遅れてきた直接攻撃の……   作:灰色の空

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本編を進めていきます。
風雷の郷のお話は犠牲になったのだ…物語のテンポの犠牲にな…


男という生き物

 

 

 

 

 そうして狭間の領域の案内が終わり次はシルターンの風雷の郷の案内。そう言う段取りだった。

 

 和風なミスミ様のお城で忍者ごっこ。風勢溢れる郷の人達の民家に想いをはせ。大沼の蓮沼ジャンプでレックスを超えて。神社で皆の幸福を願うお参り。

 

 そんなイベントの数々をするはずだったのだが…

 

「……俺は場違いではないか?」

 

 思わず小さく呟いた。だってそうだろう?今俺がいるのは集いの泉でこの場にいるメンバーは隊長とレックス、そして護人たちだったからだ。

 

 

 事の経緯としては隊長にレックスが呼び出されたのだ。イスラの事で話があると。で俺もその場にいたので隊長について来いと言われたのだ。そんな見事な場違い感に頭を悩ませるのだ。

 

「お前はイスラと仲が良かっただろう。聞け」

 

「了解しました」

 

 と隊長に言われてしまえば、もはや俺がどうこう言う事も無し。大人しく隊長の話を聞こう。

 

 

 

 そうして隊長が先にしたのはこの島に来てから帝国軍の行動に対する謝罪だった。

 

 ここで静かに住んでいた住人たちに対してどういった理由があろうと攻撃を加えたのは事実であり平和を脅かしていたのだと。

 

 それに対して護人たちはその謝罪を受け止めた。帝国軍の気持ちはわかっている、過ぎたことを何時までも引きずるほど俺達は馬鹿ではない。

 

 本当に良い人たちだ。これでもうわだかまりは溶けてなくなった。俺の力を存分に振るう事が出来る。振るってるだって?それはそう。

 

 

 

 

 そうして続けて隊長が話したのはイスラの出生だった。

 

 イスラが無色の派閥に掛けられた呪い。病魔を憑依させることで永遠に絶息の苦しみを与える呪いだ。

 それでイスラはいつ死んでもおかしくない躰でありながら決して死ねないという矛盾に満ちた生と死を繰り返すのだ。

 

 隊長の父君の仕事は召喚術による破壊活動を行う者達を取り締まる部隊の長だ。その中には無色ももちろん入っており何度も無色の計画を潰してきたのだという。

 

 その恨みによって赤子であったイスラに標的が向かったのだ。とことん胸糞である。

 

「だが魔剣を手にしたことでイスラは無色…オルドレイクを裏切った」

 

 魔剣を手に入れた事で体は強化され召喚呪詛の影響を受けなくなった。ならもう確かに無色に肩入れする必要はない。

 

「ん。待ってくれそれだけじゃまだ完全に説明が付かない」

 

「どうしたレックス。気になることがあればどんどん言え」

 

 何かに引っかかったのだろうレックスがそこで声をあげた。どうにもまだ納得が行ってないというその顔。

 

 ……なるほどちゃんとフラグを積んできたようだな。関心だ。

 

「もしイスラの目的が紅の暴君を継承して呪いに打ち勝つ力を手に入れる事なら。目的を果たしたのになぜ今もまだ戦っているんだ?」

 

「確かにそうだが…だからこそ新しい欲が出てきたのかもしれねぇぞ。誰にだってそう言う経験はあるだろ」

 

 レックスの疑問にヤッファは答えてみた。確かに次から次へと欲は出てくるもの。経験がある俺は黙っておりまする。

 

「もしくは遺跡の意志に操られているのかも。…かつての私がそうだったようにね」

 

 すっごいしんみりとした顔でアルディラ。義姉さんとファリエルが寄り添った。……ノーコメント。

 

「いやイスラは恐らく自分の意志で行動しているはずだ」

 

 と、ここで姉による断定が来ました。どういうことですか隊長?弟とはあんまり会話しているように見えませんでしたが。

 

「病魔の呪いによってイスラは自分の力で物事を決める自由を奪われてきた。だからこそ紅の暴君という比類なき力を手に入れた今その力に魅入られてあの子は変わってしまったんだと思う。自分という存在が弱い物ではないと誇示することだけにおぼれて」

 

 せやろか?……身内だからこそ気付かないってのはあるので口を出すのはやめておこう。眉間の皺が寄った気がするけど。

 

「本当に、そうなのかな?」

 

 レックスはそんな隊長の言葉をやんわりと疑問で返した。よっしゃいけ!そのまま説き伏せろ!

