遅れてきた直接攻撃の……   作:灰色の空

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まずは初戦です
雰囲気をお楽しみいただければ幸いです。


VS島の亡霊

 

 

 

 レックスたちが遺跡を封印しようと核識の間向かってる中。ギャレオの予想通りに拠点へと襲撃してきた亡霊たち。

 

 島の住人達を護る為の戦いが始まって間もなく。

 

 

 戦局は現在生者たちの方が優勢だった。

 

 

「オラッ!」

 

「ウォォオ……!」

 

 帝国軍人の大剣が振るわれるそれを亡霊は斧で防ぐ。生前持っていた斧は質が良かったのか錆びてはいるものの大剣を難なく防いだのだ。

 

「チッ…舐めんじゃねぇぞクソボケがよッ!」

 

「オォ…」

 

 つばぜり合いは数秒続き、力任せに吹き飛ばした軍人が大剣を持ち構えた時だった。

 

「光あれ!」

 

 空から降り注がれた光が亡霊を蒸発させた。その呆気なさに一瞬ポカンとするものの誰が何をしたのかすぐに把握し空に向かって礼を叫んだ。

 

「っと。天使さんかい。ありがとよ!」

 

「敵はまだまだ来ています御油断なさらない様に!」

 

 天使ことフレイズ。その空を飛べるという能力をもってして遊撃を務めていたのだ。空を飛ぶという機動力に戦場を俯瞰できる立ち位置。

 そしてなによりもサプレスの亡霊に特攻が出来る浄化の光を扱える彼は戦場をせわしなく飛び回っていた。

 

(しかし。ここまで拮抗できるとは)

 

 眼下に広がるのは砂浜に展開している部隊と島の森から次々と襲い掛かってくる亡霊たちとの戦場だ。敵の数はディエルゴが健在な限り尽きぬことのないそれこそ無限。

 

 対するは島の住人と帝国軍人との混合部隊。今まで敵対していた者達が今度こそ新たな敵対者に協力する光景はフレイズだとしても心に来るものがあった。

 

 そして今亡霊達と拮抗するほど態勢を保てているのは己の役割を全員が理解してるからだ。

 

 

「へへっ どうした糞亡霊共ォ!帝国軍人の意地を思い知ったか!」

「風雷のスバルはここだい!悔しかったらこっちへ来い!」

「負傷者はこちらへ来てください。私が治療します」

 

 前衛の兵士たちがとにかく亡霊を惹きつけるのだ。亡霊達は目についた生者たちに優先して襲い掛かろうとして来る。

 挑発をして船へたどり着かせる前におびき寄せているのだ。

 

 無論その優れた膂力で亡霊の頭をかち割ることもまた彼らの役割だ。

 

「撃って撃って撃ちまくれ!弾丸は全部ツケにしてくれるってよ!」

「気前がいいねぇ!でもある程度残して置かねぇと苦労しそうな気がするぅ!」

「無駄口叩いている暇があるなら手を動かせやボケども!」

 

 その後ろでは弓や銃を持つ射手たちが亡霊召喚士たちを狙う。

 亡霊と言えども召喚術を使う理性は残っているので前衛を護る為にも優先的に召喚士たちから潰しているのだ。

 矢弾はメイメイのお店で購入した物やラトリクスで作ったものがあるので湯水のように使い潰しているのだ。

 

 兎も角にして彼らは召喚士たちを潰していく。無論前衛の援護も忘れない。

 

「風刃ッ!ええい此処まで通さんぞ!」

「流石鬼姫様!でも無理しちゃ駄目っすよ!」

「サプレス属性は回復を優先させろ!他は攻撃だ!」

 

 そして一番の後方に待機している召喚士たちは逐一変わる戦局に合わせて召喚術を行使していた。

 契約を持つサモナイト石を全員持てるだけ持ったが召喚術は魔力を使うのだ。

 射手たちと同じ様に撃つわけにはいかず、かといって使えるべき所は使う。

 

 相手がサプレスに耐性のある亡霊であるからそれ以外の3属性の召喚術を使う者が攻撃をしていた。

 

