遅れてきた直接攻撃の……   作:灰色の空

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お盆がようやく終わったので投稿します。
時間が掛かり過ぎましたね…

誤字脱字報告ありがとうございます。何時も助かります。


決戦に向けて

 

 

 

 死屍累々。いや、死んではいないが。

 

 倒れ伏すのは海賊一家。スバルとフレイズは戦線復帰に時間が掛かるだろう。力を入れて投げ飛ばしたからな。

 

「………」

 

 余力はある。そもそもこの戦いにはストラを使っていない。己の身体能力のみだ。

 

 それで測った海賊達の戦闘能力は…まぁ大丈夫だろう。この感じだと無色との戦いに守らなければいけないほどではない、 

 かと言って頼りにするにはちと不安が残る。

 

「……時間切れか」

 

 そうして考えていたら戦場に奔る緑の光。レックスが魔剣を取り出した光。

 

 当の本人は驚いている。無理もない、魔剣を封印したのは間違いなかったのだから。だがもう一つの魔剣で遺跡を復活させれば…封印なんてものは解除されるわけだ。

 

 そうして引き起こされたのは地震と雷を交えた大嵐。島が揺れているのではないかと思われるほどの天変地異のおまけつきだ。

 

 

 

「…イスラ。もう後には引けんぞ」

 

 

 遺跡から血のように紅い光が立ち上がる。

 

 

 イスラが魔剣を抜いて遺跡を復活させた証。島を覆う結界が無くなった証拠。

 

 

「このままでは…総員撤退せよ!」

 

 そうして、優勢とはいかずとも互角になった時、これ以上この風と地震では戦いにはならないと隊長は判断された。

 

 帝国軍はそうして撤退をするのだった。

 

    

 

 

 

 

 

 

 

 

 今回の戦いは俺としては彼等がどれほどの強さかを知る目的があった。だからわざわざ一人で複数の相手をしたが…。

 

(それなりに戦える。彼らは放っておいても大丈夫だろう)

 

 評価としてはまぁまぁ。俺を全力にさせるほどの腕は無くても彼等は無色の派閥の攻撃を受けきれるだろう。

 

 

 無色の派閥。

 

 リィンバウムにおけるテロリストにして悪の組織。外道と非道が集う人の悪意の塊、殺人や器物破壊は当然の如く誘拐に人体実験に…容易に考えられる非道行為を行う、外道の極み。

 

 俺は奴らと実際に戦ったことはない。噂や情報はあっても見たわけではないので実際の戦闘能力がつかめなかったのだ。

 

 故にゲーム上でしかその強さは測れなかった。だから想像することしかできない。

 ゲームでは初見の時驚きのまま強くて仕方がなかった。全てが帝国兵より上、勝てたのは奇跡なほど。事前情報が無かったのと思い出補正があるとしても、その強さは圧倒的だった。

 

 特に無色の派閥の傘下?である『紅き手袋』こいつらが特に厄介だった。暗殺者の名に相応しく身のこなしが軽いのかよく避けるのだ。何度前衛の攻撃を避けられ、そしてあのクリティカルで冷や汗を掻いたことか。

 

「だが、大体は掴めた。スカーレルには感謝だな」

 

 後々判明することだがスカーレルは元紅き手袋の暗殺者。2つ名まで手にした有数の実力者だ。確か『珊瑚の毒蛇』だったか?毒を使った暗殺が得意なタイプだった筈で今は毒は使っていないだろうが身のこなしは現役の頃からさほど劣ってはいないだろう。…あんまり過去を思い出したくないのか弱体化していたのかもしれんが。

 

 だからわざわざスカーレルに隙を見せて奇襲させたのだ。その動き、間合いの取り方恐らく紅き手袋の暗殺者たちと同類。

 

 実戦を経験すれば後はだいたい合わせることができる。後は本番でどれだけ動けるかだ。

 

 

 

 ……スカーレルを羽交い絞めにして体を弄ったのはマズかったか?でもそうでもしないとアイツ堕ちなかっただろうし。

 

 後とても良い匂いした。流石上品なオカマ。……体に染みついているであろう血の臭いを消すためではないとそう思いたい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ギャレオ、次で最後にする」

 

「奴らとの戦いですね」

 

 隊長に呼び出され、言い渡されたのはレックスたちの最後の決戦の話だ。

 

