遅れてきた直接攻撃の……   作:灰色の空

12 / 65
お待たせしました。
ごゆるりとお楽しみください


レシィ奮闘記

 

 

「お…おぉ…流石はタケちゃん…」

 

「おーおーこんがりになっちまって」

 

「ゲレレー」

 

 衝撃と爆発によってジルコーダもろとも吹き飛ばされたギャレオ。はっきり言えばボロボロだったのだがそこは持ち前の生命力で生きていたのだ。

 

「生きてっか副隊長さんよぉ?」

 

「ぬぅ……正直…ガハッ…キツイな……」

 

 とはいえ、さすがの彼でもジルコーダから集中的に攻撃されたので怪我の具合は酷くまたそこにビジュとタケシーの最高位魔法『ゲレゲレサンダー』を喰らったのだ。どちらかといえばビジュの召喚術の方が痛かった。

 

「あーそりゃご苦労様。うん?毒でも喰らいやがりましたか」

 

「先ほどの…ジルコーダが…毒持ち…」

 

「ケッ 全く雑魚の攻撃を喰らいやがって」

 

 ギャレオの顔色が悪いのを一目で毒だと看破したビジュは小さく舌打ちをする。今の自分には解毒をするための召喚石や道具を持っていなかったのだ。

 

 焦げたジルコーダを蹴っ飛ばしながらギャレオに近づき服の内を漁る。思った通りギャレオはこういう時の為の召喚石を持っていたのだ。

 

「借りるぜ」

 

「…ストラ…あるから……」

 

「毒は治せないでしょうが、ったく」

 

 文句を言いつつも漁ったメイトルパの召喚石を握る。ビジュの適性はサプレスなのでメイトルパの召喚術は使えない。

 

 だからビジュはこの場でメイトルパの召喚術の適性がある者を使おうとした。

 

「おい、さっさとコイツを使え」

 

「……え?」

 

 泣き腫らした目で呆然としているレシィだった。ビジュに呼ばれた当のレシィは自身が呼ばれたことにさえ気づいていなかった。 

 

「コイツを使ってギャレオを治せ」

 

「……?」

 

 受け取った召喚石が何を意味するものか、レシィは良くは知らない。だから今なおビジュを見上げるだけだ。

 

「そいつを使わないとアイツが死ぬぞ」

 

「そ、んな……どうすれば…」

 

 ビジュが渡した召喚石に契約されている召喚獣は『セイレーヌ』人魚の召喚獣でその琴竪の音色は癒しの力を持つ。 

 

 治癒は勿論毒の解毒さえできるギャレオが自慢する召喚獣でもあった。

 

「召喚…?」

 

 言われた通りレシィはギャレオにどこかおぼつかない動作で動き召喚術を使おうとした。だがサモナイト石は淡く緑色に光るだけで召喚術は発動されなかった。

 

「なんでっどうして!?」

 

 何度力を込めても召喚術は放たれない、寧ろ魔力の使い方が間違えているのか、サモナイト石の光は点滅さえし始めた。

 

「もういい……大丈夫だレシィ」

 

「…ギャレオさん?」

 

 何度も点滅するサモナイト石を握りしめて悲痛な声を上げるレシィ、その手に大きな手がかぶさった。ギャレオだった。

 

 顔を上げれば、先ほどより顔色が良くなっており血は止まっていた。傷跡も塞がっているほどだった。

 

「俺なら、ほらもう平気だ」

 

「どうして、だって、さっきは」

 

「実はな、ストラを日常的に使えるようにしているんだ。解毒の効果も交えてな」

 

 笑うギャレオ。レシィは困惑したが、これはギャレオの鍛錬の賜物だった。日常的にストラを使う事でもし致命傷を負ったとしても直ぐに体勢を経て治せるようにと編み出したのだ。

 

 そしてそれは解毒の効果さえもあった。まだ試してはいないが毒や麻痺、暗闇さえ治せると豪語できる性能を有していた。 

 

「心配をかけてすまなかったな」

 

「ギャレオさん…僕…僕何も出来なくてっ」

 

「良いんだ、それより遅れてしまって済まない。約束を違えるところだった」

 

「あぅぅうう~~~僕はっ怖くてっでも何もっ」

 

 泣いてしまったレシィをギャレオは慰めるように頭を撫でる、そうしながらビジュに溜息を吐いた。

 

「素人にいきなり召喚術の行使か?感心はせんな」

 

「きっかけを作ってやろうと思ったんですがね」

 

「お前のソレは辛辣だ。少しは大目に見てやれ」

 

「そのせいでお前は死にかけたが?」

 