(…全員が己の役割を全うする。これこそが戦いというのですね)

 

 敵を引き受ける前衛兵と遊撃を担当するの射手。後方で召喚術を使い敵の数を減らしていく召喚士たち。

 

 彼らの奮闘で船までに近づいた亡霊たちはいない。

 

 

(何より目を引くのは…流石というべきですか)

 

 そして亡霊達を最も相手にしている者達。この拠点の戦力の要となる者達。

 

「フンッ!…柔いな。戦力を温存しているのか?」

 

 一撃必殺の拳を放ち自慢の肉体を思う存分暴れ回るギャレオ。

 

「シャア! そりゃテメェがイカレてるからだこのたわけ!」

 

 刀と投具により近距離と中距離に対応するビジュ。

 

「他の人達の負担が減るのでこのまま撃破していきましょう」

 

 召喚術や道具を使いそんな二人の援護に徹するレシィ。  

 

 

 彼ら3人は最前線だった。多種多様の亡霊たちの波を薙ぎ払うがごとく戦っている彼らの奮闘が他の者達の士気を大きく上げているのだ。

 

「何処を殴っても霧散するとか亡霊体は如何した?」

 

 ギャレオの拳はその膂力を物語るほど唸りを上げていた。太く逞しいその腕は生者を相手にしていないからその枷を外しているのだろう。

 

 一撃必殺。剛腕を振る度に鎧を着ているはずの亡霊達が千切れていく。

 手刀、貫手などの殺傷力が高い技の数々は亡霊達に否応になく死を実感させる殺意が籠っていた。

 

 

「チッ。隊長たちは遺跡についたころか?」

 

 ボヤキながら刀の剣筋は首や心臓などの急所を狙っていた。大雑把なギャレオとは違ってこちらは確実に念入りに切り捨てていく丁寧な殺し方だった。

 投具もまた相手の急所や隙を狙うとても悪態の吐いた性格からは想像できない気真面目さ。

 

「ゲレレ~ン」

 

 そしてその隣でふわりと浮いているタケシーもまた雷を放出して亡霊たちを相手にする。効果の薄いはずのサプレスの雷は亡霊にはなぜかよく通って痺れさせていた。

 悪戯好きでそこまで考えていないだろうにその雷はビジュの援護を的確に行っていた。

 

 

「フッ えいっ」

 

 そしてレシィ。彼は亡霊を斃してはいない。彼の拳では亡霊たちを相手にするには威力が足りず、また彼の召喚術や投石では亡霊を怯ませる程度だ。

 

 だがそれが確実に行われると話は違う。ビジュとギャレオの必殺の一撃が確実になるからだ。そうなれば戦闘の殲滅速度は著しく上がる。

 

 

(何と頼もしい事か。私も戦線に行かなければ)

 

 そうして戦場を俯瞰してフレイズもまた戦場に突貫する。ただ1人空を飛ぶ彼もまた亡霊を相手にするには得難い戦力なのだから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(いける…か?)

 

 亡霊たちを潰して回り自分たちの状況がある程度優勢なこの状況。見渡せば亡霊達は消えていた。フッと息を吐き残心を取りながら島の中央へと続く森を注視した。

 

 初戦ともいえる亡霊戦はこちらが優勢に終わった。それは偏に戦力と物資が充実していたに過ぎない事は重々承知していた。

 

 

 何せ原作では死亡していた我が部下達とほぼ全員が核識の間へと向かった仲間たちが戦力として残っているからだ。

 

 充実した戦力は船の防衛に必要不可欠だったとはいえこれでは少しばかりレックス達に申し訳なく思う。何せあちらはディエルゴ戦が控えているのだ。

 それなりの戦力が要るとはいえやはり不安があるのは仕方がない。…レックス達の強さを疑っているわけじゃないけどね。

 

 

 そう考え終わった時だ。ふわりと風が吹いた。つるりと俺の肌を撫でる嫌な風だ。

 

「何か…嫌な予感がします」

 

「俺もだ」

 

 レシィがポツリとつぶやいた。俺も同じく。獣の直観というのだろうか。口では表せない悪寒がはしったのだ。

 

「そう言うのは口に出すんじゃねぇよ。馬鹿主従」

 

「すま…ッ!」

 

 ビジュが窘める様に口にして俺が流石にフラグ過ぎたと思った時だ。亡霊たちの姿が森から現れた。それも先ほどよりも数は多い!

