遅れてきた直接攻撃の……   作:灰色の空

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作戦会議

 

 

 

 そもそもの話だが、彼等はブリーフィングという物に縁が無かった。

 

 それはそうだと思う。いつも騒動に縁のある皆の中心であるレックス自体が戦いになるのを拒んでいたのだから。

 

 そして彼らの戦いは何時も後手から始まった。突発的な戦いばかりだから戦い前の作戦という物には縁がなかった。

 

 しなかったというのが正しいのか。

 

 

 それを言ったら、我ら帝国軍はどうなんだっていう話なんだけどね。

 

 

「さて、役者がそろった所で話をしよう」

 

「お前が仕切るのか…」

 

「脳筋のお前たちに策があるのなら変わるが?」

 

 うぐっと言い、言葉に詰まったカイルはすごすごと引き下がった。うむ、これでよし。

 

 この為に用意していた黒板を引きずり出す。

 

「あ、教室の黒板…」

 

「借りるぞ」

 

「あ、はい」

 

 そうして書き出すのは大きな字で『無色、殲滅作戦!!』だ。我ながら上手く書けたと自画自賛。

 

「字、汚ねぇ…」

「マ、マルルゥと同じだ」

 

「さて、最初に言っておかねばならんがレックス!」

 

「はい!」

 

「奴らとの論戦は無しだ。そう言うのは必ず終わって勝者となってから宣え。良いな」

 

 頷いたレックスに内心安堵する。良かった、これで無色相手にまだ話し合いで解決したいとかいうたら尻叩きをする所だった。

 

 いや、そんなこと言うはずないもんな。守るべきものをちゃんとわかっている顔つきだ。

 

  

「まずは情報の共有だ。奴らはまず遺跡の掌握を最優先にするのは理解しているか?」

 

「イスラが魔剣を持っていってレックスの剣も壊れたから。でしょ」

 

「うむ。あぁレックス、修復した魔剣のお披露目は最後のとっておきにしてくれ」

 

「理由があるんだよね、分かった」

 

「え!?魔剣直ったの!?どうやって!」

 

 魔剣直ったのかという皆のざわつきを俺は咳払いで収める。ごめんね皆、大切な事だけどそれは後回しなのよ。

 

「さて、話をもどそう。奴らは遺跡の解読や最奥に行こうと躍起になってるだろう。その油断したケツを奇襲という形で攻撃する」

 

 分かったかと皆を見渡せば頷いた。流石に無色を相手に作法もくそもないかと分かったか。物わかりが良くて助かるよ。

 

「その一番手、それをアルディラお前に頼みたい」

 

「私っ!?」

 

 いきなり呼ばれて驚いたのか滅多にお目に掛かれない困り顔が見られた。美人の困った顔って素敵でいいよね。

 

「ロレイラルの召喚術、その中で一等強力でそして派手なもので奴らの無防備なケツを躊躇なくぶっ叩いてほしい」

 

「えぇ…」

 

 困惑極まった顔だ。そんなに難しい事尚だろうか?ただ無防備な奴らのケツに召喚術をぶっ放す、極めて簡単な事だと思うのだが…

 

 あ、もしかして『メタルミストレス』*1の方にクラスチェンジしちゃってた!?マジかよ…ドリルアルディラ姉さん爆誕かよ…浪漫極まり過ぎだろ…

 

「ぬぅ難しいか…?しかしこれはお前にしかできない事なのだが…ビジュ、奴らの中にアルディラを超える召喚士はいたか?」 

 

 少し難しかったのだろうかと考えてわざとビジュにそれらしく聞いてみた。含みに気付いたビジュがニヤリと笑う。

 

「いいや、この島じゃそこの美人なねーちゃんが一番だ。だがまぁ本人のやる気がないのならやめさせとけ」

 

 リップサービスを忘れないくせに煽る煽る~。召喚術が出来ないのならただの美人なだけの役立たずっていう所がまたビジュらしい。

 

