遅れてきた直接攻撃の……   作:灰色の空

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VSセルボルト

 

 

 

 オルドレイク率いる無色の派閥本隊とレックス達との戦いは終局へと移っていった。

 

 レックスが中心としたメンバーは最初のアルディラの召喚術からの快進撃により士気が高揚しており無色の兵士達を確実に退けていく。

 

 

 そして今、オルドレイクの元へと到達するその時へとなっていった。

 

 

「ヤード、不肖の愚か者よ、まだ我に楯突くか」

 

 オルドレイクの前に立ちふさがるのはヤードだ。そうなるように仲間たちが活路を切り開いたのだ。

 

「ええ、今度こそ貴方との縁を切りに来ました」

 

「全く、そこまで愚か者だったとは…」

 

 呆れ 嘲笑、それらを滲ませたオルドレイクはサモナイト石に魔力を注ぎ込む。それはセルボルト家の秘伝召喚獣『砂棺の王』

 

(やはり、こうなるのですね)

 

 それが何か、ヤードは分かっていた。大方力を誇示したがるオルドレイクの事だ。元は弟子だったヤードには何をするのかわかってしまう。

 

 だからまた、自分も決別のために迎え撃つのだ。

 

 

「己が行いを悔いるがいい!!」

 

「盟約に応えよ…」

 

 両者の魔力が高まり召喚獣が呼び出される。オルドレイクが呼び出すのは棺に入った死霊の王。サプレスの悪魔でも最上級の召喚獣だ。

 

 『砂棺の王』による霊王の裁き。その魔力が、光が、ヤードへと向かう。

 

 

「アリーゼさん、協力お願いします!」

 

「はい!」

 

 しかしヤードが行うのはサプレスの最も高位召喚獣。それはアリーゼの手を借りないと発動すらできないきわめて強力な召喚獣。

 

 呼び出されるのは巨大な鎧姿の召喚獣。七人の大天使が己の魂を聖鎧に封じ込めた切り札。

 

『聖鎧竜スヴェルグ』

 

 その鎧が死霊の王と対峙し、同じく光を放つ。

 

 

 魔力がぶつかる。

 

 

「ぬぅ!」

 

「クッ!」

 

 呼び出された召喚獣はヤードの方が上だった。しかし召喚師としての実力はオルドレイクの方が上だった。

 

 魔力が衝突し光が爆発したその結果は両者とも引き分け。ヤードとアリーゼ、サプレスの召喚士としてこの島随一の力を持つ2人掛かりの最高峰の召喚獣をもってしてもオルドレイクの召喚術の方が上だったのだ。

 

「フンッ!どれほど高位の召喚獣を呼び寄せても術者が劣る様ではただの戯言にすぎん!」

 

 オルドレイクの召喚士としての能力。

 

 無色の導師と呼ばれるにふさわしい魔力と実力に胆力を持つ。だからヤードのスヴェルグは相殺されてしまったのだ。

 

(ええ、そうなるとはわかっています。だから…!)

 

 ヤードは気にしなかった。そんな事とっくに分かり切っていた事だし寧ろ、だからこそ叫んだ。

 

「それで構いません!皆さん後はお願いします!」

 

「いぃよっしゃ!!」

 

 ヤードの声にカイルが飛び込んでいく。それに続きファルゼンが、アズリアが、白兵戦に覚えのある者達が一気果敢に攻め込んでいく

 

「下等な下衆共が!」

 

 オルドレイクの怒りに応えるように控えていた無色の兵士たちが道をふさぐ、

 

 戦いは終局に入る。ここでヤードが出来たのは只オルドレイクの魔力を消費させただけに過ぎなかった。

 

 だがそれでよかった。

 

「皆さん、私が援護します」

 

 ヤードには強力な頼りになる仲間たちがいるのだから。

 

 だから師に勝つ必要はなかったのだ。皆で勝てばそれでいいのだから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「貴方!」

 

 ツェリーヌは、オルドレイクの近くに控えながら主人へと近づこうとする者達へと迎撃に入ろうとした。

 

 まだ無色の兵士たちはいる。だがそれでもツェリーヌはオルドレイクの妻なのだから。だから主人を護ろうとするのは当然の事だった。

 

 

「ふぅーー」

 

「っ!帝国の犬が!」

 

 だがその前に立ち上がる人物がいた。帝国軍の隊服を着用するたった一人の女性軍人。裏切者のイスラの姉。

 

 アズリア・レヴィノスがツェリーヌの前に立ちふさがろうとしていた。

 

「行きなさい!あの帝国の犬を倒すのです!」

 

「「「ハッ!」」」

 

 自身を護るために配置された兵士を向かわせる。大剣や斧を持った屈強な男達だ。その後ろから援護をするのがツェリーヌの戦い方だが…銃撃が響き渡った。

 

「なっ!?」

 

「させないよーだっ!」

 

 銃撃を放ったのは海賊一家の砲撃手ソノラだった。

 

 

 

(うん、この陣形ならっ!)

