遅れてきた直接攻撃の……   作:灰色の空

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お待たせしました。ごゆっくりお楽しみください


岩槍の断崖①

 

 

「オラオラオラ!あぁん!どうした屑が!」

 

 大剣を手にした部下が青筋を浮かべながら無色をどつきまわしている。

 

「あ?逃げんじゃねぇよ、腰抜けが」

 

 どつきまわされた兵士の尻を容赦なく銃撃する射手。

 

「狼藉には報いを。苦痛を味わってくださいね」

 

 笑っていない笑顔で尻を押さえた兵士に召喚術をぶっ放す召喚兵。

 

 

「おい海賊ども手を貸せや!数で甚振るぞ!」

 

「「「お、おぉう」」」

 

 部下達の剣幕にビビりながら参戦するジャキーニ一家。おかしいなどう見ても海賊の方が完全に押されているやんけ。

 

 ……独りの無色の兵士対して3から4人で罵詈雑言を浴びせながら襲撃を掛けてればそうなるか?でも俺の言いつけはちゃんと守っているし…

 

「皆さん襲われているのが女性だと分かった瞬間血相を変えて…」

 

 あ~なるほど。大体理解した。か弱い女性に狼藉働こうとしていたらね、そりゃ皆怒るよね。

 

「ギャレオ、ボサッとしていないで参戦するぞ」

 

「了解しました」

 

 さて、そろそろ参戦だ。といってもやることは簡単だ。アズリア隊長率いる帝国軍とジャキーニ一家との共闘作業。

 足の引っ張りなんて愚策は起こさせない。

 

「おい、海賊一家」

 

「おわっ!?帝国軍か!なんじゃいきなり!」

 

「無色の攻撃はこちらに任せて他の住人が襲われないように動いてもらいたい」

 

 いきなり話しかけたので思いっきり驚かれる。そう言えばジャキーニとは今回が初めてか。いつも画面で見てたから不思議な感覚。

 

「フンッ!いきなり出てきて偉そうに!そもそもアイツらが儂の弟分の嫁さん候補を襲って来たんじゃ。邪魔をするなというのはこっちの方じゃわい!」

 

 理屈は分かる、理由も動機も。だからこそこちらに任せていただきたい。

 

「無論それは分かっている。だがこちらにも奴らにはやられた恨みがあるし…何よりも」

 

「な、なんじゃい?」

 

 俺の、俺達の怒気が伝わったのかギョッとした顔をする。そこまで凄い顔をしているのだろうか?

 

「帝国軍人の前で無辜の民を傷つけようとしているのだ。これほど腸が煮えくり返ることはない」

 

 前線に出て指揮を執りつつも剣を振るうアズリア隊長に続く帝国軍人達。皆それぞれが怒っているのは…

 

 

 軍人の前で人を傷つけようとする舐めた事を仕出かそうとしているからだ。

 

 

「なんじゃい前まではそっちが襲ってたくせに…」

 

「それを言われると辛いな。だがまぁこんな時だからこそ仕事をさせてほしい。帝国軍人としての誇りを思い出せてほしいのだ」

 

 余りにも正論過ぎてジャキーニの言う通り何を言ってるんだこいつと思われても仕方のない事だが、まぁそう言う事だ。

 

「フンッ!なら、とっとと追い払うぞ!」

 

「協力感謝する」

 

 ツンデレ発言をするジャキーニに僅かに微笑みながらともに無色の群れへと突貫するのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 結局のところ、無色との戦いは奴らが撤退するという事で我らの勝利となった。

 

 レックスたちが駆けつける間もなく勝利したのはひとえに我ら帝国軍人たちの怒りと一対多数を心掛けたとでもいうべきか。

 

 結局は数で囲んで棒で叩く。これに尽きるよねって話だ。ただし幹部連中は除く。

 

「さ、シアリィはん、おんぶや。ちゃんとウチが家まで送ってくさかいな」

 

「はい…」

 

 にこやかに笑う漢オウキーニに頬を赤くしながらその背に乗るうさ耳少女シアリィ。何ともまぁ絵になる光景だ。

 

「ええやん…アレを護るために生きてるだなって思うわ」

「せやなーなんつー微笑ましいモンや。おいちゃん涙ちょちょ切れるわ」

「うさ耳少女か、良い趣味だ。祝福するぜ…」

 

 後方保護者面?しているのは我らが帝国兵たちだ。一仕事を終えた良い顔になってるが、なんか言葉遣い変わってない?

