俺だけレベルダウンしてる件   作:テクトリカ

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閉じ込められたので続きやります。




5.

叛逆を使用した瞬間は、ステータス値が反転する。

だが大抵は平均値、それでも常人以上!

しかしクールタイムもある為、下手に何かをすれば今度はまた死ぬという可能性だってある。

だからこそ、速攻で終わらせたい。

 

「(ムカデ系は下手に千切っても再生するだろう、だから再生しにくい足や肉体じゃなく、狙うなら頭!)」

 

元より怪力で千切る気はない。頭を狙うタイミングを見計らって、上手くやるしかない。

筋力によって鍛え上げられた力から、一気に飛び上がり鞭のように跳ね回るムカデの魔物に拳を打ち込む。

 

 

『ギュァァァァ!!!!!』

 

 

うるせぇな……

 

「黙っとけ!」

 

脚で更に骨を折らんとする思いで蹴りを打ち込む。

中々に威力がある一撃だと思えたが、ムカデがより悲鳴を上げるだけで体をしならせながら壁にぶつかりまくる。

それ程痛いのか?-47の怪力の威力がどれほどかは分からないが……

 

 

*「叛逆」の効果が3秒後に切れます。

 

 

「チッ…ムカデの肉体構造じゃ逃げ遂せるのに難しい、か!」

 

 

すぐに加速し、思い切り力を込めてムカデの足を連続して吹っ飛ばす勢いで腕を振るい打ち込む。

それはそれは見事に千切れて吹き飛んでいく。中々に爽快だが、すぐに「叛逆」のスキル効果が解除された。

もちろんムカデもそう簡単にやられる訳にはいかない、簡単に足を生やしてこちらに対して攻撃してくる。

 

*損傷ペナルティが発生しました。レベルがダウンします。

*損傷ペナルティが発生しました。レベルがダウンします。

 

「ぐ゛っ……!!!」

 

*損傷ペナルティが発生しました。レベルがダウンします。

 

ミシ、と響く体が吹き飛び洞窟の壁に叩き付けられながら地面に落ちていく。

めちゃくちゃいてぇ……!何より骨の方にジンジン痛みが走ってめちゃくちゃ顔が顰めている。

 

*「叛逆」のクールタイムが終了しました。

 

「来たか…だがすぐに使うのは、青二才だ!ペナルティ消費5!」

 

*三つの内選択してください。

 

「状態の、回復っ!“叛逆”!」

 

*状態の回復を発動します。「叛逆」を使用します。

 

 

『ギュァァァ……ギュァァァァッ!!!!!』

 

 

肉体の痛みと疲労がパッと消えていく感覚と共にすぐに体は行動に動かす。

洞窟の地面を這い回るような動きで動き回るムカデと惹き付ける様に下がりながら、ムカデの動きを探る。

昆虫は異世界でも現実世界でもやる事は変わらない、一度狙った獲物は感覚が消えるまで追ってくる。何とか避けてはいるが……というか。

 

「(すげぇ、側転とか出来なかったのに「叛逆」を使っている状態でよく出来る……としたら!)」

 

『ギュゥウウウル!』

 

「威嚇はもういいだろ!」

 

そこら辺で転がっている石を拾い、思い切り投擲する。

水面に飛ばす程の勢いで投げたが音を切るように飛んで行った石が足と何本も持っていきながら壁を貫いた。

すげぇ威力だ、何より石一つがここまでの武器になる。

だか決め手に掛ける……あと、投石じゃペナルティが入らないな。

武器が欲しい……だが下手に武器を使うと壊れていく。

ならば、やはり頭を吹き飛ばすしかない!

 

『ギュァァア!!!』

 

「もう少しだけ……時間を稼がないと!」

 

何より、そろそろ「叛逆」のスキルが切れる!

