いつも誤字報告ありがとうございます
無色の派閥との遭遇、そしてビジュとの決戦後、敗れた状態から何とか起死回生の一撃を繰り出し。その場から離れた俺とクノンはというと。
「ふぉぉぉおお!!」
「ギャレオ様」
「ふっふー!ふっふふうふぅぅう!!」
「落ち着いてくださいそして離してください」
クノンを抱きかかえ全力で逃走しながら咆哮を上げていました。歓喜の雄たけびです。クノンから抗議の言葉を受けていますが全力で逃走…移動中の俺には何も聞こえませんでした。
何故かっていうと、ズバリ興奮していたからです。そうめっちゃ興奮と歓喜でアッパラパッパー!になっているのです。
いやね、ビジュがね。響鳴召喚術?響友?響命覚醒??をしていたからですよ!
詰まる所このサモンナイト3から約200年ぐらいの未来のそのサモンナイト5の技を使ってきたからですよ!
「むっふふふふ!!」
「まさかあの攻撃で頭に異常を…」
確かアレをするには召喚師と召喚獣との対等の立場であることを示すぐらいの強い『絆』つまりいま世界で使われている召喚術の事柄を超えた力を使っているのですよ。
あのビジュが!!!
……いやー凄い。マジで凄い!純粋な召喚士では誰もが到達することのできない領域に片足ツッコんでるんだよ。その異質さアイツは理解しているのだろうか?
俺がバッサバッサ切り刻まれるわけだよ本当!
「良い物だな…」
「痛みを快感に?駄目です緊急治療をしなければ」
その興奮のお陰か俺のストラは煌きに煌いて、なんかもう怪我がどこかに吹っ飛んで体力がモリモリと湧いてくるのですよ!!
あーもう!!レシィに報告しなきゃ!お前の師匠は俺の戦友は、強者そのものなのだと!!
エルゴでさえできなかったことを成し遂げたのだと!
「インジェクス!『メディカルヒール』」
「はうっ!」
そうして興奮しながらクノンを万歳の要領で軽々と抱え上げていたら光と共に白衣の騎士が現れた。その右腕に装着されているあからさまに過剰すぎる大きさの注射器を俺に向かってブスリと刺してきたのだ。
注射器を刺された痛みと共に体中に染み渡る薬品。それが体の中を巡り…
あ”あ”~~~~………
「ハッ!?」
「戻ってきましたか」
そこでようやく正気…というにはアレなので理性をとり戻した。クノンを抱え走り回っていたらしい。犬か俺は。ゴリラだな。
「すまん、度々迷惑をかけた」
「正気に戻ったようで何よりです。それで、体の方は?」
「絶好調だ。清々しい気分で今日はよく眠れそうだ」
「それはアドレナリンが大量に分泌しているからです。しばらくは興奮作用で眠れなくなります」
そうなの?まぁいいや。改めて体の方を見ると…うん。怪我はだいぶ塞がっている。ナンデ?
「…致命傷だとそう見えたのですが」
「走り回っている内にストラでも使ったのだろう。多分」
ビジュに切り裂かれてあの時本当に死を覚悟していたのだが…アレか?喜んで走り回っているうちにまた限界を超えたのか?
体力は回復しているし気力は溢れんばかり。我が事ながらもつくづくおかしな状態だ。誰か詳しい人に聞いた方が良いのだろうか?
