俺だけレベルダウンしてる件   作:テクトリカ

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ペナルティが出来たので続きやります。




4.

俺が新しい力に目覚めて次の日の朝は音速だった。

 

「あれ、お兄ちゃんご飯は?」

「すまん、ラップ付けといてくれるか?朝から運動しておいて体を動かしたいんだ……ハンターの仕事があるからさ」

「分かったー、ちゃんと帰ってきてね?」

「おう」

 

そう言って玄関から飛び出し、まだ6時の朝日が昇る街中を駆け始める。

一応言っておくが、今のスピードは一般人が走っているレベルの速度だ。じゃあただの筋トレじゃんと思う訳だが……

そうでもない。

昨日、部屋の中で粗方俺のペナルティの条件を調べた時に衝撃の事実を知ってしまった。

帰りの最中に靴の底を擦り切らしてしまい、靴がオシャカになったショックよりも小町に怒られる事を心配していた。

しかし、大切なのはそこだけどそこじゃない。

俺はてっきり「靴が擦り切れて足にダメージが入ったから」ペナルティが発生したと思ったのだが……

そういう訳じゃなかった。

どうやら、昨日考えていた内容に不足部分があった。

 

「(命を粗末にする行為、自分自身が行った行動によって発生する命の駆け引きがペナルティ対象だと言ったが……

命というものが何処までを対象にすると思っていなかった。

まさか俺が履いている靴や着ている服すら「ペナルティ」対象とは)」

 

もちろん、ただ服を持ってるだけじゃ簡単にペナルティは発生しない。

どうやら俺が着ているかつ生きる為に「必要」だと思っていればそれがペナルティ対象に入る。もちろん、ペナルティ執行はそれを粗末に扱ったりすればだか……

流石にそんな気が起きない。服がないと警察に御用になるし守れるものも守れない。そんなんでペナルティ稼ぐよりかはこうして筋肉を痛め付けて損傷ペナルティを稼ぐ方が割に合う。

何よりこれに驚いたのは今実験しているものだ。

現在はネットで軽く調べて筋肉を痛め付けるレベルのランニング中だ。もしこれが上手くいけば……

そう考えていると、太ももの方に痛みが走る。

 

「いっ……!」

 

*損傷ペナルティが発生しました。レベルがダウンします。

 

「やっぱりかよ……」

 

俺の思惑通り、筋肉が切れたり体にダメージが行き過ぎるとしっかりとペナルティ判定になった。

何よりこのペナルティ判定自体、かなり緩い。

筋トレによって傷付いた筋肉は損傷ペナルティとなり俺のレベルが下がる。

流石にペースを上げすぎて痛いだけの生活となったらアレなので、「状態の回復」も上手く使って筋肉を付けなければならない。

……色々分かった事はまだある。

まず昨日危惧していたこの画面が家族や他の人間に見えないか。

それを調べたが残念ながらなく、小町やハンター協会(昨日会った人も何も知らなさそうだったしな)の人達にも見えていなかった。

そう考えながら死ぬ程走って、駆ける。これをやるだけで俺はペナルティが大量に上がる。

もちろん1日に自分自身のダメージなどでペナルティを貰える回数はきっと制限があるだろう。それだったら無限にこれを続けていればいいのだから。

 

「(助かったのは、俺が鍛えても何も強さに影響しないことだ)」

 

もしも「叛逆」の効果でいきなり筋肉が肥大化、筋肉モリモリマッチョマンの変態になっていたらとんでもない。

その時に服とかサイズ合わなくて千切れるだろうし嬉しい誤算だった。

もちろん鍛える事がダメな訳じゃないのも一つのメリットだった。

俺はハンターになってからは体感主義(現場で体感して成長してこい)だった。経験に勝るものはない、今その場で体感し自分の行動を踏まえてより強くなれると思っていた。

だが実際にトレーニングは必要だと思ったし、俺も2日前のダンジョン攻略で痛感した。

痛みに慣れて突っ込むだけじゃ、そこら辺の命知らずのハンターでも出来る。

まずは基礎的な部分をコツコツ育ててハンターとして生きねばならない。

 

「(そろそろ休憩するか)」

 

考え事をしながらランニングし続け、遂に2時間。

体感する時間が早く感じる。遅く感じることはなく、こんな-レベルの肉体でよくぞここまでと思う。

携帯のニュースを調べると、目を見張るものがあった。

 

「東京の方で二重ダンジョン?大変だな」

 

