水にはこだわりがある
今日は月が綺麗ですね、今夕方ですけど。どうもモブウマ娘です。日が落ち始め光が夕闇に消え行く時間。私は家へと急ぎます。私は寮生活ではなく家から通っています。というのも、寮では動物飼育はダメらしいのです。その割には鳥がいた気がしますがそれはそれ。私の生活に猫がいないとか考えられないので家から通学する事にしました。海外に旅行する際も猫とはいつも一緒ですので離れるとか今更考えられません。
そんな道路の端を歩く私の横に車が止まります。真っ赤な車には見覚えがあります。ウィィィンと窓ガラスが下へと収納され、そこから顔を出したのは──
「やっほー」
友達のマルゼンスキーでした。サングラス越しにこちらをみて手を振っています。サングラスしててそれ前見えます?もう日もほぼ沈んで夜に近いんですが。
「これから少し峠に行こうと思ったら君の姿を見かけちゃって」
それで声を掛けた、という事のようだ。相変わらず車が好きらしい。利便さは認めるけど、私は列車の方が好きだなぁ、煙モクモクの蒸気機関車とか。
「……ひとっ走り、付き合わない?」
「仕方ないなぁ」
彼女は隣に誰かを乗せたがるが、彼女の運転は慣れていないとひどく酔うのだ。けして運転が雑なわけではないのです……スピード狂みたいな節はありますけどね。私は割と平気です。
そんな訳で助手席に座ると、車は発進する。特に会話がある訳でもなく、ただ私は窓から流れる外の景色に目を向けていた。別に気まずい訳ではないです。いつも車に乗ってる時はこんなふうになるだけです。
「やっぱりドライブは楽しいわ〜、チョベリグよチョベリグ」
その言葉は今のナウなヤングには通じないと思いますが、前に指摘したらへこんでたのでツッコむのはNGです。
「久しぶりよね、貴女とこうしてドライブするのは」
「そうだね、多分数ヶ月ぶりかな?」
会う度にドライブに誘われるが、最近会うことがなかった。会わない時はとことん会わないのでこんなもんだと私は思いますよ。
「やっぱり?貴女あちこちに飛んでいくから会うのもタイミングが合わないのよね。次は何処にいくの?」
「確かイギリスだったかな、次のレースがそっちらしくて」
「ほんと貴女何処にでも行くわよね」
だってトレーナーと旅行できるんだもん、行くしか無いじゃないですか。レースはおまけです。
「ダービーにでも出るつもり?」
名前は確かなんでしたっけ。トレーナーと旅行に行ける事に浮かれて話半分くらい聞いてなかったんですよね。
「えーっと……確かグッドヴッドカップだったかな」
そんな名前だったと思います、はい。内容はよく知りません。
「あら?それって確か今度距離変更になるって話じゃなかったかしら」
あ、トレーナーがそんな話してた気がする。だからその前に行こう、みたいな。
そんな何気ない会話をしながら、ネオンライトの街を抜け峠に向かう2人の表情には気安さがあった。とめどない会話をしながら、夜は更けていった。
続きません。続きませんったら続きません。