遅れてきた直接攻撃の……   作:灰色の空

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VS未来を護る者

 

 

 

『貴様を殺す。そのために我は生まれたのだ!』

 

 ハッキリと言えば何を言ってるんだコイツ?というのが正直な感想だった。俺を殺そうとするのはまぁ分かるとして?

 俺を殺すために生まれたとか意味不明だった。

 

 ……ディエルゴという存在自体俺は詳しい事を実は知らない。世界の意思を語る物ではあるがそもそもエルゴという物さえ詳しく知らないのだ。

 

 まぁいいさ。分かるのはコイツが俺の敵だとそれだけ。……核識の間には何もいないとかそんな事はないよな?

 

『ゥアアァァァァアア!!!!』

 

「おわっ!?」

 

 なんてアホな事を考えている場合ではなかった。『罪人の烙印』が頻繁に降り注いできているのだ。砂浜が滅茶苦茶になり地形が変わる。

 

「クソッ!しゃらくさい!」

 

 そして纏わりつくように球体が殺到してくる。亡霊よりも単純な構造だがその分の数がひたすらに多いのだ。薙ぎ払うにしても物量が違う。

 

「タケシー!!撒き散らせ!!」

 

「ゲレレレェェンン!!」

 

 ビジュがタケシーを召喚し雷を放電させた。もはや余力を残している状態ではないと悟ったのだろう。なら俺もストラを展開するしかない。

 

「うぉおおお!!」

 

 地面に殴りつけストラを地面に放出。周りに出てきた衝撃波によって球体共を吹き飛ばす。これで辺りはある程度一掃出来たが…

 

「駄目ですギャレオさん!また新手です!」

 

 レシィが駆けつけ俺にセイレーヌの回復召喚術を掛けながら報告してきた。確かにその通り球体の数は減らすよりも増える方が早い。 

 

「チッ!最悪だ…黒いのばっかりよこしやがって!」

 

 悪意は重なる。新手は黒い遠距離攻撃を主とする黒い球体がメインだった。俺が苦手とする黒いのをよこしてきたあたりディエルゴも馬鹿ではなかったという事か。

 

『ヌゥッゥウウウウウ!!!!』

 

「グゥううっ!」

 

 そして『嘆きの牢獄』魔力を持った攻撃は俺の鍛えた筋肉を貫通する。

 これまで優先的に召喚術を阻止して来たがこれには相手を倒すまで防げないのだ。

 

 完全にジリ貧だった。

 

『貴様に居場所は無い!断じてそんなものは無い!貴様はここで消えて滅びてしまえ!それが世界の意思だ!』

 

「さっきから煩い!高々一個人が世界を名乗るな恥ずかしいわ!」

 

 そして何より鬱陶しいのがこのディエルゴだ。確かにディエルゴだと言ったが結局何なのだ?恐らく原作の核識の間にいるアイツとは別の存在に見える。

 

 そしてギャレオではなく『俺』の存在を感知している。これは明確な俺に対しての敵意で分かる。

 

 確かに俺はこの世界にとっての異物だとは理解してやれるが…?

 世界が異物を排除しようとしている?

 

「世界の浄化作用?貴様もしかしてその類か?」

 

 体内の異物を殺す白血球みたいなものなのか?仮にも世界の意思を名乗るのだ。俺の存在自体がウィルスかバグのような物だとそう判断したのか?

 

 なら俺に対しての異常な敵意も理解出来る。死ぬつもりは微塵もないが。

 

『そうだ!貴様は存在してはいけないのだ!我が世界の為に!』

 

 そう叫んだディエルゴは体を発光させる。あ、マズい!