 ジロリとした目はギャレオを強く責めている目だ、何時までも護衛獣を甘やかせてしまうギャレオの性根に対して怒りを込めてる目だ。

 

「フッ こんな所で俺が死ぬとでも思ってるのか?」

 

 それをギャレオは鼻で嗤った。こんな所で死ぬはずがないと、そこまで貧弱ではないと一蹴したのだ。

 

「……チッ」

 

 ビジュは舌打ち一つしてその場を去った。後に残されたのは泣いているレシィと割かしボロボロとなったギャレオに焦げているジルコーダ、そして荒らされてしまった調理場となったのだ。 

 

 

 

 

 

 帝国軍海戦隊所属第6部隊の拠点を襲った召喚獣ジルコーダ。このメイトルパの召喚獣の処理はアズリア隊長の指揮の元、迅速に処理されることとなった。

 

 襲ってきた当初は混乱が見られたものの、副隊長ギャレオの奮闘及びアズリアの指揮、そしてビジュの独断による行為だが単独での撃破などによって部隊は落ち着きを取り戻したのだ。

 

 メイトルパのジルコーダは女王を中心としたコミュニティがあり女王を討伐しない限りは増え続ける害虫のような存在。

 

 荒れてしまった拠点を立て直しながら女王を討伐するかどうか作戦を開きひとまずは斥候を出し情報を集めるという事になった。

 

『炭鉱に恐らく奴らの巣がある』

 

 斥候として志願したビジュの調査の結果、離れた所にある炭鉱を巣に敷いてると判明。迎撃だけではいつか消耗するのではと判断し、準備を整えいざ出撃というところで続けて斥候から情報が入った。

 

『海賊及びはぐれ召喚獣たちが共同で女王を討伐した』

 

 流石にこれにはアズリア及びビジュも複雑な顔をしたが、結果的には部隊に損傷なく外敵を討伐という事で納得をすることにした。

 

 

  

 

 

 

(つまり何だかんだで第6話が終了って所か)

 

 報告及び調査結果を交えた作戦会議が終了した後俺は安堵の息を吐いた。ひとまずここまでは来れたというかハプニングがあったとしても乗り越えれたというか。

 

 まさかジルコーダが帝国軍の拠点に攻めてくるなんて思っても見なかった。これもゲームにはない出来事でやはり原作知識に依存するのは止めた方が良いともいう啓示でもあるのか。そこんところどうなんですエルゴ(世界)さん?

 

 だが逆に言えばゲームでは起こせなかったことを起こせるという証明にもなった訳だ。

 

(……鍛錬あるのみ、だな)

 

 だから鍛錬をするしかない、俺の事情を説明できるものが居ない、つまりは協力者はいなくて一人で事を引き起こさなければいけないのだ。

 

 突出したユニット独りでどこまでできるのか、ゲームでは出来たが現実ではどうか?それはまだ誰にも結果は分からない、だから頑張るのだよ。

 

「さて、……どうしたレシィ」

 

 そうやって可愛い部下達が拠点の掃除や修理らを微笑ましく見守りながら今後の事を考えていれば後ろから小さな気配が様子をうかがっているのが分かった。

 

「あの、ギャレオさん」

 

 小さな声だった。先日のジルコーダの時の恐怖が凄まじかったのかどうにも最近元気がなかった。元気づけてあげたいものの調査や報告などで割かしバタバタしていたので後回しになったのだ。今まで通り炊事には問題が無かったというのもあったのだが。

 

「うん?」

 

「ぼ、僕」

 

 かがんで目線を合わせればずっと心の奥底にあった物を言おうと苦心しているレシィの姿が。非常にいじらしいが彼も男の子。手助けはせず言い終わるまで待つ。

 

「僕、強くなりたいんです」

 

 そうして出てきた言葉は驚きながらもどこか納得するものだった。

 

 

 

 

 

 どこか自信を喪失したようなであったころのようなオドオドとした態度で話したレシィの内容はまぁシンプルに強くなって護衛獣の役目を果たしたいという事だった。

 

 先日のジルコーダの件でレシィは命の危機に陥った。そこを俺がカッコよく登場して庇ったものの逆に俺がピンチになったのだ。

 

 いえね、言い訳にはなりますがあの時別にピンチではなかったのですよ。確かにジルコーダに取り囲まれてたけど毒や怪我はストラで無理やり回復できるので一人で無双できるんですよ。

 でもあの時はレシィが居たので暴れ回る訳にはいかず、どうしようかと思ったときにビジュに助けを求めたのです。ビジュならこの状況どうにかするだろうなって。 

 

