遅れてきた直接攻撃の……   作:灰色の空

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原作最後のお話ですね。
あともう少しお付き合いよろしくお願いします



最後の休息

 

 

「気持ち良くて…温かったんだ」

 

「イスラ…」

 

 カイルの海賊船の一室。そこでイスラは窓の外、穏やかな海を見て穏やかに口を開き始めた。

 

 姉は泣いていた。

 

「僕はね。レックスに言われてさ…ああこの世界でも生きていていいんだって。僕のために泣いていてくれる人がいるんだってようやく気付けたんだ」

 

 イスラはあの遺跡でのことを思い返しながら自分の胸に手を置いた。確かな鼓動をして生きている自分の音を確かめながら。

 

「皆に迷惑ばっかりかけて、それでも僕を止めようとしてくれる優しい人たち。…気が付くのに時間が掛かってしまったけどそれでも言わせてほしいんだ」

 

 イスラは泣いている姉に目線を合わせた。その目には姉への感謝が溢れんばかりに宿していてイスラは素直な気持ちを吐露することが出来た。

 

「ありがとう姉さん。ずっと僕を想っていてくれて。いっぱい…一杯愛してくれて」

 

「イスラぁ…」

 

 本当はもっと言いたいことがある筈なのに大好きな姉を前にすると言葉が足りなくなる。

 もどかしさを覚えながらようやく大切な事で伝えたいことを伝えれてイスラは心の底から微笑んだ。

 

 姉は泣いていた。

 

「もう大丈夫だよ。病魔の呪いはオルドレイクが言っていたように消えているし体も健康そのものなんだ。レックス達は休んでいろって言ってたから

もう少しだけ甘えさせてもらうけど…」

 

「イスラ…」

 

「ああ、姉さん泣かないで。本当なんだ。ギャレオの…彼のストラのお陰なんだ。身体は軽くて今まで以上に力が出そうで。でも何よりも」

 

 そこでイスラは言葉を切った。あの時自分がギャレオに何をされたのかそれを思い出し口元に指を添わせながら。

 

「彼から流れ込んできたんだ。…温かいアレが。それが僕に染みわたって…姉さん。アイツさ。アイツはね」

 

「イスラ…?」

 

 弟の口調の変化に姉は目から流れる涙そのままに弟を見上げた。

 そうして泣きながら目を逸らしていた現実をその目に見ることになった

 

「僕に対していつもで適当で理不尽に対応して、口ではずっとどうでもいいとか言いながらもさ。僕にさ…」

 

 

 万感の想いを吐くそのイスラは…

 

 

「僕に生きろってずっとそう言ってたんだ」

 

 頬が紅潮していた。目がトロンとしていた。吐く息はどこか艶やかだ。

 

「酷い奴だよ。あんなにさぁ。あんなに僕は聴く耳持たなかったのにさぁ…アイツずっと僕を案じていたんだ。無意識なんだろうけどずっと僕を…」

 

 言葉はどこか浮かされたような熱がある。言葉の一つ一つが心の底からの親愛に満ち溢れていた。

 

「ストラも…出来るようになってから僕の事を意識していたのかも。…アイツの記憶?記録が少しだけ…流れたんだ」

 

「い、イスラ…?」

 

「アイツずっと独りなんだ。僕よりもずっと……それなのに人を助けようだなんてさ。…ああ本当に…本当に」

 

 自分の唇に触れてその吐息と熱っぽい目はまさしく…姉は認めたくなんてなかったがそれはまさしく。

 

 

「温かったなぁ…」

 

イスラぁああ……

 

 姉は只泣く事しか出来なかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 遺跡の再封印はかりそめの物にしか出来ずサモンナイト3のラスボス『ディエルゴ』はまんまと目覚めてしまいました。

 

 ん?再封印できたから今島はアイツに乗っ取られていなかったんだっけ?話をよく聴いていなかった…反省だな。

 