まぁいいや、俺のことは後回しにして最初の用事を済ませるとしよう。
「ふむ。レックス達を探そう。怪我をしているかもしれん」
「……そうですね。至急移動しましょう」
と、言う事でレックス達を探してみれば…うん。
普通にあっさり合流しました。
「ギャレオ?どうしてここに」
「ギャレオ…お前は本当に私の言う事を聞かない奴だな……」
レックスが不思議そうな顔で、隊長は俺の顔を見た瞬間、分かっていたがと呟き頭を抱えた。お労しや…。
「クノン?どうしてここに」
「この方の監視です」
「そう…それにしては凄く疲れたような顔をしているわね」
「疲れます」
無色との戦闘が終わった後の様で、皆疲労してボロボロで。それでも皆生きていてくれました。
「どうやら無色の派閥との戦いは無事終わったようだな」
「何処が無事よ、コテンパンにやられちゃったわよ。それもあのイスラ、魔剣を持ってたのよ」
「そうか、あの光は…なるほど」
ソノラからのブーブーという文句に納得したふりをしているゴリラは俺です。皆からすればまさかもう片方の魔剣がありしかもイスラがその使い手だとは思わないからねしょうがないね。
「あのウィゼルという剣士。只者ではありませんでした。貴方はよく無事でしたね…」
「鍛え方が…いいや、あの男相手によく生き延びた」
キュウマからの敬意というよりは自嘲の様な笑みは…なるほどウィゼルとも戦ったのだな。という事は居合切りも受けたのかな?
抜剣イスラにあのウィゼル。どれも強敵だがよく退けた。本当に皆頑張ったんだなと思い、とても胸が熱くなる。
「なるほど、大変だったようだが…だが全員生きている。これを勝利と言わず何というのだ?」
だが全員生きている。致命傷を負ったものはおらず、軽傷者がそれなりにいる程度。
「うぉ!?あのゴリラなんか良いこと言ってる」
「止めなさいカイル」
「けどよぉ、なんかいきなり柄でもないこと言われたら驚かねぇか」
「それもそうね」
レックスは勿論島の住人達に海賊一家も全員生きているのだ。これが勝利と言わずなんといえよう。
命は失われてからでは遅いのだ、俺はそんな思いをしたくない。そんな思いをしたくないから戦っている。
生きていることがどれだけ素晴らしい事か、部下達を見てよく噛み締めるようになった。
「それよりもクノン、悪いけど皆を見てくれないかしら」
「了解しましたアルディラ様」
クノンの役割は看護師。怪我の治療はお手の物だ。だが待ってほしい、俺のこの喜びを溢れ出る歓喜を皆に分かち合いたいのだ。
「あの、何でこっちに来るんですか?」
丁度皆の中央にいたファルゼンの近くに移動する。…どうでもいいけどその姿でファリエル声が出てくるのって凄いよね。ギャップ萌え?
そこで深呼吸を一つ…ファルゼンめっちゃ良い匂いするやんけ……ワザとじゃないよ!
「ふぅぅうう。……むんっ!」
そして先ほどから腹の中で渦巻いていたストラを解放する、と同時に緑の光が俺から
「クッサ!?ちょナニコレ!」
「うぉぉ!?何だメイトルパの召喚術か!?」
「うわっ!?何か飛んできましたよ!」
皆からの黄色い声が聞こえる、フフ止めてくれ…そんな声を聴くと、高まるぅ、溢れるぅ!!
「見よ!これぞ鍛え上げた我が汗と涙の結晶!」
「え、汗?」
「なんか…汗臭いアニキの匂いがするぅ…」
「嘘だろ?俺こんな臭い匂いしていたのかッ!?」
「カイルさんの匂いはともかく見てください。皆の傷が」
「酷いぞヤード…」
皆がそれぞれボロボロだった体。しかし俺から溢れ出たストラによって怪我が治っているのを感じているだろう、そうこれこそが
「我がストラの奥義、これが
説明しよう。ストラにも種類がある。ストラ、エルストラそしてバリストラだ。*1それぞれ回復量が上がるという使えはするけど結構地味なソレ。
このうち初期状態のストラは俺の自己治癒能力を高める技として開花した。
そして今、部下を助けた事、ビジュとの戦闘高揚において遂にエルストラのつぼみが花開いたのだッ!!
「フッ さぁこれでみんなもう大丈夫だ」
「決め顔でしてる所悪いけどフツーに汗臭いからね?」
「これアタシの香水分けた方が本当に良いんじゃ…」
「なぁキュウマ、ストラってこんなことできるのか?オイラも使ってみたい!」
「いけませんスバル様。このような外法…違った、違法な技は相応しくありません!」
「ムキムキさん凄いですぅ!マルルゥもがんば…あやや…?」
「マルルゥお前は風上に行け!これはメイトルパの…!?」
なんかみんなが俺のストラについてあーだこーだ言ってるが…うん、怪我がなければそれで良し!