 

 ソノラはずっと悩んでいた。だいぶ前の帝国軍との戦いでギャレオが1人でカイル一家と戦って暴れてたあの時からだ。

 

 ギャレオが暴れていたあの時ソノラは何時だって銃弾を撃てる状況だった。いや、実際に撃った。だがギャレオは跳ね返してきた。

 

 ……ギャレオが特別可笑しいのだとしてもスカーレルが襲われている時、カイルが肉弾戦をしている時、どのときでもソノラは銃を撃てた。だができなかった。

 

 味方を巻き込むとそう思ってしまったから。 

 

 ソノラは海賊だ。屈強な男達と肩を並べる為に力が不足している自分を補うために銃を得物に選んだ。カイル達に心配を掛けさせないためというのもあったが…。

 

 銃を選んで才能があって狙った獲物は外さない腕前になって、銃を撃つことが好きになって。…だが肝心な時に撃てなかった。

 

(……何か一つでもアタシの武器を手に入れないと)

 

 そして、どこからかレックスが引き連れてきた機械兵士ヴァルゼルド。ドリルを装備できる白兵戦として頼もしい機械兵士は銃も装備出来て扱えるのだ。

 

 射手としてヴァルゼルドは優秀だ。ソノラでは扱えない高火力のライフルを扱える。それに比べて自分はどうだ?

 

 己の役目について考え武器は無いかと思い悩み、ソノラは―――開き直った。

 

 要は、銃弾を撃ち続ければいいのだ。    

 

「いっくよーー―――!!」

 

 掛け声と共に放つのは自分の拳銃をただひたすらに撃ち続けるという物。ただし弾丸の装填は余りにも早業で連射をしているとしか思えないソノラだけが使える技。

 

 弾丸を放てば放つほど自分の中の熱が燃えがり高ぶって来るのを感じる。現に目の前にいる味方に一つの誤射も無しに弾丸を撃ち続けているのだ。

 

 前衛を援護する味方との連携。それがソノラの役割だった。

 

 

 

「アズリア!その雑魚たちは任せてそいつを!」

 

 ソノラによる圧倒的な面による射撃。その中へアズリアは突貫する。誤射の可能性なんてアズリアは気にしない。そもそも当たってしまったら自分の練度不足によるものだ。

 

「任せた!」  

 

 兵たちを潜り抜け、アズリアはツェリーヌへ突貫した。狙うは作戦通りの指揮官の戦闘不能。

 

「ッ!」

 

 ツェリーヌは、手にあるサモナイト石を魔力を注ごうとして…それを止めて杖を構えた。

 

 正眼の構えでアズリアを迎え撃ったのだ。

 

「はぁ!」

 

「せいっ!」

 

 そしてツェリーヌはアズリアのその突きを杖で打ち払ったのだ。続けて振るわれる剣の軌道を杖で払いのける。

 

 召喚師であるツェリーヌが正規軍人の剣術をしのいでいるのだ。

 

「貴様、召喚師の癖に!」

 

「召喚師だからと言って接近戦が弱いとでも!」

 

 アズリアが思わぬ反撃に歯を食いしばるのはツェリーヌの杖術が思わぬ防御能力を持っているからだ。

 

 ツェリーヌは生粋の召喚師、それは間違っていない。サプレスの召喚術の適性はこの島においてヤードやアリーゼを超えオルドレイクに僅かに劣る程度の屈指の実力者。

 

 そう。だからこそ、ツェリーヌは己の弱点をよく理解していた。召喚士は白兵戦にとても弱いと。

 

 敵が自身の傍までやって来るには数々の障害があり並大抵の者が来るはずがない、理解しつつそれに甘んじる女ではなかったのだ。

 

 全てはオルドレイクの野望達成のため、その身を捧げた女の執念がアズリアの予想を上回ったのだ。

 

「あの方のすべてを見届けるため、私は!」

 

「っ!」

 

 ツェリーヌの執念、言い方を変えればオルドレイクへのひたむきな愛はアズリアの剣技を上回った。

 

 アズリアの剣が、中高く飛ぶ。ツェリーヌの魔力を帯びた杖(マジックアタック)が剣をかちあげたのだ。  

 