距離を取りながら百足の足をスライディングでぶっ飛ばしながら戸部の近くまで何とか下がる。

こいつは無事に生きていたようで、ある意味安心した。

 

*損傷ペナルティが発生しました。レベルがダウンします。

*損傷ペナルティが発生しました。レベルがダウンします。

*「叛逆」の効果が切れました。クールタイムは5秒です。

 

「ひ、ヒキタニ君!やっと戻ってきたっしょ!てか、血……」

「ああ、別に気にしないでくれ。生きてるから」

「け、けど!」

「戸部、それよりも時間稼ぎ出来るか?」

「え……」

 

*「叛逆」のクールタイムが終了しました。

 

「……分かったっしょ!けど、俺も効くかわかんねぇべ……」

「大丈夫だ。時間は、稼ぐ!」

 

体を整え、すぐに駆け出す。

戸部を信じよう。やる気が起きているのならそれ程能力に自信があるという事だ。

戸部の方を見ながら俺はムカデをあしらいつつ拳で攻撃を弾く。

それにしても、レベルダウンの効果がすぐに適応されるのは非常に大きい。

もし世界に「レベルアップ」する人間がいるとなれば、レベルアップ条件は経験値などを受けて手に入れる。

だがゲーム流で言うならばレベルアップは敵を倒すか何かしらの強い経験で得れるのに対し、俺はかなり緩い条件でレベルダウン出来る。

きっと上限はあるだろうがそれでも!

こいつに勝って、殺して、そしてもっと!

家族を守る為にっ……!

 

 

「もう少し頑張れよ、比企谷八幡ッ!」

 

 

『ギュゥウウウォオオオアアア!!!!!!』

 

 

 

うるさい鳴き声を殺すように、思い切り拳で地面を打ち込む。

ゴリゴリと骨を軋ませる音が感触で分かる。いい一撃が打ち込めた……そろそろ下がるか!

 

*「叛逆」の効果が切れました。クールタイムは5秒後です。

 

「よっと……戸部、いけるか!」

「出来たっぺ!正直、近くに行きたいから……」

「大丈夫だ」

 

「叛逆」の効果が切れた俺はステータスダウンしたとんでも代物。強い奴が弱い奴を狙うのは、至極当然!

 

「(かかってこい……!)」

 

『ギュァァア!!!!!』

 

「いっ、けぇっ!」

 

戸部が剣を振りかざすと、剣から何やら電撃の一撃が飛んでいく。これがスキルか、おそらく蓄電の為の時間が必要だったって事だろう。

 

『ギィィァァア!!!!!!!!』

 

電撃がムカデの肉体に電撃が走り、焼け焦げる匂いが俺の鼻にも匂ってくる。すぐに隙を付くように飛び出し、拳に力を込める。

ムカデも痺れて動けない、戸部も今は魔力を使って動けない……

決める!

 

「これで、終わらせるっ!」

 

ドタマ目掛けて拳を打ち込み、また一度また一度。

拳を打ち込みながらムカデがバランスを崩しかけるが、それでも尚打ち込む。

殺意をもって、魔物に正拳を打ち込む。

まだ、まだだ!

 

『ギュゥウァァァアア!!!!!』

 

「はぁぁぁぁっ!」

 

ムカデが目をギョロギョロと見つめてくる。

俺はすかさずそいつの目玉を抉るように拳を打ち込み、頭に片手を突っ返させて目玉を抉る腕をより深く入れ込ませる。

こいつの脳天をぶち抜く事でより確実に殺す……!

何か柔らかい感触が俺の腕の方に伝わり、虚空を掴むようにそれを掴む。

そして、思い切り……潰す!

