遅れてきた直接攻撃の……   作:灰色の空

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一人称と三人称が入ってます。
行間を空けて出来る限り分かりやすくしてます。


月並みな言葉

 

 

  

 ということでレックスたちはウィゼルと共に行ってしまいました。

 

 ので俺は俺のするべき事をしよう。やることは単純だが絶対に必要な事。

 

 

 全ては俺の望むべき未来の為に。

 

 

「で、これを取り外して良いんですか?」

 

「緊急事態だ。後で謝っておこう」

 

 レシィに尋ねられたが、こればっかりはしょうがない話なのだ。事後承諾になってしまうが青空教室に立てかけられた黒板を取り外す。ちなみにチョークも拝借していく。ごめんね、今は非常事態だから借りるね。

 

「青空教室ですか…ここで勉強していたんですね」

 

「学校か。アイツが先生だとさぞや楽しい学校だったんだろうな」

 

 掃除されて綺麗にされているとはいえ、使われていない感のある悲しげな青空教室。

 

 無色がいる間は使われないのは仕方ない。なーに直ぐに賑やかな教室になるさ、それまでいい子にしてるんだぞーッと。

 

 

「という訳で運ぶぞ」

 

「はい」

 

 レシィと一緒に資材をもってえっほえっほと運ぶ。運ぶべきは場所は勿論、集いの泉だ。

 

 集いの泉は、言うなれば島の住人たちの集会場で、作戦会議室にもあたる重要な拠点。

 

 他にも無限回路への道があったりするがそれはまぁ今重要ではないか。

 

「それで、作戦ですが…」

 

「うむ。お前とビジュに話した通りだ。それでなのだが」

 

「分かりました。僕も補助させてもらいますね」

 

 レシィは俺の言いたいことやりたいことをすぐに察してくれるので会話が短くなる。有り難いやら寂しいやら嬉しいやらだな。

 

 

 と、そんな事をしていた時だ。魔剣を直しているはずのレックスを見かけたのは。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ごめん、何か邪魔しちゃって」

 

「構わんさ。後はレシィだけでもどうにかできるし、最後のピースは自分から来てくれるからな」

 

「……?」

 

「それで話とは何だ?」

 

 集いの泉から少し離れ、ギャレオは話の続きを促した。

 

 レックスがここに来たのは魔剣の修繕の核である自分の想いを確認するために歩いていたのだ。

 

 今までの遺跡の意志ではなく自分の意志を核として剣を振るう事になる。その強さがそのまま剣への力へと変わる。

 

 

 

 その剣に込める答えを探し、そこで気が付けばギャレオを探していた。そして当の人間は目の前にいた。

 

 

「あの時、俺は焦ってたんだと思う。オルドレイクやイスラ、言葉も理屈も通じない強大な力を持った敵を前にして正直皆を護れるのか怖くて仕方がなかった」

 

 一つ息を吐く、ギャレオは何も言わず話を促した。

 

 「本当は分かってるんだ、こんなやり方ばかりしていたら損をするばかりだって事は。でも俺は馬鹿だから傷つけられるよりも傷つける事の方が怖くて、このまま俺のせいで皆が傷つけられてしまったらどうしよう。そんな気持ちばかり先に立っちゃってさ。そんな弱気があんな結果を招いちゃったのかもしれない」

 

「………」

 

 レックスの話を聞いたギャレオは静かに目を瞑り、ふと息を吐いた。

 

「俺は、お前とはまだ付き合いが浅い。他の奴らとも関わりもまだまだ薄い」

 

 言葉を探すような言い方だった。考えながら話す言い方はどこか不器用でそれでも誠実さを感じた。

 

「だが、これだけは言える。お前は奴らととても仲が良さそうに見えた。なのになぜ頼らないのだ?」

 

「奴らと話をしたか?懸念事項に作戦、他にももっと伝えるべき事を伝えられたのか?自分1人で何とかしようと、そう考えていなかったか?」

 

 

「あ…」

 

 

 言葉を探す様にしてゆっくりと語られたそれらはまさしくその通りだった、

 

 自分だけで思い込んでしまった、島の先生だから、魔剣を扱える適格者だからと。

 

 仲間と共にいたはずなのにいつからか自分だけでどうにかしようとなんて考えてしまっていた。それも無意識で。

 

「自分一人では案外できることは少ない。あの戦いのときレシィが来てくれなければ俺は死んでいただろうし、ビジュが居なければ無色の情報を抜けなかっただろうし…全く、ほとほと自分の不甲斐なさには涙が出てくるな」

