何度も見直しているせいで同じ文法が続けてたりクドイ表現があるのではないかと中々に恐い物ですね。
「ぬぅ……」
「不満を言わないでください。本来ならあなたは食事が受付ないほどの重体だったのです」
「むうぅぅ」
現在、朝食を終え器を取りに来てくれたクノンに猛抗議をしているギャレオです。俺は結構な強面顔なので不満そうにしていると中々の迫力がある筈なのだが…
クノンは一切動じることはない。看護師のあるべき姿だな。胸を張ってくれ。
「足りん…血が足りんのだ」
「食事の量は適量です」
何が不満なのかというと食事の量がね。少ないのですよ。いや、分かるよ患者にそんな重い食事はされないって。
でもねぇ軍人は体が資本ですから。いざって時に動けないのはマズくてですね。血が足りる様な具体的には肉が喰いたいのですよ。
「それでは私は他の皆さんの状況を見てきますので失礼します」
「ぬっ!?」
そのまますたこらさっさと出て行ってしまったクノン。何と冷たい反応か…文句を言う患者の要望に何一つ合わせてくれないなんて…やはり看護師の鑑だな、誇らしくないの?
「……仕方ない」
仕方がないので時間がある時だけでもストラを使い体の回復を行なう。ちなみにレシィは流石に朝起きたら別室へと行った。熟睡は出来なかったようだ。そりゃそうだ。
「スゥ―――」
呼吸に合わせて空気にある微量なマナを取り入れ体内にストラを巡らせる。それをゆっくりと深く。
「フゥゥウウウ」
そして呼吸を吐くのと同時にマナの放出…うーんやればやるほど体力が回復していくのが手に取るようにわかる。
いや、それにしては妙に体の快復が捗る様な?
「…枷が外れたか?」
あの夜以降、どうにも自分の中のストラがまた一段階性能が向上したような気がするのだ。呼吸と同時にストラをしているというか傷の治りが早かったのは元からだが体力の回復も格段と早くなったような。
思い当たる事と言えばやはり部下達を全員救えたことだろうか。ずっとこの世界に来てからの懸念事項…言い換えれば心の重荷が取り除かれたことで更に深く体が馴染んだというか、枷が外れたかのような心地よさだ。
「…鍛錬あるのみ、だな」
ストラの効能が上がったのならそれに合わせて体の方も向上させなければいけない。胡坐をかく暇なぞ無いのだよ!
というわけで、体に負荷を与えない尚且つ動きの抑制もしない鍛錬をするのでした。
「……何をしているのだお前は」
「ストレッチですが?」
「…はぁ」
という事でじっくりと念入りにストレッチをしていたらアズリア隊長が遊びにやってきました。見舞いかな?
「身体を動かさないと錆びついていく感じがしまして。本当は動き回りたくて仕方ないのですが」
「怒られるから止めておけ。そもそも体の方は…つくづくお前は頑丈な奴なんだな」
「おかげ様で」
隊長の方は昨日はあまり眠れていなさそうだが少し雰囲気が和らいだ気がする。ゆっくりしてほしいのは隊長の方なんだよなぁ主にイスラ方面で。
「…さて真面目な話をするぞ」
「これからの事ですね」
と、言う事で元々隊長はこれを話しに来たのだろう。
隊長曰くもう部隊の皆には伝えたが、これからは島の住人と主に協力し無色を追い出すという方針で決めたそうだ。
我々は島の住人と戦って負けた身。敗者にはそれなりの待遇があるかと思ったがレックスが取り成した…というよりは島の護人達もそれほど帝国軍に悪感情がないというか。
お役所仕事って大変なんだな~って感じだろうか。国に仕える者の苦労を知ったというか…お情けとはいえ事情を知ってくれて配慮してくれたのは感謝だ。
という事で、ひとまず部隊の皆はこのリペアセンターが拠点となった。拠点にならざるを得ないというか療養しているというか入院しているというか…
…と、ここで気が付いた。俺達の拠点だった船はどうしたんだろうって。
「隊長?船は如何したのですか?」
「……
「なんと?」
「壊されていた、跡形もなく」
「……は?」
え?俺達の帝国軍預かりの軍船ですよ?黒くて大きくて威圧感を与えて結構真新しい船ですよ?
それが壊されたって…え?
俺らの帰りはどうなるんですか?まさか、カイルの海賊船!?