 

「敵が大勢向かってきます!皆さん迎撃を!」

 

 フレイズの声が空から届く。言われなくても分かっている事だが報告はとても大事だ。

 

 

「フンッ!」

 

 俺に目がけて走って来た亡霊に拳を叩きつける。我ながら腰の入った一撃は顔面に直撃し、亡霊兵士は吹っ飛んでいった。

 

「む?…レベルを引き上げたのか」

 

 今までは一撃で倒せていたのが今回は相手側に大ダメージを負わせただけで倒せなかった。

 

 厄介だ。そう思った時、俺はディエルゴの悪辣さを舐めていたことを知った。

 

 

「ギャレオさん!この亡霊たち船を直接狙っています!」

 

「なにぃ!?」

 

 動揺が出てくるのも仕方なかった。辺りを見回しレシィの言葉が文字通り理解できた。

 

 

 何せ亡霊達は俺達生者を優先的に襲うのではなく島の住人達がいる船へと向かって一直線だったからだ。

 

 今までは近くにいる生者に向かって散漫的な襲撃を繰り返してきた亡霊が急に統一された行動をとるようになった。

 

「チィッ!ディエルゴめ!」

 

 明らかな行動の変化にはディエルゴが関わっていると見ていい。明らかなテコ入れ。もしくは核識の間にレックスたちが入り込めたか?

 なんにせよ俺達の方針は変更となった。

 

「ジャキーニ!一家を船に乗せろ!お前達船の防衛を最優先にしろ!」

 

「「「了解ッ!!」」」

 

「お前らっ!早よう船にのれ!沖に出る準備を進めるんじゃ!」

 

「「「ヘイッ船長!!!!」」」

 

 面喰らったのは事実だが当初の予定通りになっただけだ。ジャキーニたちを船乗せる様にすれば即座に行動に移ってくれた。

 

 後は俺達が亡霊共をどこまで排除できるのかが勝負の分かれ所だ。 

 

 

「フンッ!!」

 

 走り抜ける亡霊たちへ追いつきその無防備な背中へ飛び蹴りをかます。もんどりうって転げたその頭を踏みつぶせば流石に亡霊は霧散した。

 

 注意力は散漫だが耐久力は上がってる。前衛の亡霊兵士がこれなのだ嫌な兆候だ。そしてそれは現実となった。 

 

「チッ 撃て撃て!」

 

「馬鹿野郎!誤射しそうになってんぞ!」

 

「奴らが消えたッ!?」

 

「後方だ!ボサッとしてんな!」

 

 部下達の怒声が響き渡る。新しく現れた亡霊たちを抑えようと奮戦していたのだがそれは芳しくなかった。

 

 

「『瞬間移動』か。厄介な…」

 

 

 近くにいた亡霊の首をへし折りながら唸る。この亡霊たち耐久力が上がった事に加えて瞬間移動技能持ちが増えたのだ。

 

 瞬間移動。口にすれば大したことが無いように思えるが実際はとても厄介だ。

 何せ前衛をすり抜けていくやら召喚術や矢弾から逃れるようにして瞬間移動するのだから。

 

 そんなクソめんどくさい能力を持ちながらも俺達戦う者達を無視する。それがどれほど厄介なのか。

 

「ぬぅ。イカン!船が狙われておるぞ!」

「皆さん召喚士や射手を倒してください!」

 

 前衛亡霊兵士のみならず弓や銃をもった亡霊射手。そして亡霊召喚士までもが船を狙いだし始めた。

 勿論そんな奴らも瞬間移動持ち。つまり機動力が高く遠距離攻撃を持つ厄介な連中。

 

「副隊長どうしますか!?」

 

