橋を越えてさらに道を進んだエボルたちの前に、突如としてけたたましいエンジン音と怒号が響き渡った。
「おらおらぁ!どけどけぇ!!」
轟音と共に現れたのは、複数のバイクに跨った男たち。明らかに暴走族のような連中で、道端に停められていた荷車や露店を蹴散らしながら暴れまわっていた。
「うわっ、なんだこいつら……」とエボルが眉をひそめる。
そこへ町のジュンサーが駆けつけてきた。
「そこの暴走族!今すぐ停止しなさい!命令に従わない場合は、強制連行します!」
ジュンサーはモンスターボールを取り出し、ガーディとウインディを繰り出した。
「へっ、そんなワンコロで俺たちを止められるかよ!」と暴走族の一人が笑う。
「こっちには切り札があるんだぜ!」そう言って取り出したのは、黒い装飾の施されたモンスターボール。
その中から現れたのは──ゼラオラだった。
「ゼラオラ!?」ジュンサーが驚愕する。
その様子をじっと見ていたレイカが言った。
『ご主人様、あの子の首筋に……何か小さい装置のようなものがついています』
暴走族の一人が手元の端末を操作すると、ゼラオラは突如苦しみ始めた。そして次の瞬間、眼光が鋭くなり、ガーディとウインディに襲い掛かった。
「ガーディ!ウインディ、かえんほうしゃで応戦して!」ジュンサーが叫ぶが──その攻撃を物ともせず、ゼラオラは突っ込んだ。
ガーディとウインディはまともに攻撃を受け、地面に崩れ落ちる。
「ガーディ! ウインディ!!」ジュンサーの悲痛な声が響いた。
そして、ゼラオラは次にジュンサーへと向かっていく。
「シルヴィア、あいつを拘束するぞ」とエボルが声をかけた。
『えっ!? 無理よ!遠すぎるし、アタシのムチじゃ届かないって!』
「なら、飛ばす」
『飛ばすって、え、ちょっ──!?』
エボルはシルヴィアを抱き上げ、そのままゼラオラ目掛けて力強く投げつけた。
『きゃああああああああああ!?!?!?』
空中で体勢を整えたシルヴィアは、つるのムチを器用に操り、ゼラオラの四肢を縛り付けるように巻きつけて着地した。
「動きが止まったな、行くぞ。」エボルたちも駆け出す。
『エボル!覚えてなさいよー!!』とシルヴィアが叫んだが、
「いい経験になったろ」とエボルは涼しい顔で返す。
一方、暴走族はエボルたちの姿に気づき、焦って端末を再度操作し始めた。
「強制指令だ!動け、ゼラオラ!!」
装置の命令に従うように、ゼラオラは無理矢理動こうとし、シルヴィアの拘束を力づくで引き剥がそうとする。
『この……暴れるんじゃないわよ!もうちょっと大人しくしてなさいってば!』
だが、暴走族はエボルを見て口を歪めた。
「なんだあのガキ……一人で何とかなると思ってんのか?やっちまえ!」
5人の暴走族が一斉にエボルに向かって突っ込んでくる。
──次の瞬間、彼らは順番に地面に沈んだ。
「な……何が……っ!?」
エボルはすでに暴走族の背後を取り、正確に急所を突く手刀で全員を瞬時に昏倒させていた。
「お前らの方が無理だったな」
その隙に、エボルは落ちていた端末と、ゼラオラの首の装置を確認する。
「これか……」
毛に隠れていたその装置は極めて小型だった。エボルは手に力を込め、機械を掴み引き剥がそうとする。
ゼラオラは痛みに反応して電撃を放つが、エボルは表情一つ変えず──
「これで終わりだ」
強引に装置を引きちぎる。
端末と装置を手にし、エボルは空中にそれらを放り投げる。
その瞬間──ピピピピピピ……!
「伏せろ!!」
装置が爆発した。
空中に中規模の爆発が発生し、その爆風が周囲に広がったが、被害は最小限で抑えられた。
シルヴィアはつるのムチでゼラオラの体を抱え込むように支えた。
『よかった……無事みたい』
エボルは爆発の煙を見上げながら、心の中で呟いた。
(……何が、起きてるんだ…)