 12話で帝国軍と島の住人達の戦いは終わる、原作では帝国軍最後の戦い。

 

 悲壮なというよりは決意に満ちた目だ。……何かを言うべきなのだろうか。

 

「…ギャレオ」

 

「はっ」

 

「全員に伝達をしろ、次の戦いは命をかけろと」

 

 隊長が決して言わないであろう命をもって全力で任務を遂行しろ。それは、でも。

 

「不服そうだな」

 

「はい。……理解はできるのですが納得がどうしても」

 

「そうしなければ我らに先はない。兵の疲労も不安も限界だ。…勝たなければ奴らの居場所は私では保証できん」

 

 任務失敗は、それ相応の処罰が下る、その責を負うのはこの部隊の隊長アズリア・レヴィノス。隊長の顔が一瞬歪む。それは決して自分の今後の事ではない、部下達を思ってだ。

 

 そもそも誰が好き好んで部下に命を懸けろというのか。誰が任務達成の為に死んでくれと言えるのか。自分たちは軍人で、それでも人だった。

 

「……自分は納得は出来ません」

 

「ああ」

 

「しかし、それが貴方の命令なら。自分は…自分はッ」

 

 そう言いながらも己の感情が叫ぶ。本当のことを言えと。言って楽になってしまえと。

 

 冷静な部分が囁く、ここまで来て今更何を言うのかと。そうして言葉に詰まった俺に隊長はふっと微笑んだ。

 

「無理をするなギャレオ」

 

「…隊長?」

 

「図体はデカいのに臆病なお前だ。本当は奴らとの命のやり取りなんて嫌なんだろう?」

 

 クスクスと笑う隊長。いつの間にか見抜かれていた

 

「お前の隊長をどれだけやっていると思ってる。ある程度気付くさ」

 

「……自分は」

 

「この島の連中を、あの海賊一家やレックスを今まで攻めあぐねいていたのはそう言う事だ。違うか?」

 

 そうだ、その通りです隊長。俺は、手を抜いていました。出来るだけ傷つかないように注意を払ってました。でも俺は軍人だから。俺が先の事を知っているから。

 

「お前は悪党相手には容赦がないくせに相手に情が湧くとすぐに日和る。それで何度もビジュに怒られているだろうに」

 

「…どうして分かったのですか?」

 

「あのアリーゼという娘と話をしている時に、随分と親身だったからな。ああ、ギャレオには難しいと気が付くさ」

 

 それを分かりつつ、何も言わなかったのですか?この愚かな男に、何も言わなかったのですか?

 

「お前に頼り切る訳にはいかん。私とアイツ等とてそう思ってた」

 

 だが、結局はこのざまだがな。そう言って悲しそうに笑った。

 

「魔剣を奪還しこの島から出る、後の責任は私が持つ」

 

「…………」  

 

「ああは言ったが、本当に命を懸けろとは言わん。ただそれ相応の覚悟を持て」

 

「…了解しました。ですが」

 

 ああ、優しい隊長。人としてどこまでも誠実で優しい隊長。でもそれは、軍人としては失格と呼ばれるほど甘くて…

 

 だからこそ貴方こそがこのはぐれ者たち、軍人失格と呼ばれてしまう帝国軍海戦隊第6部隊の隊長なんですね。

 

「俺は、貴方や部下達の命を守ります。己の全力をもって。俺自身の為にも」

 

「ふっ、頼もしいな」

 

「何があっても必ず、必ず…!」

 

 だから俺が守りましょう。貴方の居場所を。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……以上、隊長からの命令だ。我らは次の決戦に命をもって任務にあたる。何か反論があるなら聞こう」

 

 部下達全員を集め、先の隊長から下された内容を説明する。

 

 この魔剣を巡る騒動を次の戦いによって終わりにすること、この戦いで全力を尽くし命を懸ける事。

 

 全てを説明した。

 

「まぁやっぱそうなるわな」

「だな。っし一丁やったりますか!」

「んじゃサモナイト石と武器防具の点検すんぞ」

「召喚獣との契約とかも…してるか」

 

 そんな部下達のいつもの行動、いつも陽気さに俺はあっけにとられてしまった。

 

 反論があると思われたのに、誰も、何も言わずに準備をし始めたのだ。

 

「お前達…何も、言わないのか?」

 

「何って何をですか?」

 

「命を懸けろと、そう言われているのだぞ。負けたら死ねとそう言われているのだぞ」

 

 なのにどうしてそう平然と入れるんだ?どうして受け入れる?