 

『ギィァァアアアア!!!!!!!!!!!』

 

遂に何かを潰したのか、気高い悲鳴を上げてムカデが遂によろめきながらも倒れた。

遂に殺すことが出来た、この怪物を。

 

*「叛逆」の効果が切れました。クールタイムは5秒後です。

*損傷ペナルティが発生しました。レベルがダウンします。

*殺害ペナルティが発生しました。レベルがダウンします。

 

「よし、殺害ペナルティも入ったから確実に倒したな……」

 

殺害確認も出来るのはかなり楽だな。

息を整えながら、ムカデの肉体を解体する為に近付いた。

 

「ヒキタニくーん!」

「げ……」

「すっ……げぇよぉっ!」

「ぐぇっ」

 

そう言いながら俺の肩に腕を回してくる戸部に俺はそのパワーの重みを感じながら下手くそに笑う。

なんてやつだ……一応これでもステータスはマイナスなんだが。

今のがA級やS級ならとっくに死んでいたぞ?

 

「てか、ヒキタニ君あのすげぇ動き何!?めちゃくちゃ強いじゃん、E級ランクは嘘って事?」

「いや、そういう訳じゃない……」

「てことは、もしかして不正登録者!?ヒキタニ君殺すのが趣味……」

「それもない!というか、普通再覚醒とか考えないのか?」

「あ、確かにそうだわ…ヒキタニ君が再覚醒者とかかなり凄いわー」

 

褒められるのは慣れてないし、こうして強さを認められているのも本当に慣れてない。

だからこそ、こういう仲間が出来た時は中々に照れくさいな。や、戸部を仲間と思ったことは無いけど。

戸部の話を振り切りつつ、俺はムカデの魔物の解体を始める。かなりレベルが下がるな……というか……

 

 

*損傷ペナルティが発生しました。レベルがダウンします。

*損傷ペナルティが発生しました。レベルがダウンします。

*損傷ペナルティが発生しました。レベルがダウンします。

*損傷ペナルティが発生しました。レベルがダウンします。

*損傷ペナルティが発生しました。レベルがダウンします。

*損傷ペナルティが発生しました。レベルがダウンします。

*損傷ペナルティが発生しました。レベルがダウンします。

*損傷ペナルティが発生しました。レベルがダウンします。

*損傷ペナルティが発生しました。レベルがダウンします。

*損傷ペナルティが発生しました。レベルがダウンします。

 

 

「(なんか、ペナルティを獲得出来る量が多いな。ボスだからか?)」

 

通常より多めに取れたペナルティに驚きつつも、ムカデの肉体から魔法石を取り出す。

中々に大きい……確かハンターの筆記試験の時に魔法石の大きさやレア度については勉強したがこれはC級くらいだろう。

これ一つで大体10万……ムカデの素材を売ったらより高く売れるだろうな。

だが、俺にはやる事がある。

もちろんここから家に帰って小町に会い、そして飯を食って楽しく談笑。そして眠りにつき、また明日という千葉の兄としての役割があるが。

俺が今やるべきなのは……

 

 

「うわっ!?」

 

 

爆撃音と共に、塞がれていたボス部屋の入口がこじ開けられた。

出てきたのは俺の思惑の通り……

 

 

「あれ、ヒキタニ君生きてんじゃん……しかも戸部まで」

「もしかしてボス、キモイだけだったりして?」

 

 

「大岡……大和……!」

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

『なぁ、戸部の事さ』

『分かってるよ。あいつ……うざったらしいしな』

 

 

大岡と大和、2人は葉山隼人という「A級ハンター」の友人から支援を受けている。

高校時代からの付き合いであり、同じグループに所属している事もあり付き合いが長い分、思い入れがあるのか支援は歓待だった。

その中でも1番支援を受けているのは、戸部翔という人物だった。

彼は葉山隼人の「お気に入り」と言えば、それ程の仲がある。支援もかなり手厚かった。

仲のいい戸部翔とそれに喜ぶ葉山隼人。

だからこそ、それより低い扱いを受けている2人は支援という物でも仲でも非常に『気に食わなかった』。

自分達の方がランクが高い、自分達の方が強い力を持っている。

だからこそ……気に食わない。

その立場にいるのが……その友人としての仲の差が。

 

「お、大岡!大和!やっと来てくれたべ〜!」

「戸部」

「ん?何ヒキタニ君?」

「そこで止まれ。近付いたら……死ぬぞ

「っ……」

 

―――俺が想定していた通り、やはり大岡と大和はこちらを狙っていた。おそらく仲の確執か?

