誤字脱字が凄いかもしれませんが投稿速度を早める為です。申し訳ないです
アルディラは憤ってた。無論かの無色の者達にである。
帝国軍との戦いが終わってようやく平和が訪れるかと思えば、いきなりやって来た狼藉者。
島の住人たちを襲うわ、この島は自分たちの物だとほざくわ、いい加減にストレスが溜まりに溜まっていたところだった。
故にカイル達の熱に浮かされ、正面から突撃をしようとしていた、いつもの自分らしくない短慮な行動に出てしまった。
「クノン、行くわよ」
「いつでも」
故に言葉には出さないが、あの巨漢であるギャレオには感謝していた。一度冷や水をぶっかけられ、そこで徹底的に無色を蹂躙する算段を言われれば納得するという物。
リペアセンターに居座られ、可愛いクノンに悪影響を及ぼさないか割かし心配な所があるがそれはそれ、
この蹂躙を自分がいの一番に味合わせてくれるのなら、身命を賭すのが筋という物だ。
(何て言うけど、割かし私本気で怒っているのね)
と思いつつものやっぱり本音は激怒しているのだろう、何せ自分が冷静な女を気取っていながらも感情で動くタイプだと知ってるから。
遺跡の奥まで隠れながら進み、偵察にいた兵士は素早くキュウマが眠らせ。
ついに見つけた無色の背後をとり、アルディラは駆ける共にサモナイト石に魔力を注ぐ。
「さぁ いらっしゃい!」
「サポートいたします」
クノンからの魔力の譲渡を受け高位召喚術への執行。それをうけてロレイラルのサモナイト石は発光する。
開かれた召喚門より呼び出された物は、規格外の大きさを誇る機械兵士と銃撃人型砲台の2体。
「て、敵襲―――え?」
無色の兵士は直ぐに異変を察知し叫んだ、そのつもりだった。
その魔力によって呼ばれた強大な影は浮遊し自分達をその冷たく光るサーチアイで見る。その機械仕掛けの瞳はこちらを見て。
「――は?」
その2機がぶつかり合ったのだ。思わず間の抜けた声を出した。
それは合体、それは機界の浪漫。
その召喚獣の名を機神ゼルガノン
2体の召喚機械兵士が組み合わさることにより真価を発揮するその召喚獣は虚空より強大な剣を呼び出し―――
「イクセリオン!!」
その巨剣を躊躇なく大きく振りかぶり――投げた。
神速、重圧、その巨剣はあっけにとられた大多数の兵士たちの集合地帯へと激突
視界が光に包まれた。
そして光が収まればそこには吹き飛ばされた無色の兵士達。完全な奇襲によって動揺が広がり士気がガタついている島の狼藉者達が怯えた目でこちらを見ているのが分かった。
「こんなものかしら」
阿鼻叫喚となった地獄絵図にフッと息を吐く。自らが開幕の狼煙を上げた殲滅の絵図に多少の満足感を覚える。
「いいえ、これからです」
「それもそうね」
とはいえそれでも兵士たちは態勢を立て直しこちらへと銃や弓を放ってくる。隣で控えていたクノンが槍で銃弾や矢を弾き落としアルディラを護るための盾となる。
そう戦いは終わってはいない。そしてアルディラの怒りはまだ収まらない。この場にいるすべての敵が地に伏せるまで己が全力を注ぎこむつもりだ。