どうやら東京の方では二重ダンジョンの話題でひっきりなしのようだ。驚いたのは、生存者はたったの数名、その中にE級ハンターもいたそうだ。

水篠旬か…俺と同じE級ハンターとは思えない何かを感じる。

悪寒か、それとも別の何かなのかは俺もよく分からないが言えるとすれば同じE級として幸運を祈る事しか出来ないという事だ。俺もその1人、慢心して殺されることがないようにしないとな。

スマホをしまい、俺は彼の幸運に負けぬ様に走り込みを再開した。

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

俺が走り込んで家に帰り、朝食を食べてハンターの仕事を受けに行ってから数分でハンター協会が出しているE級の仕事を受理した。

E級が受けれる仕事なんてたかが知れている。もちろん仕事を受けて実績を積み、ランクを上げながら行くのも悪くはない……と思ったが。

再覚醒したと周囲が知れば俺の待遇は確実にひっくり返るし何より小町や母さんに悪影響を及ぼしかねない。

親父の時のようなショックを起こす訳にはいかない。

正体を隠して行動できるような時期になったら、ペナルティを多く貯めて暗躍するのもありか。そう思いながら今回の仕事の確認をした。

今回の仕事は「攻撃隊」に入り、荷物持ちになること。

要するに2日前のとこと同じようになる。

今回向かうのは、工事中の建設現場に発生したゲート。

現場に到着した俺は、すぐに依頼人と会ったのだが……

 

「すいません」

「どーもー……ってあれ、もしかしてお前……」

「え?」

「やっぱそうじゃん、こいつヒキタニだぜ!」

 

え?ヒキタニ?ヒキタニって誰ですかね。そう人違いのように別の方向を向きながらしらばっくれるが……

どうやら逃れられないらしい。

俺がしっかりと顔を合わせ、ニヤニヤと笑みを浮かべながら俺の肩に腕を置く人物。

葉山隼人のグループにいた大岡と、大和だった。

ハンターとして活躍していたことは知っていたが、まさかC級ハンターだとは。

こいつは確かチェーンメールや修学旅行の時に出会ったはずだ。懐かしいとも思うが、あまり喜べない。

もちろん態度や言葉も人を舐め腐っているが、こいつらからはそれではない嫌な予感を感じさせる。

あの時の様な……

 

『ふざけんな!荷物持ちのE級ハンター如きが生き残ろうとしてんじゃねぇ!』

 

人を平気で見下し、自分の安全圏を掴みに強者に縋り付き、その為なら平気で人を殺す…

 

「ってか懐かしすぎwお前何してたの?」

「ホントだよ、こいつ雪ノ下にフラれてから音沙汰ないって聞いてるしw」

「というかさー、戸部と顔合わせた時もこんな感じだったよなw」

「マジそれなw戸部もだいぶハンターとして成長してたしさぁ、そろそろやりたくね?なんつーの打ち上げ?」

「だな。そろそろ隼人君の為にもさぁw」

 

 

 

裏切り者の予感がする。

 

 

 

すぐにそいつらから分かれ、他のメンツを見てみる。中々にランクが低い、E級やD級がちらほらだ。この攻撃隊を経験値にしてランクを上げたいというハンターも少なからずいるのも事実だ。

 

「(にしても、経験が少ないと足を引っ張ったりすると思うんだが……どうして採用したんだか)」

 

仕事の契約書を見ながら、俺は他のメンバーを見渡しているとまたもや知り合いの顔が出てきた。

しかも、今度は速攻で気付かれたのか俺に向かって駆け寄ってきた!

やっべ、とっとと逃げないと……

 

「ヒキタニ君ッ!久しぶり!」

 

バシィ!と背を向けて帰ろうとした背中を叩いて、振り返った俺に挨拶してきたのは……

修学旅行の件で俺にお世話になった人物、戸部翔。

イケイケのチョリチョリと言えばいいのだろうか。チャラチャラした見た目の癖に情に厚い所やノリのいい所、あとはこれでも運動が出来ていたから葉山の腰巾着としてよく話していた気がする。あれから見た目も変わっていないし、まさかハンターをやっているとは。

それにしても……

 

「まぁ久しぶり……っーかさ」

「ん?どかした?」

「いや……お前装備」

 

俺が見ている戸部の装備は、煌びやかな見た目をしたかなりしっかりとした装備。

戸部の家がボンボンだなんて聞いたことはないが、中々に職人系が作った装備だというのはよく分かるほどのものだ。

装備に掛ける金がアホほど凄いことになっているのは言うまでもないが、俺からも特に何か言う気はない。

俺も装備を付けているけど言うほど劣化しているし「叛逆」を使った時に損傷する可能性があるのでいつも着ている服で来た。

鎧も付けれたら良かったんだがな……

 

