国立IS学園
アラスカ条約に基づいて日本に設置された、IS操縦者育成用の特殊国立高等学校。 まぁ操縦者に限らず専門のメカニックなど、ISに関連する人材はほぼこの学園で育成される。 この学園の土地はあらゆる国家機関に属さず、いかなる国家や組織であろうと学園の関係者に対して一切の干渉が許されないという国際規約があり、それ故に他国のISとの比較や新技術の試験にも適しており、そういう面では重宝されている。 ただしこの規約は半ば有名無実化しており、全く干渉されない訳ではないというのが実情である。
「以上、麻倉美津里編集『猿でも分かるIS関連用語集~天の巻~』より抜粋IS学園の説明でし た、まる……っと」
なぜか気がつけば一人ポツネンとIS学園の前にいる俺の名前は長谷川竜兵。 あの日から気がつけば美津里主導の下あれよあれよと言う間に入学準備が進行し、こうして本日今更ながらIS適正値測定及びデータ取りをするためにIS学園に2日早く入学という運びになったわけだ。
しかし今更ながらなぜこんな事に……。 いやそれ以前に何で美津里がISコアをまるっと1つ所持してる事を疑問に思うべきか? 多分俺が起動できたのも彼女がコアに細工したってのは容易に想像がつくんだが。
……うん、あの女(ひと)の出鱈目はいつものことだ、深く考えるのはやめておこう。
IS、正式名称「インフィニット・ストラトス」宇宙空間での活動を想定し開発されたマルチフォーム・スーツ。 あの基礎理論は非常識の代名詞とも言える各種技術・知識を修めてる俺たちのような人間からしても、まるで『魔法のような』シロモノだった。
それを独力で発明した提案者である篠ノ之束博士ってのは間違い無く『こっち側』の素質があるんだろうさ。
仕事の関係でもこいつを身に纏った姉ちゃん達に追い回されたことが何度かあった。 うん、最後に大立ち回りをしたのはドイツだったか。 誘拐犯をとっちめたらIS纏った小娘に襲われて、やっとこさ追い払ったら壁を突き破って般若もかくやと言う形相のブリュンヒルデ(世界最強)に危うく突き殺されそうになるとか……無いわぁ。
鬼女の知り合いが居ないわけでも無ぇが、人の身で鬼より怖いってどうなんだろうな?
などと血生臭くも懐かしい思い出に浸っていると
「本日より入学、長谷川竜兵だな? ……ブッ!ククク。 いや、まさか本人だとはな」
背後よりずいぶんとドスの効いた女性の声とともに、俺の首筋には馬鹿でかい刃物が突きつけられた。 ……これISの近接用ブレードか?
恐る恐る後ろを振り向くと、そこには……、
「久しぶりだなエドワード・ロング、いやスクリーミング・クロウと呼んだ方がしっくりくるか。 それにしても、ククク。 随分と縮んだものだな?」
……そこには、イイ笑みを浮かべつつ絶対零度の殺気を纏う『鬼』がいた。
「げぇっ! ぶ、ブリュンヒルデ……いや織斑千冬(世界最凶) 何でお前がここに居る!?」
「クックックック、ここは天下のIS学園だぞ? 教師の中に元ブリュンヒルデ(世界最強)が居 てもおかしくはあるまい。 ……あと学校では織斑先生と呼べ」
「みっ、美津里ぃぃぃっ! 知ってて黙ってやがったなアイツっ!」
にいぃぃぃっ、っと獰猛な笑みを浮かべて俺の背後から刀を突きつけてくる、この黒スーツ姿のクール・ビューティーの名前は織斑千冬。 ISの黎明期からISに携わり続け、その国際大会「モンド・グロッソ」において総合部門優勝、世界最強の称号「ブリュンヒルデ」の名を恣(ほしいまま)にした、いわゆる超有名人である。
知り合ったのは5年前、当時成り行きでエドワード・ロングの偽名を名乗っていた俺はドイツで仕事中に関わりを持つことになったんだが、ぶっちゃけ貧乏くじを全部引かせた上に面倒事を丸投げして逃げてきたという大きな借りがあり……うん、つまり今、入学直前にして俺の命は風前の灯、グッバイ・マイライフ。