「終わりです!」

 

 その隙を見逃さない。ツェリーヌは懐に隠し持っていた短剣を取り出す。接近戦でしか役割の無いそれは護身用であり、しかし殺傷用の短剣だ。

 

 ツェリーヌは短剣の使い方も熟知していた。召喚師だからと甘く見て近寄ってきた相手を確実に殺す技術*1を身に付けている。

 

 

 

「ッ!」

 

 そうして並大抵の男ならたやすく殺せるその短剣はアズリアの胸に吸い込まれるように近づいて行き。

 

 

 

 

 

「だろうと思ったよ」

 

「え?」

 

 その手首を万力の力で押さえ込まれてしまった。

 

 

 

 

「召喚師だろう?なら奥の手を隠し持っててもおかしくはないさ。誰でも思いつく話だ」

 

 アズリアは自嘲気味に笑うとツェリーヌの手首を締め上げる。

 

「がぁ…っ!」

 

 アズリアの万力の如き力で手首を握りしめられ、ゴキリと実際折れているその苦悶と憎悪の表情を見て。

 

 

 アズリアは大きな溜息を吐いた。

 

 

 アズリアはギャレオやビジュを筆頭とした荒くれ共の長であった。今は温厚で軍人として多少弁えた行動をする帝国第6部隊だが…その始まりは軍紀を守れない荒くれ不良共の集まり。

 

 

 詰まる所、力こそを絶対とする者達の集まりだった。

 

 

 生粋な戦闘能力こそを至上とする者達。力こそを価値観にする自我の強い扱いにくい者達。

 アズリアはそう言った者達を押し付けられた、つまり貧乏くじを引かされたものだったのだ。

 

 ならそんな()()()()()()()()()()()となったアズリアとはどういった人物であるのか。

 

 

「剣を弾き飛ばし、それで軍人を制したつもりか?全く、舐められたものだ」

 

「離しな、さい!」

 

「いいとも」

 

 暴れるツェリーヌを無理矢理手放す。体勢が崩れ殺気に満ちた目を向けられるが、アズリアからすればどこ吹く風。

 

 遠くで剣が転がり落ちた音がするが、アズリアは拾いに行こうとはしない。寧ろ拳を握った。固く固く強固なまでに。

 

「加減はしない。死んでくれるなよ?」

 

「ッ!?」

 

 ギチギチと尋常ならざる音が聞こえ始めるその拳を視てツェリーヌはサモナイト石に魔力を注ぎ込んだ。  

 

「パラ・ダリオ!」

 

 呼び出したのは骸骨が集まった骸の集合体。サプレスの高位召喚獣。その骸が目を光らせアズリアに対して魔力を飛ばす。

 

「遅いっ!」

 

 まえにアズリアはツェリーヌの懐へと潜り込んでいた。その移動方法はどこかビジュのように無音で蛇のように滑らかで。

 

    

「秘拳…ッ!」

 

「ぎッ!?」

 

 ツェリーヌの腹に放たれたのはアズリアの拳。防御に回した杖をへし折るその威力はツェリーヌを蹲わせるほどの威力で。

 

「うぉぉおお!!」

 

「ぎゃぁああ!!!」

 

 続けて放たれるのは拳の乱打。その一つ一つはツェリーヌの…人体の急所へと確実に躊躇なく放たれていく。

 

 アズリアが放ったものは彼女が得意とする剣技『紫電絶華』の拳版でありプロトタイプだ。

 

 ただこれは剣の時とは違って純粋にアズリアの身体能力に依存されている技であり…アズリアの部下全員が顔を青ざめるほど恐怖する技だったのだ。

 

「ぎっ!ガッ!?やっ…やめっ!」

 

「まだまだぁ!!!」

 

 アズリアは部隊の中で一番の小柄であり力も鍛えてはある物の女性それ相応の力だった。その事をよく知っている彼女は部下達に負けないように鍛錬を注ぎ込んだ。

 

 特にギャレオに出会ってからアズリアは彼の戦い方そして異質さを観察し理解して…ギャレオ(化物)を従えられるように研鑽を積んだ。

 

 固く握った拳を容赦なく躊躇なく相手の身体に無慈悲に叩きこむ。丁寧に優しく相手の意志をたたき折る(わからせる)暴力の嵐。

 

「ひっ…やめ…おねが……」

 

 ガッガッガッ

 

 アズリアには才があった。軍学校時代では開花しなくて済んだ才能。ギャレオに感化され花開いてしまったあり得ない素質。

 