 え、関西弁が移った?ほなしゃーないわな!許したる!

 

「フンッ まぁお前らがおらんでも儂らでどうにかなったが…」

 

「む?」

 

「礼は言うちゃる。助かったわ」

 

 弟分の幸せそうな顔を感激深そうに見ていたジャキーニがこちらを見ずにポツリとつぶやいた。

 

 ……結局レックスたちは来なかった。来る余裕がなかったのか、単純にすれ違ったのかどうかはわからなかったがジャキーニ一家では無色の兵士は荷が重い。

 

 助けられてたのは確かに帝国兵ありきかもしれないが…まぁ無事で良かった。

 

「あー俺もこの島の可愛い女の子とロマンスしたい」

「あぁ?無理だろ。俺等帝国に帰んなきゃいけないんだぜ」

「だからロマンスって言うんだよ。ひと夏だけの確かなふれあい。浪漫だろ」

「……可愛い子一杯いるからなぁ」

「クノンさんでは不満があると?喧嘩売ってるんですか」

「てめーは黙ってろメカフェチ」

 

 やり遂げた部下達の顔を見てふと息を吐いてするりと言葉が出てきた。

 

「………礼を言うのはこちらの方だ」

 

「?」

 

「誰かを助ける事が出来た。我らは誇りを護れたのだ」

 

 人を傷つける為ではなく、人を護るために軍人がいる。

 

 

 

 そう実感できた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「で、オウキーニさんがいつかお礼をしたいとの事でした」

 

「奴の料理は筆舌に尽くしがたいと言われている。楽しみだな」

 

「学べることが一杯あるので僕も楽しみです」

 

 という感じでのんびりだらりとレシィとお話をしているのは俺です。ユクレス村の騒動を得て部下達はそのまま巡回へと向かいました。

 

 やる気がモリモリなのか後は大丈夫との1点張りだったので隊長が指揮官として同行してくれているので俺とレシィはそのまま拠点…拠点?であるリペアセンター近くまでやってきたのでした。

 

 …一応怪我人だったわけだけどいつまでも病院?に居座るのも気まずい。でも俺達の船跡形もないっていうしなぁ。

 

「それで何を手伝えば?」

 

「話が早いな」

 

「貴方の護衛獣ですから」

 

 という事で今回の戦いでレシィに少々手伝ってもらいたいことがあるので協力を要請しました。

 

 

 

 次回の戦いは断崖絶壁の場所だ。敵は抜剣イスラ率いる無色。ヘイゼルとビジュが敵にいる訳だが…

 

「次もビジュと戦う事になる。お前の召喚術を当てにしたい」

 

「…分かりました。遠慮なく言ってください」

 

 ビジュの名を出したことで一瞬レシィの顔が曇ったが振り払ったようだ。聞きたいことが山ほどあるだろうに直ぐに切り替えてくれる当たり本当にレシィは成長したと思う。特に心が。

 

 

 

 という事でレシィが呼び出した召喚獣に協力を頼んでいるのだが…。 

 

「ぬぅぅう…やはりだめか?」

 

『('ω')』

 

「駄目みたいですね」

 

 何とも珍妙な顔をして文句を垂れているのはメイトルパの召喚獣。『ドライアード』だ。

 銀髪の髪に幼げで愛らしさが満面の可愛らしい花妖精の少女。魅了の召喚術を使うので使いようによってはかなりの悪辣さと便利さを誇るテクニクシャンでそんな召喚獣の女の子だが…

 

『(。-`ω-)』

 

 愛らしい顔を珍妙極まる顔にして抗議してくるのだ。年頃の女の子がそんな顔をするの止めなさい!

 

「流石に僕も説得するには…」

 

「ぬぅ」

 

 レシィも呼び出したのは良い物の説得するには難しいとの事だ。そもそも何が駄目なんだろうか?

 

『<`ヘ´>』

 

「何で人じゃなくて、こんな物に魅了の魔法を掛けなければいけないの?って事らしいです」

 

 呼び出したドライアードに頼んだのは俺が取り出した投具。それに自慢の魅了の魔法を付与してほしかったのだ。

 

「そもそも投具に魅了を付与して何に使うんです?」

 

「分からん。ただ俺の直感がそう囁いているのだ」

 

「えぇー」

 

 レシィに尋ねられたので正直に話せば非常に呆れた顔をされた。いやだって…。

 

「流石に毒を塗るのは違うだろう?」

 

「それはまぁ」

 

 ビジュなら猛毒を塗るのだろうが、俺としてはちょっとやり方が違う。  

 

