僧侶?いいえ、戦う坊主です   作:アウラの支援部隊

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世代交代は、どの種族にも有る筈

 50年に一度観られる"エーラ流星群"まで約一ヶ月となった頃、珍しい客がアウラを訪ねる。

 

 「う~ん...。」

 

 何時もの様に執務室で書類とにらめっこするアウラ。ここ最近は、執務室に居る事が多い。

 そこへ"コンコン"っと、ドアがノックされる。

 

 「空いてるわよ。」

 

 そう答えると扉が開き、扉を開けた"少女の様な"エルフが室内に入ってくるが、アウラは見向きもせず、書類とのにらめっこを続けてる。彼女は、このエルフが何処の誰だか、魔力探知で前以て分かっていた。

 

 「やっぱり似合わないわね...。」

 「50年前にも、バカ弟子に同じ事を言われたわ...。」

 

 室内に入るや否や、エルフのいきなりの言葉に即答するアウラ。それと同時に、視線を書類からエルフに向ける。

 

 「"バカ弟子"って、アイゼンっ?」

 「ご明察...。」

 

 アウラは、エルフとのやり取りを楽しんでいた...そして...。

 

 「久し振りね、アウラ。」

 「久し振りだな、フリーレン。」

 

 アウラを訪ねたのは、勇者ヒンメル一行の"大魔導士"だったフリーレンで、彼女は、嘗ての仲間達とエーラ流星群を観る為に、凱旋以来、実に五十年ぶりに王都に戻って来た。

 

 アウラは席を立つと、フリーレンを併設されてるテラスへと案内する。

 テラスに案内されたフリーレンは、その場所にフードを被った白い修道服を着る修道女が居る事に気付く。服の色から推測するに、かなり位の高い僧侶だ。

 その修道女の魔力に気付いたフリーレンは、直ぐに彼女に声を掛ける。

 

 「久し振りね、リーニエ。」

 「ご無沙汰しております、フリーレン様。」

 

 声を掛けられた修道女...リーニエはフードを脱ぎ、フリーレンに挨拶をする。

 

 「良く、私だとお分かりにっ?」

 「魔力の質かなぁ~っ?それと、揺らぎかなっ?」

 

 鍛練の一つとして魔力量を抑えていたリーニエ。フードを被っていると、普段なら他の僧侶や団員、それに魔法使いにも誰だか気付かれないが、"大魔導士"であるフリーレンには見破られた。

 

 「私も、まだまだですね...。」

 「そんなこと無いんじゃない?短期間でここまで抑えれるのは凄い事だよ。」

 

 フリーレンが短期間と言ったが、リーニエが魔力量を抑える鍛練を始めたのは、保護されてから一年後の話で、約六十年の間、その鍛練を欠かさず続けてる事に成る。人間族で云えば、途方も無い時間をその鍛練に費やしてる事に成るが、長命族の感覚だと短期間に成るのだろう...。

 

 「そう言えば、五十年ぶりだっけ?大きく成ったね~っ?」

 「はい...今は、"先生"の補佐をしております。」

 

 リーニエが云う"先生"とは、アウラの事で、アイゼンを師匠とするリーニエからすれば、アウラは"大師匠"だが、その前に、アウラから"騎士団員の件"も含め、僧侶に関する事を享受されていて、彼女の弟子でもあった。

 

 「アウラの補佐っ?」

 「今のリーニエは、"第七師団"の団長よ。」

 「えっ?そうなのっ!?」

 

 誇らしげに捕捉するアウラに、フリーレンは驚く...。

 

 聖騎士団の組織には色々な部署が有るが、直接戦闘を行う師団は第一から第七まで存在する。

 その"第七師団"は、戦闘から偵察まで、少人数でも全ての任務を遂行出来る特殊師団で、謂わば、エリート中のエリートだ。

 その初代師団長は、若かりし頃のアウラ。彼女が率いる創設間もない"第七師団"は、当初は遊撃が主任務だったが、気が付けば、魔族討伐数や案件を他の師団(第一から第六)を抑え、トップに君臨する。師団長のアウラは無論、所属する団員も、有る意味"変態"だったのが理由だ。

 今でこそ、人類の魔法使いが扱える様に成った飛行魔法だが、実は扱える者は極僅かだが、"祝福"にも同じもの("飛翔")が存在する。

 この"飛翔"を解明したのは、アウラと彼女の師匠で、後に、実用化(使えるのは僅かな人数だが)に漕ぎ着けたのはアウラ本人だ。

 最初はアウラ本人しか使えなかったが、段々と適合者が増え、使える者の数に目処(約200人)が立って以降、師団全体の機動力が上がる。

 他の師団とは段違いの戦闘力と技量を持つ"変態"の集団なのだから、機動力まで上がれば、比例して討伐率も上がるのは当然だった。

 余談だが、あの"腐敗のクヴァール"封印作戦に参加した師団も、アウラが指揮していた第七師団で、世相に疎いフリーレンでも、その事を知らない筈は無い。

 むしろ、彼女が師団長を何百年も続けていた事を知っていて、その師団長をリーニエに交代した事に、余計に驚いたのだった。

 