 その明確な挑発行為の煽りにキラリとアルディラのメガネが光った気がした。ヤッファとキュウマが一歩引いた。

 

「貴方達私を挑発しているの…?」

 

「無理なら言ってくれ。自分には出来ないと皆の前で宣言してくれ」

 

「そう…ならとことん徹底的にやればいいのね…!」

 

 おぉ~青筋が今にも浮かびそうな表情だ。カイルが青ざめて2歩ほど退くところが面白い。

 

「遠慮なく、そして派手なのをやれ。何も嫌味じゃねぇよ」

 

「どういう意味?」

 

 ソノラが聞いてきたので説明することにした。誉ある一番槍がどれほど戦いの中で効果的に動くのかを。

 

「無防備な所に強力な召喚術が直撃するんだ。それがさらに派手であればあるほど相手の士気が落ちるからだ」

 

「派手なのは混乱と動揺を誘う為です。そして味方には頼もしい召喚士がいると視覚的に活気づく、ですよね?」

 

 一番槍は戦場においてとても重要だ。無防備な奇襲というのもあるが敵の士気の影響と味方への士気が非常に関係する。

 

 本来なら俺が突撃、咆哮。そして後衛が続くのだが…アルディラに頼みたかった。

 

「無色は散々狼藉をはたらいたのだ。それを払拭させる絶好の機会、その一番手をお前に譲りたい」

 

「ええ、ええもう言わなくてもいいわよ。貴方達の言いたいこと全部理解したから」

 

「うぉっ怖っ!」

「ヤベェぞアルディラがブチ切れてやがる…」

「美人が怒ると凄い顔になるな…」

 

 すっごい笑顔だ。目の冴える美女の笑顔とはこれほどの物かと見惚れるものだ。だが青筋が浮かんでる。

 焚きつけは成功したようだ、うむ。チョロ!

 

「しかしそうするとアルディラ様が前に出てしまう事になり危険です」

 

「それはそうだ。しかしその為にクノン、君がいるのだろう?」

 

 召喚師であるアルディラが前に出るのはそれはもう危険極まりない。だが問題はないのだ、

 だってアルディラにはクノンがいるから。鉄壁の看護師クノンがアルディラに傷を負わせる愚行をするはずがない。

 

 そう伝えれば凄いジト目で見られた。…君、あえて言わないけどそれ非常に可愛いからね?

 

「………あなたは本当に卑怯な方なのですね」

 

「褒めるな、流石に照れる」

 

「言い変えます。図太い方でした」

 

 うぅん、増々クノンの情緒が育っていくのを感じる。教育とはこういうことを言うのか…

 

「話を続ける。そうしてアルディラの爆撃蹂躙が炸裂した後だが、追撃をかます」

 

「爆撃蹂躙と言いやがった!」

「実質そうでしょ?」

「人の形が残ってると良いなぁ」

 

「その追撃役だがミスミ様、貴方にお願いしたい」

 

「ほぅ。勿論が構わんが、理由を聞いても?」

 

 ミスミ様、風雷の郷を治める鬼姫。今は亡き夫の子を育てながらも自身もまた戦場を喝破する女傑。

 どうしてか敬語になるのはその人徳おかげだろう。勿論怒らせたら怖い人だが滅茶苦茶茶目っ気もあるとてもいい人だ。

 

「シルターンの召喚術の中には状態異常を撒き散らすものがあるはず。それらを使って」

 

「動きを封じ込め雑兵どもを各個撃破する。そう言う事じゃな?」

 

「お察しの通りです」

 

 シルターンの召喚術は玄人向けの術が多い。しかし状態異常の召喚術もまた豊富なのは間違いがなく。

 

 シルターンの技に一家言があるミスミ様に後は任せれば問題はない。

 

「ミスミ様が召喚術を放ったらスバル。お前は母親と共に存分に暴れ回ってくれ。出来るな?」

 

