誤字脱字報告ありがとうございます。
戦闘描写が苦手なのでお許しを…
帝国軍との戦いはレックス達と護人達が敵の隊長アズリアへと向かう主力部隊とそのほかの敵を惹きつけるカイル達とで分れる作戦だった。
レックスたちが突貫しカイル達も敵を引き付けようと動こうとしてカイルは自分たちに影が差したのを理解した。
何故、そう考える間もなく猛烈に嫌な予感して思わず咄嗟に叫んだ。
「皆!散るんだッ!」
叫ぶや否や、全力でその場から飛び抜いたと同時に影が空から降って来た。
轟音、そしてその影の重さによって巻き上げられる砂、ちょうどカイル達がいた場所が砂浜だったのだ。
「うわっ!?」
「何!?」
「なんか降って…!?」
「砂!?何が降って来たんだ!」
巻き上げられた砂を浴び仲間たちが困惑する、それが大きな隙となってしまった。
「ッ!逃げなさい!?」
異変を察知したスカーレルが叫ぶが返事は何かがぶつかったような鈍い音。
「ぐふぁっ!」
「ヤード!?」
声の主はヤード。砂浜を転がりながら倒れ伏すヤードは立ち上がるには時間が掛かるだろう。場合によっては戦闘不能か。
砂によってかく乱されている時に、真っ先に召喚士を狙われてしまった。
こんな事が出来るのは。こんな事が出来てしまうのは…誰の仕業か見当がついたカイルは真っ先に影に飛びかかる。
「うぉぉぉお!!」
「フンッ!」
聳え立つ影に向かい拳を振り放つ、それは当然のように当たったが、カウンターがやって来る。
剛腕を何とかガードする、しかしその膂力に腕がきしみをあげる。前戦った時よりさらに拳の威力が増していた。
「耐えるか。そうでなくては」
「チッ!またアンタか!」
空から降ってきたのは敵の副隊長ギャレオだ。離れた場所から一気に跳躍しそのまま落下しながら攻撃してきたのだ。
カイルの攻撃をあっさりと受け止めておきながら悠然と笑うその姿は嫌な迫力があった。
「随分なご挨拶だな!」
「そう褒めるな。語るなら拳で示せ」
「言われずともぉお!」
肉薄し乱打戦が始まる。お互い近距離同士で同じ拳を武器に持つ者。自然と攻防は拳闘に移行する。
が、カイルは早々に己の不利を悟る。拳の威力が前とは全然違うのだ。
(嘘だろ!?前の時よりも威力が段違いだ!)
ギャレオの膂力に驚き、それでも食いつけばギャレオはその仏頂面を薄く歪ませていた。
まるでそれはこちらの努力全てをあざ笑うかのようだ。
(……スカーレル!)
剛腕から繰り出される拳を交わし捌き、それでも何発かは当たりくいしばって、カイルはギャレオの後ろへと音もなく動くスカーレルに合図を出した。
スカーレルは誰よりも機動力と潜伏力が高く相手の背後に回り込むことができる、そうして後ろから奇襲し動揺した相手をカイルの必殺の一撃で叩きこむ。
海賊一家でも特にカイルとスカレールの長所を生かした戦法だ。
そのスカーレルが短剣を煌かせる、背後より致命的な一撃が放たれる。
「隙だらけよ…」
「誘ってるのさ…」
「は?」何て言葉を言えなかったのは目の前の光景を受け入れられないからか。
確かにスカーレルはギャレオの後ろを取った、音もなく気配もなく死角からの一撃。
普通の相手ならそのままスカーレルの奇襲を防げないそれを、だがギャレオは最初から見越したかのように。
「ぐえっ!?」
大柄なギャレオだ。接近していたスカーレルは回避しようにも攻撃の動作を中断できず、そのままギャレオの背中に押しつぶされてしまう。
だがギャレオの反撃はそれでは終わらなかった。まるで蛇が獲物に絡みつくようにスカーレルはギャレオの躰に巻き取られてしまう。
カイルの目の前にあるのはギャレオの剛腕によって羽交い絞めにされてしまったスカーレルだ。
「ほぅ?細いとは思ったが中々随分と…鍛えているのだな」
「ッ!?い、嫌ぁぁああ!!?離して!?カイル助けてっ!!」
悶え叫び悲鳴をあげるスカーレル、ギャレオは気にせず寧ろどこか愉快そうにギチギチと腕を締め上げさらに鼻をヒクつかせた。
「…良い匂いだな。メンズ系の香水か?あとで教えてくれ」
「ヒィィィィイイ!!」
滅多に出さないであろう本気の絶叫が響き渡る。スカーレルを体を羽交い絞めにしながら弄るギャレオ、あまりにもあんまりな酷い絵面だった。
それはまるで熊が蛇を踊り食いにして楽しんでいるかのようだった。
唖然としてカイルが我に返った瞬間、決着はついていた。
「機動力に割り振り過ぎていささか耐久性が弱いのは問題か」
剛腕から抜け出せず締められてノビてしまったスカーレルをゴミのようにポイっと捨てるギャレオ。スカーレルは何とも言えない顔で白目を晒しながら気絶していた。
「さて…次は、フンッ!」
パァンッ!!