 「アウラの後釜に成るのは、凄い快挙だよっ!」

 「有り難う御座います。」

 

 約六十年前に保護した彼女がここまで大出世した事に、フリーレンは感激すると同時に、就任の祝福を伝えるのだった...。

 

 "戦士アイゼン"の弟子に成った後のリーニエだが、あれから約三十年程でアイゼンから免許皆伝を言い渡される。

 その後、アイゼンの薦めも有り、僧侶では無く聖騎士団員として生きる事となるが、団員に成った後、新たな師匠の弟子と成る。

 斧とは別な武器を使う師匠だったが、前衛職のセンスが元々高かった彼女は、数年で2つ目の免許皆伝を取得する。

 その後、彼女は魔物討伐で目覚ましい活躍を続け、栄誉あるエリート師団の団長に上り詰めたのだ。

 

 リーニエとの再会を果たした後のフリーレンは、アウラが用意した円卓の席に座る。

 

 「お前から会いに来るなんて珍しいなっ?」

 「そ~おっ?」

 「前回来たのは、確か150年前だったわ。」

 「そんな最近だっけ?」

 

 二人は出会ってから約500年来の、良い意味での腐れ縁の仲だ。

 

 「そうそう、今日来たのは...。」

 

 そう言って、フリーレンは自分の鞄を開け、何かを取り出す。

 

 「はい、お土産っ!」

 「お土産っ?...これはっ!」

 

 手渡された"お土産"に、目を見張るアウラ。その"お土産"は、彼女が長年探していた書物の一つだった。

 

 「"先生"のメモ帳、良く見つけたわね~っ?」

 「むふ~んっ!約三十年前に立ち寄った村で見付けたのよね~っ!本物か偽物かは、アウラが見れば分かるよねっ?」

 「どれどれ~っ?」

 

 "先生"とは、数々の"女神の祝福"を解明した伝説の僧侶で、アウラの育ての親でもある。

 中身を確認したアウラは、『間違い無い、本物だわ』と言って感謝の意を表す。

 

 「そうそう、"例の魔法"もうすぐ完成するわよ。」

 「本当っ?」

 「実用化には臨床試験が必要だけど、"奴の復活"までには充分間に合う筈。」

 

 "例の魔法"とは、フリーレンが依頼した"新しい防御魔法"の事。"奴"とは、約五十年以上前に、死闘の末に何とか封印した大魔族の一人、"腐敗の賢老・クヴァール"の事だ。

 

 

 「そっか~っ...。」

 

 アウラの"充分間に合う"の言葉に、安堵するフリーレンは、当時の事を思い出す...。

 

 当時、クヴァールが開発した貫通魔法"人類を殺す魔法(別名ゾルトラーク)"に因って、奴に会ってしまった者は、対峙した討伐隊や冒険者も含めて殆どが殺されていた。

 しかし、ヒンメル達とアウラ率いる第七師団が、決死の覚悟で"クヴァール封印作戦"を敢行する。

 緒戦は、クヴァールのゾルトラーク乱発攻撃で、次々と団員が犠牲になり、劣勢に立たされるアウラ達だったが、フリーレンが封印魔法の準備を完了させたと同時に反撃に移る。

 クヴァールが放った"人類を殺す魔法"を、アウラが使用した"女神の祝福"の一つと、ヒンメルが使用した"勇者が使える奥義"の併せ技に依り、ゾルトラークを正面から縦に両断、その事に驚いたクヴァールの隙を点いてフリーレンが封印魔法を発動、クヴァールは急速に足元から石化が始まり反撃する間も与えられず石像になり、戦闘は終了する。

 クヴァールが封印された後、アウラとヒンメルはその場に座り込むが、戦闘中に怪我をした訳では無く、単に魔力が枯渇しただけだ。

 ゾルトラークをブッタ切った"あの祝福゛と奥義は、当時、使用すれば一気に魔力が枯渇する程消費する上に、二人の息が合わないと成功しない技で、今回の作戦は賭けだった。

 

 クヴァールの封印後、人類は挙って"人類を殺す魔法"の解明を行い、近年に成り、人類でも"ゾルトラーク"(後の一般攻撃魔法)が使える様に成る。

 そして、"人類を殺す魔法"の解明と同時進行で、ゾルトラークをある程度無効化する"新型防御魔法"の開発も進めていた。

 この魔法、実は、新型の物理防御魔法と同時に開発を行っていた。しかし、あと一歩の処で足踏み段階が数年続いて居たが、ようやく完成にこぎ着ける目処が立ったのだ...。

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