「えっと、なんか有難うギャレオ?」
なんか困惑しているレックスにお礼を言われて、今日の無色の派閥の襲撃は幕を閉じたのでした。
「フッフッフッ」
夜、それぞれが解散となり夕食を済ませた後、少しばかり外に出てジョギングをしていた。
勿論クノンには了承は取ってある。……すさまじいほどの大きなため息をつかれてしまったが。もはやあれは諦めの領域だ。
(……凄かったな)
いくら頑丈な体を持つ俺でも流石に負担のかかる鍛錬はしない。汗を掻かない程度のストレッチのような物だ。
そうして体のメンテナンスをする中でやはり思うのはビジュのあの力だ。
(強かった。死を覚悟するほどに)
只の物理では俺の筋肉を切れないと踏んだタケちゃんとの合わせ技。対俺用に編み出したそれがまさか遥か未来の召喚術に成り代わる技になっていることをアイツはどう思っているのか。
切られたことに関して怨みはない。痛みはあるが。寧ろ敬意と羨望が強くなる始末。
「俺もうかうかしてられんな」
俺の力は結局のところストラと俺の身体能力頼み。それしか取り柄がないが故にまだまだ伸びしろはあるはず。
ストレッチと言えども無駄ではないのだ。
「……うん?」
なんてこっぴどくやられた癖に充実感溢れながら砂浜をクールダウンで歩いていると、何やら武器を振るう音が聞こえてきた。
「おや、レックスか」
「あ、ギャレオ」
そこにいたのはレックスだった。念のため構えていた拳を下ろしながら観察。一人で何をしているんだとか不用心だなとか色々と言いたいことはあったがレックスの顔を見ていうのを止めた。
「何をしていたの?」
「少し体を動かしていてな。お前と似たようなものだ」
レックスは表面上は取り繕っているが思いつめた顔だ。大方イスラが魔剣を持っていたことについて強い不安と危機感を抱いてしまっているのだろう。
「…そっか。もしかしてギャレオにはお見通しって所なのかな」
「どうかな」
ふぅと一息を吐いてレックスは夜の海を見つめた。俺も何となく海を見る。静かな波の音が心地よい。尤も隣にいるレックスは暗い海を見てどう思っているかはわからんが。
「イスラが魔剣を持っていたんだ」
「ああ、俺達が無くしたと思っていた『紅の暴君』だな」
レックスが持つ『碧の賢帝』と対をなす魔剣。対をなすとは言うが具体的にどう対をなすのかさっぱりわからん兎に角強力な魔剣だ。
「驚かないんだね。イスラが魔剣を持っていたことに」
「お前が持っていたからな。ならもう一つの魔剣も誰かが拾っていてもおかしくはない」
最初から知っていたというのは秘密だ。でも誰も考えなかったのだろうか?…考える暇もなかったのが実情か。
「魔剣を持ったイスラは強かった。剣戟の余波で魔力の衝撃波が出ててさ。……危なかった」
魔剣を抜いたイスラとぶつかり合った時の事を思い返しているのだろう。だから思い詰めていると。
思えばレックスは今まで魔剣と同等の力を持つ者と戦う状況なんてなかったから危機感を抱いているのか。
一度でも本気でぶつかり合えばよかったかな?それは無理か、お互い引けなくなるし負けれなくなる。
「俺はその時いなかったからどうにも言えんが…俺はイスラよりもお前が本気になった時の方がよっぽど恐ろしいと思うが」
「えぇ…?俺なんて魔剣に振り回されているのが本音だよ。とてもじゃないけどイスラのように使うことは…」
「そうか?まぁそれがいいか」
実際の所魔剣の扱いに関してはレックスの方がはるかに上だ。参照するのはカルマルート。あれはあれで隊長が死んで絶望的な状況で先生腹を決めてブチ切れという状況的なのが多々あるけど。
「まぁ無理はするな。魔剣といえども所詮はイスラだ。無理だと分かれば仲間たちに頼ればいい」
「………」
返事はない。当然だと思う、魔剣を持つイスラの脅威と危険度はレックスこそが誰よりも知っている。仲間に任せるなんて危険なこと了承できるはずもない。
「なら俺に頼れ。なにこれでも部下達の教育係をしていた身だ。折檻の仕方位は心得ている」
「暴力は駄目だよ」
「それでは何も出来んではないか」
「本当に暴力込みで言ってたんだ…」
呆れたような苦笑するような。ようやくレックスは肩の力を抜いたように笑った。コイツ思い詰めていても笑うんだよな。……隊長やアリーゼの苦労が目に見える。
そしてふと気が付く。俺はイスラに構っている場合では無かったなと。
「すまん。頼れと言った手前だが俺にやることがあった」
「…ビジュの事だね」
俺とビジュの戦闘に関してはクノンから皆へと報告済みだ。勿論ビジュの響命覚醒の事も。
話を聞いた面々は脅威が増えたという警戒が三割で俺が敗れたことに因る驚きで四割で、それなのに俺がぴんぴんしているという事についての呆れが十割だった。
そして仕方がないとはいえ島の一部分にクレーターを作ったことについて護人たちに怒られてしまった。…酷いよ皆ァ!