「きゃっ」
「ソノラ!?」
銃の発砲音、そして聞こえたのはソノラの悲鳴。彼の装備している籠手には煙があった
それで分かった。銃弾を跳ね返したのだ。射手であるソノラはスカーレルが締められるのを見て、誤射を嫌い撃てずにいたがギャレオが1人になった瞬間発砲だがギャレオは銃弾を跳ね返す技術を持っていたのだ。
「腕は悪くない、だがそれだけだ」
「っ!」
「せめて組み付いている時だったら……フッ」
失笑というよりは、仕方ないとでも言いたげな。小馬鹿にしているというよりは慰めている様な笑い方だ。
「何が可笑しい」
「いや、なに。味方に当たるのがそんなに怖いのかと思ってな」
「……っ」
ソノラの歯ぎしりのような睨みつける視線もどこ吹く風、何一つ気にしていない堂々とした立ち姿。
「我が部隊なら誤射や事故なぞ日常茶飯事、当たった奴が悪い、それだけだ」
「……あの刺青野郎の事か」
「そうだ。良く当たるが、なに俺がどんくさいだけの事」
「それって狙われてるんじゃねーのか?」
「……」
なぜか押し黙ったギャレオ。わずかに視線がビジュの方に向く、そのビジュは今アズリアや帝国兵と組んでレックスや護人と交戦中だった。
「まぁいい、では始めるか」
「っ!うっぉおおお!!」
巨体が迫る、瞬く間に仲間二人を戦闘不能にし、ソノラの銃撃を何一つ堪えない怪人が攻めて来る。
カイルは立ち向かうが先ほどと変わらず防戦になっていた。防戦一方なのは相手の身体が強靭過ぎて効いているのか全く不明だったからだ。
「頑丈な体だな!何喰ったらこんな風になるんだ!」
「毎朝の苦い棒*1だな。朝にあの苦みは頭がスッキリする」
「誰が朝飯を聞いた!?つかせめて人の食いモンを喰えよ!」
「そしてうちの護衛獣の作る飯だ。絶品というほかない」
「誰だよ!?そして自慢かよ!」
ギャレオはカイルの拳を避けない。躱すのではなく受け流し、そして反撃をする。どっしりと構えたその不動の躰はまるで巨岩。これを崩すのは困難かと思えた。
「うぉぉおわぁぁっ!」
「ムッ!?」
カイルの攻防に割って入った小さな体。声を張り上げ雄たけびと共に斧を振りかざすのは鬼人の子スバル。
「ぬんっ!」
「っ!」
その飛び込みながらの全力の振りかぶりをギャレオは冷静にはじき返す。籠手が歪んだが、それでもなおギャレオは健在だ。
「少年、威勢が良いのは認めるが、ここがどこか分かってるのか?」
「当然だ!おいらは風雷の郷のスバル!みんなの為お前たち帝国軍には負けやしない!」
「素晴らしい啖呵だ。では痛い目を見ても同じことを言えるのか測ってやろう」
ギャレオの顔が喜悦に歪む。たまらなく嫌な顔だがスバルは挑発と受け取ったようで斧を構え直し、果敢に攻め込んでいく。
「スバル!無理すんな!コイツは普通じゃない!」
「分かってる!だから二人で戦うんだ!」
挟むようにしてカイルとスバルはギャレオを相手に立ち向かう。今度は流石に回避し始めたが、やはり致命的な一撃を与えることは出来ない、ゴツイ身体の癖に躰捌きが妙に上手いのだ。
「強者に多勢で挑む。ふむ、海賊。貴様よりその少年の方が利口みたいだぞ」
「うるせぇ!さっさとくたばれ!」
決め手が欠ける、2人掛かりでもだ。その焦りはスバルも同じで斧を振るが躰捌きで避けられる、師であるキュウマや母ミスミに認められて、自分の想いを胸に戦場に出たのに、それが報われない。
(このままじゃ…っ!)
