起きたら女の子になってた上にVTuberになるようです。 作:一般通過影
「あー疲れた⋯」
帰ってきてすぐ、私はベットに飛び込んでぐったりとしている。
「今日は楽しかったな」
初配信はめちゃくちゃ緊張したけど、楽しかった。
ちょっと口を滑らして変なことを言ったり、配信切り忘れたり怒られたり⋯あれ、私もしかして結構やらかし多め?
「そういえば、加藤さんも初配信でやらかしたのは冬花さん以来だっていってたっけ?」
なかなかギリギリなラインのやらかしだったのに…冬花さんも同じぐらいのことしてたんだ…
⋯容易にイメージできるなんて思ってないから!
「ふわぁあぁぁ⋯」
ねむい⋯今日は疲れたし、そろそろ寝ようかな、おやすみ⋯
それから数日間、配信をちょくちょくし段々と視聴者さんとの会話も慣れてきた頃、私にこんなメッセージが届いた。
加藤
【お疲れ様。4期生でコラボをしたいと思っていてね。葵さんもどうだい?】22:14
「⋯えっ!?」
起きたらなんかとんでもないチャットが…
マネージャーさんは私にコラボ配信をしろと言っていうの…?私に?
「む、むりむりむり!断りの連絡を⋯」
こ、断るってどうやるの!?
ど、どうしよう…!?今までこんなお誘いの機会なんてなかったせいで全くわかんない!
保留はダメだよね、仕方がないひとまず時間稼ぎを⋯
加藤
【今週の休日なんてどうだろうか】11:59
「こ、今週!?」
いくらなんでも早過ぎない!?
休日となると⋯土日なのかな?もう水曜日だよ?役3日後!?
こ、心の準備が…
「ど、どうしよう⋯同期なんて、挨拶すらしてない⋯」
唯一絡みがあると言ってもいいのが初配信時の冬花さんのコメントのみ⋯だけど、冬花さんは4期生じゃないから…。
私は他の方々に挨拶なんてしてないし…
え?今したらいいって?連絡先なんてあるわけないじゃん!
しかも他の同期はちゃんと私以外と挨拶しているらしく
配信する度に『連絡した?』とか、『葵って陰キャなんだ…』とか『いまから挨拶しよう』とか、めっちゃいじられる。
「陰キャには挨拶ですらきついんだよ⋯」
視聴者のみんなはわかってない、挨拶のハードルの高さを。
人前で挨拶どころかまともに喋れない私が挨拶だなんて、むりだよ!
⋯ん?メッセージだ
加藤さん
【コラボの詳細を伝えてなかったね。今週の土曜日、事務時に全員集まって初配信の感想とか、配信の感想を話す場になると思う】12:13
加藤
【そのままで、休日に事務所に集まって配信するんだ。オフコラボってやつだね】12:15
「お、オフコラボ!?」
どっかの配信でオフコラボ見た気がする⋯実際に会って、配信するやつだよね?え、いや普通に無理なんだけど??
考えてみたけど、話せるイメージがわかない。一生緊張して「家帰りたい⋯」っていってるに違いないし、断りたい⋯
ん?なんか、通話が⋯
「⋯も、もしもし⋯?」
『おはよう、葵さん。』
「あ⋯おはよう、ございます」
『コラボの件なんだけど、葵ちゃんは人付き合いが苦手そうだから断られると思ってね、先に他の人達に未参加だろうと伝えておいたんだが…』
なんで、そんなことを知って⋯??有能すぎない?
「は、はい⋯」
『そのことを他の方々に伝えたら、どうしても参加して欲しいって言われちゃってね』
「わ、私に⋯ですか?」
『そうなるね。
乙川花恋⋯たしか、同期で清楚オーラが強いというか清楚そのもので大人しそうな人。
はっきり言ってしまえば好きだし、配信なんて全部見てるってか、みんな魅力的なんだよなぁ。
『乙川さんが強く参加して欲しいと言ってるとはいえ、予定があったらそもそも不可能だろうし、断ってくれても構わないよ』
「⋯⋯」
『それじゃあ、私は仕事があるからこれで。いい返事、期待してるよ』
「え…?あ、切られた」
う、嘘でしょ⋯?これ、断れないやつじゃん⋯
◇
「今週の週末、4期生でオフコラボがあるので、よろしくお願いします」
・はーい!
・きた!
・4期生か⋯
・確か葵ちゃん以外は挨拶済みなんだっけ?
・葵⋯
・やっぱり挨拶まだできてないんだな
「機会が合わなくてまだお会いできてないんですよね⋯でも、今回のコラボを承諾して下さったので、お会い出来る日が楽しみです」
・花恋ちゃん葵が気になるっていってたもんね
・事務所で葵ちゃんをみたことはあるの?
・絶対断ると思ってたけど了承したんだ…
「事務所で…ですか。あったことはないと思います」
葵ちゃんの配信でも、用が終わったら即帰ってるって言ってたから…会う機会がないんですよね。会いたいのに…
同期の初配信はきちんと全員見ました。これから仲良くさせてもらう方々ですし、実際に会ってみてもみなさんいい人でした。葵ちゃんとは会えてませんけど…
けど、葵ちゃんの配信は全部見てます
初配信の時のあの緊張で声が上擦った声とか、好きな物の話になると饒舌になるところとか、あまりにも可愛すぎて…
それに、配信切り忘れた時はどうなるかと思いましたがあの緊張が解けた時の落ち着いた声も素敵でした。
皆さんの言う所謂推しってやつです
「…楽しみにしてますからね、葵ちゃん」
マイクに入らない小さな声で私はそう呟いた。
◇
「ん…」
もう朝…?なんだ、まだ10時25分…まだ寝れ…ない!?
「そ、そうだ今日オフコラボなんだった!?」
配信開始時間は11時、家から事務所まで30分かかるから…
「えっと、とりあえず着替えて…何を着れば!?と、とりあえずパーカー!
な、なんかメッセージきた!?」
加藤
【おはよう、葵さん。今日は初めてのコラボで緊張すると思うけど、頑張ってくれ】10:27
加藤
【え?】10:33
【とりあえず急いで来てくれ、まだ間に合うかもしれない】10:33
とりあえずパーカーを着て、最低限の荷物を持って私は家を出た。
このパーカー、ぶかぶかだから安心感がすごいから好きなんだよね……って、呑気なこと言ってる場合じゃないんだった!!
「とりあえず、走るしかないか!」
そうして走り出すんだけど、もちろん私は運動なんて得意じゃない。
けど、休んでる暇なんてないので私は頑張って走った。