「いやぁこれ!実はさ、隼人君からもらってさぁ!」

「ああ、納得だ」

「えー!?なんかめちゃくちゃ冷めた反応だけどwてか、ヒキタニ君大丈夫?なんか細く見えるっーか……ちゃんと食ってる?」

 

そう言われ、あんまり豪勢に飯食えねぇんだよと語ると戸部は「あー、そっか……ごめんな?今の忘れてくれね?」と両手を合わせて謝られる。

俺は怒る気がしないので、適当に分かったと言ってメンバーを見る。

あんまり顔は見た事ない奴らばかりだからこそ、感じるものがある。

裏で繋がっている可能性だ。

アイコンタクトを行っている様子はないがおそらく読心の能力などがあればこいつらの考えることが読めたのだが……

 

「ヒキタニ君はまぁ任せといて!俺は大岡とか大和よりランク低いD級だけどヒキタニ君は俺でも守れるから!」

「あ、ああ……」

 

本当にこいつで大丈夫なのか?そういう不安もあったが俺は別に疑う気になれなかった。

嘘は、ついてないからだ。

いや嘘が付けないとも言うか?

おそらく葉山の近くにいたからか、葉山が嘘をついて欲しくないのは分かっているのか。

そういえば三浦や海老名さんとかどうしてんだろうな。

試しに聞こうとしたが、俺から聞く理由がなかった。

何よりそれを聞いた時、きっと葉山と雪ノ下の話も聞こえてくると思ったのだ。

出来るなら、雪ノ下の話は聞きたくない。

俺に“生き残って欲しい”と言って俺と別れた雪ノ下の気持ちや、状況なんて今更考える必要はない。

俺が今大切なのは、家族だ。

踵を返すように俺を振った雪ノ下の事なんて考えている暇はない。

 

「(……だからこそ、この攻撃隊を終わらせて稼がねぇと)」

 

そう覚悟した時には、ハンター達がゲートに向かって入っていった。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

ゲート自体は大きいが、特に何かしらの問題はなかった。

中に入ると洞窟上の通路になっており、中々の広さなのは間違いない。

何よりダンジョンは入った時にマップが自動的に映るようなシステムなんてない。だから様々な道を通り抜け、白紙の地図を埋めていく形になる。

荷物運び担当の俺はかなり楽というか、何より有難いのが“筋肉に負荷を与えながら荷物運びが出来る”という事実が有難かった。

 

「(こうして荷物運びの間でも損傷ペナルティが発生するのは本当にいい所だな……一日のペナルティ上限を知らないから何とも言えん)」

 

体がきつくなったら「叛逆」ですぐに楽出来るからスキルのレベル上げに丁度いいな。効率もよく魔力を消費し続けることがこうも功を奏するとは。

一定時間という縛りがあるにしてもアドバンテージは大きかった。

あの“ペナルティ”の謎の画面以外にも、見えることは多くなった。

ステータスはまたあとで確認するとして、俺達ハンターの攻撃隊は順調に前に進んでいった。

しかし、すぐに魔物は出てくるもんで俺達の壁を塞ぐ。

もちろん、ハンターが魔物と会った時は……殺すだけだが。

 

『キシャァァァッ!!!』

 

「らぁっ!」

「アリなんかが俺らに勝とうと思うなよっ!」

 

大岡と大和は想像以上にやり手だった。

大岡がタンク、大和が攻撃魔法と剣のダメージディーラーとして背中を合わせながら連携。3人連携前提のように見えるが、戸部とは組んでいなかった。

E級やD級の経験値があまり経験値が少ないメンバーを纏めあげながら中々にやる様だ、俺が体感見た感じでは経験は少なそうと思ったが……やはり人を見る目が落ちているな、高校生の俺がハンターをやっていたらワンチャン見敗れたかもしれんが。

一方戸部は装備のお陰で助けられているのを見かける。被弾のリスクを減らす動きがよく見えるので、痛いのは苦手らしい。

かくいう俺は……

 

『ギュァァァァ!』

 

「……(「叛逆」使用)」

 

マイナスレベルが2桁に到達した俺は、かなり早く強くなっていた。

何より以前とスピードが違う。コントロールが難しいくらいにはなっていたが、それも実践で上手くやれば問題ない。

何よりペナルティクエストの廃病院でオーバーすぎる反転ステータスの動きに慣れる練習はしていたので、奴らに見切られず存在感を殺してアリを丁寧に四肢をぶち抜いてから頭ももぎ取る。

 