こちらが完全勝利の方程式を描くために融機人と機械人形は戦場とは思えないほどに穏やかに笑った。
「ふっアルディラめ。よほど鬱憤が溜まっておったようじゃな」
ミスミはかの閃光とその光が収まった戦場に痛快な思いがした。無色の兵士がそれはもう酷いありさまで吹き飛んでいたのだ。
アルディラがどれほどまでに怒りを込めて、そしてこの戦場で気炎を上げているのか手に取る様にわかる。
そして、あの巨漢の言う通り見事アルディラは戦場に綺麗な花火を咲かせたのだ。見るからに無色の兵士たちの困惑と動揺が伝わって取り繕ってはいるが、士気ががた落ちしてるのが見て取れた。
そしてその威力や魔力の心地よさが自らの気炎を上げてくれることも。
「行くぞスバル!」
「分かった母上!」
傍にいる愛息子に協力を要請する。握られたサモナイト石は異常を広範囲に散らばせるシルターンの召喚獣。
「マシラ衆、さぁ往くのじゃ!」
呼び出されるのは忍びの衣をまとい仮面をかぶった魔猿。それも複数。
彼等の名は「マシラ衆」その姿を見た者は無いとされる忍びの一族。シルターンの忍びの得物である苦無を手に呼び出された集団。
「忍法、不動陣!」
ミスミの叫びと共に苦無が放たれ無色の兵士たちへ苦無が放たれる。それは殺傷を目的としたものではなく。
動きを封じ込めるための物。苦無で作られた陣が兵士達を取り囲み、そこに雷が落ちる。
「ぐあぁ!?」
「痺れ…!?」
痺れを付与させる方陣をマシラ衆は放ち、ミスミはさらに召喚術を上乗せする。
「封呪陣!闇招陣!ええい!狼藉共を徹底的に懲らしめるのじゃ!」
ミスミが魔力を注げば、まだまだ現れるマシラ衆。その命令通りに次から次へと無色の兵士たちを無力化させていく。
アルディラの先の一撃が無ければ到底達成しえなかったその作戦をミスミは力の限り続行させる。
「母上!多分これぐらいで十分だ!」
息子の言う通りあらかたの兵士たちに召喚術を喰らわせたミスミはサモナイト石を懐にしまい込み、己の愛用品である薙刀を構えだした。
「それもそうじゃな。スバル!遅れるでないぞ!」
「勿論だい!」
薙刀を持ち戦場へと駆けるミスミ。それに続くは愛息子であり将来が期待される風雷の皇子。
鬼の親子は気炎を上げ、無色の兵士達へと突撃を開始した。
「チッ!アンタ達、本当に何なのよ!」
ヘイゼルは荒々しくも吐き捨てる事しかできなかった。
オルドレイクが負傷したあの日。魔剣の回収は諦め、遺跡の掌握を優先したのだ。拠点の船を護るため以外の殆どの戦力を此処に集結させた。
だがそれが悪手となった。警戒させていたはずなのにそれがたった一回の召喚術で一気に崩れ始めたのだ。
あの召喚士、融機人が放ったロレイラルの召喚獣は無色の兵士たちを吹き飛ばし、その動揺の隙を狙いシルターン忍びの召喚獣が動きを封じ込める。
兵士たちは突然現れた敵にそれぞれが応戦するが、どうしても相手の方が勢いに乗り活気帯びていたのだ。
(だけどなによりも不味いのが…!)