斧で駄目なら己のもう一つの武器、雷を使う事にする、せめてこのジリ貧を突破したかった。
「召鬼!雷!」
「むっ?」
「喰らいやがれ!」
突如雷が鳴りギャレオの身体を貫く、その隙をついてカイルの一撃がギャレオの脇腹を打つ。
僅かな動揺を見逃さないその拳は…確かに当たった。当たったが。
「ちと、威力不足だな。タケちゃんの方が威力が高い」
ギャレオは健在だった。寧ろスバルの雷の所感を言いながら拳を握り込んでいた。
威力の低い雷ではやはりダメージは入らずカイルの一撃も問題なく耐えられてしまった。
「では寝てろ」
「がはっ!?」
カイルが沈み、残るはスバル。頼りになるはずのカイルが倒されたことに動揺が走るがそれでもスバルが果敢に攻め込む。
「うぉわぁぁ!」
「諦めないのは立派だがそれは蛮勇という物…ムッ!?」
「させません!」
スバルの突撃に構えたギャレオだが悪寒を感じその場から退避をする。それもそのはずフレイズが上空から奇襲を仕掛けてきたのだ。
「天使か!?」
「スバル君!援護します!」
「っ!」
天使としての力である光を放ちギャレオを攻撃するフレイズ。スバルも負けじと斧を握りしめて飛びかかる。
「フレイズ!コイツなんか変だ!他の奴らよりずっとずっと頑丈で変だ!」
「ええ、それもありますが…」
スバルが言うようにギャレオは非常にタフだ。頼りになっていた海賊一家が片付けらされ、今もスバルや自分が相手してもどこか余力があるように見える。
だが天使であるフレイズには一番大きな違和感があった。だから警戒はすれど困惑があるのだ。
「なんだ?何を見ている天使。子供に任せっきりか?」
「貴方は…」
ギャレオの挑発には乗らずフレイズは只見ていた。今まで様々な人間の魂を見てきた。良い悪い、それも併せて多くの魂を見たつもりでいた。
だが今この男の、内包する魂は……
「
「……っ」
思わず零した呟きはギャレオの耳に入った。その言葉を聞き、意味を理解して、困惑したそれが一瞬とは言え致命的な隙となった。
「何処を見ているんだ!おいらを見ろ!うっぉぉおおお!!」
その隙を見てスバルは渾身の斧を振りか下ろす。後に爆雷斧とよばれるスバルの必殺技。
「っ!」
ギャレオはそれを耐えたが、続けて光の輪に囲まれ身動きが取れなくなった。そこにフレイズの剣が光となって切り裂く。
「大人しくしていただきます!プルガトゥリオ!」
「ぬっ!?」
体勢が崩れたギャレオは、そこで奥の方で紫の光を目撃した。サプレスの召喚術の光、誰がとは言うまでもなかった。
戦闘が始まって最初に脱落した筈の高位召喚士ヤードだ。
「み”な”ざ”んん”!!いぎますよ!」
「「「「了解!!」」
ダメージが抜けきっていないのか濁声を出しながら仲間たちに呼びかけ召喚するのは海賊一家の協力が無ければ呼び出せない大海賊の亡霊船長。
『突撃!幽霊Xボーン斬り・改!』
船に乗った亡霊の海賊船長が船ごと突撃する!