 

「確かに大きな力を手にしたことで人が変わってしまう事はある、だけど俺にはイスラの取った行動がそれだけが理由ではないと思うんだ」

 

 うまく説明するのは難しいけどとレックスは語る。確かに露悪的すぎるというか挑発行為が多すぎて逆に変に感じるよねって。

 

「……ギャレオさん、あなたはどう思われますか?」

 

「ん?俺か?」

 

 と、ここで状況を見守っていた俺に対してファリエルから何かないかと聞かれてしまった。それを見て全員が俺を見る。何で?

 

「ギャレオ、お前はイスラとは近かったな。…あの子についてお前はどう思っている」

 

 ちょっと弱弱しい隊長の問いにさてどうしたものかと内心で考える。

 

 実のところイスラの目的は把握している。それを言えば皆考えてくれるがソレはやはりイスラ自身の口から吐き出した方が絶対に良いと思われる。

 

 なのでまぁソレを匂わせるほどにしておこうか。

 

「そうですね。……先に隊長に質問させていただいてもよろしいでしょうか?」

 

「何だ改まって?」

 

 不思議そうに首をかしげる隊長。許せ、肩の力を抜くために、俺の願いの為!俺の狼藉を許してくれ隊長!!

 

 

 

「隊長は、男性とお付き合いをしたことはあるでしょうか?」

 

 

「ん?……んなっ!?」

 

 

 瞬時に顔が一瞬赤くなる隊長。その時チラリと目線がレックスに向いたのを確認した。今はそう言うの良いから!!俺の質問に答えるんだよワレェ!

 

「何を言っている馬鹿者!」

 

「大真面目な話です隊長。で、どうなんでしょうか」

 

 隊長の大声も何のその、これは結構マジな質問だ。主に隊長の男性観についてだが……周りの連中のうわコイツ馬鹿やってんな―という冷たい視線はあえて無視する。

 

「な、無い!わざわざそんな事を聞いてどうするのだ!」

 

 やはり初心か。となれば確かに勘違いを起こすのも無理はないか。こればっかりは男の性質を知らないとなー難しいよなー。

 

「なるほどわかりました。では隊長にお教えしましょう」

 

「なななっ!?」

 

「―――」チャキ

 

 詰め寄ればワタワタと退いて行く隊長。可愛いね。…レックス恐らく無意識だろうけど剣に手を掛けようとするんのやめようマジで。

 

 

「男とは馬鹿な生き物なのです!!」

 

「は、はぁ!?」

 

 大きく断言すれば困惑しきった隊長の顔。なるほどわかってはいても理解はしていないか。……一応男所帯の部隊の長なんだけどな。そこら辺はまぁしょうがない。

 俺やビジュが睨みを利かせていたしー。

 

「男という生き物は誇りと浪漫と意地によって構成された愚かで馬鹿な生き物なのです。傍から見れば馬鹿みたいなことを真面目にやってしまう!そういった愚かな生き物なのです!」

 

「それが、イスラとどう繋がるというのだ」

 

「まぁ慌てないでください隊長。先ほども言いましたが男とは見栄や誇りの為に人に相談すればそれで終わる話を抱え込んで己の意地でどうにかしようとするそう言ったプライドがあるのです」

 

 困惑色が強い隊長をひとまず置いて今この場にいる男3人。レックス・ヤッファ・キュウマを見る。

 

「ヤッファ、キュウマ。一見賢らに振舞ってる様にしているが俺にはわかる。お前達もまた大切な者の為なら馬鹿なことを真剣に、それこそ己の全てを掛けてするようなそんな熱がある。そうだろう?」

 

「あー…さて、何の事やら」

 

「申し訳ありませんが発言は控えさせてください」

 

 とぼけても無駄だぞお前ら。鬼獣ルートでは意地とプライドと誇りにかけてそれぞれ結構な事しているじゃねぇか。

 ヤッファは呪詛みたいなもので時折苦しんでいるが秘密にしているし。キュウマは亡き主であるリクトの遺言を巡って凄まじい行動ばっかするし…

 

 まぁこの世界線は機霊ルートなのでそんな熱は心の奥底にしまっているだろうけど。…ヤッファについては後でクノンにチクっておこう。

 

「それに隊長。レックスをよく見てください。奴はもう手の施しようのない大馬鹿者です。もはや手遅れです」

 

「それはそうだ」

 

「ちょっとひどいよ!?」

 

「事実だ。貴様は自分の大切な者なら自分の身を顧みずに動く、そういう奴だ」

 

「うっ」

 

 レックスなんてもうね。話し合いで結構暴走するし一人で抱えこむ癖があるし、誰かが見ていないと無茶を平然と起こす馬鹿者である。

 