「ビジュはどうしてアズリア達を裏切ったか。ギャレオにはわかる?」
「……まぁ理由はいろいろとあるのさ」
無論知ってるとも。だがそれを言ってレックスが納得できるかどうかはねぇ。これは俺たちの問題なんだし。
「話し合いで解決は?」
「出来るとでも?そもそも俺も奴も話し合いで解決するつもりはない」
戦場に出たら、すなわちそれはもう殺し合いよ。お互い全力で。完膚なきまでに潰し合うのさ。
「それで死んだら?」
「
それだけの話だ、と言えばレックスは笑みを引っ込めてしまった。うぅむ流石にレックスには受け入れられん価値観か?
「そう機嫌を悪くするな」
「悪くしていないよ」
「そう怒るな」
「怒っていないよ」
嘘つけよ、どう見ても納得いきませんって顔をしているぞ。そこが実に良いのだがな。
「お前が話し合いで解決をしたい。暴力沙汰を起こしたくないという気持ちは十分に分かってはいるつもりだ」
「甘いってそう思ってるよね。…分かってるさ」
「もう少し付け加えればお前が人に押し付けたい我儘だな。…もう一度言うが悪いとは思わんぞ」
顔に陰りが出来たので慌ててフォロー。どうにも人を慰めるのが苦手だ。言いたいことを上手く伝えられないこの言い方のせいもあるのだが…まぁいい、これはそういう物だ。
「拳でしか解決出来ない事もある。力づくでなければ守れないものがある。俺はそれを選んでいるだけだ」
「……分かってるよ」
「ビジュの事だがアイツに関しては俺が全面的に悪い。責任は…とれんかもしれんが、まぁ任せてくれ」
責任問題といっても実は俺にはその責任の取り方がイマイチ取りづらいというか。結局は俺の上官である隊長が苦労する未来しかないんだよな。
……なんかもう本当にお労しい隊長である。
「ふぅ。お前とはもっとゆっくりと話をしたいと思っていたがそろそろ時間だ」
主人公レックス。話し合いで解決したいというその甘すぎる性格には深い理由があり割かし苦労している人であり俺の推しである。
もっと会話をしていたいが、如何せん話題が暗すぎる。ゆったりと話すのは無色の問題が解決してからだ。
「さぁ思いつめた顔をしていないでさっさと休めレックス」
「うん、またね」
そう言って去っていったレックスは。やっぱりというかどこか無理をしているような笑みを浮かべていた。
「はぁ」
これからどうなるか、レックスがどれほどの苦痛を味わうのか俺はそれを知りながら何もしないことを選択した。
未来の為だと言い訳できるが…もうどうしようもできない事だ。
俺がすることはただ一つ。
「俺は俺の望みを叶えるのみだ」
そうして綺麗に輝く月に誓うのだった。
年内にあとどれだけ投稿できるかですね。
出来る限り頑張ります。