 

 え、ビジュ?とギャレオを見れば、無色に潜伏して先日帰還を果たしたと簡単に言ってのけた。

 

「えっと…ビジュは俺達の仲間って事なの?」

 

「うむ。俺が最も頼りにする男で俺が最も敵わないと思う男だ」

 

 結構付き合いは長いしなと笑った。

 

「と、俺の話はどうでも良かったな。話を戻せばレックス、お前はもっと肩の力を抜いて仲間を頼ればいいんだ」

 

「これでも結構迷惑をかけているんだけど…良いのかな」

 

「それでいいのさ。仲間とは共に笑って共に戦う物、そもそもお前自身が重荷を背負いすぎるように感じるぞ」

 

 そうかな?と言えばそうだと深く頷かれてしまう。ほぼ無意識なのだなと呆れられた。

 

「お前は確かに島の先生であり、魔剣の主だ。だがそれはお前の一部分でしかない。お前はレックスという一人の男でしかないのだ。その事を忘れるな、もっと自分を出せばいい。もっと仲間に甘えて頼ってしまえ」

 

 じゃなければ怒られるぞ、俺のようにと。ギャレオは苦笑した。

 

「……そっか。それで良かったんだ」

 

 話せば何か重い物が抜けていくようで、そして自分と話す時ギャレオはいつも気を抜けたような顔に見えて。

 

 レックスは己の核となる物が徐々に分かって来た。

 

「…と言ったはいいがやはり俺にそういうのは向かんな。ふむ、レックス」

 

「うん」

 

「確か向こうに隊長が居るはずだ。一度会ってこい。いやむしろ必ず会え」

 

「えぇ…アズリアと会うと怒られると思うんだけど」

 

 今朝会ったようにまた怒られると思うと少しばかり臆してしまう。それがアズリアの信頼からくるものとは分かってはいるが。

 

「フッ、唐変木め。ああみえて(誰の目から見ても)お前のことを案じている人なのだ。一度喝を貰ってこい」

 

「…どうしても?」

 

「どうしても、だ」

 

 そら行って来いと背中を押される。それとも生徒に情けない所を見てもらうかとからかわれて、

 

 ようやくレックスは心の底から笑みを浮かべることが出来たのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…月並みな事しか言えんとは悲しいな」

 

 レックスを送り出して一言。もっと良い事言えると思っていたんだが実際の場面になるとありきたりな事しか言えない。人生経験の足りなさを感じますね。

 

「話は終わりましたか?」

 

「うむ」

 

 物思いにふけっていたらレシィがひょっこりと現れた。準備は…そもそもすることも少ないし終わったらしい。

 

「ままならんものだな」

 

「何がですか?」

 

「もっと上手く話せたらだ」

 

 自分の口下手さに酷く虚しさを感じることがある。心の中ではこんだけ騒がしくやかましく色々と考えているのにアウトプットが不出来なのだ。

 

 これは俺がギャレオになってからの昔からの付き合いなので受け入れてはいたのだが、こうやって偶にひどく悲しくなることがある。 

 

 何でこうなってしまったんだろうね?憑依した代償なのかな?

 

「問題ないと思いますよ」

 

「レシィ?」

 

 と、特段気にした様子もないレシィ。本当にその声はあっけらかんとしている。

 

「ギャレオさんの言いたいことはレックスさんにはちゃんと伝わっていますし…」

 

「だと良いが」

 

「それにギャレオさんは行動で示すんですから。それで良いんです」

 

 その割にはやってることは滅茶苦茶だが……いや、これは慰めてくれたのか。そう思うと心が軽くなる。

 

「ありがとう」

 

「いえいえ。それよりもほら。皆さんがやってきますよ」

 

 と、レシィと話している内にレックスとアリーゼを除いた皆がぞろぞろと集まって来た。

 

 レックスの事を想い考え、そして思いつめた顔をする面々。後で笑い話にしてやるがどいつもこいつも腑抜けた面をしている。

 

 

 待ってろ、お前らのその顔をやる気に満ちた壮絶で獰猛な顔つきにしてやる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「そいつは本当か?」

 

「さっきメイメイさんが知らせにきてくれたよ。あの子もついてるんだもん。きっと元気になってくれるよ」

 

 レックスの快復の報告を受けた一同は集まった集いの泉にて大きな安堵の息を吐いた。

 

「そうか、なら俺らのやることは決まったな」

 

 ニヤリと笑うカイルの笑みには安堵感とそれを大きく上回る不敵なギラついた色があった。

 

