拙いと思いますが、温かい目で見てください。
「青木花音です!誕生日は6月19日で、趣味はダンス。好きなものは男の人です!スリーサイズは83・58・86。よろしくお願いしま~す!」
高校入学後の初めてのホームルーム、驚愕の自己紹介から始まる。でもこれがこの世界での普通らしい。なんて言ったってこの世界は、貞操逆転世界だから。きっとスリーサイズをいうのは、元の世界での身長のアピールみたいなものなんだろう。そんなことを考えながら各々の自己紹介を聞いていると、次が自分の番になる。このクラスの男子の中では出席番号が一番若いのもあってか、女子たちの注目がすごくて視線が痛い。
「海老名悠河です。誕生日は4月9日、好きなことは漫画を読むことです。一年間よろしくお願いします。」
ひとまずは、当たり障りのない無難な自己紹介を。
価値観は元の世界のものだし、自己紹介から女子たちに期待させるようなことをしてもよかったけれど、この世界に来てから1か月。常識についてある程度把握しているし、変に浮かないよう最初はおとなしくしておこうかな。
☆☆☆
中学校の卒業式が終わり、家に帰る。
親はすでに両方とも鬼籍に入り、一人暮らしの静かなリビング。さすがに疲れたなと、ソファーでゆっくりしていたらいつのまにか寝てしまった。
夢の中。知らない世界に吸い込まれるようで、視界がぐるぐると回って、同時に頭痛が走る。
「……っ!?」
そのまま目が覚めるともう空は赤くなっていて、夕方のニュースがテレビで流れている。
「テレビつけっぱで寝ちゃったか~。」
『…最近は、男性専用車両も増えてきていますからね~。貴重な男性を守るために、痴女被害が少なくなってほしいものです。』
「……。」
おかしいと思い、スマホで調べ、でてきたのは『男女比1;7』。
ほかにわかったのは、男が圧倒的に少なく、さらには性欲は女のほうが強く、男は草食というさっきまでとはあべこべな情報。
そして、自分が貞操逆転世界に来てしまったことに気づいた。
動揺しながらも、しばらく情報収集をして、さすがにお腹がすいてくる。ちょうど作り置きがなくなり、冷蔵庫にも何も残っていない。
「スーパー行こうかな。」
1年以上前に親がいなくなってしまったが、遺産がしっかり残っていたことと、祖父母の援助によって大学生まで贅沢をしなければ生活できる余裕はある。徐々に家事にも慣れていき、この世界でいう男子力もかなり高いだろう。
変わっていない道のりをたどって、いつものスーパーでお得な品をかごに入れていく。今日はハンバーグを作ろうと買い物を終えて、いつも以上に女性の視線を感じながらお店を出ると、
ざーざー
「傘持ってきてないのにな~」
全然天気気にしてなかったや、傘なしだとすごいずぶ濡れになっちゃう。
走って帰るには少し遠くて、どうしようかなと立ち止まる。
「傘ないの?……よかったら一緒に入る?」
話しかけてきたのは、茶髪で自分より少し小さいだる着の女性。緊張しているのか、少し目をそらして遠慮がちに提案してくれた。
「いいんですか?どうしようか困っててすごく助かるんですけど。」
「…気にしないで!ちょっと100均に用があって、もう暇だから!」
「じゃあお言葉に甘えて。」
家の方向を伝えて、傘に入れてもらう。
よく声をかけれるなと思うけど、よく考えたら貞操逆転してるから、ナンパみたいなもんなのか?それにしても、女の人と相合傘なんて緊張するな。
「私、前原奈結。近くに住んでるんだ。君は夕飯の買い出し?」
「僕は、海老名悠河です。一人暮らしで食材切らしちゃったので、買いに来たんですけど天気予報みてなくて~。」
「…一人暮らしなんだ。」
「え、なんて言いました?」
「い、いや!なんでもないよ!」
ほんのり顔が赤い彼女を見る。くっつかないよう距離感を保ってくれていて、そのせいで傘からはみ出ていた。こっちが雨に濡れないように配慮してくれているイケメンさに感動しながら、男女があべこべな部分を実感する。顔もかわいいし、接しやすい。前の世界では、女の子と話すことにかなり緊張してたけど、変な感じがする。
そのまま5分もせず家の前についた。
「このマンションです!ありがとうございました!」
「いいよ~、……。」
「服濡れてますよね、うちで乾かしていきますか」
「ええっ!!…いいの?」
「全然大丈夫ですよ~。」
そのままこの貞操逆転世界で、初めて女の人を部屋に連れ込んだ。
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