戸部の装備を狙った犯行かもしれない……いやそれだと2人だけの金とは損得勘定が効かないとすれば他のメンバーもか。

ここまでの攻撃隊を計画したという事は、あいつらはそれ相応の計画も立ててきたという事だ。

だからこそ俺を巻き込んだ理由は……戸部の殺害の容疑を俺に掛けるためか?

もちろん俺じゃなくても、攻撃隊のメンバーに罪を被せればいいはずだが。

詰まるところ、嵌められたのは間違いない。

 

「まぁヒキタニ君が生きてんのは意外だわ、今見てもくっそ弱そうwてかザコでしょ?」

「それな。戸部〜、ヒキタニなんか肉壁として使えばいいじゃん」

「大岡、大和……流石にそれはないっしょ。ヒキタニ君はこれでも……」

「まぁいいか。計画がズレたけど……なぁ戸部、命が助かりたいならヒキタニ君殺してくんない?」

 

突然の発言に戸部は困惑しながらも、俺の方を見る。

だが戸部が持っている剣は震えていて、何より体が拒んでいるように見えた。

中々にとんでもない発言をするやつだ、友達に言うセリフではないだろう……そして何よりも卑劣だというのは……

友人という『仲』を利用して、騙し殺そうとしたのだから。

その行為は葉山隼人を悲しませる事が分かるし、何かあれば俺に責任を吹っかける。他人を蹴落として自分だけが得をする最低の野郎共だ。

 

「……ごめん、ごめん!俺は、告白まで手伝ってもらってっから……ヒキタニ君殺せねぇ!

何より、命助けて貰ってんのに……殺せるかよ!」

 

その言葉が聞けて何よりだ。

 

「……なんだよつまんねーの」

 

大岡がそう言うと、俺に剣を向けてきた。それに続いて大和も、更に後ろにいるハンター達も俺に武器を向けてくる。

やはりグル、確実に殺す気か……ん?

 

 

 

*ペナルティクエストが発生しました。

*対象があなたを殺害しようとしています。時間内に以下の数の対象を殺害してください。(0/8)

*また、対象を殺さなかった場合または時間内に対象を殺害しなかった場合、あなたの心臓は停止します。

 

 

 

「(なんだ……これ!)」

 

 

思っていたのは昨日から今日だが、このシステムはおかしい。

まるでゲームの様に選択肢や結果を出したり、回復機能などを使わせるあたり本当に冒険系のゲームなんじゃないかとも思わせてくる。

というか、何故こいつらを殺さないと俺の心臓を停止させないといけなくなる?それならこいつらに殺さればいいはずだ。

何か引っかかる、何かが俺の思考を止める。

まともな判断が出来なきゃ終わりだが……

何故、俺は今殺されなければならない?

俺がこいつらに何かしたか?

俺が何故ここまでの扱いを受ける?

何故?何故?何故?何故?何故……?

そうだ、弱いからだ。

弱いからこそまるで引き抜くようにこいつら俺達から生殺与奪と全てを奪ってくる。

だからどうするかは分かってる。俺にはまだ決断の材料が足りない。

 

 

「あ、そういえばヒキタニ君妹さんいたよね〜?まぁ殺しちゃったら妹さんにお兄さん死んだって伝えておくわw」

「まぁ葬式には出てやるよw」

 

 

          決めた。

 

 

こいつらは、殺す。確実に息の根を止める。

お前達の最大の問題点は俺の妹をダシとして出したことだ。

お前達を活かせば妹に危害が加えられるし、何を吹き込まれるか分からない……

ああ、ありがとうシステム。お前は気に食わないが本当にありがとう。

お陰でこいつらを気軽なく殺せるし……

 

「戸部」

「え、え?どうかした?」

「お前は、命を最優先にしろ……「叛逆」ッ!