 んでまぁタケちゃんの電撃をもろとも浴びたわけですが……結局は俺の練度不足って事でビジュに何か言う事はなかった。

 

 こういった時はどうするかお互い了承済みでもあるし、それで死んだらそこまでの男だったという事で話はついている。

 

 しかしそれを間近で見たレシィにとっては違ったように映ったようで、護衛獣としての理由と存在意義を見失ったようだった。

 

 護衛獣であるのなら主人を守ってこそ。…別に俺としては戦闘においては独りで完結しているし家事炊事掃除など裏方をしてくれるだけで非常にありがたいのだがレシィは俺を守りたいのだと。

 

「レシィ、戦いはお前が思う以上に辛いぞ」

 

「それでも、です。僕は…僕は…もう弱いだけで居たくないんです」

 

 オドオドとしているのに意思は強固だった。その意思を蔑ろにするのは…俺には無理だった。

 

「…わかった。しかしそうだな」

 

 強くなりたいとは言えまず何から手を付けるべきか。単純に体力づくりや筋トレは当たり前としても強くなれるなんて直ぐになれるものではない。如何したって準備が必要で…ふーむ。

 

「ひとまずは座学か」

 

「?」

 

 レシィを見て、ひとまず時間稼ぎのような案を出したのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「おっ?副隊長どうしたんスかレシィを連れて」

 

「実はかくかくしかじか…という事だ」

 

「あーなるほど」

 

 そうして連れてきたのは、我ら帝国第6回戦隊の頼れる前衛兵だ。ドデカい大剣を担ぎ上げるその姿はいかにも頼れる男。爽やかな奴で俺よりもイケメンなのが実に羨ましい。 

 

 そんな彼にレシィの事について頼むことにした。彼には戦う事についてのイロハを教えてもらいたかったのだ。

 

「ギャレオさんが教えれば……あーそういう事っすか?」

 

「そうだ、俺の話では参考にならん」

 

 ギャレオの肉体が凄いのか、俺の感覚が可笑し過ぎるのか。参考にならないし教え方もとてもではないが褒めたものではないのだ。

 

 鍛えて。戦うだけ。そんな事を言われても実際にできるのは少数ってこと。

 

「んー じゃあレシィそもそも戦うって事はどんな事か分かるか?」

 

「戦う…僕は弱い僕のままじゃいられなくて」

 

「それは、何のために?」

 

「…―――」

 

 尋ねられたレシィは困惑しながらぼそりと呟いた。その声は小さく俺には聞き取れなかったが納得いったようだ。

 

「そっか、それを忘れないようにな」

 

 微笑んでレシィの頭を人撫ですると、雰囲気が変わった。顔は変わらず柔和なままだが目が戦場に立つ男のそれになる。

 

「護衛獣という役割がどんな事を指しているのか俺は知らん、だが前に立って戦うってのなら俺達と一緒。そもそも前衛の役割は何だと思う?」

 

「えっと…敵を倒すため?」

 

「なるほど、それもまた前衛の役割だ。鍛え上げた体でこの大剣や斧、他に剣や拳で戦うってのが主だ」

 

 前衛兵は戦いの最前線に立つ為とにかく強靭な体力と膂力を持つようにしている。彼もまた大剣を振り回せる剛の者だ。

 

「レシィは…重い物を持つことは難しそうだな」

 

「す、すみません」

 

「謝ることじゃないさ、確かメイトルパの獣人って爪を持つんだろ?いつかお前も爪をもって敵を薙ぎ払えるかもな」

 

 爪、つまり爪具を持つのか…うちの隊では相性のいい奴はいなかったな。取り回しが難しいのだ。技量じゃなくて力もいる。扱いがひたすら難しい。メイトルパの亜人たちはこれを使いこなすのか?

 

(…ヤッファ…お前は何で……)

 

 サモンナイト3で不遇枠と呼ばれるかの護人を思い出す。何もかもが男前で滅茶苦茶カッコいいくせに戦力という大事な部分が誰よりも悲惨な男。ギャレオを共にネタされる彼の武器は爪なのだが…とてもよく外す。

 

(ああ、思い出すだけで涙が…)

 

「ひとまずは護身用として武具を持った方が良いかもな。まずは身を護る、それが出来なければ強くなれるなんてのは夢のまた夢だ」

 

「分かりました、後で僕に合う武具を探してきます」

 

 俺が、アホな事を考えている間に話は進んでいく。こういう交流の仕方も良い物だ。 

 

「で、話を戻すが前衛に求められる。もう一つの役割、それはな」

 

「……ゴクッ」

 