「そして俺もそうです。貴方や部下達の為ならばどんな苦しみでも引き受けましょう」

 

「……そうだな。お前はそう言う奴だった」

 

 呆れたような笑い方をする隊長。ずっと迷惑かける馬鹿な男で本当にすみませんね。反省はします改善できるかどうかはわかりませんが。

 

「話を戻しますが俺からすればイスラは1人の男。奴は奴の意地があり目的があって行動しています。それを決めつけ、理解した風に言ってしまえば本当の目的を奴は吐かなくなってしまうでしょう」

 

 イスラの願い、想いとは。奴自身の本当の気持ちなんて奴自身が話してくれなければ誰にだってわからないのだ。

 

「隊長、奴から話を聞き出しましょう。それが例えどんなに愚かな願いや望みであっても隊長には聞く責任と義務があります」

 

 イスラにとっての最愛の姉であるからこそ。イスラの抱えていた想いを聞かなければいけない。受け止めれるかどうかは隊長次第だが。

 

「そのためにも必ずイスラに会って理由を吐き出させましょう。なーに意固地になっているのなら俺のケツ叩きですぐにゲロりますよ」

 

「お前のそれは拷問だろう…」

 

 俺がケツ叩きの要領で腕をブンブン回せば隊長は苦笑した。ふむ結構本気なのだが…おっと気合の入り過ぎで手の残像が見えなくなってしまったうっかりうっかり。

 

「兎も角、皆も協力するからイスラを止めようアズリア」

 

「ああ……本当にありがとう」

 

 

 

 

 

 

 

 

「レックス」

「うん」

「何となく予想は付いているんだろ」

「――まぁ、ね」

「もしもの時は俺が全力を出す。思うようにやってみろ」

「ありがとう」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そうしてイスラが遺跡に姿を現したのはそれからまもなくだった。

 

 報告を受けた俺達はそれはさっさと準備をして出撃だった。今回のブリーフィングは超簡略方式だ。

 

「みんな、まずは俺に最初に話をさせてくれないかな」

 

「説得か?通じないというのは分かっているな」

 

「勿論分かっている。それでも最初に話をしてみたい」

 

 という訳で今回レックスはイスラに説得に出る。勿論交渉は決裂して戦いになると俺にはわかってはいるのだが何事にも順序というのがあるのだ。

 

「では戦いになった時のことを想定して作戦をきめよう」

 

「……無駄だという前提で話を進めるのはやめてほしいなぁ」

 

「そもそもイスラは1人だけだろ。全員で囲んで締めればそれで仕舞いじゃねのか?」

 

 レックスが小声でむにゃむにゃと言ってるがそれは無視をしてカイルの当然の疑問に俺は頷いた。

 

「確かにイスラに味方はいない」

 

「なんか言い方に棘がある」

「ボッチ」

 

「だが、味方がいないと分かって只木偶の坊の様に待つ奴だと思うか?何らかの手段をもって数を揃えてくるさ」

 

「もしくは魔剣の力を出鱈目に振り回すか、だろうな」

 

 ヤッファの言葉に深く頷く。魔剣の出鱈目さを知っている彼等からすればソレを縦横無尽に扱うイスラはまさしく強敵にだろう。

 

「それか出鱈目に亡霊を呼び出すか、まぁ何であれイスラの相手はレックスと隊長に任せる。俺達はその前座と行こう」

 

「隊長さんにか?」

 

 荷が重くはないのか?と目で語られたがそれについては問題なし。

 

「ウチの隊長だぞ。弟に説教をかますくらい訳ないさ」

 

「だと良いがな」

 

 とまぁに皮肉を言うが、何だかんだで皆隊長のことを心配して援護してくれるだろう。そう言う懐の深い人たちなのだ。

 

 これで作戦は決まった。臨機応変ではあるが最後の締めはレックスと隊長に任せその他大勢は状況に合わせて柔軟な対応をするわけだ。

 

 そして俺には何よりも大切な役割…奥の手の準備をしなければならん。

 

 

 

 

「ビジュ、レシィ」

 

 俺が最も信頼する者達へ声を掛ければ何だと問うような視線が返って来た。

 

「今回俺はストラは使わん」

 

「ほぅ」

 

「分かりました。理由があるんですね」

 

 目を細めたビジュに対してレシィは心得たと一言。何とまぁ頼もしいのか。

 

「とはいえだ、派手に暴れるのは変わらないからそこは安心してくれ」

 

「?ならストラは何の為に…いいえ。分かりました全力を尽くします」

 

「こりゃ、あのガキは心底哀れな事になるな」

 

 レシィは訝しんだがすぐに俺の援護に回ってくれることに納得。

 ビジュはニヤニヤと意地の悪い笑みを浮かべるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 遺跡の最深部、その一歩前ぐらいか。イスラはそこにいた。待ち構えていたというのか…あの扉の奥が核識の間なんだよな?

