次に目を開けた時には、周りの景色はすっかり
やがて、私が寝ていた
「……わたしは……たしか……」
小さく呟きながら、私は落ち着いて状況を頭の中で整理していった。グラエナを倒した後、モルと勝利の
私はその後、急に襲いかかってきた胸の痛みに耐えきれずに倒れ込んで、それから──
そこまでの記憶を取り戻すと、私はハッと気づいて、胸に刻まれた六角の星形の『紋章』を覗き込んだ。
それは、
試しに、意識を集中してそれを光らせてみようとするが、ミミロルに戻った私の身体は全く何も反応せず、あの『力』を再現することは叶わなかった。
「…………」
私は胸の『アザ』を見下ろしながら、考察を
私の身体を
考えてみれば、あの戦闘で私はグラエナに深手を負わされながらも、圧倒的な力を行使して
しかし、今の身体には自らの力を使い果たした反動や、敵から受けたダメージといったものはほとんど感じられなかった。
これは推測に過ぎないが、胸の『紋章』の力と引き換えに、それらの影響を受けずに済んでいるのではないか。私はそう考えていた。
つまり、この『力』には限度があり、無限に扱えるものではないのだという推察に、私は至った。
そして同時に、むやみやたらとこの『力』に頼っていては、私の最終的な目標──見知らぬ
思わず無意識のうちに、ミミロルの
「う……ん? ……ふあ〜ぁ……」
紫色の
「……おきたのね……モル……ありがとう、このはっぱ、あなたがかけてくれたのよね」
「あっ……ユイねーちゃん……おはよ〜……へへ……また驚かせちゃうかもしれないから、体に
「ふふっ……ほんとうにやさしいのね、モルって……」
私はモルに身体を近づけると、優しくその身体を
「えへへ……こちらこそ、ありがとうだよ……ユイねーちゃん」
「……えっ?」
意外な言葉を聞いて、私は思わず
「ボク、仲間や家族とはぐれて、ずっと一匹でカロス地方を
私はただただ、
正直に言うと、私は
だが、それは間違っていた。ミミロルの私と大きさがそう変わらないこの小さなポケモンも、
私は息を
「……でも、そんな時にキミに出会えたんだ。
モルの言葉が終わり、
あぁ……私は……私は何て
私は彼の事情も知らずに、自らの目的を果たすことだけ考え、それを優先して彼を置き去りにしようとしていた。
だが、それは完全に間違っていた。
モルはただ、私と一緒に生きたかったのだ。
振り返ってみれば、グラエナとの戦いで
あの時、彼は私を見捨てて逃げ出すこともできたはずだった。
だが、彼はそうせずに私を助け出してくれた。それも、彼が私に対して抱いている想いの
涙を
「……ありがとう……そして、ごめんね……モル……わたしは……わたしは、あなたのことをなにもわかっていなかった……あなたのおもい、しっかりうけとめたわ。わたしはあなたのおもいにこたえてみせる」
恥ずかしそうに少し顔を
「……そう言ってもらえるだけで、ボクは嬉しいよ」
私はその様子を見て
「ねぇ……モル……おねがいがあるんだけど……」
「ん? なぁに?」
「わたしと……わたしといっしょにきて……そして……ママの……みんなのかたきを……ころしてっ!」
感情が
このような身勝手かつ
それでも、私はモルの……このメタモンの想いに
モルを自分の
彼は、『紋章』の力でミミロップへと強化した私の姿や能力を完璧にコピーし、グラエナを圧倒していた。
もしも、彼が私の仇討ちに協力してくれるのなら、彼の力は単なる戦闘力としてだけでなく、私の姿への
そして、ここに至って彼は私への熱い想いを打ち明けた。
そのとき、私が涙を流した理由は、もちろん彼の生き
モルの純粋な想いを利用して、自らの仇討ちに巻き込もうとする……そんなことを
「……うん! わかった! ボク、ユイおねーちゃんについていくよ! そして、キミの仇討ちに協力してあげる!」
あまりにも意外なモルの反応に、私は思わず下げた頭を
「……えっ?! い……いいの!?」
「うん! だって、おねーちゃんはボクの命の恩人だし……それに、もう決めたんだ!」
そう言うとモルはゲル状の身体をピンと背伸びさせて胸を張るような
「ボクは、ユイねーちゃんと一緒に、おねーちゃんのために生きていくって!!」
あっさりと自分の
モルの
「ありがとう……ほんとうにありがとう! そして、あらためてよろしくね、モル!」
そう言いながら、ふと空を見上げると、そこに浮かび上がったキャンパスは黄昏から闇へと移ろうとしているのが見えた。