*損傷ペナルティが発生しました。レベルがダウンします。

*損傷ペナルティが発生しました。レベルがダウンします。

*損傷ペナルティが発生しました。レベルがダウンします。

*損傷ペナルティが発生しました。レベルがダウンします。

*殺害ペナルティが発生しました。レベルがダウンします。

 

こうして景気よくレベルが下がる(あがる)

四肢がある魔物は一匹残らずこうしてやりたいくらいだ、ペナルティが自分自身の行動にしか適応されない事を考えるにペナルティは大量に獲得しておきたい。

ペナルティのレベルダウンの恩恵はかなり少ない。1度のレベルアップで-7を分割してステータスに割り振られる。ステータス項目は7つ、だから全体ステータスの成長は実質“1”ずつなのだ。

しかし平均的に上がっていくのがいい。特化にするか平均的にするかで取れる選択肢も変わってくる。

何よりマイナスレベルの消費によってマイナスレベルは調整出来る。もし項目が増えたら有難い、物とかに変換出来ると便利なんだが……

周囲の魔物討伐を見ていた時はそう考えながら荷物持ちと自衛をしながら戦っていたのだが……

 

「(引っ掛かるな)」

 

あの時大岡と大和から感じた感覚は、間違いなく誰かを貶め入れる為の意思がある。

言葉から滲み出るような、強者故の“傲慢”さを垣間見た。

あれは己の力に酔いしれている人間の目と態度だ。何より力を手に入れて余裕が見えるのも傲慢さが高い。

だがその傲慢さが何処で効くのかは分からないし、あいつらは時々戸部を見つめながら魔物を狩っていた。

何が目的だ?……戸部の装備を剥ぎ取りたいのならそもそもこんな攻撃隊を組まずに普通に殺せばいい。

いや、戸部がいると“無理”なのか。

戸部を殺したとすると、葉山には確実に容疑の疑いが掛かる。この世界は警察が機能しているからまだいい、裁判所もまぁ機能する。

それに葉山の父親は弁護士だ、検察とも関わりがある人間なら上手く罪を揉み消したり上辺に浮かせることも出来る……それをやらないのは、おそらく。

 

「(丁度いいやつに、罪を被せる気か?)」

 

だが理由がない。

結局はそこに辿り着き、俺は疑いの思考を止めて荷物持ちとして懸命に働くことに決めた。

アリの残骸を解体しながらペナルティを貰いつつ、俺は荷物持ちとして“大雑把に”素材を鞄に入れる。

 

*損傷ペナルティが発生しました。レベルがダウンします。

 

「(ちゃんと上がるな)」

 

それを確認出来れば、あとは淡々と仕事を進めていくだけだった。

荷物持ち、食事と休憩、魔物討伐、素材解体と荷物持ちにしてはよく動いた気がする。

レベルがダウンする度に肉体の出力と性能を擦り合わせるのにかなり苦労する。一度間違えれば“再覚醒”や“不正登録者”として見られてしまうし。

だからこそいつも以上に気を付けていたし、“あの二人”を見ながら仕事は続けた。

そうして、長い長い時間を掛けて攻略し続けて数十時間が経っただろうか?

周囲の雰囲気が変わり始めた。

自分自身のステータスが低くなったのが災いして、この数時間は“気配”の察知に念頭を置いた。

そしたらどうだ、周囲から感じ取れる。

デカそうな化け物の気配を。

 

「なんか変じゃね?魔物が少ないし」

「ホントそれな。もしかして前あった変異ダンジョン?」

「まっさかぁw」

 

そう笑いながら周囲を見渡す大岡と大和が、談笑しながら周囲を見渡していた。

 

「ん……?」

 

そして、大岡が気付いた。

それに続いて大和も気付き、洞窟の奥の道に進んでいく。

攻撃隊全体もリーダー2人の異変に気付いたのか、足早に向かっていった。

俺はと言うと、別の何かに気付き始めている。

奥からの気配が増しているのに誰も怖がってない。経験値が少ないハンター達なら「退いてもいいですか?」と聞く所だが彼らは何一つ言わず2人のリーダーに付いていく。

流石におかしい。

警戒を続けながら大岡と大和に付いていき、遂に化け物の気配の根本に辿り着いた。

 

「……おいおい!」

 

大岡が興奮した様な声を上げると、中々にデカイマナ石を囲うように巨大なムカデの魔物が眠っていた。

あれがボス、という事か。ここはボス部屋のようだ。

電車が横に縦4列ぐらい置かれた時の長さをしているムカデの全長はあまり認識したくはなかった。

しかしリーダーである大岡と大和は別だった。

 