「後ろにいる奴ら…召喚士や射手を守る。それが俺らの役目だ」

 

 そう言い切る彼の目は自信にあふれたものだ、それが自分の役割だと強い自負ある目。

 

「後ろ、人を守るですか?」

 

「そうだ、勿論彼等も自衛は出来る、でもな、そうじゃないんだ。俺らの役割は敵が前線を突破しないようにどこよりも血が流れる場所で身体を張って敵を食い止めるのが俺らの役目なんだ」

 

 彼は語る、自分達が剣や斧で戦って倒せればそれでいい。だがそんな簡単に戦いが上手く行くとは限らない。そんな時は後ろにいる彼らの力が必要になるのだと。

 

「俺等が食い止めれば、後ろの奴らが戦局を変える、そして優位に立った戦場に俺達が前に出る」

 

「………怖くはないんですか?」 

 

「傷つくことがか?そんなもんハナから承知の上さ」

 

 つっても怖いのは怖いけどなと彼は笑う。それに自分たちの力でどうにかできればそれが一番楽なんだとも。

 

「一撃で決めればなぁ良いんだけど。努力してるけどギャレオさんの様にはいかないしなー」

 

「お?何の話だ?」

「サボってんのか?」

「レシィ君?どうしたんだい?ギャレオさんも」

 

 と、話していたら他の奴らも集まってきた。ちょうどいいので説明すれば皆、興味深そうに話に加わる。

 

「そりゃーギャレオさんやビジュさんのように強くなれたら一番いいさ」

「知ってるかレシィ君やい、アズリア隊長とギャレオさんビジュさんは俺等の誰よりも強いんだぞー」

「だから真似するのは止めとけー、アレ別格。マジでおかしい」

「本人がいる前で言うのか?いいけど」

 

「なんかワチャワチャしてきたな…まぁいいや。って事でレシィ君。前に出るって事は人を倒すってよりも後ろの奴らを守るって事も大事なんだぞ」

 

「はい!」

 

 元気よく返事をしたレシィを撫でて嬉しそうにする彼。部隊の皆からすれば料理上手な末の弟みたいな感じなのだろうか?

 

 

 

 

「んじゃこのまま俺らの役割でも話すかー」

 

 そう言うコイツは銃を持つ狙撃兵だ。…リィンバウムの銃は弾丸がデカくてライフルのようになってる。技術がまだ現代地球に追いついていないのだろろ。

 

 他にも弓を持った兵もいる。遠距離攻撃ができるってのは素敵だ。矢と銃弾の補充と費用に目を瞑ればだが…。

 

「俺等の役割つーのは…分かる?」

 

「えっと、後ろから弓を撃つんですよね?」

 

「その通り。んだけどな、ただ狙って撃つなら誰だってできるんだなこれが」

 

 確かに撃つことはできる。だが当てるとなると別なのだが…え?そういう話ではない?ごめん。

 

 にたりと笑うソイツの顔は…考えているレシィを非常に楽しそうに見ている。

 

「なら……えっと」

 

「おう」

 

「何を狙うか。ですか」

 

 考えて思いついたであろう答えに大きく頷いた。ほめて伸ばすタイプなのか?

 

「その通りよ。結局俺達なんてのは前にいる奴狙った所で躱されたり受け止められたりされるのがオチなんだよ」

 

 外野からあの赤髪の男ひょいひょい避けてたしなーとガヤが聞こえる。…『見切り』持ちの話か。あ、悲しそうにしている。慰めなければ…え?お前が言うなって?ゴメンて。

 

「でも当たれば痛いですよね。かなり重要なんじゃないんですか?」

 

「嬉しい事を言ってくれるが、たまにはじき返す奴もいるからなー。アンタの事だよギャレオ副隊長」

 

 だからゴメンて。そもそも銃弾がデカくて見切りやすいのが問題なんだし…。

 

「だから俺達は標的を見定める。誰を狙うのか瞬時に判断して前にいる奴らの援護をする、場合によっちゃ召喚士たちを助けてもいるっているのか?」

 

「それは、どういうことですか?」

 

 人を狙い撃つ狙撃兵が前衛と後衛を助けてるという事に疑問を抱いたのだろう。模範的なレシィの質問に分かりみがあるように頷いた。

 

「相手の召喚士を狙い撃つのさ。奴らは決まって筋肉マッチョじゃないから狙えばそれだけ危険を減らせるって寸法よ」

 

「確かに相手の召喚士は怖い。鍛え上げた俺でも直撃すればタダではすまん」

 

 この世界にMDFという概念があるかは知らないが直撃すれば中々の威力がある。そんな召喚士を射手は狙ってくれるだけでも非常にありがたい。

 