頭の中で走馬灯のエンドロールが流れ出し、脳内銀幕にホラー映画よろしく血文字の「fin」が俺の悲鳴と一緒にデデーンと浮かび上がるのを覚悟したその瞬間、千冬のさらに背後から俺ではない誰かの悲鳴が上がる。
「お、織斑先生先に行っちゃうなんて酷いですよ……って、キャアァァァッ! 何やってるんです か!?」
「む、山田君か。 ……ちっ、命拾いしたな? おいエド、この件は後でじぃ~っくりと話そうじ ゃないか」
俺の首横、頚動脈の上に置かれた刃がスッっとどけられる。 いや助かった、世界で2番目の男性適合者、入学前に打ち首で死亡とか正直許してほしい。
無事だった首筋を手でさすりながら後ろを振り向くと、馬鹿でかい刀を軽々と肩に担いだ千冬の隣で黄色いワンピースを着た……おそらく学園の教師と思しき女性が息を切らせながら抗議をしている。
ふむ、見た目の幼さに反して中々のバストを持ってらっしゃるようで、肩で息をするたびにたゆんたゆんと双丘が……おっと、千冬に睨まれた。
「ハァハァ、どうしたんですか今朝から何もしゃべらないと思ったら、いきなり打鉄のブレード担 いで飛び出してっちゃうし」
「あ~、すまん。 昔の知り合いに会えると思ったらつい『はしゃいで』しまってな」
山田と呼ばれた先生へ申し訳なさそうに頭をかきながら返答しつつ、千冬はこちらをギニョリと睨み
「それに入学してしまえば『国際的犯罪者』だろうと3年間は手出しできなくなってしまう。 な らばこの場で首の一つも刎ねてしまったほうが世の為人の為と思って……なぁ?」
「へぇ?ふえぇぇぇぇっ!?」
おーい千冬さんや、殺気をバンバン飛ばしながら人のこと犯罪者扱いはやめてくれ。 あと首刎ねるって、お前一体いつの時代の人間なんだよ、さすが日本を代表する最後の首刈り族『SAMURAI』 漏れ出た殺気で山田先生の顔色がすごいことになってんぞ?
「ふん、まぁいい。 何かあれば私が直々に引導を渡すし、お前のその風体の理由についても後で 聞いてやるからさっさと適正試験を 受けてしまえ」
ああ、そういえば適正試験を受けに来たのをすっかり忘れてたけど試験って何をやるんだ? 一応事前にISの知識程度なら仕込んできたが、操縦方法なんて端から斜め読みしかして無ぇし、う~む、一応聞いてみるか。
「なぁちふ「織斑先生だ」……先生、試験やデータ取りって何やんだ?」
「敬語を……まぁ良い、山田君説明してやってくれ」
「あ、はい。 ええとですね、これから長谷川君にはISを展開後いくつかの基本機動を行ってもらった後に模擬戦をしてもらう事に なります」
「え? 模擬戦に負けたら入学取り消しかい……ですか?」
「いえいえ、別に上手に動かす必要はありませんよ。 長谷川君に動かしてもらうことによってISと長谷川君の相性……つまり適正 値をはじき出すだけですから」
「んむ、了解」
まぁ要はぶっつけ本番、試験の結果は置いておいても入学は確定って訳か。 取り敢えずは気楽に受けれるってもんだよな。 気楽に……ん? 何か引っかかる。
俺、何か大事な事を見落として無ぇか? 山田先生の説明を受けながら、何か心の片隅に引っかかるものを感じながらも俺たち3人は試験会場と思われる建物の中に歩を進めていった。
すみません、本来は1話1話はこの倍くらいあるんですけど、引越しのドサクサでデータが幾つか消えてしまいまして、一番初期の下書き状態しか見つかりませんでした。
よって手直ししながらの投稿なので、1回につきこの文章量がやっとと言うことに;;
出来るだけ回数をこなしていきますので、どうかご容赦を