 なんて自分の記憶力と話を聞いていない阿保っぷりに苦笑するギャレオです。

 

 今現在はカイルの海賊船にいます。原作通りというか島は亡霊共であふれかえっておりこの海賊船付近の浜辺に島の住人全員が避難している状況です。 

 

 

 んで現在さてどうするかと話を進めている状況のはずなのですが…

 

 

「おいヤード話して来いよ」

「無理ですよカイルさんがどうぞ」

「全くヘタレね」

「そう言うスカーレルは腰が完全に引けてるぞ」

「ヤッファ殿も毛が逆立っております」

 

 なんか野郎どもが凄く俺から遠ざかっているんですが!?何なのソレ!酷い苛めじゃないか傷付くぞ!

 

「何だお前たちのその反応は」

 

「そうだよ。ほらアニキ達ギャレオが可哀想じゃん」

 

 凄く傷付きながら非難すればソノラが援護してくれた。ええ子やなぁ。オジサン嬉しいよ。

 

「あのなぁ!ソノラはそりゃ平気かもしれねぇがよ。男の俺からすれば大問題なんだ」

 

「別にギャレオ殿が悪いわけではありませんが…そのですね。あの光景を見た後だと」

 

 カイルが吠えるがどうにも覇気がない。そしてなんだキュウマ。俺が何を…あーそういう?

 

 

「何だお前達。イスラへのアレを気にしているのか」

 

「うっ」

 

 イスラにストラを口付けで吹き込んだのを気にしてるのか?なんて度し難い奴らだ…全く失礼しちゃうわ!

 

 ちなみにその当のイスラは命が助かったのは事実だが死にかけていたのも事実なので部屋で休ませています。

 

 俺のバリストラ。死者蘇生…とまではいかないが瀕死になった者を無理矢理俺の生命力を与えて現世に呼び起こす。

 

 ギャレオとの完全融合を理解した今ようやくできるようになった究極奥義で…イスラを助けるにはそれしかなかった。

 その方法が口付けだったので引かれているわけだが。しょうがないじゃん。アレは体内にストラを送り込まないといけないほどイスラの身体は中から壊れていく状況だったんだから。

 

 まぁその口付けでしか上手く効果が発揮できないのが現状の改善要素なのだが。

 

 兎も角だ。アレは人命救助。人に引かれるいわれはない!!ないのだ!!

 

「そもそもアレは緊急対応…つまり人工呼吸と一緒だ。カイル貴様とてもしヤードやスカーレルが溺れたとして助ける為に人工呼吸をするだろう?」

 

「そ、そりゃ…まぁ」

 

 カイルなんだその煮え切らない態度は。ヤードとスカーレルがお前を見ているぞ。

 

「それにだ。さっきから黙っているレックス。貴様こそ人を助ける為なら手段を選ばない。違うか?」

 

「違わないけど…手段を選ばないっていう言い方はどうかと」

 

「人を助ける手段があり一刻の猶予もない状態。貴様が同じ立場で能力があるのなら同じことをやったはずだ。例え相手がジャキーニのようなひげ面の男だったとしても」

 

「うっ!?……うん

 

 なんだよレックスその反応は。如何した善人?貴様のお人好しはその程度か?

 

「貴様等さっきから何なんだ?初心でもあるまいしシャッキリせんか」

 

「そ、そうだとしてもなぁ…俺達だって…ああくそ!

 

 なんか俺を見る目が変だったので一喝すればカイルが突如叫んだ。顔が青いやら赤いやら色とりどりだ。

 

「おいギャレオ!テメェの好みの女ってのはどんな奴だ!今すぐに答えろ!」

 

「何を言うかと思えば。そんな事を言ってる場合か?そう言うのは酒の席で…」

 

 好きな女の子談義?そう言うの俺凄く好きだけどそんなこと言ってる場合じゃないと思うんだけど?現に島の中には亡霊たちが蔓延ってるんですけど?