威力のある召喚術を無防備に受けてしまった。
身動きを封じられた。それも確かに痛かった。
しかし、ヘイゼルが危惧しているのが…紅き手袋の暗殺者たちが、後手後手になってしまっているのが…
「ウォォォォオオオオ!!!!」
あの巨漢の咆哮だ。あの上陸した時にさんざん痛い目を浴びせられた暗殺者達は本能的に恐怖で足が竦んでしまったのだ。
そのせいで兵士達と暗殺者たちは連携が取れない。獣の如く本能をむき出しにした動きを得意とする紅き手袋。叫び声を出し集団で襲い掛かる奇襲と連携の集団戦法。
「シャー…」
「シャッ……シャー」
「ヒーーーン」
それが仇になってしまった。あの雄たけびに強い恐怖心を徹底的なまでに叩き込まれてしまったのだ。獣のように圧倒的恐怖の前には竦み上がる哀れな狩られる者の如く、弱くなってしまった。
だからこそ、あの巨漢を何があっても始末するべきなのだが。
「あの化物、本当に何!?」
「見りゃわかんだろ!真正の馬鹿!」
「そう言う認識になるわよね…」
刺青の裏切り者ビジュと、元同僚である珊瑚の毒蛇スカーレルが、ヘイゼルの行く手を拒んでいたのだ。
「シッ!」
「シャッ!」
ヘイゼルの戦い方は女性特有のしなやかさと柔らかさと身軽さを体現した動きだ。暗殺者でも上位のそれをスカーレルはついて行く。
組織から逃れて逃亡者となった元同僚の男は以前にも増し動きに磨きがかかったようにさえ感じた。
「忌々しぃ!」
「そりゃあたしだってねぇ。負けられないもの」
スカ-レルは微笑む。目の前の鳥籠に捕われた暗殺者には憐情や同情があるがそれでも負けられない理由があった。
日向に導いてくれた仲間達、そして復活し輝きが増したレックスを見れば負けられないのは道理だ。
だからスカーレルは負けられない。
そしてそれはヘイゼルも同様だ。
「珊瑚の毒蛇…!裏切者…!」
スカーレルのその笑みを見ればわかる、コイツは日向へ出たのだと。薄暗く血に満ちた匂いしかない道を歩むはずだった同胞は日向へ出る事が出来たのだと。
太陽を浴び、表の道を歩む事へどれほどの渇望があるのか、その無意識な羨望がヘイゼルの殺意に変わって牙をむく。
「暗殺者が視野狭窄ってのは不味いんじゃねーか?」
「ちぃぃっ!」
だがその殺意の籠った一撃はビジュによって防がれる。刀は抜いておらず持っていた投具で戦っているのだ。
それが忌々しい事もあるがなによりもビジュはスカーレルの隙を無くす投げ方をしているのだ。
「ゲレレ~~♪」
そしてそのビジュの召喚獣タケシー。無造作に雷を放つそれは悪戯雷精霊ではもう表せないほど凶悪なのだ。
「ちょっと!雷こっちに落とさないでよ!」
「ゲレレッ?」
「ヒャハハ!躱せないお前が悪い、だってよぉ!」
「何なのコイツ等…」
タケシーはやたら滅多らと雷を放つ、それは敵味方もろとも構わずにだ。スカーレルをかすめれば勿論主であるはずのビジュにも。
ヘイゼルが嫌になるのはその雷は変則的に動き、また当たれば少量の痺れをもたらす。痛みは少なくともその痺れがマズいのだ。
「どうした!動きが疎かだな!」
そしてビジュの投具もまたいやらしい。自身が避けようとする場所へとまるで図ったかのように投げる。これほどいやらしくまた連携の上手い男はヘイゼルの記憶の中でもわずかしかいない。
「あらっ?随分と私に合わせてくれるのね」
「テメェの気色悪い動きは奴とは違って分かりやすいからな!」
「……貴方本当はとんでもなく苦労してるのね」
「同情すんじゃねぇよ!クソオカマが!」
喚きあう二人だが、脅威なのは違いない。消耗もあるここで決めなければ押し負けるのは明白。
だからヘイゼルは己の中にある力を練りあげ必殺の一撃に賭ける事にした。
音を置き去りにするほど、ただ無音の如く
「んな!?」
「チッ!」
それはするりと、ビジュへの背後へと動き
その手に持つ青薔薇の刻印がされたナイフが煌いて
―――とあるケーキ屋の超絶万能美少女バイト店員は語る。
「あの時の事ですか?……言わないと駄目?まぁ別に構いませんがアレ結構なトラウマなんですよね……」