「ぬぉぉぉおお!!」
ギャレオはそれを耐えようとしたが踏ん張りがきかずに吹き飛ばされてしまった。地面を何度もバウンドし煙をまき散らしながら転がり続けようやくその巨体が倒れた時、ほっとカイルは息を吐いた。
「…やったか?」
「どう、でしょうか…全力の…ありったけをぶつけたのですが」
「もぅ嫌よアタシ…あんなのがまた起き上がったら…悪夢を見そう」
「…流石に立ち上がらないよね」
ソノラが恐る恐る聞くが、ギャレオを注視しながら誰も応えられない。
戦闘不能になったヤード、カイル、スカーレルを叩き起こしたのはソノラだ。自分の銃撃が効かない相手だと判断してせめて何か役立てないかと荷物を漁った時にキッカの実を持っていることを思い出したのだ
微かに息をしていたヤードの口へ詰め込み、うなされているスカーレルをはたいて起こして口に入れ、気絶していたカイルの口に無理矢理捻じ込んだ。
銃が役に立たないのらせめて道具を配って回った。ヤードの懐にサプレスのサモナイト石を見つけ、協力するために皆を集め。
そうして何とか倒した そう思いたかった
「……協力召喚術か。羨ましい物だ」
倒れた体をゆっくりと起き上がらせ、その余りにも上機嫌な言葉を聞かなければ。
「アイツ、どんだけタフなんだよ」
「人間、ですよね?」
「………どうでしょうね」
「フレイズ?」
慄くつもりはないがそれでも六人がかりだ。その人数を前にギャレオは口角を上げた。
「赤点は免れた、という事にしておこう」
「何を言って…」
一体何をそう言おうとした。瞬間、ギャレオの身体がぶれ、気が付けばスバルの真ん前にいた。
「うわぁ!?」
「少年、泳げるかな?」
反応する間もなく、ギャレオはスバルの身体を掴み、持ち上げた。
まるで獲物を見せびらかすような動きにスバルは暴れるが体が浮いているため思うように動けない。
「ではな!」
「ッ!スバル君!」」
そうしてギャレオは、まるでボールを投げるかのようにして空を飛んでいたフレイズへと投げつけたのだ。
フレイズは投げ飛ばされたスバルを掴むほかなく。しかしその衝突力まではどうすることも出来ずスバルを抱えながら海へと堕ちてしまった。
「チッ!」
「温いわ!」
そしてカイルへと接近、今度は拳闘ではなく組み付き…どころか体ごと持ち上げられる。成人男性よりも筋肉を纏っているカイルをだ。
「つぅ!馬鹿力!」
「それしか取り柄が無いんでな!」
叫びカイルは目の前の男が何をしようとしているのか気付いて、暴れ回りながら蹴りや拳を繰り出すが、ギャレオは愉快そうに笑ったままだ。
「ぉおおお!!」
「ソノラ、ヤード逃げ!?」
声は最後まで出せなかった。ギャレオがカイルを思いっきり振り回しそのままヤードとソノラに向かって投げつけたからだ。
「きゃぁ!?」
「クッ!?」
巻き込まれた二人はカイルの身体を受け止める事が出来ず激突。そのままカイルと共に地面を転がってしまう。
一般人よりも拳闘が得意なカイルだからこそ筋肉のその質量そのものがギャレオの武器となってしまったのだ。
「シャア!!」
ギャレオがカイルを放り投げたその隙を狙い、斜め後ろという死角を突いた立ち位置でスカーレルは剣を振るう。
「…心眼持ちにソレは悪手だぞ」
死角を取ったはずだった。ギャレオが切られても全く気にせず、スカーレルを掴まなければ死角の一撃は必殺の一撃となる筈だった。
「は、離しなさいよっ!このデカブツ」
脱出しようにも万力の如く握りしめられたギャレオの腕を振りほどくことは出来ず。寧ろそっと囁かれた。
「感謝しようスカーレル、
「アンタ、何を言って…」
「では、寝てろッ!」
そうしてスカーレルはその呟かれた意味を理解する間もなく砂浜へと叩きつけられたのだった。
個人が持つスキルをこねこねして描写するのは楽しい(出来ている訳ではない)
スカーレルのあの声…良いですよねぇ