「あまり深く物事を考えるなギャレオ。全ては無色を追い出してからだ」
「りょ、了解しました」
マジか…船の喪失って結構な処罰喰らうんじゃないのかコレ?あーでも無色と戦ってセルボルト家の秘伝召喚術などの情報を報告…駄目だ。これはもう駄目かもしれんね。
話を変えよう。そうじゃなければやってられん。
「それで確認ですが、追い払うのですね」
「ああ、それを彼等が望んだからな」
追い出すという事は詰まる所殺さないでおくという事。正直な話、無色はテロリストなので人権がほぼ無い。つまり公的に処分してもいいのだがレックスたちがそれを嫌がるので止めておこうとなったのだ。
まぁ分かり切っていた事だ。俺もレックス達に合わせないとな。
「なら早急に島の住人を護らなければ行けませんな。後手後手では被害が出てしまうでしょう」
「そうだな。だが今の私達では奴らに攻撃を仕掛けるのは難しい」
島の住人と協力を要請したいところだが…うーん。確か13話ってどんな話だったっけ?
13話は本格的に無色と交戦する話だ。確か島の住人達から無色の脅威を教えられ?確か島の住人を襲っていたところを?
…そうだスカーレルだ!スカーレルとヤードがオルドレイクに奇襲するんだが…ウィゼルに阻まれて失敗するんだ。
つまりウィゼルが居なかったらオルドレイクはばっさりやられてた?オルドレイク迂闊すぎんだろ…流石小者。やんなっちゃうね。
そしてスカーレルとヤードを救出する戦いになると。ちなみにいきなり2人で奇襲したのは2人の故郷が無色によって滅ぼされたから、それでその復讐の為に隙を伺っていたと。2人とも元は無色の派閥の構成員だったとわかるのだ。暗い過去持ちだったわけだ。
そしてそのあと連戦になると、そしてそこで魔剣を持つイスラが始めて抜剣をする。オマケにウィゼルも戦闘に初参戦。
(懐かしい…何もかもが懐かしいな)
一度思い出すとどんどん記憶が蘇ってくる。あの時イスラのステータス欄に抜剣覚醒と超ネタバレがあってたいそう驚いたのを覚えている。*1
そんな抜剣イスラだがギリギリまで近づいて召喚術で打ちのめしたので実はそれほど脅威でなかった。後
じゃねぇや。イスラはどうだっていいんだよ。
所詮、覚醒先生やカルマ先生に比べたら所詮はお坊ちゃんよ。それよりもウィゼルだよ、アイツ居合切りするんだよ。しかも飛んでくるんだよ!
『居合切り・絶』何なのアレ?遠距離攻撃の必殺技ってなんだよ!卑怯だろマジで強ぇんだよウィゼル!俺を散々切り刻みやがって怒った必ずぶちのめす!
「おいギャレオ、顔が険しくなってるぞ」
「む!?失礼しました。奴らの暴虐を見過ごすわけにはいかないと」
「なら傷を治せ。…治ってたか。体力を回復させ…していたのか」
「今すぐにでも戦闘できますが?」
「…私でもあのクノンを遮ることは出来ん。大人しくしてろ」
悲報隊長はクノンに勝てない…仕方ない部下達の看病や面倒を見てくれている看護師だから、強くは出れんよなぁ。
とまぁそんな事を話していたらその時ノックの音が聞こえた。
「えっと入っていいかな?」
「良いぞ」
その声の主は案の定レックスだった、見舞いに来てくれたのかな?うれしいなぁそう言うところがモテる秘訣か?
所で何で隊長が代わりに返事するんすか?何で嬉しそうになるんすか?雰囲気が一気に柔らかくなったぞ隊長?これはどういう事ですか隊長?
先日の夜はお楽しみだったんですか隊長!!
「二人とも具合は如何かな?」
「体力気力共に問題はないが運動不足を感じる」
「えぇ…」
なんだよその顔、ちゃんと普通に答えたのにどうしておかしなものを見るような目するんだよ~
「ギャレオはまぁそう言う奴だ。私は問題ない。何時でも戦えるさ」
「それは良かった。他の人たちは?」
「あの娘の看護のお陰で皆順調に回復している。動き回るのはまだ難しいだろうが、まぁそれもいい休養だ」
すっごい和やかな会話だ。正直俺は邪魔なんじゃなかろうか?居た堪れない…誰か助けて―
「それで、今後の事について話しに来たのだろう」
「うん、そうだね…」
「長話になりそうだな。茶でも用意してこよう」
「そのような雑務は俺がやりますよ。隊長はレックスと話をしていてください」
「駄目だ、お前の入れる茶はマズい。客に変な物を出すのは駄目だろう」
「なっ!?」
嘘だろ!俺が入れる茶は不味いって?…えぇ?特に何もおかしくは…もしかして二人になるのが気まずいとかそう言う事じゃないですよね!?