「ええ、はい。オカマとチンピラに襲われたんです。2人とも妙にグネグネと動くんでそれはもう気持ち悪、いえ厄介極まりなくて」
「はい、はいそうです。あの時は目の前の事で一杯一杯だったんですが落ち着いてから思い返せばおかしかったんですよね」
「どうして二人とも私を追い詰めるだけで止めを刺さないのかって」
「ああ、違いますよ。あの人たちがそうすることはないってわかってますけど。でもほら、リーダーを倒さずにまるで時間を稼ぎをしていて。…はい。そう言う事だったんですよ」
「ただあの時の私は気が付かなくて。それが悪かったんでしょうね」
「まさか上からゴリラ……巨漢が降って来るなんて思います?上からズドンッて落ちてきたんですよ」
「私まさか上からあの厄介極まりない恐怖の化け物が私目がけて降って来るなんて思いもしなくて…」
「え?ああ、ちゃんと避けましたよ。死に物狂いでしたけど。あの時ほど自分の直観と危機感を褒めてやりたかったですね。死を幻視してその後硬直してしまいましたけど」
「で、あの人巨体なのにその癖に素早いんですよ。着地の衝撃とか気にせずに素早く動くんですよ。……あの人にはずっと感謝していますけど、ちょっと加減を覚えてほしくて…はい」
「何をされたって?掌底で吹き飛ばされた後……………足を、はい」
「足を滅茶苦茶にへし折られました…」
「うわぁ…」
やっちゃった。そうとしか思えないこの惨状に思わず言葉を失うギャレオです。
無色との戦いの最後という事でヘイゼルと戦う予定でした。あいては一級品の猛者。それを踏まえて奇襲を実行したのです。
自分としては初めての対峙で油断慢心もせずに絶対に倒さなければと猛ってました。
「ぁ…ぅ……」
「ちょっと、しっかりしなさいヘイゼル!」
その結果体中ボロボロになり足を負傷し気絶したヘイゼルがそこに!……ゴメン言い方変えると可哀想なくらいに足があらぬ方向に曲がっちゃって苦悶の声を出すヘイゼルさんがそこにいたのです。
……今後の事を考えてやったのがマズかったか…?
「戦場だ。下らねぇこと考えんな」
「すまん」
一瞬で勝負が終わってしまったので流石のビジュも少し拍子抜けというか肩透かし感をしてる顔だ。
そりゃそうだ暗殺者としての彼女とバチバチとやり合うと思ってたのにこの結末ではな。
「謝んな。んでさっさと行け。あの爺様はいかれてるぞ」
「分かった。後は頼む」
「雑魚処理は任せておけ。あのオカマも連れてく」
後はビジュに任せよう。ヘイゼルさんには申し訳ないがまだ戦いは終わっていない。ので放置することに。
「この女つくづく運が無いな…」
なんかビジュの同情たっぷりな呟きに申し訳なく思いながら件の男に向かって走り出したのでした。
無色の兵士たちが次々と倒れていく戦場を横目に俺は駆けていく。
最初のアルディラの召喚術はかなりの効果があったみたいだ。
流石はアルディラ、そして偵察の兵を倒してたキュウマか。やはり特殊の才能が集まる集団というのは実に面白い。
それを纏めて率いてるのがお人好しで多分この中で一番出鱈目に強いレックスなのが面白いと思うのだ。
だからこそ俺は俺の務めを果たせねばならないのだが。
遠くの視界に映るは白い着流しを着る人の形をした本物の化け物。剣の理を見つけるであろう鍛冶師にして剣士。
ウィゼル・カリバーン。
奴の戦いを超えなければ、俺達に未来はなく俺の望みは叶わない。
標的を確認する。呼吸を切り替える。作戦は伝達した、理解も納得も得られた。
ならばあとは己の身体と、そして愛おしき仲間たちを信じるのみ。
こちらを確認した、奴が移動するオルドレイクから離れて俺を直接叩ける場所へと誘ってくる。
「貴様が相手か…」
「ウィゼル、行くぞ!」
ウィゼル・カリバーンよ。いつかお前が未来の少年╱少女へと問う質問を今俺が返そう。
世界を滅ぼせる品物だと?悪いのは使った奴か、その品物かだと?
そんな物はなぁ!!
お次はあの出鱈目お爺ちゃん戦。
多分前編後編になるかも?