 

「そう言う状況なんだよ!ここには綺麗所がごまんといる!さぁ答えやがれ!

 

 だけどカイルは返答を一切返さない。なんか必死な感じだ。それは他の男性陣も一緒。…ここまでくると答えないと可哀想か?

 

「あ、アニキ別にそう言うのは終わってからでも」

 

「いいや今だ!今はっきりしねぇと安心して背中を任せる事が出来ねぇ!そうだろみんな!」

 

 カイルの叫びに男性陣頷いた。…えぇ。なんでやねん。人命救助やぞ人命の救助。褒められて当然なはずがどうしてそこまで恐れられてしまうのか。

 

 

 そもそも泣きたいのは……はぁ。仕方ないカイルの気持ちも分からんでもない。

 

 この馬鹿話にもうちょっと付き合うか!俺も同性とそんな馬鹿話をしたいっていう欲もあるし!!

 

 

「ふむ。わかった。となると…」

 

 確かに今ここには女性陣が勢ぞろいしている。いないのはアズリア隊長ぐらいか。…そして皆興味深そうというか俺がどんな返答をするのか固唾をのんで見守っている感じだ。

 

 しかし好きな女…つまり俺のタイプねぇ。ちょっと思考が外れるがサモンナイト3はギャルゲーと言わんばかりに女性陣の属性が豊富だ。

 

 大人しい令嬢にツンデレ令嬢。元気っ娘の海賊娘に天然お転婆幽霊にクール型情熱美人お茶目な未亡人にジト目看護人形。そして我らが帝国の貌である女軍人。

 少し外れると素っ気ない暗殺者もまた一つか。…ちみっこ妖精?あの娘はまぁ娘枠でどうぞ。

 

 ちなみにだが乙女ゲーとも呼ばれる。男性陣も女性陣に負けずに魅力たっぷりな漢達が多いので熱を上げた淑女乙女たちも多いだろう。ぜひその熱を語ってほしい物だ。

 

 とそんな感じで改めて女性の中でやはり気になるのは…

 

「―――」

 

「…え?」

 

 ふとレックスと目が合った。レックス…サモンナイト3の主人公だ。完璧すぎるほどに善人で文武両刀のお人好しの先生。

 少々抜けている事や甘過ぎるくらいがあるがそれぐらいの欠点は愛嬌と感じるほどに人気の男主人公。

 

「ちょ!?レックスを見てるよ!」

「マジか…マジなのか?」

「違う!」

 

 そう男主人公なのだ。つまり女性主人公もいる訳で……

 

叶わぬ想い…か

 

 そう、女性主人公アティに会ってみたかったのだ。

 

「マジかぁあああ!!」

「やっぱりレックスだと思ったのよね!」

「違う!違うんだ!きっと俺を見て誰かを連想してる目だアレは!」

「腹をくくれレックス!お前の犠牲は忘れねぇぞ!」

 

 アティ。サモンナイト3人気投票トップクラスの可愛めの女性だ。性格は天然でおっとり系。善人でお人好しなのはレックスとは変わらないがなんというかレックスは動作の一つ一つがカッコいいのに対してアティは物凄く可愛いのだ。

 

 そう可愛いのだ。とてもとても可愛いのだ。

 

 とても大事な事なので何回でも主張したい。

 

「先生…そうだったんですね!」

「違うんだアリーゼ!誤解しないでくれ!」

「先生が夜ギャレオさんと会ってるの私知ってます!」

「??????」

「マジかよ…夜の密会ってか…」

 

 何なんだろうねあの可愛さは?アレで教育者でしょ?あの可愛さで先生なんかしたら生徒の性癖捻じ曲がるでしょうが。

 責任取れよ天然ポヤポヤ娘がよぉ…

 どんだけのプレイヤーが攻略できなくて涙をのんだと思ってるんだよ可愛いがよぉ…

 

「年貢の納め時だな」

「誤解だってば!アレは…その」

「夜会ってたのは否定しないんだ」

「先生はギャレオさんとお話しするときとても楽しそうなんです」

「…アリーゼ目を輝かせていない?」

 

 オマケに戦闘面でも強いんだよ…PS2版では召喚士型にすりゃ無法も良い所よ。お陰で戦士型レックスが弱いとかそう評価されてしまったんだぞ!?