「当然だい!」

 

「上出来だ、それこそ俺に挑んだ強者の卵よ」

 

 ミスミ様の護衛はスバルに任せる。島の皆を母親を護るために戦場に出てきたのだ、これ以上の適任役はいない。

 

「む?なら私は…」

 

「キュウマ、忍びであるお前には非常に重要な役目がある。焦るな」

 

 キュウマが疑問符を浮かべたが、出番はあるのだ。非常に危険でしかしキュウマでなければできない役目が。

 

 だからサモンナイト3における()()()()()()()()()の名をほしいままにする超忍キュウマはまだ温存。

 

 

「これで大方の雑魚どもを散らばらせることができる。後は各個撃破するとして問題は…」

 

「オルドレイク達、幹部だね」

 

 レックスの言葉に大きく頷く。そうこれまでは雑兵どもの処理の話だここからが本番になるのだ。

 

 という事で、黒板にイラストをペタリ。イラスト名は『設定イラスト・無色に与する者』だ

 

「うおっ!あの女と侍か!」

 

「…やたらと綺麗に描かれてますね。これは貴方が?」

 

「いいや、ラトリクスにあるゲーム機で当てた」

 

「????」

 

 気まぐれプライズゲッター。サモナイト石を投入することで景品が当たるのだが…何で無色の情報をあの機械が持ってたのか。謎である。

 

「さて、幹部の一人ヘイゼルについて話そう。とは言っても戦場で度々目にしているから詳細はみんな知ってるだろうが」

 

『紅き手袋』の女暗殺者。『茨の君』の2つ名を持つ悲しき過去を持つ人。本名は……ここで明かす必要はないか。

 

「初めはお前に投げ飛ばされてたな」

 

「その次も次もビジュ、貴様に擦り付けられていたな」

 

「なんスか?あの女、隊長なら余裕でしょうが」

 

 ……何か俺の知らない所でヘイゼルさん不幸なことになってない?主にギャグ方面で。コメディ担当かな?

 

 まぁかわいそうなので何があっても必ず絶対に何が何でもぶちのめすけどね!

 

「そのヘイゼルだがウチの切り札ビジュが担当する。そしてその補佐をスカーレルお前に任せたい」

 

「切り札って言った…」

「素面で言いやがった…」

「殺し合ってたんだよね…?」

 

 ビジュは無色にいたのだ。ヘイゼルとの戦い方には慣れてるだろうしスカーレルは元同僚。これ以上ない適任と考えているがどうか?

 

 ビジュは「ケッ」と一言。つまり了承したという事だ。色々と無色の中にいた時かかわりがあったらしいので相手をするのは当然ともいえる。

 

「…そうね。いい加減決着をつけないといけないわよね」

 

「難しく考えるな。何だったらビジュ独りでも構わんが?」

 

「何あの絶大な信頼感」

「ああ言われてるのに素面でいられるのスゲェよ」

「もしかして…言われ慣れてる?」

 

「いいえ、問題ないわ」

 

 思うところがあったとはいえスカーレルは賛同した。これでヘイゼルは問題なし…何だビジュ?

 

「テメェも本命に入る前に少しは肩慣らしをしておけ」

 

「む?邪魔になるかもしれないが」

 

「はっ テメェが邪魔なのはいつもの事だろうが」

 

「では、肩慣らしでいこう」

 

「死なないでねヘイゼル…」

「お悔やみを申し上げます」

「完全に同情されてる…」

 

 予定変更。ヘイゼルの討伐には俺も参戦することにとなったが…まぁいい。本命の前の前座だ、ウォーミングアップには丁度いいだろう。

 

 

「さて、次だが…これは厄介だな」

 

 黒板に貼ったイラストの男の方。シルターンの着物を着て刀を差したつまりウィゼルだ。 

 

「ウィゼル。彼の強さは別格です」

 

