俺がカイドウの息子…?ifパロ短編集   作:もちお(もす)

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2話、遭遇

編纂者として派遣されたアルマは、未だ馴れぬ砂上船の造りに戸惑いながらも、甲板へと向かっていた。

 

 

見慣れた船にはない大きな扉を前に、アルマは手をかけて押し開こうとする。

しかし、それはびくともしなかった。

仕方なく肩を当てて体重をかけると、ようやくゆっくりと動き始める。

 

「もう…少し…!」

 

次の瞬間、扉が急に軽くなり、アルマの体がよろめいた。

地面へ倒れ込むと思ったその時、ふわりと大きな腕に支えられる。

 

 

「あっ…! レオヴァさん。」

 

驚きながら見上げると、そこには長い黒髪の青年が、爽やかな笑みを浮かべていた。

 

 

「突然、飛び出してきてどうしたんだ?」

 

「い、いえ…飛び出すつもりはなかったのですが…扉が少し重くて。」

 

アルマは照れたように眼鏡を直しながら答える。

その仕草を見て、レオヴァは腕を組み、少し考えるように目を細めた。

 

 

「重い、か。  

すまないな、この船は父さんを基準に造られているから、君には不便なことも多いだろう?」

 

その言葉にアルマは納得したように頷く。

 

 

「そんな、不便だなんて!  ですが、なるほど…お父様を基準に造られているから、大きくて頑丈な船なんですね。  

見たことがない造りや、たくさんの置物があって、とても素敵だと思います。」

 

そう言いながら、アルマは扉の近くに飾られているヘンテコな置物を目にし、興味深そうに輝いた瞳を向けた。レオヴァは変わらず穏やかな微笑を浮かべている。

 

そんな穏やかな雰囲気を破るように、甲板から鋭い声が飛んだ。

 

 

「レオヴァさん! 船の横に謎の大群が!!」

 

部下の鬼気迫る声に、レオヴァとアルマはすぐさま甲板へと駆け出す。

 

甲板から見下ろした砂の海には、砂を泳ぐように進むモンスターの群れが、船の数十メートル先に迫っていた。

 

 

「すごい数…」

 

思わず漏れたアルマの言葉に、レオヴァも目を細める。

 

 

「群全体がかなり興奮している様子だが…」

 

そう言いながら思考を巡らせようとしたその時、望遠鏡を構えていたオレンジ髪の青年、ドレークがモンスターの先頭を指さした。

 

 

「レオヴァさん、人だ!」

 

彼の指す方向に目をやると、小型モンスターの背に跨る小さな人影が見える。子どもだ。

 

焦った表情でその影を見つめるアルマの横で、レオヴァはそっと視線を移し、並走するもう一隻の甲板を盗み見る。

 

そこでは、オリヴィアというハンターが舵取りに声をかけていた。

しかし、船がモンスターの群れに向かう様子はない。

 

レオヴァが考えを巡らせる中、アルマがまた声を上げた。

 

 

「あの、何かが…」

 

彼女の視線の先にいた小型モンスターを捉えると、レオヴァの目が鋭くなる。

 

 

「近付けるかもしれない。」

 

そう呟きながら、レオヴァはすぐに甲板の先へと歩き出す。

 

 

「できるのですか?」

 

驚きの表情で問いかけるアルマに、レオヴァは振り返らずに答えた。

 

 

「他に手はない、そうだろう?」

 

そのまま船の側面へと乗り出すと、レオヴァは舵を取っていたキングに向かって指示を飛ばす。

 

 

「キング、あの小型モンスターに寄せてくれ!」

 

「…了解だ、レオヴァ坊っちゃん。」

 

何か言いたげなキングだったが、小言を飲み込み、船を右へ寄せる。

 

そして、砂漠の中にあった岩に当たり船がわずかに浮き上がると

――レオヴァは宙へと飛び上がった。

 

アルマたちが見守る中、レオヴァは見事に小型モンスターの背へ飛び移る。その瞬間、甲板から歓声が上がった。

 

 

「すごい…!」

 

「流石はレオヴァさんだ。」

 

アルマとドレークが目を輝かせながら見送る中、レオヴァは手綱を握り、群れの先頭へと走り去っていった。

 

 

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

二隻の船は、謎の小型モンスターの背に飛び乗ったレオヴァに近付けずにいた。

しかし、モンスターの群れをなんとか避けて接近すると、船の軌道を揃えた。

 

小型モンスターは二匹。

その背に、子どもの姿が見えないことにアルマと少年ナタは息を呑んだ。

だが、目を凝らすと、レオヴァの腕に抱えられた小さな影があるのが分かり、二人の表情は安堵に染まった。

 

しかし、まだ危機は去っていなかった。

例の大型モンスターが一匹、執拗に追いすがってきている。

 

レオヴァの操る小型モンスターも素早いが、それでも追いつかれる。

——そうアルマが直感し、警告の声を上げようとした、その瞬間だった。

 

突如、レオヴァが手綱を引き鋭く方向転換した。

その直後、甲板から大きな人影が飛び出す。

 

レオヴァと入れ違いに飛び出したその人影に、大型モンスターが反応する。

花弁のような特殊な形状の口を大きく開き、猛然と飛び掛かった。

 

次の瞬間、その人影は自分の何倍もある巨大なモンスターに向け、大剣を振り抜いた。

刃が閃き、凄まじい音とともにモンスターを弾き返す。

 

思わぬ反撃に、モンスターは驚愕の唸り声を上げると、群れの方へと逃げ去った。

 

それを見送った大男は、大剣を背に収め、後ろにいるレオヴァを振り返る。

 

 

「ウォロロロ!