 ちゃうねんお前が強すぎるだけだっての。オマケに戦士型にしてもSランクまで召喚レベルあがるし…抜剣出来て鬼に金棒だし…

 

「大丈夫です先生。私は誤解なんてしません」

「アリーゼ…」

「だから夜ギャレオさんと皆に内緒で何をしていたのか聞かせてください!」

「アリーゼ!?」

「教育に悪い男共よのぅ」

 

 色々とまぁあるがとにかく戦士としても召喚士として非常に優秀で医者になりたかったとか善性の人間で。

 正直会ってみたかったのは間違いない。

 レックスはそれはそれでとても気軽に話せるのでレックスで良かったと思ってもいるけど。

 

「ぬぅ…顔も性格も良いとかどうなってるんだ?」

 

「やっぱり先生の事を言ってるんだよ!」

「それ褒めてないよね?苛め?そろそろ俺泣くよ?」

「レックス殿…ええ大丈夫です。誤解はしません」

「なら何で遠ざかるの?俺だって傷付くんだからね?」

「先生の性格変わってるじゃん。怖っ」

 

 レックスがここにいるのならアティはどうなっているんだろう?二者択一の選択なのでレックスがここにいるという事はアティは存在しないという事になってしまっているのだろうか。 

 

 だからまぁ。タイプというと違うかもしれないが。会ってみたかったのだけは間違いない。…会ったら俺はチョロイのでコロッと堕ちそうな気がするが。

 

 

「おい、アイツ等の装備だが…何だこの空気は?」

 

「あ、ビジュ」

 

 と、皆でアホな事をしていたらビジュがひょっこりとやってきました。確か部下達を派遣して集落の住人の安否確認をしていたんだっけか?

 

 ビジュの隣にはレシィもいた。ビジュの手伝いをしていたのだ。本当に気が利く護衛獣だ。

 

「おいビジュ!ギャレオの奴さぁ!アイツだけどよ!」

 

「あ?」

 

 カイルが慌てて事情をビジュに話し始めた。…こう言っては非常にアレだがカイルと話すビジュって滅茶苦茶レアな光景なのでは?

 そもそもビジュ自体があんまり人と話すのを好まないたちでもあるのだが。原作では見られない光景で少しだけ尊いものを感じる。

 

 そうして何の話をしていたのか分かったビジュは呆れを前面に出して…にやっと笑った。

 

「あー…そういやぁ学生時だったか?ギャレオの奴半裸で中年の脂ぎったおっさんを追いかけまわしていたな」

 

「マジかよ!」

「学生…?」

「若い頃からそのケが」

「あ、アンタらに学生時代ってあったんだ」

 

「…あれはノリに乗って遊んでいただけだ。そもそも女子にセクハラをしていた奴が悪い」

 

 随分と懐かしい話を持ち出すもんだ。学生の頃の思い出で青春の一ページ。あれで俺は謹慎を喰らってビジュもまた巻き添えになって…今となっては確かに笑い話か。

 

「んでマジでギャレオってばそうなの?」

「違う。アイツ自身が女っ気がねぇのは確かだがな」

「なんか汗臭そうな青春」

「……どうだが。可能性はあったがそこの馬鹿が気付かなかっただけだ」

「ん?それってつまり…?」

 

 青春の懐かしい思い出と言っても訓練漬けではあったのでそれほど記憶もないが。そもそも俺に友人なんてまともに出来なかったからな!

 

 ……所で思い出したがあの女の子。今どうしてるんだろう?あの一瞬だけの付き合いだけだったし顔なんて覚えてもいない。確か髪は赤毛?