「………そうだね、あの人の強さは本物だ」

 

 キュウマ及びレックスの顔が苦い物になる。キュウマはシルターンの忍びとしてそして侍の技を知る者として。

 

 レックスは戦ったのもあるだろうし恩義がある故か。…そこは割り切っていただきたい。

 

「ハッキリ言おう。コイツをソロで倒せれるのは抜剣したレックスか、俺の()()()()か、響命覚醒したビジュの誰かだろう」

 

「意外と多いな!?」

「究極奥義?」

「響命覚醒とは何でしょうか?」

 

 ウィゼル。はっきり言えばサモンナイト3において別格の強さを誇る強ユニット。その強さは少し次元が違う。

 

 ゲーム的な話になるがまず攻撃性能、これがヤバイ!刀の横切りなのだがクリティカルが約70%!*2刀の性能とは言え首が飛ぶ。戦う場所も平面だから範囲も広い。

 

 そして防御性能。よく攻撃を見切られる。何度カイルの攻撃を躱した事か。オマケに全異常無効も持つ。

 

 そして極めつけが…

 

「居合切り・絶…あれはマズい。本当に不味い」

 

「おいキュウマ。居合切りってのは良く言えば抜刀術って事だろう?何で刃が飛んでくるんだ?」

 

「気を練っているからです。鞘に収めた刃に自身の気を練り込み飛ばす。……普通では考えられない極地における剣術と呼んでいいでしょう」

 

 居合切り・絶。居合切りは前3マスに攻撃する技だが、それを射程5マスまで伸びるんだからもう頭おかしい。…ゲームとは言え初見時にヤード、アリーゼ、ヤッファが何度犠牲になった事か。

 

 一応ゲーム的には召喚術が必中なので、それで何とか対処するのが定石だが…さてここからは現実的なお話だ。

 

「アイツの化物みたいな強さを理解しているようなら分かってるとは思うがコイツだけは念入りに倒さなければいけない」

 

「お前がそれを言うのかよ…」

 

「俺だからこそいうのだ。そしてウィゼルを相手するのはこの俺が引き受けよう」

 

 ウィゼルは化物だ。相対できるのは消去法で俺だ。勿論俺一人ではなく…

 

 

 

 

「そしてこのウィゼルを倒すため、力を貸してほしいのだが……」

 

 

 そこからウィゼルを倒すために考えた策を話した。該当するメンバーたちは難しい顔をしたが結局は了承してくれた。

 

 なーに失敗したら皆死ぬだけだ。別に気負う必要はない。

 

 

 

 

「そしてここが正念場。オルドレイク夫妻だ」

 

 黒板にぺたりと貼るのは『設定イラスト・無色の派閥』オルドレイクとツェリーヌだ。

 

 ゴクリと誰かが息をのんだのが分かった。この無色の戦いにおける元凶。この島にもかかわるつまり一番ぶっ倒すべき相手。

 

 ゲームではとことんまでに小者だった。特にカルマルートのあの情けなさはちょっともう酷い物だ。歪んだ愛を感じさせてしまうほどに。

 

 だがここは現実、オルドレイク自身は剣術も召喚術もハイスペックな一級品の戦闘能力なのだ。とてもではないが油断できない相手。

 

「オルドレイクの相手は。レックス。お前だ」

 

 レックス。このサモンナイトにおける主人公にして島の皆の中心人物にして俺の推し。

 

 魔剣を復活させ、そして答えを得た今。彼は負けるはずがない。

 

「奴と相対するまでは他の者達が請け負う。お前はすべての力を以て奴を倒せ」

 

「ああ、任せてくれ」

 

 力強い言葉だ。ならレックスは問題ないとして…

 

「ふむ、とはいえ、何事も場を整えばならん。景気づけにヤードお前は一発オルドレイクに召喚術をかますがいい」

 

「私が、ですか?」

 

