【習作】恋人以上で友達未満な二人 作:言語嫌い
忘れられているであろう言語嫌いです。前回の更新から8ヵ月がたっています。
生存報告もかねて、更新です。
ぼちぼちと更新していきます。
次はできるだけ早く更新したい……とはいつも思っているのですが、遅くなってしまい申し訳ありません。
読んでやるよ――! という、心の広い読者の皆様。今後もどうかお願いします。
ああ、文章力が欲しい……
第6話 かつての日常
サクラの舞う季節。俺たちはいつもの場所にいた。
「……行ってくる」
「うん、私も」
「「行ってきます」」
俺たちはそれぞれの道を歩き始めようとしていたのかもしれない。
けど、それは違うように見えて、同じ道だった。俺たちの道は必ず交わるのだから。
時を超えて、形を変えて、様々な奇跡とともに。そんな、始まり。
『いってらっしゃい』
そう、聞こえたような気がした。
***
春が来た。
「…………」
春。それは、始まりの季節であり、終わりの季節でもある不思議な季節。多くの人々と同じように、俺にとって始まりの季節となる。だが――
「どうして、こうなった」
高校生活開始。学校における俺の第一声である。
「ふふふ、鳴海中学3バカは高校でも健在だ!」
「まあ、死ぬ気で勉強すればここに入れるしなー」
「皆で来ることができたから、私はうれしいよ」
上から順に、
「それはそうと、この学校大丈夫か? 公立だよな? どうしてあんな入学式になる……」
佐藤の発言に俺たちは黙る。
「あれは、さすがに予想外だったな……」
「ああ……」
基本的に元気で騒がしい馬鹿も佐藤と同じように遠い目をしている。松原でさえ、困ったように微笑むだけでフォローに回ろうとしない。
「良くも悪くも予想を裏切る入学式だった。だが、あれが俺たちに日常になる可能性も……」
「なくていいと思うよ」
おそらく、入学してきたすべての生徒にとって衝撃的過ぎた入学式。それについては誰もが深く触れようとしない。正直、俺もさっさと忘れてしまいたい。
だが、俺たちは知らない。いや、知っていたとしてもどうにかできたとは思えない。入学式に続いて、俺たちに新たな脅威が迫っていようとはだれも予想できていなかった。
「はーい、お前らちゅーもーく」
誰かが教室に入っていた。教壇にいたのはやる気のないおっさん……まあ、お兄さんに見えなくもないがその醸し出している雰囲気は完全におっさんのそれである。そんな死んだ魚の目をしている頭が爆発しているおっさんはけだるげに腕を水平の高さまで上げた。
「はい、そこの君。名前は?」
「……私、ですか?」
「ああ、うん。君でいいや。名前は?」
「ま、松原彩花です」
「松原……彩花…………っと、あった。ふむふむ、よし。じゃあ、松原。プリントを配るから手伝ってくれ」
「え、あ、はい」
松原は目の前のおっさんに呼ばれるとプリントを受け取るために教壇へと近づく。そんな松原に、おっさんはプリントではなく手に持っていたファイルをいくつか渡す。それには見間違いでなければ、出席簿とHRの手引きと書いてあるように見えた。ついでに自分の着ていた白衣を松原の肩にかける。
「あの、これは……」
「松原彩花。君を学級委員長兼担任代理に任命しよう。しっかり励むんだぞ」
「はい、わかりまし……って、あれ? 担任代理って」
「は~い、皆さん聞きましたねー。ここにいる物静かで可憐な少女である松原さんが今日から君たちの学級委員長にして、先生の代わりにHRを進行してくれる担任代理だ。はい、新任の挨拶をどうぞー」
「え、あ、あの、がんばります」
「はい、拍手―」
ぱちぱちぱちぱち……っと、どこかまばらに拍手が起きた。がんばると答えてしまった松原は状況が呑み込めないまま、拍手に対するお礼のつもりなのか、小さくお辞儀をする。そして、俺たちの担任らしき人物は満足そうにうなずきながら、折り畳みの椅子に腰かける。
「はーい、拍手やめー。さて、松原。HRの手引きに沿って本日のHRを進めてくれ」
「え、は、はい」
「よし、それじゃあ頼んだぞ」
「え、えーと。皆さん、プリントを配るので、後ろに回してください」
流されるままに、白衣を羽織った松原によるHRが始まった。先生らしき人物は椅子に腰かけた後、某週刊少年漫画雑誌を読み始める。入学式に続き再び起きたカオスな状況に、誰もが混乱してしまっていた。いや、どうすればいいのかの答えが誰にも出せなかった。
