【習作】恋人以上で友達未満な二人 作:言語嫌い
悩んでると書けないですし。
でも、推敲は必須。書きながら考えていきたいです。
そんな風に考え始めた作者です。
「暇だ!!」
金曜日の朝。上野の第一声がそれだった。
「そうか」
「どっか遊びにでも行くか? この近辺には何もないけど」
「……中間テストの勉強はいいの? 日々の予習復習が大事だよ」
素っ気なく返事をした俺に対し、各々の個性が現れた回答。とりあえず、上野の提案に乗っかり、計画を立てようとした佐藤。真面目な学生であり、学級委員長を地で行く松原は近づきつつあるテストへの備えが出来ているのかを心配する。
「松原……高校生に必要なことが、何かわかってないようだな……」
上野は勉強をしたくないようだ。やれやれと肩をすくめながら、諭すように松原を馬鹿にする。本人はそのようなことにすら気付かずに、首をかしげながら当たり前のことを答える。
「え、学生なんだから、勉強することが本分だよ?」
「ノゥ!!! 今、遊ばずしてどうするのかっ!!」
「そうだな、トモ。たまにはいいことを言うじゃないか」
「えぇ!!」
後のことは語るまでもないだろう。松原は勢いに飲まれて、反論できずにうなずいてしまい、俺はいつものようにこいつらへの同行が決まっていた。まあ、そもそも、俺に意見はほとんど求められていないのだが。
普段なら、このまま流されてこいつらに引きずられるように連れていかれるのだが……今日は放課後に用事があるため、今回は断らなければならない。だが、もしも叶うのなら、こいつらに連れて行ってもらいたいとも思うのだが……
「悪いが……今日は無理だぞ」
「なに?」
「どういうことだ、くらはしぃ」
「爺さんに呼ばれてる」
場に沈黙が下りた。
「死ぬなよ」
「冥福を祈る」
「大丈夫……だよね?」
「上野、勝手に殺すな」
誰も俺を遊びに誘おうとしなかった。爺さんの力は偉大すぎる。
「いや、だってな……あの爺さんに逆らうとか、死を覚悟するしかないし」
「視線で人を殺せるよな、あの人……絶対に、10人以上ヤッテルと思うんだ」
「そういえば、カツアゲされそうになったときに、カツアゲしてきた人たちを返り討ちにしちゃって、警察の人に怒られたって話もあったよね? なんで怒られたんだろう」
「……暴走して突っ込んできたトラックを片手で受け止めたとかも聞いたことあるぞ」
「住民の救助の為に、建物の壁を素手で砕いたとかもあったよね? 壁にこぶしが当たるとそこからひび割れて、車が通るのに十分な穴が開いたって聞いたことあるよ」
「銃弾を指でそらしたとか、指二本で真剣白羽撮りしたとか、空中でジャンプしたとか、海を割ったとか……」
「最後は絶対にない」
「それ以外は否定しないのかよ……」
「あの爺さんなら、出来たとしてもおかしくない」
一応、爺さんの名誉の為に言わせてもらうと、この噂は事実の一部でしかないらしい。もう少し、誇張したくらいが事実に近いと、遠い目をしたお弟子さんは語っていた。そう知った時の俺の心境をわかって欲しい。若いころは海も割れたとのことだが……脳がそれを信じることを拒否している。実演された気もするが、そんな事実はなかったということにしている。自分の精神衛生を保つために。
「あ、そろそろHR始めらないと。みんなー、HR始めるから座ってくださーい」
「……松原、先生はどうした」
「今日は出張だよ。だから、私が頑張らないと」
「…………」
ちなみに、松原の説明は正しくない。正しくは今日
「はい、それではHRを始めます。まず、先生ですが、午前中は出張でおられないとのことです。午後の授業には参加されるそうです。また、本日、欠席者はいません。
伝達事項ですが、中間テストが近づいています。まだ、一か月ある……そう思わずに、日々の勉強を大事にするように、とのことです」
そして、HRを放り出して松原に任せ所在不明の先生だが……意外と近くにいたりする。ちょうどこの校舎の真上。すなわち、屋上。先生は、そこを私物化している。普段はそこでゴロゴロしているようだ。なぜ、その行動がとがめられていないのかが、不思議でたまらない。
「それでは、HRを終わります」
こうして、今日も一日が始まった。
「すまん、気が変わった! 今日は俺がHRをしよう!!!」
いつも通りの一日は始まりそうになかった。
「先生、さきほど……終わりました」
「……よし、帰ろう」
ちょっとだけ、先生は寂しそうだった。その背中は誰かに止めて欲しそうだったが、だれも止めようとはしなかった。これが日ごろの行いというもの。
誰もがそのことを心に刻んだ。
***
「……どうして」
平和な学校生活が終わり、楽しい楽しい修業が始まろうとしている。
そして、気が付けば、いつものように寄り道をしていた。けして、現実逃避ではない。けして、修行からの現実逃避ではない。
だが――――
「あ……こんにちは」
少女がこちらに気付く。
「……」
「……あの?」
気付かなければよかった。それに、気付かなければよかった。
「……それは?」
つい、口に出して聞いていた。それは、ありえて欲しくないもの。存在してほしくなかったもの。それは……あってはならないものだった。
「…………落ちてたの。とてもきれいだから、拾ったの」
「そうか……」
俺は迷った。それをどうするか、どうすべきかを。
素直に話す……その選択肢はもとより無い。この少女に俺の世界に入ってほしくなかったからだ。だから、どうやって、少女からそれを回収するか。少女に違和感を与えず、少女が悲しむことが無いように回収するには、どうすればいいのかを考えた。
「あの……」
「なんだ?」
だが、解決策は――向こうから、提案された。
「……どうぞ」
少女は持っていたソレを俺に差し出した。
「いいのか?」
「うん。必要……なんですよね?」
「ああ、そうだ」
「なら、あげます」
俺の手に渡されたソレ。
青い光を自ら放つそのきれいな石。その名は……
「……ルシード」
「…………」
そっと、少女が抱き着いてくる。こちらも静かに抱きしめる。
「大丈夫……だよ。私が……」
「ああ、そうだな」
「うん」
ああ、そうだ……俺は守りたい。このぬくもりをくれる。ぬくもりをくれたこの小さな少女の笑顔を。
「……させない」
悲劇はもう……繰り返さない。
そんな、俺の決意に呼応するように、それは淡く光った。
***
「渡したのね」
「必要だったろ?」
「ええ……仕事はするのね」
「まあな。大切な仕事だからな」
「それで? その中には彼がいるの?」
「いるぞ。ずっと眠ってるがな。とはいえ、そろそろ、起こさないとまずいだろうが」
「そうね……もう、十分よ」
「なら、計画通りでいいな?」
「ええ、それでお願い」
二人は箱の中の生物を見つめる。その生物はフェレットのような見た目をしている不思議な生き物。そして、首にはきれいな赤い宝石を付けている。
「さあ、駒はそろい始めている。だから、お願いね、ユーノ」
囚われた魔法使いは眠り続ける。
いずれ来る、目覚めを……始まりを待ちながら。
次回予告 「青い石 ジュエルシード」
「来たか……本日は、見回りじゃ」
「ああ、わかった」
「見回りか……ここ最近は低級の魔でさえでないな。まあ、平和なのは良いことなのだが」
いつもの見回り。何もなく終わるはずだった。
「これは!? どういうことだ? なぜ、この気配が」
活性化する魔物たち。黒く蠢く怪しい魔物。そして……
青く光る石……その名は