消えたりはしないはずなんだ。でもね、地球が物を引っ張る力が、小さな磁石に負ける。だから、昔のすごーく頭の良い人が気付いたんだ。重力って、目に見えないどこかに逃げてるんじゃないかって」

「どこかって?」

「たとえば、アストラル世界」

「え!?」

 

遊馬は寝転がったまま胡座をかいて、慌ててぐいっと起き上がった。

目を丸くしてパチパチと瞬いた遊馬の興味を引けたことを確認し、Ⅲはにっこり笑った。

 

「遊馬、僕ら、アストラルを助けにアストラル世界へ行ったよね。あの時、僕らみんな、空に()いた大きな穴に吸い込まれたの覚えてる?」

「あっ、憶えてるぜ! なんか、そーゆーもんかな、って思ってたけど」

「あれのことだよ。重力ってね、次元と次元の間に空いた穴から、別の次元に吸い込まれて逃げるって考えられてるんだ。人間が通れるくらい大きな穴じゃなくても、目に見えないくらい小さな穴は、今この瞬間、この部屋にも、目に見えないぐらい小さいだけで、何個も空いては塞がってる。それを重力波とも呼ぶんだ。それをね、今からちょっと前、2015年に発見した学者さんがいたんだよ」

「す、すげー!!」

 

遊馬の目がキラキラ光った。

 

「ってことは、その穴を通って、いつでもアストラル世界に行けるってことだよな!?」

「その通り! でも、こーんな小さな穴じゃ、僕ら通れないよね? それを大きくして、好きな場所に固定して、安全に別の時空に渡る方法を研究してたのが、僕の父さまやDr.フェイカーってわけ」

「ふむ、人間界では、アストラル世界やバリアン世界への渡航が、遡れば1916年の時代から物理学的にアプローチされていたというのは、中々興味深い話だな」

「ところが、人類が異世界との交流方法を最初に開発したのは、1916年よりずっと昔だと言われるんだ! 父さまたちが考古学の遺跡を研究していたのもそのためさ! それでね! ここからがオーパーツの話になるんだけど」

 

早口になってずいっと顔を寄せるⅢに、遊馬が再び気圧されて「お、おお…」と曖昧に返事をした。

遊馬の興味が離れかけたのを見て、Ⅲはすかさず腰のデッキからスッと一枚カードを抜いて遊馬に見せた。

 

「これ、遊馬も知ってるよね?」

「あっ! もちろん知ってるぜ! 先史遺跡(オーパーツ)クリスタル・スカル! 何回もデュエルしてるんだぜ、忘れるわけねーじゃんか!」

「そう、これは水晶髑髏。水晶を髑髏に加工できる技術が無いはずの大昔から見つかった、クリスタルでできた骸骨が由来のカード。水晶髑髏が作られたのは3000年以上昔とも言われているんだ。日本に最初の文明ができるより前だね」

Ⅲはニコッと笑った。

「つまりね、遊馬。たとえ人間は安全に通れなくても、ボールぐらいの大きさの水晶なら『穴』を通れたんじゃないか、ってことさ。水晶髑髏は、アストラル世界でもバリアン世界でもない、僕らと変わりないぐらい高度な文明を築いた別の世界から『穴』を通ってやってきた。そう考えられてる。それがオーパーツの正体なんじゃないかってね」

「アストラル世界でも、バリアン世界でもない、別の世界…?」

「そう。23次元方程式って言ってね、アストラル世界とバリアン世界の他にも、別の宇宙は21個あるって言われてるよ」

「!」

 

遊馬が何か閃いたように、ガバッと身を乗り出した。

 

「思い出した! 小さい頃、父ちゃんが言ってたんだ、『世界はいっこに見えるけど、いろんな世界がくっついてできてる』って! あれって、そーゆーことだったのか!」

「さすが一馬さん、英才教育だね」

Ⅲは得心が入ったように頷いて、「だからね」と身を乗り出した。

「そう、アストラル世界からアストラルがやってきたように。いつか別の次元から、間違って落としたオーパーツを回収するために、『誰か』がやってくるんじゃないかって言われてるんだよ」

「…………あれっ?」

 

遊馬は急に虚空を見て、頭を捻って何かを思い出そうとした。

 

「なんだっけ、あの時、父ちゃん、他にもスゲー大事なこと言ってたような……」

「え、気になるな。一馬さん、小さい頃の遊馬に何を教えてくれたの?」

「なんだっけ……なんか……」

 

 

その瞬間、ゴウッという激しい轟音と共に大地が揺れた。

 

「うわっ!? な、なんだ!? 地震かっ!?」

慌てて自分とⅢの頭を庇った遊馬を尻目に、アストラルが空を見上げた。

「いや、違う……何か巨大な物が地上に落ちた衝撃のようだ」

 

 

 

 

 

 

 

