トレーナーと一緒に旅行するのが好き。猫も一緒だとさらに良し。
吾輩はウマ娘である、名前はない……わけではないけど名乗る程の者じゃあございません。あれから理事長達の追求をかわして私はトレセン学園の廊下を歩いています。過ぎた事は考えるのをやめましょう。今回は逃れましたが次はどうなるかなど考えるだけ無駄ですよね、ええ。現実逃避?知りません。
しかし、今はもう日も高い位置になり、いい時間である事を知らせています。時計はありませんが私の腹時計は既に空腹を告げています。さて、どうしたものでしょうか。ここ、トレセン学園にはご飯に関しては物凄い拘りがあり、食堂のおばちゃんには頭が上がらない。しかし、それとは別に外で外食することも許されている緩さ……おっと、別にダジャレじゃないですよ?
「困りましたね」
そこで直面するのは、私は何が食べたいのか、と言うところです。空腹とは食欲を促進するスパイスでありながら時に迷わせる麻薬のようなものです。空腹が、食を迷わせる。それはいただけない。こんな時トレーナーならズバッと私の食べたいものを言い当ててくれるのです。なんなら弁当を作って貰うこともあります。ですが今は出張中でいません。悲しみ。
何が食べたいのかわからない時、何を食べても微妙に満たされない、アレ。そんな時は……
「彼処にいくとしますか」
そんなわけで休み時間に外出して向かったのは、ごく普通のファミレス。しかし侮るなかれ、トレセン学園の周りはトレーニングを終え腹を空かせた学生が集まります。大小の差はあれどウマ娘は皆、健啖家。それを満足させるだけの量を提供しなければならない店側の涙ぐましい努力によって成り立っています。
そんな店に感謝を込めて席につき、お冷を運んできた店員に私はメニューを見ることなくいつものように注文を。
「「カレーライスに冷麺を一つ」」
瞬間、私と被る注文の声に緊張が走ります。その声に横を見れば、芦毛のウマ娘が一人。向こうもこちらをみていました。間違いなく目が合いました。しかし、ここで話しかけるような無粋な事はしません。ここは食事の場。飢えを満たす者達の集まり。水を差すような事はしないのです。
無言が2人を包みます。スッと外される視線を皮切りに、あらためて席に腰を落ち着けます。数分もしないうちに注文が届きました。
「ハフッハフッ」
熱々のカレーを一口。程よいスパイスの辛さが舌に直接響くその味を残したところに、洗い流すように冷麺を啜る……私が幾度となくこの店に通って見出したコンボ──!
それを知るものが他にも居た。それだけで分かる。隣に座るこの芦毛のウマ娘は強者──歴戦の猛者であると!
謎のシンパシーを感じながら食い進めていく私はまるで新たな大地を目指す開拓者のようであった。
──これが、フロンティアスピリッツというやつなんですね……ッ!
あれだけ悩んでいた私のお腹は、食べ終わる頃には悩みなど吹き飛ばし、全て解決していたのだった。
食い終わり私はその店を後にした。残った隣のウマ娘はまだまだ注文をやめず、空になった皿がまるで回転寿司で積み重なっていく皿のようで、その勢いは止まることがなかった。空腹を満たし清々しい気持ちで外に出た私は空を仰ぎました。
──とんでもねぇヤツと同じ時代に生まれてしまいました……!
勢いのまま書きました。続いちゃいましたけど続きません。