あ、待てこら!折角人が二人っきりにしてやろうという気遣いを!ちょ!?待てよ隊長ぉぉおお!
「……」
「……」
颯爽と部屋から出て行った隊長。残されたのは俺とレックス。悪い空気ではないが…何を話せばいいのか。
相手はずっと話をしてみたかったサモンナイト3の主人公レックスやぞ!推しやぞ!敵じゃなくて味方となってからの会話は緊張するんだよ!
…このまま沈黙で終わらせるにはあまりにももったいないのでエホンッと一呼吸を入れて。
「部下の件、お前には助けられたな」
「うん、そんな事はないよ。みんなが頑張ってくれたおかげだ」
「それでもだ。お前達は俺の部下達や隊長を守ってくれた」
深々と頭を下げる。感謝はこういった態度でしか返せないがそれでも本当に感謝しているのだ。
「ありがとうレックス。お前は俺の居場所を約束通り守ってくれた」
「それはギャレオが全力で戦っていたからだよ」
返されたのは優し気な言葉だ。本当にさらりとレックスは微笑んだ。
「自分の部下達を守るために、大勢の無色の兵士たちを相手に戦ったんだ。もしそうしなければきっと何人かは犠牲が出ていた」
……そんなことはないなんて言えなかった。誰かが敵を引き付けないと部下達は何人かは手遅れになっていただろう、それほど無色の奇襲の速さは想像以上だった。
「だから帝国の皆を護れたのはギャレオが頑張ったから。俺達はその後押しをしたに過ぎない」
こうやって言いきるのだから…本当に人たらしというかなんというか。
あーもう本当に。
「なら、世話になっている礼を返さねばならんな。…いつでも俺の力をアテにしてほしい」
「うん、今度は味方として頼りにさせてもらうよ」
「無色の派閥はお前が思ってるよりずっと危険で厄介だ。島の住人には外に出歩かないようにようにきつく言い含めさせろ」
「分かってる。護人にその事を伝えるように頼んであるよ」
とはいうが、まぁそれで生活できるはずもなく。シアリィとかは出歩くんだろうなぁと。
「……無色の奴らは所詮頭が居なければ動けん集合体だ」
「あのオルドレイクって奴をどうにかしないといけないのか」
「そしてそれを護る幹部共がいる。真っ向勝負ではいささか分が悪いが…」
オルドレイクを潰せば無色はそれで終わりだが、そうは問屋が卸さない。ツェリーヌやウィゼルが控えている以上難し過ぎる。
「…敵わないと見て安易に魔剣を使うなよ」
ふと、レックスを見てそんな言葉が出てきた。いやね、12話を越えればカルマENDは無くなった訳だがそれはゲームの話であって実際の所レックスが魔剣に捕われる可能性はいつだってあるのだ。
「………」
「やはり使わない、とは言えんか」
「ごめん。何度も忠告してくれたのに」
やはりというか魔剣の危険性を説いてもレックスは必要に迫れば魔剣を使うのだろう。如何した物か…。
「謝ってほしいわけではない。そのなまくらな玩具に頼るなッと言ってるのだ」
「玩具じゃないんだけど!?」
髪が伸びて白くなる。魔剣が自らの意思を持つ。使いすぎればラスボスからの浸食を受け暴虐の限りを尽くす殺戮モードになる。
男の子の浪漫を詰め込んだ中二病御用達の玩具じゃねぇか。
「そもそもお前には立派な仲間たちがいるだろうに」
「それは、そうだけど。無色の派閥は強い。その時には迷ってなんかいられない」
そういって覚悟を決めたような顔をするレックスに俺は言葉が詰まった。
(……うぅむ。如何したことか)
実は説得するのは割かし材料がそろっているので出来るといえば出来る。俺は彼等とは違って原作を知っているから。
でもなぁそれを言うのはもうちょっと状況がなぁ。ううーん…これは旧友であるアズリア隊長や生徒のアリーゼが言うべき事だしなぁ。
「まぁいい。お前の判断はお前が責任をとるのだから俺がどうこう言うのは止めておこう」
「うん、ごめんね」
「別に良いさ。尤も時が来たら説教をさせてもらうが」
だから謝るのなら…まぁいいや。俺も何が起きるのかわかってて黙っている大馬鹿者だから。
アレを作り出すために、レックスも少々頑張ってくれ。俺は他の事で精一杯になってるはずだから。
「派閥の件が終わるまでは、私たちの事はレックスが担当するらしい」
俺との会話を終え隊長のお茶くみを手伝い、どうやらそのまま今後の事について会話をしたらしい。