「まだ言葉が話せれるようだな。結構」

 

「ひっ」

 

 それは拳で相手をいかに痛めつけれるか。どちらが立場が上かを分からせる暴力(調教)の才能だった。

 

 ツェリーヌの身体に拳を叩きこんでいく。何処を痛めつければ人は苦悶の声を上げるのか話を聞かず舐め腐っていた部下達に散々容赦なく拳を振るってきたアズリアにとってたやすい事だ。

 

 部下達を纏め上げてきたのは模範や規律なのは間違いない。だが暴力であるのもまた間違いなかった。

 

 暴力の長の集団であるのならアズリアは最も暴力に長けた指揮官であった。

 

「……ぅ」

 

 拳の乱打を浴び、そしてもはや汚れたぼろ雑巾と呼ばれるほどにボロボロになったツェリーヌだったもの。

 

 後に残るは握りしめた拳をみて溜息を吐くアズリア。その躰にはツェリーヌの吐瀉物や血が散々浴びせられており何か饐えた匂いがした。  

 

 結局口ではあーだこーだとレックス達と対立していたが、ありふれた暴力という肉体言語を使わずにいた結果がまさかの無色の幹部を痛めつけるという奇妙な結果になってしまったのだ。

 

「……はぁ。レックスには幻滅されるな…」

 

 なんて、今更な事を宣うのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 オルドレイクは、戦況が悪くなりつつあるのを嫌でも自覚せざるを得なかった。

 

 ヘイゼルは階下で暗殺者たちの指揮をしていたはずだが気が付けばいなくなっていた。恐らく音もなくやられたか。

 

 腹心である頼みの綱のウィゼルは巨漢との相手をすると離れ、そして遠くで爆発が起きた。負けるとは思わないが時間が掛かり過ぎている。

 

 そして妻のツェリーヌは、分断され援護できない距離で女軍人と戦っていた。

 

 オルドレイクは気付かなかったが、幹部たちが1か所に集まらないようにレックスの指示で分散させていたのだ。

 

 

 そして今、オルドレイクの真正面にはレックスたち精鋭が揃っていた。

 

 だが諦めるなんてものはしない。オルドレイクの野望はまだ達成していないのだから。

 

 

「下等なる屑共ひれ伏すがいい!」

 

 呼び出すのは『砂棺の王』。先ほどは弟子であるヤードに防がれたがだからと言ってこの召喚獣の実用性は別格の物。

 

 オルドレイク自身の召喚師としての実力と魔力、そしてこの召喚獣のみが持つ死霊としての王としての力。それを繰り出す時が来たのだ。

 

「死ぬがよい!『死霊の断末魔』!」

 

 それは『砂棺の王』の究極召喚術。複数の対象者に取りつきそして絶対的な死を与える超高等召喚術。

 

 ツェリーヌでさえも行使することができないそれをオルドレイクは単独でやってのけた。それほどまでにオルドレイクの召喚師としての才はずば抜けていたのだ。

 

 

「チッ!」

「うわぁ!」

 

 砂棺の王はオルドレイクに命じられたとおりに死霊を呼び寄せ対象者となっていた海賊船長カイルと鬼の子スバルへと憑りついた。

 

 その効果は絶大。憑依された者は魂を蝕まれ、命が削り消えてゆく事に恐れおののき悲痛の断末魔を上げるのだ。

 

 憑依された者が2名だけだったのは忌々しい物ではあったがどうせ順番だ。そうオルドレイクは嗤い嘲笑した。

 

 

「ククッ 所詮貴様らは下等なるケダモノ、我が召喚術の前には…」

 

 

 

 

「ジッとしてろよ」

 

「あ、祓われた」

 

 

 ピロリ~ン♪

 

 

「……うん?」

 

 

 思わず素っ頓狂な声を出しオルドレイクは二度見した。自身が誇る最大にして最高峰の召喚術でありセルボルト家が誇る秘伝の憑依召喚術が。

 

「んだよ。奴の言った通りじゃねぇか」

 

 虎人の祓い儀式によってあっさりと祓われてしまったのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……まじで。本当にアレが切り札なのか」

 

 思わず、そう言ってしまったヤッファは余りにもあっさりとしたその結果に拍子抜けする勢いだった。

 

 ギャレオの言う通り憑依召喚術をオルドレイクは切り札として使ってきた。

 

 なるほど確かにそれは、他者を強制的に死に至らしめる強力無比の憑依召喚術だ。

 

 現にオルドレイクは絶対の自信があったのだろう。

 

 

 だがその切り札はあっさりと祓えてしまった。

 