 部下からの声。この戦場に於いて俺は前線指揮官となっているからだ。

 本当なら島の住人達を率いたこともあるミスミ様の方が立場的や能力的にも相応しいが…いや。ここは俺が踏ん張らないとな。

 

 

「作戦を第二段階へ移行する!」

 

「りょ、了解!」

 

 迷う暇は無かった。即断即決の代償は後で払うとして当初よりきめられた作戦の通り部下達が船の方へと移動していく。

 

「ビジュ!レシィ!頼むぞ!」

 

「さっさと行け!」

「はい!」

 

 その間俺達は亡霊達を倒すために散らばった。各個撃破をしなければ亡霊の数に押し込まれそうになってしまうからだ。

 

 

 

 作戦第二段階はジャキーニ一家が船の操舵を任せ部下達も甲板へ乗り込み亡霊たちを食い止めるという作戦だった。

 

 射手や召喚士は変わらずに攻撃。前衛たちは警戒。ジャキーニ一家は沖へと出る為に船を走り回る。

 ……酷い話だがネームドではない者たちを撤退させるために船へと乗せているのだ。

 

「オオオォオオオオオ!!」

 

 雄たけびを上げ敵のヘイトをこちらへと集める。亡霊と言えども生命体であるのはまた事実。

 知性体であるのならヘイトを集めるのは難しくはない。

 

「オオオォ……」

「ウォォォオ……」

 

 実際に戦場の亡霊達が俺を見た。怨念の集まりである奴らが無視することのできない雄たけびを上げれば振り向く訳で。つまり隙が出来たわけで…

 

 

「シャァ!」

「風刃!」

「光よ!」

「でぇやぁあ!!」

 

 仲間たちが奮戦し亡霊達を消し飛ばしていく。流石はレックスたちの仲間であり俺の信頼する者達。戦力として申し分ない。

 

「フンッ!」

 

 無論俺も負けずに亡霊たちを相手にする。斧や大剣を持った相手なぞ俺にとっては只の雑兵にすぎん。

 突進し斧兵を肩口からタックルをして吹き飛ばす。

 

「どっせい!」

 

「オォォ…」

 

 そのまま大剣の兵士を殴り飛ばす。殴った感触は生者とは似ても似つかないほど冷たく。

 だが確かな質感があるという何とも不思議な殴り心地だ。

 

  

 しかし俺達の快進撃には限界が来る。単純に敵の数が多いのと船への攻撃を優先する亡霊の存在があるからだ。

 

「畜生!民間人ばっかり狙いやがってぇ!!」

「船が壊れる!お前ら!しっかり狙いやがれ!」

 

 部下達の怒声が響き渡る。亡霊兵士たちの弓や銃が確かに船を傷つけているからだ。勿論そんな矢や弾を喰らっただけですぐに沈没する柔な船ではない。 

 

 だが中にいるのは民間人だ。その矢や弾が当たればどうなるか。クノンは船へ移動してもらってるためもしもの時は任せてはあるが…負傷者が出ないとは限らないのだ。

 

「フン!むぅん!」

 

 ストラを纏わせ腕力を強化する。みなぎる力を使えば殲滅速度は上がるが亡霊共が全員俺に向かってくるわけではない。

 初戦の無色と戦った時とはわけが違うのだ。

 

「おい帆が千切れそうだぞ!」

「分かっとるわい!お前ら錨を上げろ!」

 

(……仕方なし!) 

 

 どこかで割り切る必要がある。判断は即決それが俺のやり方だ。

 どうせ何をしても後悔するのなら自分がやるべき事をやってからだ!