***
「はい、伝達事項は以上です。これでHRを終わります。次の時間ですが、職員室に教科書が届いているので、どなたか手伝ってくれると助かります」
最初こそどうなるかと思ったが、松原のおかげで特に問題なくHRは終わった。急な無茶ぶりに応え、見事に成し遂げた彼女にクラスの皆から温かい拍手が送られた。もちろん、そんな彼女に対して協力してあげたいと思うものは多く、彼女の為に多くのクラスメイトが協力を申し出る。
「ん? ああ、終わったか。それじゃ、その調子で次の時間も頼んだぞ」
そんな中、俺たちの担任はそう言って再び漫画へと目を落とした。
――――どうして、こうなった
誰かが、そうつぶやいた。それはまさしく、クラスの総意であった。
その後、終礼を含む3回のHRはともに松原が担当し、見事に担任の代わりを果たした。
「その、なんだ、お疲れ」
「ああ、お疲れ、彩花」
「……うん、ありがとう。二人とも」
中学時代から学級委員長としてなんだかんだ皆を引っ張ってきた松原ではあるが、さすがに担任の代わりをするとは思っていなかったようだ。そのため、その顔には疲れがにじみ出ている。基本、流されるままに動いている俺だが、こんな状態の彼女を見て思うところがないわけではない。。
「おいしいケーキ屋を知っている。そこに行くのはどうだ?」
「え! ほんと!!」
食いつきは早い。松原もまた甘いものは好きだから、喜ぶだろうと思っての提案だったが、思いのほか嬉しそうな姿を見せる。
「翠屋っていう、店だ。以前……師匠が買ってきてくれたことが何度かあった」
「あ、知ってる。何度か食べに行ったことあるけど、本当においしいよね!」
「じゃあ、そこに行こうか。お前らはどうする?」
「賛成だ。甘いものは嫌いじゃないし、特にすることもないからな」
「もちろん、俺も行く。俺にはお前たち二人を温かく見守る使命がある!!」
どこか見当違いなことを言っている
――そして、その帰り道。
「疲れた。ほんと、どうしてこうなった」
「うん、私も疲れたよ。今日はもう寝たいかな」
「彩花はさっさと寝て疲れをとれよ……それと、お前の言う通りになったな、倉橋」
「言うな、俺もこんなことになるなんて予想できなかった」
ふざけた入学式から始まり、あまりに非常識な担任にそんな状況下でも与えられた仕事を全うしきった松原。正直、もう何も考えたくない。
「冗談で言ったつもりだったんだがな。こんな日常はさすがに望んでなかった」
ため息交じりに嘆く俺を見て、こいつらは三者三様の反応を見せた。そして、いつものように笑い、いつものようにじゃれ合い、いつものように優しく見守っている。
「あなたが笑っていてくれるなら――――」
「ん? どうした、松原?」
「ううん、なんでもないよ」
それが、新たに始まったいつもの日常。動き始めた
変わり始めていた
――――あなたが笑っていてくれるなら
それは、そう、それは……新たな物語の始まり
――――そんな日常が目の前にあるというのなら
俺の知らなかった少女の決意の物語。
――――それを、絶対に守って見せる。今度は、私が……守る
少女は知らない間に、決意してしまっていた。彼女は決意を新たにその手を強く握りしめる。そんな彼女の手のひらから、淡い光が漏れていた。
「おーーーーい、まーつーばーらーーーー!」
「あ、うん! 今、行くから!」
「さあ、松原! 俺の胸に……ごふぅぶるああ!!」
目の前にはいつもの三人が笑いながら少女を待っている。つい、立ち止まってしまっていた少女を待っている。
「何かあったのか、松原」
「ちょっと、ぼーっとしてただけだよ」
「春眠暁を覚えず……というやつだな!」
「それは違うだろ、トモ」
「そうだね」
そっと、少女は隣を見た。
「 」
「うん、やっぱり、そっちの方がいいよ」
少女は想ったままに心を伝える。少女は――幸せだった。
そんな、優しくてばかげた入学式から、気が付けば1か月以上がたった。
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次回予告
「暇だ!!」
「なら、サ店に行こうぜ!」
「すまん、無理だ」
爺さんの修行のためにいつもの三人と遊べなかった俺。
すなおに、向かうのも嫌だった俺が寄るのはいつもの公園。
「いいのか?」
「うん。必要……なんですよね?」
「ああ、そうだ」
「なら、あげます」
***
学園パート……どう書けばいいのか
だいぶ駆け足になりました。描写がうすい気がする。
………書き直した場合は次回の更新時に伝えようと思います。