 そのヤードの声にはイマイチ覇気がない。…違うな師であるオルドレイクにかなうのかという一抹の不安が付きまとっているのか。

 

「不安か?己の師と相対することが」

 

「いえ、そんな事は。…そうですね。自分の力が敵うのかという僅かな不安があります」

 

 素晴らしい、そう賞賛したかった。この場でこの皆がいる中で素直に吐露することができるとは…ああやっぱり影が薄いとかどうとかあるけど。お前は優秀な奴だ。

 

「なるほど、ではオルドレイクが生涯持つことが出来ずお前が持つ物で戦えばいい」

 

「?それは一体…?」

 

 困惑しているヤードにニヤリと笑ってしまうのは許してほしい。

 

「右を向け」

「?」

 

 素直にヤードは右を見た。そこにはスカーレルが居てくすぐったそうに笑った。

 

「左を向け」

「…?」

 

 素直にヤードは左を見た。ハッとした顔のソノラが満面の笑みを見せた

 

「後ろを向け」

「……!」

 

 素直にヤードは後ろを見て、グッと親指を立てるカイルの顔を見た。

 

    

「分かったか。それがお前が手に入れたオルドレイクが生涯持てない究極の力だ」

 

「ええ、ええ。分かりましたとも。この戦い全力で行かせてもらいます」

 

 優秀なヤードだ、今度の笑みは力強い一端の男の顔だ。

 

 

「さて、対策を続けよう、奴の召喚術は脅威その物。特に砂棺の王は非常に不味い」

 

「奴らセルボルト家の秘伝召喚術、そこのテメェは知ってるだろうが対象者に憑依させ死に至らしめさせるアレだ」

 

「…あれですか」

 

 ただでさえ召喚術の威力が1等級の癖に範囲の広い召喚術でこちらをガチで殺しに来るんだよなぁ。初見じゃ戸惑ったが残念ながら対策済みだ。

 

 まさしく情報は力なり。事前準備で戦いの八割は決まるのだ。

 

「砂棺の王、奴への対策はヤッファ、お前がやれ」

 

「俺がか?」

 

「お前にしか出来ん」

 

 ヤッファはPS2版ではそれはもう悲惨な彼だが実は超貴重な憑依を解除できる「祓いの術」を使えるのだ。 

 これがあるかないかではそれはもう対策に段違いの差が出てくる。なんせ相手の究極の一手を退けれるのだから。

 

「お前の様なナイスガイには責任の重い仕事を押し付けるのがちょうどいい。何、失敗したら全員が死ぬだけだ」

 

「…ああ分かったよ。アンタが俺に期待してるってのは良ーくわかったぜ」

 

 俺の命令口調にニヒルな笑みを浮かべるナイスガイ。そう言う所やぞ。

 言い換えればお前しか皆を助けられないと言外に言えば汲み取ってくれた。こういう所本当にカッコいいなぁ。

 

「奴の無様な姿を特等席で見れるぞ」

 

「んじゃ、そいつを楽しみにしておくとするか」

 

 何とも凶悪な面だ。哀れオルドレイク。奴の呆気にとられた姿が目に浮かぶ。

 

 

「後はツェリーヌだが……ぬぅぅぅ」

 

「ギャレオさん」

 

 うぅむ、いかんいかん。どうしてもあれを思い出すと怒りが出てくる。うぅむこれはマズい。レシィに止められてしまった。

 

 そんな俺に呆れた視線を一瞬。ビジュがやれやれと口を開いた。

 

「あの女の相手は隊長、アンタがやってくれ」

 

「私がか?」

 

 と、ビジュが隊長を指名してくれた。俺に対して溜息一つ。とビジュは隊長を指さした。中々に舐めた態度である。

 

「隊長はこの島に来てからどうにも駄目駄目になってますからねぇ。幹部の一人でも倒さなきゃ箔が付かねぇでしょ」

 

