モブウマ娘です、通してください   作:上条@そぉい!

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今日の私に丸投げしたこの前の私へ。
ふざけんな死ぬほど悩んだじゃねぇか丸投げやめろォ!おかげでこんなに時間掛かったわぁ!


「春風は桜と共に」

 あれから数日が過ぎた。未だ私の中でシービーの言葉がぐるぐると巡っている。そのせいか、トレーニングにも身が入らず程々に済ませてはぼーっと模擬レースを見ていた。理由があるとしたら、自分にないものを、他人から探そうとしたのかもしれない。あれから私に模擬レースをしよう、と誘われることはなかった。そもそも私は現役で今も走っている。まだ入ったばかりの新入生が入り混じる模擬レースに入って蹂躙する事を良しとはしない。ただ、私を畏れる目と、敵意にも似た勝気な視線が半分ずつ向けられてはいた。

 

「はぁ……」

 

 ため息が漏れる。目の前で行われているレースには華があった。希望があった。夢が、あった。だが、己が走った後にそれらは失われている気がした。だからだろうか。私の目を惹きつけたのは、勝者ではなかった。その逆。敗者だった。

 泥だらけで、負けたはずのそのウマ娘に落胆の色はない。むしろ逆。負けたはずなのに楽しそうに笑っていた。

 

「なんで……?」

 

 意識の外で、口から漏れた。周りにいるウマ娘も、その事に疑問を抱く者はいなかった。楽しそうに笑う彼女に、笑顔を返すのだ。疑問が頭の中を埋める。考えても考えても、その答えは出ない。もし自分がその立場なら、そんなふうに笑えただろうか。だから私は、レースが終わり、皆がそれぞれ解散し始める時を狙って、その子に話しかけてみた。

 

「ちょっと、いいですか?」

 

 走った後にクールダウンのストレッチをしているその子に話しかける。突然の事に驚く事なく、その子は笑顔でこちらを見るのだ。

 

「うん!だいじょーぶだよ!」

 

 そうしてストレッチを中断して聞く姿勢になるその子を見て、この子は純粋で優しい子なんだな、と思った。が、いざ話そうとしてみると言葉が出てこない。当然だ。ある意味こうして話しかけたのだって、衝動的なものだから。

 

「あ、えっと……」

 

 なんと話したものか。話そうとするたび、口から出るのは、要領を得ない言葉ばかり。そうこうして、ようやく出た言葉は──

 

「レース、楽しい?」

 

 あまりに端的。こんなのでは私の意図した事など望むべくもない。しかし、その子は笑って頷くのだ。

 

「うん!楽しいよ!もっともっと走りたい!」

 

 その笑顔が眩しくて、私は目を逸らすしかなかった。だけど、どうしてそう笑えるのかを私はもっと知りたくて更に尋ねる。

 

「負けて悔しくないんで……ううん、違うな。負けて何故笑えるの?」

 

 少なくとも、私と走った後の敗者にその顔は無かった。悔しそうな顔があればまだマシ。殆どは折れてしまった顔だった。

 

「だって楽しいから!レースを走れば走るほど、もっといーっぱい走りたいって思うから!」

 

 その答えに、目をパチパチと瞬く。想像もしていなかった返答に、面食らった。そんなこと考えた事なかった。楽しい……

 

「楽しくないの?」

 

 眉を寄せて悩む私に、その子は首を傾げ顔を覗く。

 

「よく……分からないんだ」

「そうなの?走るのって楽しいよ?」

 

 分からない。いつからだろうか。走る事に何も感じなくなったのは。そう、初めの頃は確かにこの子のように、走る事を楽しんでいた筈だった。

 

「わ、大丈夫?どこか痛いの?」

 

 その子の心配する声で、自分が泣いてる事に気がついた。呆然としながら、頬に伝う涙を拭う。何故だろう。いつの間にか、私は大事なものを失っていたんじゃないだろうか。勝ちとか負けとか。他人がどうとか。もっと単純なものを求めて私は走ったんじゃないのか?トレーナーさんの喜ぶ顔と私の走りが私の原初。こんな所にあったなんて──

 

「うん、大丈夫。ちょっと無くしたものに気がついただけだから」

「無くしたもの?一緒に探す?」

 

 健気なその子の頭を撫でて私は笑う。大丈夫、もう分かったから。もう迷いはないよ。

 

「そうなの?……あ、私ギンシャリちゃんとエレジーちゃんと走る約束してたんだった!行ってくる!」

「そうなの?いってらっしゃい」

 

 春風のような余韻を残して、その子は走っていった。残った私の心にあるのは、この気持ちを今すぐに走りに変えたいと逸る気持ちだけだった。あぁ、早く走りたい。




???「曲がれぇぇぇぇぇえええ!」



興味あってハルウララの戦績調べたら白目剥きました。ある意味誰よりも百戦錬磨じゃないっすかこの子……あ、続きませんよ?
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