──アタシはシャワーズ。
毎日、姉のエーフィと、そして妹のイーブイと一緒に旅をしてる。
わたしたちの目標は一つ。
──自分たちの技、動き、感情表現をステージという世界で魅せること。
ポケモンにできる表現で、人の心を動かすこと。
それがアタシたちの生きがいなんだ。
だけど最近──妹のイーブイが少し変わってきた。
もちろん、いい意味でね。
あの子は、以前よりもずっと練習熱心になってる。
朝早くから技のフォームを確認して、ステップも何度も繰り返す。
疲れて座り込んでるときだって、誰かの名前を思い出すと、すっと立ち上がるんだ。
──そう、“誰か”っていうのは、例の人間の男の子。エボル。
イーブイはエボルに命を助けられてから、どうやら特別な想いを抱いてるみたい。
……って、アタシが言うのもなんだけど、まあ、分かりやすいよね。
『エボルってさ、ほんとにかっこいいよね~』
『……もっと、強くなったら、隣に並べるかな』
なんて、こっそりつぶやいてるのを、アタシは何度も聞いた。
もちろん、姉のエーフィも気づいてる。
……というより、めちゃくちゃ警戒してる。
この前なんて、
『イーブイのためだから!あの人間と距離を置かせるべきよ!』
って、夜遅くまで真剣に相談してきたくらい。
エーフィの気持ちも分かる。
イーブイはまだ小さいし、種族も違う。
人間との絆って、簡単に形にできるものじゃない。
けど、アタシは……ちょっと違う考え方をしてる。
──もし、イーブイが“本気”なら、それはそれで応援してあげたい。
ただの憧れでも、一時の感情でも、そこから芽生える努力や想いって、無駄にはならないと思うんだ。
だって──
イーブイは、今、本当に輝いてるから。
あの子が見せる笑顔も、涙も、必死な姿も、全部が生きてる証。
「誰かのために頑張れる」って、実はとても素敵なことなんだ。
姉さんにはそのこと、まだ伝えられてない。
伝えたらきっと、怒られるか、泣かれるか……まあ、どっちか。
だけど、アタシたち三姉妹は、どんな形でも一緒に前に進んでいきたい。
イーブイが強くなろうとしているなら、見守ってあげたい。
エボルと何かあったとしても、その時は……ちゃんと向き合って、支えてあげたい。
人間とポケモンが番になることは、到底叶わない願いだったとしてもだ。
アタシにできることは、今はそれくらい。
だから、ステージの練習も、旅も、全部ちゃんと続ける。
たとえ“妹の恋”がどう転んでも──
アタシたち三姉妹は、いつでも一緒だから。