 

 その言葉に部下達は顔を見合わせ、苦笑した

 

「副隊長なーに言ってるんですか。負けると考えて戦う馬鹿がどこにいるんですか」

 

「そうですよ、次で最後ってのなら、俺達の正真正銘の全力って奴を出し切りましょうや」

 

「俺等にも意地って物があるんですよ、ちっぽけな意地って奴が」

 

 不安だろうに疲れているだろうに、それでも彼らは戦ってくれる。

 

「あとはまぁ……俺等を拾ってくれた人がそう言うなら…なぁ?」

 

「ああ。全力でぶち当たるさ。なんせあの人はもっと上に行くべき人だから」

 

「俺等じゃ絶対になれない、初の真っ当な軍人将校が出来るってんなら押し上げましょうや」

 

「腐った帝国軍人じゃない、民間人を守るためにいる夢物語の様な軍人さんって奴っす」

 

 どこか子供のようにそう語る彼らの顔は俺には眩しくて…あまりにも、あまりにも…

 

 

 綺麗だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 イスラとビジュはいなかった。恐らくあの話でもしているのだろう。

 

 俺にそれを止める権利はない、余計な茶々を入れややこしくなったらというのが建前であり彼らの顔を見たくないというのが本音だろう。

 

「次で、最後なんですか」

 

 レシィの顔には不安が大ありだ。任務を完遂するそのために命をもってことをなす、何故それだけの事をしなければいけないのかわからないのだろう。

 

 

「ああ、次で我らと島の住人との戦いは終わる。決着がつくのだ」

 

 そう、決着がつく。どういった形であれ終るのだ。

 

 だから…

 

「レシィ話がある。とても大切な話だ」

 

 ここまで、ずっと俺達を、俺を支えてきてくれた彼には話すことにした。

 

 これから何が起きるのかを。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 人気のない浜辺。夜空に浮かぶは何処までも綺麗な月。黒い海はどこまでも穏やかな波の音を立てる。

 

 先ほどまで嵐や地震がまるで嘘の様に穏やかだ。 

 

 そんな所に呼び出されたレシィ、目の前のギャレオはどこか緊張しているように感じた。

 

「今までずっと俺達を支えてきてくれたこと心より感謝する」

 

 改めて言われたのはここまで部隊を支えてくれた事への礼だった。レシィにとっては自分で出来る事をやったまでだが、それでも礼を言いたかったのだという。

 

「…そしてこの先の戦いについてだが、お前は、メイトルパに帰ってもらいたい」

 

「!?そ、それはどうしてですか?」

 

 足手まといだから、弱いから、そんな言葉が浮かんだ、だがギャレオはそんな事で帰れという男ではないことをレシィは知っている。

 

 そんなことを言うからには必ず理由がある、だから動揺は何とか抑える事が出来た。

 

「島の住人との戦い、実はこれについては特に気にしてはいない。…奴らは人が良いからな」

 

「確かにレックスさん達は、悪人ではないとそう思います」

 

 出会ったのはロレイラルの看護師さんを助けた時だけの接点でしかないが、今までの話を聞いていれば悪人ではないのは分かることだ。

 

 むしろ善人の部類だ、事情があり戦うしかなかったが、それでも本来戦わなくてもよかった人達。

 

 それがレシィの認識だ

 

「俺か奴らどちらかの決着がついた、その後だ、その時…俺達の、俺の本当の敵が来る」

 

「敵?敵って?」

 

「無色の派閥、テロリスト共で帝国の敵…この島を所有していた者達、か」

 

 無色の派閥、それがどんな恐ろしい集団なのかギャレオは語ってくれた。 

 

 島の召喚獣を使い実験するは当たり前、子供を誘拐し洗脳して忠実な兵士にする、民間人を虐殺するなど。

 

「そんな人たちが、この島に?」

 

「ああ、必ず来る。間違いない」

 

「なら皆に知らせないと、そんなに危険な人たちなら島の人たちとも協力して戦わないと」

 

 魔剣がどうだとかそう言う話ではない、その無色が恐ろしい組織ならなおさら島の住人の協力は必要になるだろうし帝国軍人達も本来の敵がやってくるのだ。

 

 魔剣とかはその無色たちを倒した後、話し合えばそれでいい、なんなら決着もその後で。

 

「……そう、すべきだな。だが言えないんだ」

 

「言えない?皆さんギャレオさんの話なら聞いてくれます…?」

 

 そこまで言って、ふと気が付く。どうしてギャレオは無色が来ると知っているのだろう?