レックスは忙しいのか、そのまま隊長と話をして去っていた。
「私がそう言ったのだ。アイツは島の者達と相談とやらをしなければいけないからな」
「なるほど…」
それもそうか、別にラトリクスだけじゃなくて他の集落に行かないといけないもんね。ゲームのようにぱっと移動するわけにはいかないのだ。
「部下達は引き続きこのリペアセンターで治療を継続する。回復した者から戦線に復帰したいところだが…」
「無色との戦いではいささか荷が重いかもしれません。せめて小隊ぐらいまでは」
別に部下達が弱いって話ではない。ないのだが今の怪我の具合などを考えれば無色との戦いで前に出るのは控えた方が良いと判断した。
本来なら無色と戦うべき帝国軍人が島の住人に守られているのが不満そうな者達がいたが、死んでほしくないのだ。生きていてほしいのだ。
こればっかりは我慢してほしい。
で、状況ってのは当たり前に動くもので。何やら慌ただしい雰囲気がしてきました。
なんだろうと思いうろついていたら戦闘準備をしている隊長が居ましたのです。
「隊長…戦闘ですか?」
「ああ、どうやら無色共が島の住人を襲っているらしい」
遂に来たよ、13話の前哨戦。確か敵はツェリーヌとビジュが敵のリーダーだったか?……ゲームではそれだけだったが実際にはオルドレイクやウィゼルにイスラもいる訳だ。
こうしてはいられん!俺もあの阿保をぶちのめす…ではなくスカーレルとヤードを助ける為に動かねば!
「では自分も」
「待て、ギャレオは待機だ」
「なんですと?正気ですか隊長」
何をいってますか隊長。使えるものは何でも使わないと負けますぜ!って言おうとしたが手で制されてしまった。
「ギャレオ、貴様がどう申告しようとこれは命令だ。傷だらけのお前にこれ以上負担を掛けられん」
「傷がこの体の一体どこにあるというんですか?」
患者の服を纏っているが俺の身体には何一つとして問題はないのだ。…怪我の痕は残ったけど別に問題無し。
「馬鹿者服を脱ぐな。ここは私に任せろとそう言ってるんだ」
「お言葉ですが敵の中にはイスラが、そしてビジュがいます。貴方は戦えるのですか?」
イスラはまぁ弟だからね。自分の責任と言って戦うだろうがビジュはどうだろうか。
「…問題ない。奴等が裏切ったのは私の不手際だ。なら私が倒さなければいけない。そうだろう?」
それはそう。上官としての責任があるから。でもなぁ、だってビジュだぜ?
刀を持ったアイツはかなり厄介なんだぜ?隊長大丈夫かなぁ。
「私を信じろギャレオ」
「…分かりました」
もうこれはなる様にしかならんな。別に隊長が弱いと言ってるわけではない。本気で敵対したアイツの厄介さは一度味わってみないと分からないだろうし…
「では行ってくる」
「ご武運を」
そうして隊長は走って去っていった。心配はするだけ失礼にあたるだろう。
「それでアズリアさんは行ったんですね」
「うむ」
レシィと会話しながらもどうにも落ち着かない。理由は分かっている。知っている戦いに介入できない事への恐れだ。
「皆さんの事が心配ですか?」
「無論だ。俺が行かなければとどうしても考えてしまう」
その恐怖はレシィには筒抜けの様だ。ので情けないが素直に心情を吐露させてもらおう。レシィもそのつもりで話をしているのだろうから。
「皆さんの事は信頼出来ないと?」
「信頼か。実のところ俺が行かなくても大丈夫だと理解はしている」
「だけど納得が出来ていない、ですか」
「その通りだ」
懸念事項が大きすぎるってのが問題だ。
おさらいしよう。13話の戦闘は前半と後半に分かれる。スカーレルとヤードが孤立する前半戦。魔剣を持つイスラと阿保みたいな強さを持つウィゼルとの後半戦。
オルドレイクはそのどちらの戦いにも出なかったしアイツの性格上慢心が強すぎるので最終戦しか出てこない筈だが…
「ビジュの存在がどうしても気にかかっててな」
俺の存在によって大きく変わってしまったビジュ。
「ビジュさんの事が気がかりなんですね」
「ああ、正直に言おう。無色の馬鹿共はどうにでもなる。俺の懸念事項はアイツだけだ」
無色の奴らを軽んじているわけではないが 原作とは大きく離れたビジュこそが不安を大きくさせるのだ。
アイツの強さは俺が保証する。そして奴は今、レックス達と敵対している。
「なら行きましょう」