 赤銅色?だった様な気がする?記憶がおぼつかないが覚えている事だけはある。

 

 深く吸い込まれるような蒼い目をしていた。それだけは覚えている。 

 

 …まぁ彼女は俺のような不良軍人とは違って優秀な軍人にでもなってるだろう。それかとっとと退職して一般人にでもなってるかだ。俺とはかかわりあいのない話。

 

「さて、お前達。そろそろ歓談は済んだか」

 

「どっちかーつとお前の所業のせいだが?」

 

「そんなものはこの戦いが終わったら存分に語ってやる」

 

 そう言う話は凄く好きなのだ。ただ自分には縁がなく、そしてこれからも縁が無いだろうと理解しているだけなので。

 

 だけどそれはこの最終決戦が終ってから。そうしたら存分に語ろう。この島の女性陣の顔面偏差値がどれだけ高く綺麗と可愛いを兼ね備えているか。

 

「うん分かった。それじゃ終わったらギャレオの好みの人でも聞かせてもらうとするよ」

 

 仕切り直しをするかのようにレックスがパンパンと手を打ったらスッと全員の顔が引き締まった。…もしかして俺で遊んでいた?

 

「それじゃ確認だ。あの途中で出てきて喋ってたあれは俺達のマスターだったハイネル・コープス。奴の狂った精神を核にした怨根の集合体だ」

 

 ヤッファ、及び当時を知る護人達曰く、ディエルゴと名乗っていたアレはハイネル・コープスの狂気に触れた部分だという。

 核識になったハイネルは島の全生命体の悲鳴や狂気、憎悪を浴びて壊れたのだと。それが今回遺跡怨念たちの核となって甦ったのだ。

 

 …申し訳ない話だが俺には関係のない話なのでカット。なーに要は同情する必要のないラスボスだって話だ。

 

「奴を止める方法は一つ。遺跡の中枢部。核識の間に乗り込んで直接封印の剣を叩きこむ」

 

「だけどディエルゴもそれを警戒しているでしょうね」

 

 まぁ良くあるラストダンジョンに乗り込んでラスボスを倒すというアレなのである。分かりやすくていいね!

 

「…それがこの島を守るための最後の望みなら。うん、やろう!」

 

 封印の剣及び魔剣を持つレックスは実に軽く快く頷いた。何とも頼もしい言葉だ。

 

「俺は守りたいんだ。皆と出会ってこの楽しい日々を過ごしてきたこの場所を。望みがあるのならあきらめる事なんてしたくないんんだ」

 

 もっと、これからもたくさんの思い出を作っていきたいからね。そう言い切ったレックスは改めてこの場にいる全員の顔を見回して。

 

「だからやろうよ!皆の力を合わせてこの島を救おうよ!」

 

「ったくしょうがねぇ奴だなホント、お前はよ」

 

「先生はしょうがない人ですね…勿論最後まで私も付き合います」

 

 レックスにそう言われてしまったら。皆もしゃーないと言わんばかりに苦笑していた。出来ると言ったのならできる今までと同じ。

 

 何とも頼もしくそして素晴らしい人たちだと。俺は後方強者面になりながらそう思ったのだ。

 

 

 

 

 

 その戦いに()()()()()()()()()()()()を申し訳なく思いながら…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「準備の方はどうだ」

 

「ウッス。ギャレオ副隊長今のところバッチリです」

 

 あれから各自最終決戦に向けて準備の為に解散となり俺は部下達の元へと足を運んでいた。

 

 帝国海戦隊第6部隊。俺の可愛い部下達は島の住人たちが集まるこの拠点の防衛の為に装備品や物資の準備などをしていた。

 物資とは言っても相手は亡霊なのでどちらかというと対亡霊用道具だろうか?サプレスの方々に頼めばなんか融通してくれるだろう。

 

「物資の方は?武器や防具…サモナイト石に道具類は?」

 