「ギャレオさんでも耐えられない?……え、じゃああの時」

 

「あれはまぁ色々理由がある」 

 

 ジルコーダのあの時?あれはビジュが正規の召喚士ではないのと俺の体力が凄まじかったからできた芸当だ。普通は無理だ。

 

「正規の召喚士ってだけでも気を張らなくちゃいけない。そこを俺等がズドンッ!って事だ」

 

「他にも相手の射手を狙って妨害するってのもある」

 

 だから誰を撃つのか、どこを撃つのかそんな瞬時の判断が射手には必要不可欠って事なのだ。

 

「誰を狙うか、ですか」

 

「どの敵が脅威か、その判断力を求められるって事だな」

 

 相対する敵といえども今一ピンとこないレシィにアドバイスを一つ。誰が何を持ってるか、コレをすぐに覚えるだけでもまた違うのだ。

 

 

 

 

 

「それでは最後になってしまいましたが私たち召喚士というのもどんな戦い方をするのか説明しましょうか」

 

「よ、よろしくお願いします」

 

 穏やかな口調で、自分のサモナイト石を取り出す召喚士兵の彼は、物言いがまるで塾の講師みたいだなとふと思った。誰かに物を教えるのが楽しいのだろうか?

 

「召喚された君に言うのはどうかと思いますが、ハッキリ言います。召喚術は誰でも行使できます」

 

 実はリィンバウムでは召喚術は召喚士しかできないとされていてる。…細かく言えば帝国以外の国、聖王国旧王国の住民は召喚術は貴族や召喚術の家系の人しかできないと思わされているというか。

 

 まぁレシィにはここら辺は関係がないか。必要な部分は誰でもできるというその部分のみ。

 

「このサモナイト石は契約されており魔力を注ぐだけで召喚獣を呼び出すことが出来ます」

 

 見せたのは黒い色のサモナイト石、刻印されている名は『ドリトル』ロレイラルの採掘機械の召喚獣だ。

 

 攻撃用としてよく使ってたなぁと感慨深く感じていたら召喚術の基本的な説明が進んでいる。

 

「レシィ君はメイトルパの住人なので適性はメイトルパですね。…つまり同郷の人たちを呼び出すことになります」

 

「故郷の人たち、ですか」

 

 メイトルパの住人を呼び出し使役するという行為について忌諱感があるのだろう。だがそれは考え方の違いだ。

 

「それなら、考え方を変えて力を貸してもらうと思うのはどうでしょうか」

 

「力を貸してもらう、ですか?」

 

「ええ、君がギャレオ副隊長に呼び出されたように、自分の不足部分を補ってほしいと。そう願ってみるのです」

 

 行使、使役、契約、言い方はそれぞれだが要は考え方を変えてしまえばいい。助けて欲しいと、手を貸してくれと。

 

 それに相手が応えてくれたら召喚術は発動する。そう考えれば忌諱感も薄れるだろう。

 

「召喚獣には当たり前ですが得手不得手があります。攻撃する者、回復してくれる者、高位召喚術ですが憑依なんて言うのもありますね」

 

「あーあれか。あれ滅茶苦茶難しいじゃないの?」

 

「レシィ君ならできると思うんです。勿論それも本人次第ですが」

 

 ゲームではメイトルパは非常に使い勝手のいい属性だ。攻撃、回復、異常、憑依も何でもござれのバランス型の属性だった。 

 

 それはこの世界でも変わらない。召喚獣をどれだけ知るか、協力を得られれば、になるけど。

 

「召喚術は強力である反面、己の魔力を大幅に使う術です。一度の戦闘に何度も頻繁に使えるものではありません」

 

「高位召喚士になると低位なら何発も使えるのは序の口で2属性使えたり、暴走召喚術を使ってくる奴もいるが」

 

「それはレシィ君には少々難易度が高いかと。私が重視するのは何の召喚獣をどの場面で使うか、ですかね」

 

 相手の前衛を蹴散らすのか、負傷者を治療するのか。または憑依を使ってサポート、状態異常をばらまいて戦局を変えるとか。

 

「召喚術というのもまた選択肢の一つだと覚えておいてください、それが君の大きな力になると私は思いますよ」

 

「は、はい!」

 

 メイトルパの可能性は非常に大きい。その可能性を知れただけでも良かったのかも?

 

 

 

 

 




話の区切りが強引ですが見やすさ重点でいきます

こういうキャラのスキルやステータスを見てどんな役割をさせるのか
考えるのが好きなんです。少々くどいとは思いますがご勘弁を
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。