 

 どうして知りながら上官であるアズリア隊長に話さないのか。そしてなぜ自分にだけ話したのか。

 

 なによりもどうして、そんなに辛そうな顔をするのか

 

「何か、言えない理由があるんですか?」

 

「ああ、そうだ」

 

「でも僕に話せたのは…あなたの護衛獣だから。いいえメイトルパへ還せるからとそう思ったからですか」

 

「……無色の派閥は危険だ。だからお前だけでも避難させたかった」

 

 その言葉に、様々な感情が渦巻く。他の皆は?どうして自分だけ?なぜそれを言えない?

 

 あれほど仲が良く、信頼されているのにどうして言えないの?

 

 皆の事を大事に思うのならどうして話せない?

 

 そして一体何をする気なのかと。

 

「メイトルパへ帰るのが駄目ならせめてユクレス村へ…マルルゥやヤッファならきっとお前を受け入れてくれる」

 

 ギャレオの言葉がどこか遠くに感じる。そんなレシィの混乱が分からないのかギャレオはどこか早口だった。

 

「もしくはメイメイの店か。あそこなら避難場所として……一時の間だけなら文句は言うまい」

 

 何を言ってるのか分からなくて、でもその言葉には強いこちらへの心配だけはあって…レシィは如何すれば言えばいいのか分からなくて俯いて。

 

 そして()()に気が付いた。

 

「俺達が戦闘を開始したら拠点を放棄してくれ。終わったら必ず迎えに行く」

 

「ギャレオさんは」

 

「うん?」

 

 顔を上げる、こちらを伺う顔はいつも同じだが緊張で張りつめているのか微かに汗をかいていた。

 

「ギャレオさんが好きな食べ物って何ですか?」

 

「む、む?」

 

「終わったら…全部終わったら僕、貴方の好きな物を作りますよ」

 

 微笑めば、動揺したギャレオが少し考えてそれからふと息を吐いた。いつもの顔だった。

 

「メガ盛りのオムライスを…」

 

「オムライスですか?」

 

「ふわトロメガ盛りオムライスを喰いたい。出来れば酸味は少なくで具は肉が多めだ」

 

「分かりました。絶品と呼ばれるものを作ります。だから…」

 

 グッと言葉を溜める。言いたいことはたくさんあった、言うべき事も山ほどあった。

 

 だがそれを出さない。ギャレオを盲信するのではなく信じる為に。

 

「必ず生きてください。それが僕からのお願いです」

 

「ああ、必ずだ」

 

 そう言って笑って頭を撫でたギャレオからソレが分かって…レシィは覚悟を決めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 もし部隊の皆や隊長に話をして、聞いてくれるのかというなら。きっと耳を傾けてくれるだろう。

 

 信じる信じないとして、可能性としてはあり得るかと話を聞いてくれる。

 

 そう自惚れるほど部隊の皆とは信頼関係を築き上げているとそう自負している。

 

「だが、仮に話したとして、どうなるのだ?」

 

 だが話した後はどうなるのだ?、そうして仮に決戦をせずに島の住人と協力体制を取れたとして無色の派閥を迎え撃ったとして……

 

 

 ()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 

 逸脱した行動はどこかでしわ寄せが来る可能性があるのだ。だから迂闊な事が出来ない。

 

 

「無色の最大の弱点は頭領(オルドレイク)の慢心だ」

 

 世界を統べる絶対的指導者。全ての王になるべく行動する男。

 

 無色の行動指針はすべて奴が握っている。それなのに短慮で迂闊で慢心だらけで、そしてどこまでも小者だから、原作の被害はあれだけで済んだ。

 

 妻やお抱えの鍛冶師などには寛容な癖に敵対する者は歯牙にもかけず。危険意識というよりは敵というその物が居ないから非常に根深い慢心と短慮さがある。

 

 実力はある、行動力も。組織人としては…どうだろうか。名ばかりだった家名をよみがえらせたのは素直に賞賛には値するが。

 

 指揮官としては、まぁそこまでではない。どこまでもこの世界特有の召喚士だ。この島に来たのも魔剣と遺跡の掌握。ついでに召喚獣たちの捕獲も含まれているが、正直物見遊山という心境だろう。

 

 だが、これがもし最初から帝国兵と島の住人が徹底抗戦で、そのせいで負けたら?