その日から、私とモルは行動を共にするようになった。
私の目的は、
そして、その仇はミアレシティに
母が遺した最期の言葉……
「ミアレシティに行き、運命の出会いをする」
……その言葉に従ってミアレに行けば、きっと
そう考えていたからだ。
しかし、私はすぐにはミアレシティには向かおうとはしなかった。
これについては、当初モルにも疑問に思われていたが、その理由ははっきり言ってその時の『私たち』では力不足であることが
あの日のグラエナ(とコマタナ)との戦闘では、確かに2匹のコンビネーションにより輝かしい勝利を収めることができた。
しかし、それは相手が油断し、力量に差もそれほどなかったのに対して、
仇敵を前にして、果たしてそれを完璧に再現できるのであろうか。
いや、仇討ちとは
そのためには、ポケモンとしてより強く、より
また、私とモルのそれぞれの能力についてもより
私自身については、限られた『紋章』の力を
そしてモルについては、『変身』の能力の
そこで、私たちはカロス地方の各地(もちろん、ミアレシティは除いてだが)を巡り、各地の野生ポケモンやポケモントレーナーたちと戦闘することに明け暮れた。
私とモルがローテーションを組みながら、それぞれの戦闘経験を積むことをひたすら繰り返していったのだ。
当初こそ、私たちは戦闘が上手く行かず逃げ出したり、
何度もバトルに負けたり、傷ついたりしたこともあったが、私たちはお互いを支え合い、ただひたすら戦い続けた──
──そして、『あの日』から2年の月日が経った。
私たちは、カロス地方の中でもハイレベルなポケモントレーナーたちと、強力な野生ポケモンたちが集う、チャンピオンロードを根城としていた。
その日も、いつものようにチャンピオンロードの
おそらく、カロス地方のポケモンリーグに向かう
彼の手持ちポケモンは
しかし、私とモルはローテーションを回しながら、既にこのトレーナーの手持ちポケモン6匹の内、5匹をひんしに追い込んでいた。
エリートトレーナーはミミロップとメタモンという、何とも珍妙な組み合わせに油断していたのであろう、最初こそ
そして、最後のポケモン……彼の切り札であろうガブリアスを繰り出した時には、余裕どころか
「くっ……くそっ……!
繰り出したガブリアスを待機させながら、エリートトレーナーが
他の野生ポケモンが彼に近づかなかった理由は、おそらく私たちが彼の近くに寄って戦闘を仕掛けるタイミングを見計らっていたからだろう。
もし、他のポケモンが私たちの『
今の私たちを襲う野生ポケモンは、
「ったく……だらしね〜なぁ〜……こんな奴らにあっさりやられるなんてよぉ〜」
人間のトレーナーには通じないポケモンの言葉で、ガブリアスは彼の主人のボールに入っているであろう仲間のポケモンに向けて言葉を発した。
よほど自分の力に自信があるのだろう。
主人とは違い、仲間たちが私たちによって次々と倒される光景を見せつけられても、全く動じていないようだった。
だが、むしろその方が私にとっては好都合だった。
「あらあら……♡大切なお仲間さんにそんなことを言っていいの〜? 仲間は大事にしなきゃダメよ♡」
……説明を忘れていたが、私は戦闘の経験を積む
これについては、もはや遺伝というか親子の絆というか……そういったものが作用してきている
「……ふん……面白ぇこと言うじゃねぇか。俺たちがここに来た理由はなぁ、お前たちがさっきぶっ倒した
そこまで言い終わると、マッハポケモンは見せびらかすように、両腕をブンブンと振り回しながら言い放った。
「俺はもうこれ以上鍛える必要がねぇぐらい、
彼のその発言を聞くと、私は全身を
それは、決して彼の言動に動揺し
嬉しかったのだ。
久しぶりに私の感情を
「気をつけて、ユ……じゃない……ミミロップ」
心を
私自身の本来の名前ではなく、種族名で呼ばせている理由は、万が一でも仇敵に私の正体を
「あのトレーナー、ここまで一度も左腕に付けた『メガストーン』を使ってきていない……ってことは……」
「えぇ……そのようね……」
モルが全てを言う前に、私は口を割り込ませた。
メガシンカ──それは、主人たるポケモントレーナーと強い絆で結ばれたポケモンが『メガストーン』と呼ばれる特殊な石によって、伝説のポケモンに匹敵するような、超越した力を得る事ができる
なぜ、人間たちにとっては
敵と