「そこら辺は住人たちが好意で貸してくれたもので補っています。中々高品質なものが揃ってますよ」

 

 見れば確かに武器や防具が新調されている。メイメイさんの店の品もある所から全員が最終決戦用の装備を整えられているようだ。

 

「そうか…」

 

「ギャレオさん。大丈夫っすよ」

 

 その声には快活さがにじんでいた。思わず部下を見ればニヤリと笑っている。力強い漢の笑みだ。

 俺の中にある不安を見透かられたようでちょっと恥ずかしい。

 

「ようやくこの島の住人たちに礼を返せるときが来たんです。今までずっと助けてくれたのですからその礼はしないと」

 

 無色がいた時に巡回やシアリィを助ける為に部下達は行動していたがそれでもまだ礼を返したとは思っていないらしい。

 

 随分と見上げた心意気だ。俺が特に言わなくてもやる気は十分で何とも頼もしい。

 

「それに」

 

「それに?」

 

「ほらっ住人の人達にはかわいい娘がいっぱいいるじゃないっすか。ちょっとはカッコいい姿を見せても罰は当たらないっすよね」

 

 …確かに島の住人達にはかわいい子たちはいる。いるのだ。画面に映らないだけで風雷の郷やユクレス村。狭間の領域には確かにいる!

 え?ラトリクス?…真性のメカ好きな上級者には堪らないだろうね。

 

「ふっ なら俺達の力を見せつけんとな」

 

「うっす。そりゃもうメロメロにしてやるッスよ」

「ええ。そしてあわよくばひと時のランデブーを」

「まぁ多少はね。良い夢見たいなぁ」

 

 口々に好き勝手宣う部下達。とは言え誰もが分かっている。俺達は帝国へと帰らなければいけないので惚れた惚れられたとしても残る訳にはいかないのだ。

 

 俺達はアズリア隊長の元に集った大馬鹿者たちなのだから。

 

「それで。聞いた話ですがイスラの奴と」

 

「誤解だ」

 

「あーやっぱ噂は本当だったと」

 

 急な話の変え方に身構えたら案の定だ。納得いったように苦笑する部下にげんなりとした顔になる。

 

「ちゃんと分かってますよ。イスラの奴助けようとしたってだけでしょ」

 

「分かってくれるか。アイツ等は初心なせいかどうにも俺を変な色眼鏡で見てきてな…」

 

 何でそう俺を変な方向に持ってきたがるのか。一応理解は示す心の広い俺なので怒りはしないが何とも溜息が出てしまう。

 

「仕方ないっす。ギャレオさんガタイの良い男なんで。付き合い長くなきゃ誤解されるのもしょうがないっす」

 

「どうして血まみれ青少年を助けただけでこんな言われようを…俺のファーストキッスは血の味だった」

 

「大部分は自業自得ですが…ご愁傷様です」

 

 ククッと笑う部下。周りにいる者達も話を聞いているのか呆れたように笑うばかりだ。あーもー部下の前では弱みは見せたくなかったのだが。

 

「んーアドバイス要ります?」

 

「頼む。俺ではどうすれば良いのか思いつかん」

 

 勘違いされるのは仕方がないとして続けられるとモニョる俺である。普通に女の子が好きですよ?

 

「女を作ることです。彼女の一人でもいればなんてことないって話ですよ」

 

「簡単に言ってくれる。俺のようなブ男。好かれると思うか?」

 

 厳つい顔で四角四面なそんな俺だ。これで女の子が寄って来るだろうか。いやない。それはないのだ残念ながら。

 

「そうですかねぇ~この広い世界物好きは必ずいると思いますけど」

 

「ブ男というのを否定せんか」

 

 そうやってバシリと部下の背中を叩いて大いに笑い合いながら下らない事を話して俺と部下達は決戦前を緩やかに過ごした。

 

 

 




あと一回ほど心残りを清算して。最後の戦いですね。
恐らくあと5話ぐらいで終わるかな?
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