 

 見てるかディエルゴ?必ずお前に究極奥義ぶちかましてやるからな?

 

 と、そんな阿保な事は置いておいて。

 

「無色の連中も意外とあっさり負けちゃったな。もう少しぐらい頑張ってくれても良かったのに」

 

 大勢がいるのに、イスラはまだ余裕の表情。それはそうだ魔剣があるから。

 

 …散々人を傷つけて後がなくもう突っ走るしかないっていう開き直りかもだけど。

 

 イスラは嗤う。大勢で来ても雑魚の群れだと。数の暴力で今度こそ力づくで剣を奪うのかと。

 

「イスラ降伏してくれ」

 

「はぁ?」

 

 レックスは伝える。力づくにはしたくない。無駄な争いはもうやめて遺跡を封印しようと。

 

 両者の話は交わらない。だってイスラの望みは……

 

 

 

 

 

 

 

 

 そうして交渉が決裂してイスラは魔剣を抜きその力を使って、遺跡の亡霊たちを無理矢理呼び起こし従わせた。

 

 呼び出された亡霊たちは無理矢理イスラに従わされ俺達を襲いかかろうとする。

 まぁ分かってはいた事だ、だからこその対処の仕方もある。

 

「ファリエルよ。亡霊だが…あれは死んでいるのは間違いないな?」

 

「はい。眠っていたはずなのに魔剣の力で呼び起こしているんです」

 

 リィンバウムでは魂が輪廻転生をするのだが…ここの亡霊たちはそれが出来ないらしい。その苦しみは死んだ事のない俺にはわからんが。

 無理矢理従わされているのなら解放させてやった方が良いのは一目瞭然か。

 

 

「なら元から死んでいるし楽にしてやった方が温情という奴か」

 

 軽く肩を回す。最初から分かっていた事なので皆も戦闘準備は万全だ。レックスと隊長はイスラを説得できなかったことに歯痒そうではあるが…。

 

 だがもう戦いは始まる。当初の予定通りにイスラへの道を俺がこじ開けよう。

 

 

「ビジュ。久しぶりに俺と競わんか?」

 

「ヒヒッ 亡霊相手にスコア競争ってか。随分とまぁ外道な事で」

 

 ビジュを誘えば何ともまぁいやらしい顔をしている。それはそうだ、今からこの亡霊たちを相手に派手に暴れようとしているのだから。

 

「隊長、レックス。先陣は俺とビジュが切り込みますので」

 

「あの糞餓鬼をちゃんと躾てやってくださいよねぇ」

 

 うじゃうじゃと現れる亡霊たち。その数は如何見積もっても俺達の倍以上はいる。望むところだ。

 

「よろしく頼むよ」

 

「…すまん。お前たちに任せる」

 

 隊長とレックスの許可が下りた。つまり亡霊をやって良しという事だ。これは滾る、久しぶりに全力でぶち抜けるのだ。

 

「レシィ、ついて来い」

 

「いつでもお傍にいます」

 

 レシィにはついて来いとそれだけ。後は俺が戦いやすいように場を整えてくれるだろう。

 

 他の皆も気合は十分。愚かでどうしようもない清々しいほどの大馬鹿者に手を差し伸ばすために。

 

 

 

 俺だってイスラには言いたいことは一杯ある。彼の望みを知っているからなおの事。

 

 だが…それは俺があーだこーだというべきでは無かろう。

 

(部外者が口を挟む事ではない、か)

 

 同じ適格者のレックスと姉であるアズリア隊長の言葉なら彼の心に強く響くだろう。だから俺は何かを言うのはお門違い。

 

 

 まぁ尤も?

 

 

 手も足も出すし

 

 最悪の事になったら?

 

 

 

 

 

 俺の究極奥義の一つをぶち込むけどね!

 

 

 

 責任取れよイスラ!!

 

 

 

 

 

 

 

 




ちょっとアンケートを取ってみます。
終わりに近づくと嬉しい様な寂しいような不思議な気持ちです。

サモンナイト3の隠しルートであるイスラルートをクリアーことはありますか?

  • クリアーしたよ。内容も覚えているよ。
  • クリアーしたよ。でも内容はうる覚えかな…
  • やってません。でも動画とかで知ってるよ
  • やってません。内容も知りません。
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