「……ビジュ、口が過ぎるというのも考えすぎだぞ」

 

「事実でしょうが」

 

 隊長の口元がピクついた。割かし気にしていたのだろう。それに先ほどビジュから指摘されたからね、軍人として鈍ってるのではないかと。

 

「隊長、あの女はオルドレイクが危険と判断したらなりふり構わずしてくる可能性があります。油断のならない女だと」

 

「そこまで…ああ、そう見えたな」

 

 溜息を吐く。ツェリーヌはとにかくオルドレイクと仲がよろしいのだ。最愛の夫が倒れればヒステリックを引き起こして遺跡ごと爆破皆生き埋め…なーんて事になりかねん。

 

「そろそろ何故アンタが俺やギャレオの上に成れたかコイツ等に披露してもいいんじゃないですかね?」

 

「俺からもお願いします。隊長のあの絶技、披露する場面かと」

 

「貴様等…」

 

 ビジュと俺に煽られてか隊長の顔は…なんかもう歪んだ。そりゃそうだ、何故アズリア隊長が、女性であるこの人が荒くれ共の長に成れたのかその意味を理由をいい加減に知らしめろと言ってるのだ。

 

「え?なんかあったの」

「隊長も女性だ。色々と思うところがあるのだ」

「ビジュさんどういう意味ですか」

「あの馬鹿や俺が下手になるのはそれなりに意味がある奴だ」

 

 コソコソと聞きに来たレックスとレシィに説明する俺とビジュ。まぁなんだ隊長もあんまり披露したくないというか…やめよう期待させて幻滅させたくない。

 

「何だかわからないけど、アズリア、頼む」

 

「ああ、わかったさ。私も腹をくくるさ」

 

 レックスに言われてしまえばもう仕方がないと割り切ったのだろう。アズリア隊長は大きく溜息を吐いた。

 

 その拳が、恐ろしいまでに()()()()()()()()()()()のを俺とビジュはひや汗かきながら見なかった事にした。

 

 

「あ、あと名前の呼ばれていない者たちは各自臨機応変に行動してくれ。そこら辺はお前たちの得意分野だろう」

 

 幹部連中の話ばっかりだが無色の兵士自体も多い。遺跡の掌握の為に大多数の兵士が配置されていると思われるのでそうすることになった。

 

「…島の防衛はどうする?俺達がいない間にって事もあるぜ」

 

 カイルの懸念は尤もだ。だが、俺達にはとても優秀で貴重な戦力がいるではないか。

 

「対策しているさ。部下達を5つのグループに分けた。島の集落とお前達の船。完璧だ」

 

「そ、そうか」

「気遣い完璧すぎて逆に恐いんだけど…」

 

 部下達には先に作戦を伝えてある。攻撃側に編成されていないことに若干不満そうであるがその分俺やビジュ、隊長が暴れると話したら賛同してくれた。

 

 本当に可愛い部下達だ。

 

「さて、それではレックス。ここらで一つ発破を掛けろ」

 

 さぁそろそろ動かなくては時間が無くなる。後はもう臨機応変に行くとして最後はレックスが開戦の狼煙を上げてくれればいい。

 

 なーにいつも通りでいいのだ。それでいつも通り俺達の勝ちだ。

 

 

「皆、迷惑掛けてゴメン。でも俺はもう大丈夫」

 

 相変わらず染み入るような心地良い声だ。全員の顔が引き締まり微笑がうかぶ。

 

 適度な緊張と余裕、最高のコンディションだ。

 

「皆力を貸してくれ!そして絶対に勝とう!」

 

 その声とともに全員が大きく頷いた。 

 

 

 

*1
物理型

*2
装備している白蓮刀の付属効果




15話の肝である対無色戦。頑張りました。
ので感想が欲しいです。評価も欲しいです。ここすきも欲しいです。
何もかもが欲しい自分が浅ましぃ~~!!
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