余計な世話だったかァ?レオヴァ」

 

「いや、子どもを抱いていて下手に動けなかったんだ。

助かったよ、父さん」

 

レオヴァの言葉に、大男——カイドウは豪快に笑い、息子の背を力強く叩いた。

 

 

「見知らぬモンスターに飛び乗って出て行ったとキングから聞いた時は驚いたが、随分と上手く乗りこなしてるじゃねェか」

 

その言葉に、レオヴァも嬉しそうに微笑む。

 

 

「この手綱と鞍といい、恐らく人に飼い慣らされているモンスターなんだろう。」

 

「そりゃあ、いい。

ウチでも運用できりゃ色々と捗る。

……で、そのガキは?」

 

カイドウの視線を感じ、レオヴァの腕の中で目を潤ませていた少女がビクリと肩を震わせる。

 

震える少女を落ち着かせるように、レオヴァは優しく微笑み、静かに語りかけた。

 

 

「怖かっただろう? 

もう、大丈夫だ」

 

その言葉に、少女は大粒の涙を零し、何度も頷いた。

 

そんな様子を見ていると、船を停めたアルマとオリヴィアたちが駆け寄ってきた。

 

少女が地に降ろされると、少年ナタが不器用ながらも気遣うように声をかける。

 

 

「あの…安心して。

この人たちといたら…心配、ないよ」

 

こくり、と無言で頷く少女を、アルマが心配そうに見つめる。

その横で、オリヴィアが呟いた。

 

 

「驚いた……本当に人がいるとは」

 

「だが、これでナタの言っていたように禁足地にも村があるのは間違いなさそうだな」

 

「ああ、まずは——」

 

オリヴィアとレオヴァが話し合いを始めようとした、その時。

 

 

「どうしよ……おにいちゃん……」

 

少女は、アルマを見上げ、泣きながら呟いた。

 

 

「お兄ちゃん?」

 

「私、セクレトで……あいつがきて

……でも、おにいちゃん…っ」

 

「あいつって、さっき沢山いたやつかな?」

 

アルマの問いに少女は違う、と首を振る。

 

 

「お兄ちゃんはどうしたのかな?」

 

優しく問いかけるアルマに、少女は涙ながらに答える。

 

 

「……私を逃がして、ひとりで…」

 

その言葉を聞き、オリヴィアはレオヴァとカイドウを見やった。

 

 

「良くない状況だ。」

 

レオヴァは静かに頷くと、少女の前に片膝をつく。

 

 

「お兄さんが何処にいるか分かるか?」

 

少女は、セクレトと呼ぶ小型モンスターを指さした。

 

 

「セクレト……おにいちゃんの匂いを、おぼえてる」

 

レオヴァはアルマと視線を交わし、方針を固めるとカイドウを見上げた。

 

 

「父さん、行ってくる」

 

「おう」

 

カイドウは息子の背を叩き短く返事を返すと、任せたとばかりに踵を返す。

 

その様子を見ていたアルマは、オリヴィアたちを振り返った。

 

 

「皆さんはベースキャンプの場所を」

 

「分かった。

でも、助けが必要なら呼んで」

 

「二人のことは任せてよ! 

必要な物は置いていくから」

 

オリヴィアとジェマはそう言い、船へ向かい子どもたちを連れて歩き出す。

 

そして、残されたレオヴァとアルマは簡易キャンプで準備を始めるのだった。

 

 

 




――――――――――――――
【後書き・補足】
ゲームでは船は一隻だったが、この世界線ではレオヴァ達の船も共に来ている為、ニ隻ある。

・レオヴァ達の船
これはレオヴァ達がこちらの世界に飛ばされて来た時に乗っていた物なので、モンハン世界にはない造りになっている。
(映画の実写化モンハンの転移をイメージして頂けると分かりやすいかと)

・カイドウ
大剣を使用、いつもの金棒はサイズが合わず使用不可。
レオヴァと共にハンターの資格を取得済み。
能力は使えなくなっているが、海へのデバフは無効になっている。
身長も縮んだが、レオヴァと目線が近いので案外悪くないくらいの認識。

・レオヴァ
ハンターズギルドに不信感を持たれないよう人命優先の人格者として振る舞っている。
焦っていたが、カイドウに向こうはクイーンがいるから大丈夫だと言われ落ち着いた。
なんだかんだモンハン世界の生き物や植物園に興味津々。

・ドレーク
ハンター資格は取っていないが、研究者と言う事になっている。
ナタのメンタルケアと他のギルドメンバーとのコミュニケーション役として一役勝っている。
爬虫類が好きなのでモンハン世界の生き物に内心では心躍っている。
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