 

 奴の、オルドレイク・セルボルトの慢心と油断、そのすべてがなくなったら?

 

 本気になって島の制圧と殲滅に繰り出したら。

 

 

「被害が拡大してしまう事は…それだけは駄目だ」

 

 ずれたしわ寄せは誰かがその責を負う。島の蹂躙に方向を切り替えた無色を止めれない場合起きるのは普通に暮らしている島の住人が死亡するカルマを超えたバッドEND。全ては死んでそれで終わり。

 

 だから動けない、話せない。打てる手は打っても確実とは言えない。

 

「…違うな。恐れているだけだ」

 

 だがそれも言い訳か。結局のところは原作から逸脱することが怖くて怖くて仕方がないだけだ。

 

 自分の迂闊な行動のせいで被害者が出てしまう事が怖くて仕方がないのだ。

 

 

 

「……フンッ!」

 

 

 そして自分の頬をバチンと叩く。全力で力を込めたので鼻血が噴き出てしまったがそれも仕方ない。余りの痛さに涙が出てきたがそれも分かり切った事だ。

 

 ここから先は頭を切り替えよう。うだうだするのはもう終わりだ。

 

「レックスたちはきっと生き残れる。大丈夫奴らの強さは分かった」

 

 カイル達と戦い、ある程度なら把握したがアレならきっと無色ととか戦っても蹂躙されることはない。

 

 考えるのは我が部下達と己のコンディションだけだ。

 

「…部下達は、レックスに任せる」

 

 考えられる通りは考えていたが結局出たところ勝負の可能性がある。レックスたちに頼り切るのは癪だがここまで来たのだ存分に頼らせてもらう。

 

 そして己の事だ。

 

「鍛錬した、この時の為に」

 

 体の調子は抜群に良い、鍛えに鍛えたこの体は俺の意志通りにを真っ直ぐに実行する。

 

「ストラは完成した…エルストラはまだ未完成状態」

 

 『ストラ』人の怪我を治すために使用していたが遂に完成へと至った。

 呼吸と共に体へ巡らせば並大抵の怪我は治せてしまう。俺専用の再生能力と言っても過言ではないほど。

 

 とはいえストラ頼みでどこまで動けるのかはわからん。どうせ動けなくなったときは戦闘が終わった時だ、それが勝利であれ敗北であれでだ。

 

 『エルストラ』*1

 

 ストラの強化版ともいえるこのエルストラだが…回復技としてはまだまだ調整が足りん状況だ。

 

 ストラのただの強化版ではなく応用を利かせた、ストラが自身を回復させるのなら他者を癒す技にしたいのだが…まだまだ練度不足。 

 

 実戦で使用するにはとてもではないが実用的ではない。…使えたら戦局が変わるような感じにしたいんだが…。

 

「まぁいい、肝心な物は……ヌゥゥウ!!」

 

 頭を切り替え、呼吸を一つ入れる。腕に力を入れれば血管が浮き上がり筋肉が誇大化する。

 これは正直使いたくはないがそんな事は言ってられない。何処まで出来るのか、どこまで動けるのかこれを頼りにするほかない

 

 俺の本能は一体どこまでやれるのか。せめて体が動く限りは動いてほしい…が。

 

「召喚術は無しだ」

 

 俺の召喚術がヘボというのが理由で召喚術に使う余裕がないというのもあるが。そこに余力を割けないというのが正しいか。

 

 流石は脳筋、流石は考え無し。純前衛として誉れ高い。

 

 

 

 

 

「…これで良い」

 

 アズリア隊長は必ず、必ず大丈夫だ、俺が考えるのは部下達だけそして無色だけ。

 

 

 気を新たにする。己の力量を確かめる。

 

 

 決戦が始まる。 

 

  

 

 

 

 

 

 

 

*1
ストラLEVEL2ではない。




ギャレオのスキルを見ながらあーだこーだ考えるのが楽しいです。
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