「遺跡を封印してこの島から争いの火種を消し去ること」

 

「もう二度とあの人が悲しまなくて済むように」

 

 キュウマが目的を言い、ファリエルがレックスの事を案じる。

 

「まずは手負いの無色をぶっ潰して、遺跡を完全に封印だな」

 

「ええ、そしてイスラを倒し剣を奪回する」

 

 ヤッファとアルディラが何をするべきか、確認し合う。

 

「口にするほど簡単ではない事は承知の上なんですけどね?」

 

「ふふっ だからとてここにいる誰もが退く気などないのであろう」

 

「そうですとも!」

 

 ヤードが苦笑するがミスミはそれでも皆が退く気がないと言えばマルルゥは力強く頷いた。

 

 

 他の皆もまた力強く頷いた。ここにいる全員の思いは一つ。

 

 まずは無色を倒す!その熱気を受けカイルは豪胆に吠えた

 

「いょおし!そんじゃみんな!気合入れて行こうぜ!」

 

 それは覚悟の咆哮、今まで助けてくれたレックスを護るために。

 

 カイルの声に合わせて皆が頷いた。 

 

 

 

 

 

 

 

「悪いが、ここを通すわけにはいかん」

 

 その熱気を覚ますかのように静かなされど誰よりも染みわたる圧の入った声が響いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うわっ!?急に出てきた!」

 

「…なんの真似だ。ギャレオ」

 

 驚いているソノラは放っておいていいとして、カイルは気勢を挫かれたことで流石に少しイラついているようだ。

 

 分かるよ、皆のやる気を高めてる時に水を差すという事がどれだけ愚行なのか。

 

 でもね、俺にも譲れないものがあるんだ。

 

「言葉通りだ、ここから先今のお前たちを通すわけにはいかん」

 

 出口をふさぐかのように仁王立ちすれば、流石に横を通り抜けようとする気は失せるだろう。

 

 怪訝な視線に困惑、冷静に俺を見るものなど、皆の反応は様々だ。  

 

「そうじゃねぇよ。今から無色にカチコミかますのにアンタは反対ってか」

 

「そうだ」

 

 瞬間的にカイルの怒気が膨れ上がるが怒声は出さず俺を冷静に見極めようとして来る、流石にここら辺は海賊一家の頭領という所だ。

 

 

「何が目的だ。ギャレオ」

 

「単純な事ですよ、隊長」

 

 らちが明かないと思ってか隊長が声を掛けてくれたのと合わせて俺は悠々と歩き皆が見える奥へ歩いた。

 

 それに合わせて視線が集う。レックスの仲間達であり原作サモンナイト3の生きる人々であり。

 

 

 俺の愛する人達。

 

「お前たちを誰一人として死なせたくない、俺の目的はそれだけだ」

 

 それだけ。と言えば困惑の視線がかなり強くなった、呆れたというより困惑。悪いけどその隙頂くぞ。

 

「先ほどの気炎、良い物だ。本当に心の底からレックスの事を案じているのだな」

 

「あ、ああ?」

 

 カイルに目を合わせ丁寧に言えば、流石に驚きが強いのか狼狽える。

 

「ならばこそお前たちを諫める必要がある」

 

「諫める…ですか?」

 

「その通りだ。血気にはやるのは構わん。それだけアイツの事を想う気持ちが強いという証明に他ならない」

 

 ファリエルの言葉に深く頷く。間違いだとは思わんがそれでは駄目なのだ。

 

 呼吸を強める、そしてはっきりと言い渡す。

 

 

「だが、策も持たず勢いで無色と戦おうというのはどうなんだ?」 

 

 

「あ…」

 

 そんな抜けた声を出したのは一体誰だったのか。今思い出したと言わんばかりの声に全員に対して肩をすくめる。やれやれって奴だ。

 

「今一度お前たちに問おう。無色とは気持ちだけで勝てる相手なのか?」

 

「うっ」

 

 俺の言葉に言葉が詰まった者は多数。……うーんこの気持ちの良い脳筋共め!