 

すぐに飛び出し、地面を蹴り抜いて大岡と大和の後ろにいるハンター2人の首を掴み、地面にめり込ませる。そして首を簡単に力を入れて思い切り……折った。

……人を殺したというのに感覚が何も無い。これが殺しに慣れるという事か?別に、人を殺したことはこれが初めてなんだが。

いや……魔物を殺すのも人間も殺すのも同じか。

俺から命を奪い、そして全てを奪おうとする奴らは全て俺の敵であり殺すべき相手だ。

それ以外はゆっくり考えればいい。

 

「は……?」

「ヒキタニが、今何を……?」

 

すぐにあいつらが言葉を失っている間、また飛び出して魔法使いの様なハンターの胸に拳を打ち込む。簡単にめり込むように一撃が入ると心臓をぶち抜く様に拳を奥に押し出す。

見事簡単に旨が貫けた。やはり素手が俺の主流の武器になる。

 

*殺害ペナルティが発生しました。レベルがダウンします。

*殺害ペナルティが発生しました。レベルがダウンします。

*「叛逆」の効果が切れました。クールタイムは5秒です。

 

「大岡、大和……お前本気で殺す気だったのか?」

「は……何イキってんだよお前!ヒキタニの癖に舐めてんじゃねぇぞ!大和!やるぞ!」

「ああ!」

「……殺し合いは避けられないか」

 

*「叛逆」のクールタイムが終了しました。

 

大岡が声を掛けると共に、大和が魔法を飛ばしてくるので見事に「叛逆」を使用して回避。今すぐにこいつらを狙う必要は無いので、他のハンター達を狙う。

すぐに接近して、弓矢を使うハンターの頭に蹴りをぶち込んで頭を吹き飛ばす。気分はボーリングする気分の様に頭が吹き飛び、死体になったハンターの男を踏み台にして更に2人のハンターの頭を掴んで思い切り鞭のように掴んで地面に叩きつけながら天井に投げ飛ばした。

どしゃり、という音から全身から落ちたので確実に死んだだろう。

 

*殺害ペナルティが発生しました。レベルがダウンします。

*殺害ペナルティが発生しました。レベルがダウンします。

*殺害ペナルティが発生しました。レベルがダウンします。

 

「う、うわぁぁぁぁあ!!!!!!」

 

別の魔法系のハンターが俺に炎の魔法を打ち込んでくるが……両腕をクロスさせて防いだ俺が出てきたことで漏らしちゃいけないのを漏らしていた。

なんて事だ、それを漏らしたら男としての尊厳がなくなるぞ。

お前らがさっきまで笑っていたのは、殺せると思っていた存在だぞ?

どうして来ない。どうして殺そうとしない?動けるだろ、俺より低いランクのやつなんていないだろう?

 

「なんでだよ、なんで俺を殺すんだよ!あいつらに雇われ」

「うるせぇよ」

 

両腕で首を絞めながら、俺は大岡と大和の方に振り向いて近付いていく。

大和は俺に恐怖するように魔法を飛ばしてきたので、首を絞めている男の方を投げ飛ばして俺はとっとと後ろに下がる。

 

*「叛逆 」の効果が切れました。クールタイムは5秒です。

 

そして、爆発音が響く。人間の焼ける音は中々に不快で、俺の鼻をつんざく様に匂いも伝わってくる。

吐きそうになったが、今の俺が吐くような人間ではない。

今一番気持ちと吐き気を抱いているのは戸部だ。俺が吐く権利なんてない……

 

*「叛逆」のクールタイムが終了しました。

 

「ひ、ヒキタニ……」

「来いよ。殺すんだろ?」

「ま、待って!いや待ってください!殺そうとしたのは悪かった!お前は逃がすからどうか!」

「そ、そうだよ!じゃあ、葉山君に頼んで金を渡すよ!マジでそれで手を打ってくれよ!」

 

そうやって詭弁を吐く2人の顔を見ながら、俺は口を開いた。

 