「オービタルッ! 何だ、今の衝撃は!?」

「ハ、ハイ! 町外れに隕石のようなものが落ちたようで」

「隕石だと? 解析を開始しろ!」

「かしこまりっ!」

 

アームのコードを伸ばして、あらゆる電子機器に同時に接続し、しばらくキーボードを叩いていたオービタルは、飛び上がった。

 

「ギョアッ!? こ、これは!?」

 

「どうした?」

解析結果に素早く目を通したカイトは、驚愕の声を上げた。

「な、何だ!? この高エネルギー反応は!?」

 

カイトは解析ドローンカメラを近付け、信じられないとばかりに目を見開いた。

 

「これは……カードの、石板!?」

 

 

「そうか、ついにこの時が来たか」

 

九十九一馬は、はるか天空を見上げ、自らの帽子を押さえながら、誰に聞かせるともなく呟いた。

「アストラル、俺の息子を助けてやってくれ」

 

 

 

 

 

◇ ◇ ◇

 

 

 

 

 

 

小波、よく聞くといい。

パラドックスのDホイールに搭載されていた時空渡航機だが、キミの内部に格納できるよう改造しておいた。

キミの古い自浄装置と自己修復機能も可能な限り強化しておいたから、最低でもあと千年は無事に過ごせるだろう。

 

未来を頼む、小波。

我らは、彼らが──チーム5D'sが創る新たな未来を、見届けることが叶わないから。

 

 

 

そう微笑んだアポリアは、ホセより穏やかに、プラシドより堂々と、ルチアーノより悪戯めいて、小波の肩をぽんと叩いた。

 

 

ついでに、(ゾーン)の忘れ物を回収しておいてくれないか。

時空改変のため、ゾーンが落とした石板は一つではない。

周りの認識を阻害する電磁波の発生装置も付けておいたから、潜り込みやすいはずだ。座標は装置に入力しておいたから。

 

 

 

アーククレイドルから何度回収しても、幾度時を巻き戻したとしても。

ゾーンと共にアーククレイドルのマイナスモーメントを止め、人知れず未来の礎として散る道を選んだアポリアは、ついぞ最期まで小波と共に生きる道は選んでくれなかったが、代わりに小波に無限の未来への切符を手渡してくれた。

 

 

 

さあ、小波。

時空の果てまでも、思うまま自由に行くといい。

千年先までデュエルを追うといい。

それがキミの最たる願いだろう。

 

 

 

 

 

 

◇ ◇ ◇

 

 

 

 

「さて、おさらいだ、僕の可愛い子供たち」

トロンはニコリと油断なく微笑んで、末弟と次男を見やった。

側に控えたクリスが、トロンの意図を汲んで、テーブルに広げた紙に分かりやすく図案を書き込んでいく。トロンが続けた。

「23次元方程式が指し示す通り、我らがいるこの世界を含め、理論観測上、世界は24個あるとされている。だが、より正確に言えば、世界は12個に分かれ、その世界と密接に関わる『裏』が存在することで、計24個の次元群を形成している」

 

トロンは歌うように滑らかに続きを舌に乗せた。

 

『表』が物質世界、そして『裏』は、表の世界と繋がった高次エネルギー世界だ。

『表』には惑星およびそれに類する質量体が存在し、質量が発生させる重力を含むエネルギーは、やがて表と繋がった『裏』へ自然流失する。

そして吹き溜まった大小様々なエネルギーが、もう一つの世界を形成する。それが、俗に『裏』と呼ばれる高次エネルギー世界。

我らがいるこの物質世界を『表』および『人間界』と呼ぶのであれば、僕らの住む世界の『裏』がバリアン世界でありアストラル世界だ。

アストラルや七皇たちが肉体を持たず高次エネルギーの塊であったことは、実際にこの仮説を裏付けている。

 

表と裏、つまり物質世界とエネルギー世界は繋がっている。

エネルギー体は『穴』を通って相互に行き来可能だが、物質世界側の住人はエネルギー体を認識できない。アストラルが普通の人に見えないように。

一方、質量を持つ物質は、本来エネルギー世界へ送り込めない。特に生物は、渡航の過程でエネルギー体へと質量が変換され、エネルギー世界に適合する形に変質してしまう。僕のこの顔のようにね。

 

先んじて現れた石板、一見するとただの石材に見えるが、実態はとんでもない高次エネルギーの塊だ。

あれがあのタイミングで観測されたということは、一馬が警告する『外部からの来訪者』は確実となったと見ていいだろう。

 

さて、ここで問題だ。

想定される侵略者、仮にXとしよう。

Xは、表と裏、どちらからやってくるだろうか?