 

「全員船へ乗れ!ジャキーニ!頼んだぞ!」

 

 レックスの仲間たちを全員船へ乗せこの島から脱出させることを決断した。

 レックスたちの事が気がかりだが死傷者が出る事よりかははるかにましだ。

 

「おっちゃん!本気で言ってるのか!」

 

 丁度近くにいたスバルが非難するかのように叫んだ。ああそうだろうな。

 判断が早すぎると思うしお前たちの強さを信頼していないようにも見えるかもしれないが…

 

「そうだ!数は相手が上!俺達には護る物がある!だったら撤退させるしかないだろう!」

 

「嫌だ!!オイラは諦めたくなんかない!」

 

 スバルは悔しがって斧を振るった。流石は鬼の子だ亡霊たちを倒すその力強さは心強い。

 心強いが…助けるべきものを分かっていない辺りまだまだ子供だな。

 

 それでもその純粋さは羨ましい。撤退=敗北と思ってしまうその未熟さが微笑ましい。

 

 だからその体をひょいとと掴み上げる。

 

「子供が駄々をこねるな!」

 

「うわぁ!離せおっちゃん!」

 

 じたばた暴れるスバル。それでも斧を手放さない辺り本当に優れた戦士の卵だ。だからこそ死なせるのは惜しいし役目がある。

 

「次期風雷の郷の長が、護るべき者を護らずにしてどうする」

 

「っ!?」

 

 船には風雷の郷の者達がいる。スバルの家族同然の人達。そして親友であるパナシェも。

 

「皆を護れスバル。それがお前の役目なんだ」

 

「…うぅ!」

 

 スバルも分かっているのだろう。自分が護るべき人達の事を想えるぐらいには賢い子供なのだ。 

 だから彼をこの場から引き離す。

 

「後は任せたぞ……フレイズ!」

 

「わっ!」

 

 スバルを空に飛んでいたフレイズへと投げ飛ばす。勿論威力はかなり手加減しているし抱きとめるには十分な速度だ。

 

「ッ!人を急に投げるのは本当にやめていただきたい!」

 

「すまんな!」

 

 唯一の飛行持ちの彼なら桟橋を外した船に追いつけるだろう。直接スバルを船へと投げ飛ばすよりはこっちの方が丁重だと判断した俺はきっと正しいはず。

 

 そうしてフレイズはスバルを抱きとめ船へと飛んでいく。後は大丈夫なのでまた亡霊を道すがら殴り飛ばしはしる。

 

「ミスミ様!」

 

「分かっておる!そなたたちは!」

 

 ミスミ様はまだ戦っていたが、俺が近寄れば何をするのか分かったのだろう。薙刀を仕舞い俺の肩へと手を掛けた。

 物わかり良すぎだろ本当にお姫様だろうか?キュウマが卒倒するぞ。

 

「俺達の事は気にせず!…頼みます」

 

「フッ。何とまぁ良き益荒男よな」

 

 ニヤリと笑う鬼姫様。何とまぁ可愛く美しくそしてカッコいい人なのだろうか。敬意を抱きながら俺はミスミ様を船へと向かって放り投げた。

 

 着地などは任せっきりだがそこは流石のミスミ様。ふわりと甲板に着地しこちらへと振り返った。

 

「流石はミスミ様。風の操作はお手の物か」

 

 遠距離攻撃・風刃の使い勝手の良さを多く語られる人だが、そもそも風自体を扱えるとんでもない人なのだ。

 帆が破れてしまってもミスミ様の風があれば多少はジャキーニたちも船を動かしやすくなるはずだ。

 

 

 これにて仲間たちの避難は完了。つまり…

 

「さて…ビジュ。レシィ」

 

「おう」

 

「はい」

 

 残ったのは俺とビジュとレシィのみだ。つまりいつも通りで最も俺が信頼を寄せる者達で。

 

「すまんが俺と共に。最後まで暴れてくれ」

 

「今更何抜かしてんだ?」

 

「言われなくてもお供します」

 

 砂浜に残るは亡霊共と俺たち3人。これほど心躍ることは無い。何も気にすることもなく何にも気を遣う必要もなく。

 

 

 

 これで全力を出せるという物だ!  