「お前らを殺さないという選択肢はない」

「……わ、分かった!じゃあ俺達の攻撃隊に正式に加入させてやるよ!それに苛立ってんなら、大和を殺してもいいからさ!頼む!俺だけは生かしてくれ!まだ死にたくない!」

「は、ふ、ふざ……ふざけんなよ!なんで俺を殺していいとか言うんだよ!てめぇが殺されろ!」

「うるせぇ!そもそもお前がE級のハンターを募集しなきゃこんな事には」

「んだと!?」

 

 

 

「よく、ふざけてられるな?」

 

 

そう言って、俺は2人の胸を思い切り力を込めて貫いた。

何とも簡単に人の心臓が外に排出されたのが一番の驚いたし、何より人の内臓の気持ち悪さを全く感じない俺の薄情さに磨きがかかっている気がした。

2人の死体が横たわり俺は遂に全てを殺し終えた。

……達成感があるというより、何よりも虚しさは出てきた。

吐き気はしない。怒りは収まった。気持ち悪さもしないが、奴らの喧騒が記憶に残る。

 

 

「……」

 

 

*殺害ペナルティが発生しました。レベルがダウンします。

*殺害ペナルティが発生しました。レベルがダウンします。

*ペナルティクエストを達成しました。

*ペナルティクエストをクリアしたことで報酬を三つ受け取ります。

 

 

「三つ?」

 

 

*1つ:ペナルティを10消費してランダムな『呪われた』スキルか『呪われた装備』を1つ獲得出来ます。(呪われたスキルはマイナス効果が与えられるスキルになり、『叛逆』使用時に効果が反転します。呪われたアイテムはマイナスステータスが付与され、その代わり壊れることがなく付与効果が非常に強力です)

*2つ:アクティブスキル:「反抗」を獲得しました。(反抗はあらゆる動作に「叛逆」の筋力値を参照したアーマーが付きます。相手の攻撃力に比例してアーマーはあなたを守ります)

*3つ:アイテムを1つ、機能を2つ獲得しました。『叛逆の鍵』、『インベントリ』、『アイテムショップ』

 

 

かなり豪勢な形で報酬が手に入った。ステータス閲覧機能はあったがアイテムショップやインベントリなんていう機能はない。新しいシステムは俺をより強くさせるしペナルティ消費に機能が加わったのも強みの一つになった。

中々に嬉しい形だ、人殺しを強要させられたとはいえ……強くなれるのには変わりない。

俺は人を殺した。

それは、一生の罪になるだろうが……

後悔はない。家族を守るためなら、何処までも修羅に落ちよう。

そう思いにふけっていると、ダンジョンが崩れ出すと共に戸部がやってきた。

 

「ヒキタニ君……」

「……『レイドには失敗した。C級のボスがやってきて想像以上に苦戦したが、多くの犠牲の上やっと攻略出来た』……と伝えておけばいい」

「……俺は、何も言わないでおくわ。なんか、今は整理付かねぇよ」

「おう、それでいい」

 

そうして、俺の新たな力を獲得したこのレイドは終わった。

事情を説明した上で、ハンター協会の監視課人が来た。調書を作って証言を取るらしい……何ともこんな形でランクが違うボスが出たのはイレギュラーであること。

帰る際にハンター協会の人が俺を見たが、弱そうな奴を見る瞳で見られたので何も問題ないはず。

俺はその後、なんとか小町の元に帰れて適当に飯を食って寝た。




比企谷八幡

レベル-63
疲労度78
HP-63
MP-63
筋力-63
体力-63
速度-63
知能-63
感覚-63
《スキル》
パッシブ:不明 level.???
アクティブ:「叛逆」level.1 「反抗」level.1 ███ level.1


E級ハンター。初めて人を殺してしまった。
己が死んだ時に手に入れた能力の「叛逆」と「ペナルティ」を使用してレベルダウンしたステータスを駆使して強敵に立ち向かう。

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