 

トロンに水を向けられたミハエルは、ごくん、と唾を飲み、緊張しながら答えた。

「表と裏、どちらもありえます。アストラルのように高次エネルギー世界から直接『穴』を通って来る可能性もあるし、何らかの高度な文明技術で『穴』を広げて侵入してくる可能性もあります」

「そう、正解。どちらもありうる。だから、どちらも対策しておかねばならない」

トロンは緩やかに指を組んで、油断ない視線を向けた。

「アストラルは、当時デュエル初心者の遊馬に取り憑いて、デュエルを手助けすることで、ナンバーズを集め、目的を果たそうとした。ならば今回も、同じ手順を踏む可能性がある」

「つまり、炙り出そうってんだな」

Ⅳは自らの手に拳を打ちつけて、あえて堂々と、ニッと自信ありげな表情を作った。Ⅳの前には、第二回WDCの招待状が、デュエルチャンピオンとしてのⅣの肩書きへ華やかに贈られていた。

「そう、『裏』の侵略者であれば、必ずこちらの物質世界の誰かを介する必要がある。デュエルは探り出す絶好の機会だ。アストラルが取り憑いた遊馬のように、ナンバーズが取り憑いた者たちのように、大会を通して炙り出せる可能性は高い」

「じゃあ、『表』の場合は? 物質世界から他の次元に渡れるということは、よほど高度な文明を持っている証ですよね。もしかしたら、争わずに対話できる友好的な相手かも──……」

「そうかもね。ただし、多次元への渡航は、多少なりとも生命体のエネルギー的変質を免れないから」

トロンは自分の顔をゆるりと撫でた。

「やってきた『X』は、どれほど人間に見えても、人間ではない、ということになるね」

 

 

 

 

「ゴーシュ、街の交通規制が完了したらしい。そろそろ私たちの出番のようだ」

「おっしゃあ!」

 

ドロワの報告に、ゴーシュは拳同士を打ち付け、気合い十分、雄叫びを上げた。

 

花火が空に舞う。報道ヘリがビル街を激しく行き交う。

街のネオンは熱狂している。

ゴーシュザスターマンの衣装を脱いで、かつてと同じ炎の服装を纏ったゴーシュが、待ちきれないように不敵な笑みを浮かべる。

ごきん、と肩を鳴らしたゴーシュが、感慨深そうに夜景の街並みを見下ろした。

 

「まっさか、俺たちでWDCをもう一度やる日が来るなんてなあ」

「私が大会運営委員として外部から、お前が参加者として内部から調査する。それがカイトの依頼だったな」

「怪しい奴を片っ端からぶちのめす、わかりやすいノリだ!」

 

ガーッハッハ!と高らかに笑うゴーシュに対して、ドロワは頭が痛そうに首を横に振った。

 

「WDCの本領は大規模な交通規制だ。『招かれざる来訪者』が現れるのは、ここ、ハートランドシティ。この数日間が勝負になる」

「ま、派手に暴れてやろうじゃねえか。上手く餌に掛かってくれるといいんだがな」

 

 

 

 

「ハーーーートバーニング!! 皆さまお待たせいたしました! 第二回ワールドデュエルカーニバル、早速ルールを説明いたしましょう!」

 

会場がわーっと大歓声にあふれた。

世界中から参加者が集まった第一回とほとんど遜色ないほど活気にあふれたハートランドシティは、まさにお祭り騒ぎだった。

 

「本日から6日間、このハートランドシティはデュエリストの街へと生まれ変わります! 挑まれたならいざデュエル! 普段はデュエルをしない市民の皆さまも、魅力的な参加賞をご用意してございます、ぜひ奮ってチャレンジください。5日目が終了した段階でデュエルポイントの自動集計を取り、上位八名を最終日の優勝トーナメントへご招待いたします!」

 

海外向けの告知が積極的に行われなかったため、第一回と比べれば国内向けの色が強く出た大会だ。

特にハートランドシティの市民は全員が自動的にデュエルポイントの自動集計対象となることから、街の住民がこぞって参加する、第一回よりさらにお祭り的素養が強いものとなっていた。

 

表向きは、ハートランドを中心としたデュエル観光地化に向けた実験的政策。

その本当の目的は、『来訪者』をこの街から逃さぬこと。ハートランドシティの住民全てをデュエルポイントの自動集計対象としたのも、鼠をくまなく洗い出すため。そんな裏事情はおくびにも出さず、Mr.ハートランドは愉快に杖を振った。

 

「優勝者には『どんな願いも叶える権利』と題して、このMr.ハートランドが可能な限り、望みを叶えることを約束いたします!」

 

何も知らない住民たちの、熱気ある歓声が、辺りにビリビリと響き渡る。

Mr.ハートランドはいくつかのルール説明をそつなくこなし、最後にわざとらしく首を横に振った。

 

「おおっと、注意点が一つ。この大会はあくまで個人技、よってタッグデュエルは全面禁止とさせて頂きます! ルール違反にはペナルティもありますので、皆さまご注意を! それでは皆さま、開始と致しましょう!」

 

大会の始まりを告げる閃光弾が、空にパンパンと高らかに打ち上がった。

 





to be continued
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