起きたら女の子になってた上にVTuberになるようです。 作:一般通過影
『おまたせしました、葵ちゃん⋯』
マネージャーさんに教えてもらったお店を調べたりして何分か待っていると、どこか疲れ果てた乙川さんが部屋に戻ってきた。
「あ、おかえりなさい、乙川さん」
なんかこれ、旦那の帰りを待つ妻みたいな感じがする、 …いや、これ以上は考えないでおこう、恥ずか死ぬから…
『⋯た、ただいま』
「⋯⋯」
『⋯⋯』
お互い同じことを考えていたのか、静まった。気まずい⋯
「あの⋯!」『あの』
「あっ⋯ど、どうぞ」
『いやいや、葵ちゃんから⋯』
「あっ、えっと、お店⋯ここ、行きません⋯か?」
『えっ!?』
「あ、嫌とかなら全然──『い、いきます!!』」
『そうとなれば今すぐ準備しますね、葵ちゃん!』
「あっはい、私も⋯そうします」
ふぅ⋯なんとか誘えた。今日の私はよく頑張った、帰りに何かご褒美を買って帰っても怒られない、よね!ケーキとかがいいかな⋯
乙川さんって、前から思ってたけどリアルでも綺麗な人だよね…前だったら、惚れてるかも?
あっ、見つめすぎたら気づかれるからこの辺で私も準備に集中しないと
◇
ま、まさか葵ちゃんがお店を決めてくれるなんて、思いもしませんでした
葵ちゃんの性格的に、自分からは誘うなんて行為はかなり勇気がいるはずですよね
「ふふふっ⋯」
そんなの、元気にもなっちゃいますよね、推しが頑張る姿を見るのはいつでもいいものです。
…本当に、現実ですよね⋯?
「葵ちゃん」
『⋯?はい、なんですか⋯?』
「ふふっ、呼んでみただけです」
『っ⋯そ、そうですか』
葵ちゃんも、私に少しずつ心を開いてくれてるのでしょうか?
お店を見つけてくれてここに行きましょうなんて、普段の葵ちゃんなら言わなさそうですし、少しだけかもしれませんが、仲が深まったってことだって思ってもいいですよね
その事が、それだけのことなのに、私はこれまでないぐらいの喜びを感じている。
「食べあいっこが出来たり…」
『なにか、言いました?』
「葵ちゃんは準備出来たかなーと思いまして」
『できました』
「それじゃあ、行きましょうか」
『はい』
◇
『ここが、葵ちゃんのとおすすめのお店ですか?』
「…えっと、はいこのお店のスイーツが、美味しいらしくて」
マネージャーさんにおすすめされたお店の事を軽く調べたら、スイーツのお店らしく、味が好評なのだか。
「えっと、乙さ──『私名前は
「あ、愛沢さん…何食べますか?」
『…その前に、お名前聞きたいです』
「常磐彩です」
『彩ちゃん…素敵な名前ですね』
「あ、ありがとうございます」
名前を褒められた経験なんてないから、ちょっとむず痒いかも…
「愛沢さん、なに食べますか…?」
『えっと、彩ちゃんはなにを食べますか?』
「えっと…このいちごパフェを…」
『じゃあ私は……チョコレートパフェ食べてみます、すみません、注文いいですか?』
す、すごい、知らない人なのにすらすらと話せてる…
『…あ、彩ちゃん?そんなに見つめて、どうしたんですか?』
「あっ、いや、なんでもないです、楽しみ、ですね」
『そうですね、彩ちゃんと一緒に食べれますし、とても楽しみです』
「そ、その…そっちじゃなくて…」
『…?』
「い、いえ…なんでもないです」
『彩ちゃん、隣、失礼しますね』
「え?あ、どうぞ」
なぜか、対面にいた愛沢さんが隣に座った。あっ、いい匂いする…緊張してきた…
ていうか、近くない…!?あ、そっか私奥に座った方がいいよね!?
『あっ…』
「どうしました…?」
『いえ、なんでもないですよ、んしょ…』
「えっ」
せっかく奥に座り直したのに、また近くに…ていうか、さっきより距離が…
『彩ちゃん、パフェ届きましたよ』
「ありがとうございます」
『いえいえ。じゃあ、食べましょうか?』
「はい…いただきます」
『いただきます』
…なにこれめっちゃ美味しい!パフェってこんなに素晴らしい料理だったんだ、何度でも食べれるかも
『美味しいですね、彩ちゃん』
「えっ!?あっ、そ、そうですね」
『ふふふっ』
「なっ、なんですか」
『ごめんなさい、彩ちゃんが美味しそうに食べるからつい微笑まくなってしまいました』
「うっ…そ、そんなに顔に出てましたか…?」
『顔どころか、体中に出てましたよ』
「えっ!?す、すみません…」
『…そろそろですかね』
「なにがですか?」
『あ、彩ちゃん、ほら、あーん』
「へ…っ!?」
カ、カップルがすると噂のあーん…!?
初配信時レベルの難題が目の前に…こ、こんなの恥ずかしすぎて死ぬ、むりむりむりむり!
『ほら、彩ちゃん?』
「は、恥ずかしくて…無理です」
『っ、そ、その…私も、恥ずかしいから…』
「へっ!?」
推しの…じゃなくて、愛沢さんを見てみると確かに顔真っ赤だった。