「む?」
「ビジュさんの事は誰よりも理解してるギャレオさんが行くべきだとそう僕は思います」
なんと、まさかのレシィからゴーサインが出ました。何でと思えばレシィは少し微笑んだ。
「結局ビジュさんの事はギャレオさんに任せるのが一番早くて一番安心するんです。皆さんともそう話し合いました」
ビジュは嫌がるだろうが、アイツはこの部隊の要なのだ。だから慕われているし未だに無色にいるのに疑っている者もいる。
隊長には申し訳ないが、俺が行くべきなのだろう。
「…そうか。ありがとうレシィ」
「いいえ、それに僕もついて行きますし」
「すまん、それは駄目だ」
ごめんねレシィ。イイハナシダナーというところで水を差すようなことを言って。
「何でですか?怪我はもう大丈夫ですけど?」
「ビジュと敵対するぞ」
「正直僕が敵う要素が一つもないのは理解していますけど…」
レシィにとっての師匠だもんな。ああもうビジュに聞かせてやりたいな、この言葉。絶対に顔を歪めそうだが。
しかしこのままでは何やかんやでレシィはついてくるかもしれん。悲しいがこれも本当のことを言おう。
「…何故ついてきてほしくないか理由を話そう」
「お願いします」
「お前の目だ。お前のその目が無色…ひいてはオルドレイクに見られたくないのだ」
「ボクの目、ですか?」
説明するにはもう少しだけ時間が欲しいのだが……ああもう。仕方ない、仕方ないのだ。
「お前の目は種族特有の魔眼『メトラルの魔眼』というのは知っているな?」
「えっとはい。メイトルパの召喚士の人から教えてもらいました」
レシィの持つ種族特有の魔眼。これは相手をマヒさせることができる目だ。確かサモンナイト初代でも使えたキャラがいた様な気がするが…?
兎も角これをレシィは使える。
「そうだメトラルなら誰でも?使える魔眼だが…お前のだけは違うのだ」
「僕の魔眼が…?」
「お前のそれを俺はどう説明すれば分からん。だがそれを無色に見られるのだけはマズい」
レシィの持つ、レシィだけの特有の技。それは文字通りたった一人だけのメトラルしか使えない反則とも呼ばれる技。
『伝説の審眼』レシィの視界に入る全ての生物を『止める』魔眼
この止めるには動きという生易しい物ではなく呼吸どころか血流さえ止めてしまう。…もしかしたら事象のすべてを止める可能性だってあるほぼ即死技。
その威力はサモンナイト2のラスボス大魔王メルギトスさえ喚く事しか出来なかった。その証明をもって効能は折り紙付きだ。
悲しいことにゲームでは一度だって使える事も出来ないシナリオ専用技だがここはゲームではないので恐らくレシィが使おうと思えば使える可能性がある。
…多分だけどこの目から逃れる生き物は存在しないと思う。只の勘だけどね。
「その目の希少性を無色が認識してしまったら今後リィンバウムにいる限り無色はお前を狙い続ける可能性が出てくる」
希少な生物が居たらまず捕獲。無色ってのは心底からしてクソの集まりなのでオルドレイクが目を付けたら今後の暗雲が立ち込めるのだ。
「これからも俺と共にいたいと願うのであれば、戦うのは必要最低限が絶対なのだ」
「……それは、分かりました。でも何故僕よりも僕の目を知っているかは聞いても?」
「昔とあるところでそう言う資料を見る機会があってな」
サモンナイト2って言うんですけど。…これを教えるのはなぁ。
「その眼の詳細は」
「時が来たら話そう。俺よりももっと詳しい奴もいるしな」
ヤッファ辺りなら俺よりももっと具体的な事を知ってそうだ。今必要なのはレシィを無色との戦闘には出さない事だけ。
「分かりました。ではここで待機しています」
「すまん。助かる」
「でもクノンさんの説得は自分でやってくださいね」
了承を得たと思ったらまさかの笑顔で末恐ろしい事を言ってきた。え?そもそもクノン戦闘には参加していないの?
「患者がいっぱいいるんですからここを離れるわけにはいかないという事らしいです」
「む、むぅ」
正論過ぎる…こっそり出て行こうとしてもセンサーの類があるからバレるんだろうなぁ。
「わ、分かった。何とかしてみせる」
「頑張ってくださいギャレオさん」
笑顔で見送ってくれるレシィはなんだか非常に心身ともに逞しくなったと思うのでした。
次の投稿は出来る限り早めていきたい所存です。