「そもそも投具をなげてもギャレオさん当てれるんですか?」

 

『<(`^´)>』

 

「それはそうだが…一応手数を増やしたいというか。備えておきたいのだ」

 

 レシィに詳しく言えないのもそうだが。次の一戦こそが俺にとって非常に重要なのだ。

 

 

 それは勿論レックスたちにとってもとんでもないことが起きるのだが、はっきり言おう。俺はそれに介入するつもりはない。

 

 

 ビジュは、タケシーありきではあるが響命覚醒を行なった。いうなればあいつ独りで世代を超えた領域にたどり着いた。

 それを次に使ってきた場合の事を考えて……これは違うのか。

 

 ビジュと戦う為ではない、その為に用意するのではないのだ。

 

「奴の為にも、大きな一手が欲しいのだ。一瞬、されど確かな一手が」

 

 そうこれは俺のあやふやな直感でしかない。だが次の一戦だけはどうしても準備を万全にして置きたかった。

 

 そのためにも使える手は何でも欲しいのだ。それがどんなにアホな事でも。

 

「頼むドライアード!これを頼めるのはお前しかいないんだ…!」

 

『(。´・ω・)?』

 

「…お前からすればこの行為は屈辱かもしれん。だが…だが一手が欲しいのだ!奴を救うためにも!」

 

『(゚д゚)!………┌(┌^o^)┐?』

 

 もしこれでドライアードが無理ならばセクシーナンバー2がいる。だがあいつはケルマ専用の召喚獣…!そのサモナイト石はないしそもそもここではドライアードしかいない!そもそもなんやねんナンバー2って!  

 

「お前が…ナンバーワンなのだ!」

 

『………はぁ』

 

「!?」

 

 あれ、今なんか喋らなかった!?そんな俺の動揺を無視してドライアードは渋々と言った様子で魅了の粉?を俺が差し出した投具に掛けていく。…なんかドギツイピンク色になってないか?

 

「納得してくれてよかったですねギャレオさん」

 

「う、うむ」

 

 なんか凄い色になってるんですが…これ大丈夫なの?

 

「でも他の召喚獣では駄目だったんですか?」

 

「タマヒポ君は毒だし…他のセイレーヌはあれは音。他の召喚獣は憑依がメインだろ」

 

 意外と状態異常にはメイトルパは手数が少ないのだ、そこら辺はどちらかというとシルターンの方が使い勝手が良いか。

 

 

 

 とまぁ何だかんだでドライアードの協力のお陰で有効な一手を手に入れるのだった。

 

『どーなっても知らないわよーッと』

 

「…喋った!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「良いのかよイスラ」

 

「何がだい?ビジュ」

 

 断崖絶壁、と言われそうな場所で部隊を展開したイスラにビジュはニヤついた笑みを浮かべながら訪ねた。

 

 イスラはオルドレイクに断りもなく兵を連れてこの場所に布陣したのだ。オルドレイク本人は魔剣より遺跡の確保を狙っていたがそれを分かったうえでだ。

 

「勝手に兵を動かし、手足のように使う。盟主様の機嫌を損ねそうなもんだが?」

 

「あのねぇビジュ。無色は軍隊じゃないんだ、言われた事だけをする指示待ちじゃダメなんだよ」

 

 そんなビジュにイスラは呆れながら説明をする。

 

「無能だと見限られたら即座に切り捨てられる。派閥の中で生き残っていくためには常に実績を重ねて己の立場を強くするしかないんだ」

 

「だから独断で兵を動かす、と」

 

「そう。ですよね、負け続けのヘイゼルさん?」

 

「………」

 

 イスラは煽る様にして紅き手袋の暗殺者を連れてきたヘイゼルににっこりと笑いかける。その顔にはどうしようもないほどの嘲笑が見えた。

 

「貴方が率いている『紅き手袋』の暗殺者たちはこの島では負けが続いている。だから貴方もこの計画に乗らなければいけない。…あなたの魅力で盟主様のお怒りを鎮めるのももう限界が近いでしょうしね」

 

「……ッ!」

 

「おっと、こわい、コワイ…」

 

 イスラの煽りにヘイゼルの殺気が突き刺す様に出てくるがイスラは得意の笑顔で受け流すだけだ。

 

 それだけの余裕が見て取れた、暗殺者を前にして煽りその兵を独断で動かすその丹力。  

 

(……あー)

 

 ビジュはにこやかに笑うイスラを冷ややかに見た。その笑顔の裏にある思惑。それを考えればこれから起こすことの想像もある程度の察しはつく。

 