 

 

 

 

 

 

 

 

 薙ぎ払う振り抜くぶち抜く。蹴りあげる蹴り飛ばす踏みつぶす。

 

 掴みつぶす掴んで振り回す投げ飛ばす。

 

 並みいる亡霊たちを暴力の思うが儘に蹂躙する。

 

「ハハハハハ!!!如何した!!まだまだこれで終わりではないだろう!!!」

 

 斧が大剣が、槍が剣が。俺の身体を壊そうと迫って来る。それでいい。それが実に楽しい。

 

「ハハッ!クハハッ!!ガッハハハ!!」

 

 ストラを纏った腕を振るえば大剣や斧が無惨に壊れていく。槍は俺を貫くことが出来ず自壊していく。

 

 それが愉快で滑稽で笑いが止まらない。

 

「さっきからうるせぇぞ!クソゴリラ!」

 

「これを笑われずにいられるかビジュ!決戦なのだぞ!戦争なんだ!」 

 

 楽しいのだ心の底から。面白いのだ俺の拳で砕け散る亡霊が。ようやくここまで来たのだ。

 

 

「俺の全てを出し切れる戦場なのだ!!」

 

 ストラが無限に湧き出てくる。丹田が熱くて仕方がない。心臓がワクワクで早鐘を打つ。

 

 鍛えに鍛え上げたキャラで無双をするがの如く。

 

 蹂躙するのがこれほど胸が空くのだとは思いもしなかったのだ。

 

「ハハハッ……豪砕拳!牙壊!」

 

 余りにも力が湧くのでつい必殺技を放ってしまった。地中にストラを放ち爆発させる大技。

 衝撃波が俺の周りに放出させ亡霊共がまとめて消し飛んでいく。

 

 やはり奥義とは気持ちがいい。流石に使い所を誤った気がするけども。

 

 

「大丈夫でしょうか?」

「放っておけ。今までのストレスが爆発してんだろ」

「ギャレオさん溜め込みますからねぇ」

 跳躍。もはや疾走するのさえ面倒で体の衝動に突き動かされるまま跳ねる。そして亡霊に体ごとぶつかる。潰れた亡霊のなんと脆い事か。

 

 そんな俺の後ろではビジュが刀でバッサバッサ亡霊を斬り捨てていた。なんか別ゲーをしていないかアイツ?

 俺の様に一撃で葬ることは出来なくても滅多切りをしているぞ。コンボゲー?

 

 レシィはいつも通りだった。いつも通り俺達の援護をしてる。俺たちが自由に動けるようにどれだけでも暴れるように召喚師を射手を岩をぶち当て召喚術で削り、爪具で弾き飛ばし戦場を整えている。

 …いつの間に爪具を取り付けたのだろう?お陰で実質的な戦力が1人増えたわけだけど。

 

 そして船の方では

 

「あ奴らを援護するのじゃ!者ども!放てぇ!!」

 

「ギャレオ副隊長たちを援護するんだ!」

「糞共が調子乗るのも今のうちだ!」

「誰か手の空いた奴矢と弾を持ってきてくれ!」

 

 ミスミ様の号令の下、後方支援が放たれていた。俺達に当たらないように離れた者や向かってくる者達を優先的に狙っている。

 その後方では前衛の兵士たちは矢弾を持ってきたりと足を使って射手たちを手伝っているようだ。 

 

「ミスミ様奴ら撃ってきやがりましたぁ!」

 

「慌てるではない!我を誰と心得ている!」  

 

 勿論亡霊たちもただではやられてはいない。船を壊そう矢弾を撃ってるが…それはミスミ様の風によって阻まれた。

 流石白南風の鬼姫。風という攻撃にも防御にも移動にも使える万能っぷりだ。

 

 

 尤もこれは思ったよりも船の動きが悪いからの苦肉の策だとは思うが。…想定よりも住人が多くその重量がカイル達の船の負担になっているのだ。

 

 だからゆっくりとしか進めない。尤もそのおかげで俺達に援護してくれてるのだけど。

 

「すぅーフゥー」

 

 呼吸を一息。先ほどまであったアドレナリンは落ち着いて来て冷静に戦場を俯瞰できている。

 ビジュとレシィそして船からの援護で確実に亡霊たちの数は減って来ている。

 

 レックス達がディエルゴを倒すまで奮戦する。改めて気合を入れなおし亡霊たちへと飛びかかった。

 

 

 

 

 




戦闘描写は苦手。こればっかりは慣れる気がしないです
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