 

(……妙に引っかかるが、まぁ結果が全てか)

 

 オルドレイクの性格…戦術を詳しく知ってるギャレオに訝しむが、ヤッファはあえて飲み込んだ。

 

 作戦通り自分がオルドレイクの前にいて祓いの儀式が使えてそしてオルドレイクが憑依召喚術を切り札として使ってきたという。

 

 ギャレオの筋書き通りに道が出来てたのだ。もしここに自分が居なかったらオルドレイクが堅実に攻撃用の召喚術が使って来たら。

 

 結果はまた違っただろう。だが運命は自分達に傾いた。

 

「レックス!雑魚どもは俺達に任せて奴を叩きのめせ!」

 

「分かった!頼んだよ皆!」

 

 オルドレイクの周りにはまだ兵士たちがいる。親衛隊が何かしてもそれは自分たちで片づけてオルドレイクはレックスに任せればそれでいい。

 

(しかし、あのメトラルの小僧といい、おっかねぇ奴だなぁ)

 

 カイルとファルゼンと共に突撃をしながらヤッファは独り笑った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(皆、ここまでありがとう)

 

 オルドレイクへと向かいながらレックスは仲間達への感謝の言葉を告げた。

 

 みんなが自分の心配をしてくれて、そして自分の分まで戦おうとしてくれた。

 

 それが無謀な事であり、パナシェが知らせてくれなかったら自分が駆けつけることは難しかっただろう。

 

 ギャレオ達が説得していなかったら無色へと精彩を欠いたまま戦っていただろう。

 

 それがこうして皆と共に戦える。

 

 もうレックスは迷わない。

 

 大切な人達を守るために戦える。

 

 

「うぉおおおお!」

 

 

 修復された…新生された魔剣を抜く。今度はちゃんと心に芯を持って。 

 

 抜き放たれるその魔剣は今までの碧の光ではなく、透き通る蒼き光をその空間全てを照らし出す。

 

「綺麗な…蒼…」

 

 その声を発したのは誰か。誰もが見惚れてしまう誰もが目を奪われる澄み渡る蒼の光。

 

 メイメイから名付けられたその銘は『果てしなき青』

 

 レックスの新しく。そしてこれからの魔剣の再誕の光だった。

 

 

 

 

「貴様!魔剣は砕かれたはず…ウィゼル!奴が裏切ったのか!?」

 

 オルドレイクの言葉にレックスは答えない。ただ仲間たちが切り開いた道を駆ける。

 

 

「うぉぉおお!!」

 

 大上段に魔剣を掲げ一気に振り抜いた。弓型を形作る斬撃が魔力を持って駆け抜ける。

 

 オルドレイクは目をあらん限りに開く。魔力が斬撃の形となり道となって振り抜かれるその光景を悪夢と言わずなんというのか。

 

 爆発、蒼光の魔力が派手に叩きつけられた。

 

 それでもレックスは手を緩めない。

 

「貴様等下等生物が調子に乗るなぁああ!!」

 

 オルドレイクが執念で立ち上がる。レックスの魔力の斬撃をもろに浴びたにもかかわらずだ。

 

 オルドレイクが持つウィゼルが鍛えた剣『覇道の剣』。それを抜き放ちレックスへと肉薄する。

 

「甘く理想を口にするたわけが、我が野望を阻ませるものか…!!」

 

「俺はお前止める…絶対に止めて見せる!」

 

 レックスの魔剣は並大抵の剣をただ溶解させるそれをオルドレイクの覇道の剣は競り合っていた。

 

 ひとえに執念とそしてそこに至るまでの研鑽がオルドレイクを召喚師のみならず剣士としてもまた一流だと証明させていた。

 

 

 オルドレイクの野望。それがレックスには何を意味するのか分からない。

 だがそれでも島の皆を守るとそう決めたレックスに迷いはなかった。

 

 

「せやぁああ!!!」

 

「ぬぅぅうう!!」

 

 魔剣の乱舞、蒼い光が斬撃となってオルドレイクへと叩きこまれる。殺傷力はなく、しかし心身に痛みを与えるレックスの持つ魔剣の力。

 

 体勢が崩れたオルドレイクに向かって魔剣を向ける。その剣は蒼い光が幾重にも重なり輝きそして…

 

 

「これで終わりだ!」

 

    

 遺跡を飲み込む蒼い魔力の爆発がオルドレイクを飲み込んだのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

*1
武器練度 短剣マスター効果




割とあっさり風味ですがこれはこれで良しと。
次回は戦勝結果報告ですね。
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