 

 その様子を今までずっと呆れながらもずっと黙っていたビジュがようやく口を開いた。

 

「さっきから黙って聞いてれば。テメェら何もかも甘く見積もりすぎなんじゃねぇのか?」

 

「ビ、ビジュ」

 

「アンタもですよ隊長。まんまとコイツ等のノリに感化されやがって」

 

 隊長についてはもはやノーコメントを貫きます。幾分か気楽そうですが貴方最近脳筋に染まり過ぎてませんか?指揮官の責務から外れて気が楽になったからかもだけど。

 

「だが、俺達がやらなきゃいねぇのは事実だろ!今までずっとアイツに頼り切っていたんだ」

 

「その気持ちを否定する気はない。だからこそ待てというのだ」

 

 一度言いだしてしまった手前ひっこめないものか。…いいや違うな、自分たちでどうにかしようという気持ちが強いのか。

 

 つくづく、気持ちの良い人たちだ。心の底から敬意が湧き上がる。 

 

 

「皆さん、落ちついてください。別にギャレオさんは無色と戦うのは駄目だと言ってるわけではありません」

 

「お前、奴の護衛獣だったか…」

 

「レシィって言います。ギャレオさんの護衛獣をしています」

 

 にこにこと笑顔のレシィが俺とビジュ、そして皆の間に入って来た。そうすれば幾分か浮ついた空気が収まった気がする。

 

 やっぱレシィのバランサー能力は最高やな!

 

「皆さんはレックスさんの笑顔を護りたいんですよね。その大切な人を護りたい気持ちすっごく良く分かります」

 

 思いがあるのかレシィの声には中々の説得力がある。…レシィの大切な人って誰だろ?俺?自惚れてぇな~。

 

「でも正面から立ち向かって勝てる相手何ですか?皆さんが本当にしなければ行けない事はちゃんとわかっていますか?」

 

「貴方には、それが分かるの?」

 

 スカーレルの声には嘲りはなく、ただ相手を見極めようとそんな気がする。だがレシィはにこやかに受け止める。

 

「無色の派閥に勝つことです。勝負に出るのではなく、ましてや戦う事が目的じゃない、勝つことです」

 

「…!」

 

 ハッとした顔の者が多数。レシィの言葉は本当に心に響く。

 

 そう、レックスの為とかそう言うのは構わない。だがそれで負けてしまっては駄目なのだ。本末転倒にもほどがあるのだ。 

 

「戦術は?作戦は?隊長、アンタこいつらがどういう能力を持ってどう動けばいいのか把握はしていますかい?」

 

「……ああ」

  

「では、指揮系統は掌握していると?俺の見た限り、そいつは出来ていないように見えますがねぇ」

 

 ビジュの隊長を見る目は冷たい。…違うか、仮にも軍人で隊長なのに割かし脳筋に染まってしまっているのに呆れているだけか。

 

「テメェらがどういったつもりで戦うのか俺には関係がねぇ。だがな」

 

 ジロリと睨みつけるビジュはまるで蛇が圧を掛けるがごとく。  

 

「作戦もましてや戦術もない力押しだけで無色とやり合おうとするのは、無能の極みだ」

 

「だから、皆さん。僕達の話を聞いてくれませんか?」

 

「話って、何をするんだ」

 

 ビジュが吐き捨てレシィが笑いかける。そうして皆の意識が完全にそがれ…聞こえてきた足音に俺がニヤリと口角を上げる。

 

「皆!遅れてごめん!」

 

「良かった!間に合いました!」

 

「ギャレオさん!先生を連れて来たよ!」

 

 慌てた様子で来たのは件の男にして、レックス。そしてずっとレックスの傍にいたアリーゼ。それに俺が頼んだことを忠実にやり遂げてくれたパナシェ君。

 

 

「「「レックス!?」」」

 

「アリーゼ!」

 

 

 みんなが驚きレックスに駆け寄る中、俺は疲れたのか荒い息を上げるパナシェ君を労わった。

 

「はぁ…はぁ…これで皆は大丈夫?」

 

「よくやったパナシェ。お前こそ、この戦いにおけるMVPだ」

 

 頭を撫で、存分に褒めたたえる。皆が先走る前にレックスを連れて来た。それが一体どれだけアドバンテージを握ったのか。

 

 そしてそれがどれだけ勝利に貢献したのか、きっと君にはわからないけれども。

 

 君のお陰で勝利は確実なものとなったのだ

 

「ギャレオ、アンタ一体…」

 

 驚くカイルの声に俺は自然と笑った。

 

 

 

 

 

「さぁ!ブリーフィングを始めようではないか!」

 

 

 

 

 

 

 




オルドレイクを前にしてカイルの咆哮と戦う理由。サモンナイト3で一番好きな場面なんです。
この男本当にカッコいいなぁ…と感動していたのですがここでは待ったになりました。ごめんねカイル

次回ブリーフィング。初回プレイの時皆さんは無色相手にどう立ち回りましたか?
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