「随分と余裕だな、イスラよ」

 

「お目付け役ですかウィゼル様。ご苦労な事ですね」

 

 気配もなく現れたウィゼルに対してもイスラは余裕の態度を崩さない。寧ろ舐めているとさえ見られかねない口調だ。

 

 

 ウィゼルは強い。恐らくこの島で彼を本気で殺せるのは魔剣を完全に開放したレックスのみ。

 

 ギャレオやビジュが本気でも生き残れるほどの猛者。そうビジュはウィゼルの戦闘能力を評価している。

 

 そんな格上の相手にさえ不遜な態度を崩さないのは……

 

(……そうかよ)

 

 組織内で誰彼構わず不遜な態度を隠さない強力な力を持ったものの行動は至極読みやすい。内心大きな溜息を吐く。

 

 

 

 

「!」

 

「来たようだな」

 

 そうこうして居ればレックスたちが現れた。戦闘にいるレックスの口を真一文字に固めたその顔はどうやら覚悟を決めたような顔。

 

 そうして始まるイスラの挑発行為。ビジュから言わせれば子供の戯言でしかない煽りで、止めようとするアズリアさえ嘲笑する。

 

 昔は人を案じるような優しい子だった。どうして、という問いに子供だったから大人になった今は違うと容赦なく切り捨て。

 

 病弱で可哀想で何も出来ない、守ってあげなくちゃいけない弱い弟は、お前が自分を支えるために作り上げた妄想に過ぎないとイスラは謳う。

 

「あははっ あっはははは!!」

 

(……うるせェな)

 

 ビジュはこのイスラの下らない挑発行為にうんざりだった。毎度毎度決まったかのように煽り侮辱し徹底的に相手を辱める。

 

 その対象はほとんどがレックスとアズリアに向けて。他の者は目を向けない徹底ぶり。

 

 詰まる所、イスラにはレックスとアズリアしか興味がない。言い換えればその二人に執着さえしている。

 

 自分と同じ魔剣を持つ適格者と家族である姉を。

 

「あー マジでかったりぃな」

 

 小さな声でポツリとつぶやいて笑っているコイツを今ここで崖から突き落としたらさぞかし愉快な事になるんだろうなとさえ考えたところで。

 

 研ぎ澄まされたかのような力の圧。暴力を生業にする者特有の熱。

 

「…チッ!」

 

 それに反応し、咄嗟に顔に目がけて飛んできたそれの柄をキャッチした。   

 

(……毒か?にしちゃ随分と)

 

 飛来したのは自身が愛用する投具とよく似たナイフ。その刃先にはドキツい色の液体が付着していた。

 

 明らかに普通の毒ではないそれを投げ飛ばした奴を見る。案の定だった。

 

 

「ハッ 飛び道具は苦手じゃなかったのかよ」

 

 戦友ギャレオ。その厳つい身体を生かした戦法が得意な馬鹿は、わざわざ飛び道具を放ったのだ。こうやって避けられるどころか簡単に掴めてしまうと分かっている筈なのに。

 

「…ビジュ」

 

「あんだよ」

 

 その声は遠くにいるのによく聞こえる。重々しく口を開くその姿には油断は無くと言って過剰な緊張もない。素の形自然体そのままでそれがいかに本気かを伺えさせる。

 

 故にビジュはギャレオを見る。イスラもレックスもその他大勢も眼中にすらならない。

 

 

()()()()()()()

 

「……そうかい」

 

 武器を構える。投具をとり出し狙いをつける。尤もそれがほぼ意味の無いことは理解している

 

 だって、ギャレオは

 

「フンッ!」

 

「シャ!」

 

 足に力を籠め跳躍して、崖に手を這わせさらに跳んでくるのだから。こちらが投げている投具も気にせずに。

 

 巨体が軽々と崖を登攀する。崖を掴みその力で一気に飛び上がりこちらを押しつぶそうと空で拳を構えた。

 

 

 

 

 この島で最も理不尽が形をもって勝負を仕掛けてくる。

 

「行くぞビジュ!」

 

「…へっ!来いよデカブツ!」

 

 刀を取り出し、()()()()()()()()()()()()()にビジュは思わず笑ってしまった。

 

 

 




戦闘描写が苦手です。これを克服するのは難しいです…

所でここまで読んで下さり非常にありがたいのですがこの作品の【タグ】は見ておりますでしょうか?
念のため確認の方よろしくお願いします。
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