 

 ディエルゴの攻撃方法は3つある。物理の『罪人の烙印』魔法の『嘆きの牢獄』そして3つ目。ディエルゴの必殺技というべき高威力広範囲の糞技。

 

「ビジュ!レシィ!」

 

「んな!?」

「ギャレオさん!?」

 

 跳躍を駆使し戦っていた二人を咄嗟に抱え込んだ。俺の身体がデカくても二人を全力で庇えるかはわからない。

 

 攻撃用のストラを回復用に切り替えて二人に放つ。2人の傷は回復したが耐えられるか分からない。

 

 退避するにも時間がない。防ぐ手立てがない。

 

 ディエルゴが光る。必殺技『存在否定』が放たれる。

 

 

 

『ヌァァアアアアアア!!!!』

 

「うぉおおおお!!」

 

 発光、衝撃。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「つぅ……」

 

 視界がぼやける。動かすのが億劫なほどに怠く何よりも体中が痛くて仕方がない。慣れていなければそのまま寝た居たい気分だ。

 

「――!!」

 

 ぼやけた視界で紫色の光が僅かに映る。何かが叫んでいるように聞こえたが…聞こえない。

 

「!!…ッ!!」

 

 緑色の光が見えた。何かが俺を揺り動かしているが…体が重いのだ。鍛えすぎてしまった。 

 

(……?)

 

 自分でも重い身体を動かそうとしていると口元に何かを持って来させて…?

 

 ブチュリと何か口の中に広がり…視界が快復し耳がハッキリと聞こえてきた。

 

「ギャレオさん!ギャレオさん!しっかりしてください!」

 

「……レシィ…」

 

 目に涙を溜め、それでも俺の名を呼ぶ護衛獣の姿があった。可哀想に顔にも体中に擦り傷や痣だらけだ。

 

「とっと起きろこの糞ボケが!俺を庇うなんざ舐めてんのか!」

「ゲレッ!!ゲレレッ!!」

 

「ビジュ」

 

 怒声が聞こえた。戦友の声だ。その召喚獣もどうやらかなり激怒しているようだ。

 

 二人は球体を前に悪戦苦闘していた。ビジュは魔力が底をつきそうなのかタケシーが放つ雷がごく小さい物になり本人も刀を片手で振るう始末だ。

 

 レシィは魔力が尽きたのだろう。備えていたポーチの道具を使ってなんとかビジュの援護をしている。

 持っていたはずの爪具はもう折れてしまっている。

 

 ボロボロの2人を見て。何があったのかを思い出した。

 

(ああ、そうか)

 

 『存在否定』アレをもろに喰らったのだ。2人を庇ったからか結構な威力を受け僅かな間気絶していたらしい。

 

「すぅー…はぁ―」

 

 ストラを体に回し傷よりもこの億劫な怠さを取り除いていく。そのストラも割かし消耗しているのだが。

 

「すまん。手を煩わせたな」

 

「だったら動け!」

「無理しないでください!」

 

 二人とも無理を仰る。なんて少しだけ笑い息を吐いた。身体はまだ動く。本当に鍛え続けてよかった。 

 

 

『まだ醜態をさらすか…哀れだ。失敗作に縋る醜悪な愚物が…』

 

 醜いものを見るかのようなそんな声だ。酷い、ただ生きようとしているだけなのに。

 

「愚物?それを飲み下してこその世界だろうが!」

 

「失敗作?――誰を見て、言ってるんですか…!」

 

 ビジュとレシィは消耗しながらも茶化してくれる。先ほどからの俺がディエルゴに詳しい事について聞かない、聞こうともしない。

 

 怪しいはずの俺を信頼してくれている仲間。

 

「スゥーハァー」

 

 一緒にこの死地へ残ってくれたものの事を考えるのならば…論ずることも無し。ストラによりだいぶ体は回復した。

 と言ってももう長期戦するほどの余力はない。

 

 つまり全力をもってコイツをぶちのめす必要があるという事だ。そう覚悟を決めた時だった。

 

 

 ヒューー!!

 

「ん?」

 

 何か気の抜ける音が聞こえてきて、ビジュとレシィが叫んだ。

 

「ギャレオさん伏せて!」

「アイツ等、やりやがったな!」

 

 聞こえたと同時にレシィが覆いかぶさってその瞬間ディエルゴが爆破した。

 

「んなぁ!?」

「奴ら大砲を撃ったんだ!」

 

 爆発の音は大砲の弾が着弾した音だ。道理で気の抜ける音が…いやそれよりも!