「めちゃくちゃデケェマナ石守ってんじゃん!これどんくらいするんだよ!」

「あいつこんだけ大きい声出して起きねぇし、今の内に取りに行かね?」

 

そう相談する2人が他のメンバーと話し合いが始まった。

俺はそもそも話し合いに参加する気もなく、戸部は「やっべー…あんなの起こしたら俺たち死ぬっしょー……」と目の前のムカデ型の魔物に恐怖していた。

気持ちは分かる、あのムカデは叛逆なしの俺にはかなり不味い。

叛逆ありだとしても胴体の長さから動き回るだろうし拳は通りにくいだろうな。

 

「はいちゅうもーく、俺らからちょっといい?」

 

そう言って、大きい声を出しても起きないムカデを見ながら俺は大岡の声を聞く。

もちろん俺だけが注目した訳じゃなく、すぐに他のメンバーも聞く姿勢に走った。

 

「マナ石を採掘したいと思うんだけど、ピッケルも少なそうだし外に取りに行っていい?」

「俺賛成」

「んで、その時の留守番2人に任せたいんだけど……ヒキタニ君と戸部、任せていい?」

 

そう俺の方に向いて言われると、戸部は何か焦ったように言い出した。

 

「ちょ、ちょっと待ってくんね?流石に2人は起きた時難しいんだけど……」

「大丈夫だって戸部、万が一はお前の能力で逃げれるだろ」

「それはそうだけどさぁ…」

「それにヒキタニもいるし、奉仕部の時みたいに解決してくれるでしょ」

「分かったわ…ヒキタニ君頼むよ」

「なんで俺に任せるんだよ…」

 

呆れつつも、残りのメンバーと大岡と大和が揃ってボス部屋から出ていった。

中々に大きいムカデはまだ動くことがない、確かに安心してもいいんだが………

そろそろ音に関して敏感になってもいいかもしれん。

ピッケルを荷物から出しつつ、魔物の素材の解体を行う。

パキ、パキと甲殻を折るように外すとアリの解体は楽なのがよく分かった。

 

「ヒキタニ君、ちゃんと仕事するのなんか新鮮だわ」

「そうか?」

「いや、ヒキタニ君サボりがちなイメージあって」

「悪かったな、俺も働かないといけなくなった」

「そっかぁ…やっぱさ、パねーよヒキタニ君」

「そりゃどうも」

 

 

そう言いながら解体していた時―――

 

 

部屋に爆音が響いた。

 

 

 

「!?」

「え、えっ!?何!?」

 

 

 

爆音によって、ボス部屋の入口の方が破壊され閉じ込められる。

やはりか……!

あいつらこのつもりで俺達をハメやがったな!

しかしその文句もそこまでにし、俺は爆音で目覚めさせられたであろうムカデのボスを見る。

大量の足が気持ち悪い様に蠢き、こちらを殺さんと睨んでいる。

 

 

「ひ、ヒキタニ君!おお、俺が守っから!」

 

 

そういう戸部の足は震えていて、持っている武器すら震えてしっかりと持てていない。

何より2人しかいないこの状況で強がりを言えるのは、性格から滲み出る優しさなのだろう。

こいつは、友達に対しては何一つ悪意のない優しさが売りなのだ。だから葉山もこいつと友達を続けているし、修学旅行の件でも悩みを聞いたのだろう。

だからこそ……………あいつらがその優しさに漬け込んでこうしたのだ。

大岡、大和。

本当にお前達がやったかは定かではないが今の俺はお前達を犯人だと見ている。

その真意を聞く為には、俺はやる事があるよな?

 

 

「戸部」

「え、え?ヒキタニ君?荷物置いてるし……」

「お前は、見ててくれ……俺が、あいつを殺す」

 

こちらに睨みを付けるムカデを前に戸部は立ち向かった。

なら俺もそれ相応の覚悟を見せる。

 

 

 

『ギュルルルルルァァァァァァァア!!!!!』

 

 

 

俺は拳を構え、「叛逆」を使用して飛び出した。

 




比企谷八幡

レベル-43
疲労度0
HP-43
MP-43
筋力-43
体力-43
速度-43
知能-43
感覚-43
《スキル》
パッシブ:不明 level.???
アクティブ:「叛逆」level.1  ███ level.1


E級ハンター。めぼしい仕事を何とか片っ端から漁り、母親と妹の為にハンターとして稼ぎ続けている。
必ず生きて帰ることを決意した彼は、己が死んだ時に手に入れた能力の「叛逆」と「ペナルティ」を使用してレベルダウンしたステータスを駆使して強敵に立ち向かう。

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