 

「俺達がいるぞ!?」

「だからだ!」

 

 カイルの船から撃ったのはジャキーニたちだ。カイルの海賊船には確かに大砲があったがまさか撃つとは。

 俺達に当てない技量があったのか偶々か。俺は前者だと信じたいが。

 

『ヌゥゥウウウウ!』

 

 ディエルゴの身体には悲しい事に罅一つ付いては無い。だがディエルゴの意識は船に行ったみたいだ。文鎮が船へと射出される。

 

 ジャキーニたちは俺たちへの援護として大砲を撃ってくれたのだろうか?だとしたら流石と言わざるを得ない。どうしても回復する準備が必要だったからだ。

 

 大砲の着弾の影に隠れ、ビジュとレシィを招く。2人ともこれには案外素直に近づいてくれた。

 今の現状では打つ手なしだと理解しているからだろう。

 

「今のうちに作戦会議だ」

 

「必要か?」

 

「必要だ。ビジュ、レシィ。コイツを破壊する。協力してくれ」

 

「ほぅ?コイツをぶちのめせる秘策でもあったのかよ」

 

 疑うよりかは確認するかのような口調だ。返答によっては死力を尽くす必要があるからな。

 だから俺の返事もこうだ。

 

「無論あるとも」

 

「あんのかよ」

 

 ビジュが心底呆れたような声を出す。そう俺は秘策があったのだ。ならそれを先に出せって?

 

 それがなぁ非常に難しいんだよ。

 

「ストラを無理矢理練っていかなければならん。溜めがいるのだ」

 

 俺がずっと人生をかけて練って来たストラ。その効果は2つ。一つは人を治すための物。これはイスラ対策で効果は立証された。

 

 そしてもう一つ攻撃用のストラだ。これが俺の究極奥義。対ラスボス専用とでも言える究極技だ。

 サモンナイトの世界に降り立ちストラを習得したあの時から考えていたものだ。

 

 破壊と再生。それが俺のストラだ。

 

「時間がいる。奴に当てるには無防備な姿をさらさねばならん」

 

 だがどうしてもそれを繰り出すのには溜めがいるのだ。時間が掛かり尚且つ集中がいる。今この現状余りにも難題だらけだ。

 

 

「チッ 仕方ねぇな。なら…」

 

「響命覚醒か?魔力が尽きている中で使えばただではすまんぞ」

 

 ビジュの仕方がないというその態度に俺は苦言を出した。アレはそもそもダークレギオンを出し他者の魔力を肩代わりにしてそれでもまだ負担がかかる代物だ。

 

 それを無理矢理使えば術者であるビジュの身体が持たない。魔力の負担は命を削って代用する事になるだろう。それほど容易な技ではないのだ。

 

「なら僕が」

 

「同じ事だ。目が潰れるぞ」

 

 レシィの『伝説の審眼』も同様。たとえディエルゴを止めれたとしても俺の為には時間が足りなさ過ぎた。

 長期戦を考慮し魔力を使い続けレシィもそろそろ限界だ。無理に使えばどうなるか見たくない。

 

(マズいな)

 

 黒い球体たちを蹴り飛ばし暗黒弾をよけながら。血を失いつつある頭で考える。

 俺もビジュもレシィもどうしたって体力魔力が足りないのだ。

 

『消えろイレギュラー! ッ!?』

 

 何か一手が欲しい。そう思った時、その一手は空から舞い降りた。

 

 

「三人とも、伏せて!」

 

 周囲の黒い球を、その声と共に光の剣が舞い落ちてきた。それも大多数の光の剣だ。

 

 哀れにも黒い球は光にくし刺しにされ爆発に巻き込まれ、消滅していく。

 

 

「…シャインセイバー?」

 

 空から降り注がれるのは光の剣。その剣は見覚えがあった『シャインセイバー』アレは光の剣を呼び出し攻撃する範囲攻撃召喚術。

 

 名も無き世界の攻撃用なので使い勝手はそれなりにあるが…それにしたって砂浜に至る所に振り続けるその量と威力は余りにも普通ではない。

 

 それは恐らく『暴走召喚術』でそんな馬鹿みたいなことができるのは2人だけで。

 

 

 

 その一人は今遺跡の奥へ。そしてもう一人は

 

 

「ごめん遅れちゃった」

 

 

「イスラ!?」

 

 

 

 今ここに現れたのだ。

 

 

 




少々短いですが今回はここまでです。
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